安倍三代 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022619617

感想・レビュー・書評

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  • 世襲政治への疑義を軸に、安倍三代の系譜を追ったルポ。庶民目線を持ち、戦時中に反戦を唱えた祖父・寛やリベラル保守としてバランス感覚を持ち続けた父・晋太郎。2人の来歴を知ると、安倍晋三の言葉がなぜ自分に刺さらなったのか、その理由が分かりました。

  • めちゃくちゃ面白い。

  • ルポとして時代がたっても参照価値の続く名著だと思う。

  • 安倍晋三→岸信介の孫 はよく知られているが、安倍晋太郎の息子という印象は少ない。さらにその父 祖父に当たる安倍寛の名前は、ごく少数の人しか知らないのではないか?
    51で早逝したにせよ、三木武夫と親交を深めた政治家であれば、周囲はともかく血筋の政治家であればもっと口にしてもいいはず。
    3代目で身上潰すというが政治家にとっての財産は、地元との絆 思想 政治家としての知識経験ということになるだろう。
    政治学を学ばず、先達が残した遺産を尊重せず、憲法の解釈を浅はかな知識と表層的短絡的な思考で解釈を歪める負の遺産を残した我が国最長の政権を維持した政治家の評価は、後代、高まることはないだろう。

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  • 世襲政治家の是非を問う本作。読む前までは、世襲について特に否定的な印象でもなかったが、読後は世襲議員やら比例議員で構成されている国会の現状に日本の将来が心配になった。
    戦時中に反戦を主張して翼賛選挙を非推薦で勝ち抜いた反骨精神溢れる祖父の安倍寛は、さぞや素晴らしい人格者だったのだろう。彼のような政治家が、またこの日本に生まれて欲しいと思う。

  • 安倍晋三に対して感じていた薄っぺらさを実証したルポルタージュ。父の安倍晋太郎が、「晋三は情が無いから政治家には向かない」といったというが、本文にはその件に関する直接な記載はないものの、安倍晋三の第三部いや全編を通して記載されている。

  • 著者は安倍総理の凡庸を嘆く以上に、世襲政治家達への反発が強いのだろう。

    世襲政治家達も極めて優れた立法・行政能力を持って入れば問題ないと思うのだが、そうではない為に問題となる。
    選ぶ方も選ばれる方も政治家は使い捨て、という感覚を持っておいた方がいいのではないか。
    選ばれた方は賞味期限が切れたら退いて別の生き方をする(その為には本業を持つ人が政治家になるべきであり、政治屋はいらない)、選ぶ方も賞味期限をかぎ分ける嗅覚を常に磨いておかなければいけない。

    安倍総理の地元でも少なくない人が実名で意見を述べている所に良心を感じた。

    祖父・寛の翼賛選挙を勝ち抜いた姿、父・晋太郎の異父弟の存在(知らなかった)、総理の兄のインタビュー等、読みごたえが多かった。

    紀伊国屋書店天王寺ミオ店にて購入。

  • 青木理をワイドショーで見て、「ジャーナリストとか言ってるけど、しょせんテレビコメンテーターでしょ」と舐めている人も多いかもしれない。かくいう自分が、つい最近までそうだった。見直すきっかけになったのは、死刑問題を扱ったノンフィクション「絞首刑」と鳥取連続殺人事件がテーマの「誘蛾灯」を読んだこと。「なめててごめんなさい」と謝りたくなるくらいおもしろかった。特に「絞首刑」はずーんと重い読後感があり、自分はこの本がきっかけで死刑廃止論者になったくらい。両作品とも、作品のテーマとなった事件に青木理自身が巻き込まれていくのが興味深い。取材対象と人間としての付き合いをしているから、そうなるんだろうなあと思ったりした。古き良き時代のノンフィクション作家の生き残りって感じ。

    さて、今作。第1部は、安倍総理の祖父・安倍寛の「反骨の志士」ぶりが、めちゃかっこいい。第2部の安倍晋太郎も味があっていい。安倍寛を誇る気持ちと、義父・岸信介への複雑な感情。二世議員としての屈託。実は地元下関の地盤は自分で開拓し、その中で在日朝鮮人と接点をもったこと。いい意味で昭和の政治家らしい懐の深さが目立つ。1部も2部も、青木理が取材対象に思い入れをもって書いているのがよくわかる。それが第3部の安倍晋三になったとたん、薄味になる。青木も文中で書いているが、取材を進めていくなかで取材対象に興味がなくったのがよくわかる。まあ、気持ちはわからんでもない。安倍総理が退任した後にでも、追補版をださないかな。

    山口で昔から安倍家を支持している人たちの証言が、興味深かった。みな口を揃えたように、「安倍晋三の政策は安倍寛・晋太郎と相容れないし、彼らと違って地元と接点がないから、思い入れもない」と言う。それなのに彼らの多くは、安倍晋三をいまでも支持しているようなのだ。たぶん土地に根ざすってこういうことだし、政治って政策じゃないんだよなあとあらためて思った。

  • 安倍の芯のない右であることの怖さを感じた。三代目のお粗末さは安部だけではないでしょ。政治となると怖いよね‼️

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著者プロフィール

1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。慶應義塾大学卒業後、共同通信に入社。社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、2006年に退社しフリーに。テレビ・ラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『日本の公安警察』(講談社現代新書)、『絞首刑』(講談社文庫)、『トラオ―徳田虎雄 不随の病院王―』(小学館文庫)、『増補版 国策捜査―暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』(角川文庫)、『誘蛾灯―鳥取連続不審死事件―』『抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心』(講談社)、『青木理の抵抗の視線』(トランスビュー)などがある。

「2015年 『ルポ 国家権力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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