【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))
- 朝日新聞社 (2005年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022598776
感想・レビュー・書評
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中世の西欧の戦争は 領土を広げるのが目的で
日本の戦争は食うために行われていると
戦国時代に日本に来ていたポルトガル生まれの宣教師が
書きとめていたそうだ。
そうなんですか?と 思いつつ読み進めると
なんと 戦国時代は 秋は収穫があるが 備蓄が薄くなってくる
春先から 死亡率が下がっていたらしい。
戦国時代は本当に毎日が大変だったようです。
そして、その飢えの対処として 戦なのです。
戦によって 勝った方は その土地で略奪をしたそうです。
金品は勿論 人も。 人は奴隷として 使われたり、諸外国に売り飛ばされていたそうです。
貧農では 春先の食べ物が少ない時期に 食い扶持を減らす為にも 出稼ぎ=戦に行く 事が当たり前のようだったそうです。
しかし、秀吉が天下統一をして、戦のない日本を作ってしまったので、収入=略奪をする事ができなくなって 困った人達の為に?!朝鮮戦争を始めたそうです。
しかし、この戦争も終わってしまうと また 傭兵たちが あぶれてしまいました。
すると 次の時代には 各地で鉱山 が発見されて ゴールドラッシュです。
とはいえ、そうなると 農民が農地を放棄して いくと 年貢が減るとう事でさまざまな規制も設けたそうです。この時代の 禁令などを読み解いていくと 政府が色々頭を悩ましているのが わかります。
で、最後には公共事業=城建設です。
こうして 政府は力の有り余った 傭兵たちの エネルギーを 押さえ込むために色々工夫したそうです。
とはいえ、町に人が集中して 争い事や すり 強奪なども多発していたので 五人組とか 農民をその地から 離れられないような 規制を引いたりしたそうです。
歴史の苦手な私ですが どうにか 読み終えました。
なんか 読み終えて 今と根本的に変わっていないような 気がしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本中世、特に戦国時代の戦場のリアルを生き生きと描き出した話題作です。最近読んでいた中世史の概説によく引用されているので読んでみました。食うため、生きるために戦場へと向かい、掠奪や人取りを繰り返した雑兵たち。彼らは豊臣・徳川の平和によって国内の戦場が閉鎖されたことにより、水夫や傭兵として海外(朝鮮をはじめとしたアジア)へ、また日用として都市(築城・修築ラッシュ)に流れていきます。アジアからの視点もふまえて戦国時代をたくましく(やっていることは酷いのですが)生きる人々の姿が印象的でした。
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戦国武将好きの人と話すときに、意外な切り口からネタを提供できる本。
戦国時代と言うと、信長や信玄といったスター武将が戦の采配を振って、兵たちがそれに整然と従って動く…という図が何となく頭に浮かぶのですが、実態はさにあらず。(歴史小説は「美しい戦国時代」しか見せないですね)
本著は、「雑兵」たちが繰り広げる略奪や、その背景にある食い詰めた姿を描き出した本です。戦国時代でも農村はある程度のどかなのかと思いきや、全然違う。万が一自分が中世にタイムスリップしたら…まず出家ですかね。
乱世の中でもしたたかに生き延びようとする村の知恵で、例えば武田と徳川双方に年貢を納める半手・半納なんて仕組みがあったことも初めて知りました。
秀吉が出した浪人停止令についても、丁寧な事実の積み上げによって、従来の通説を覆す論を展開していて非常に興味深かったです。
また、エピローグも自分が持っていた「日本人」観を覆すもので驚かされました。
本筋とは関係ないですが、読んでいて「なぜ略奪が生まれるのか?」という疑問に至りました。
本著の中でも、略奪は厳罰によって禁止されます。誰しもやりたくて略奪するんじゃなくて、それでもそう決意するだけ食い詰めている訳です。ただ、人を奪うことでも、鍋を奪うことでも、最終的には「割に合わない」と思えば人はやらない訳で。
そう思うと、「割に合わないかどうか」は罪と食い詰め感のバランスになるはずで、国民の所得のコントロール(貧困層を出さないこと)は、治安を一定水準に保つこととほぼイコールになるのではないかと。
現代で進みつつある所得の格差拡大、大丈夫なんでしょうか。まさか中世の略奪社会に逆戻りすることはないでしょうが…。
かなり前に友人にオススメいただいてからだいぶ間が空いてしまったのですが、その間に歴史小説を読んだりして本著を読むための素養?になった気がします。 -
ゲーム等で知っていた戦国感がぶち壊される一冊。略奪とその対策や報復。奴隷狩りなど人の暗黒面が戦国時代というサバイバルの中でどう使われたのかを知る事ができる一冊。
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中世の奴隷狩りは想像以上に大規模に行われていた。
そしてその奴隷の行先も日本国内に留まらず、
海外に輸出されていたというのだから驚きだ。
稼ぎのために奴隷を狩る雑兵の姿は、
海外の暴動で店舗に押し寄せる暴徒を
連想させられた。
あれは海の向こうの特別な状況だと思っていたが、
なんのことはない状況さえ整えば、
人はこんなに粗暴になれるのかと思い知らされる。
ともかく、華やかな戦国大名の影にあって、
下級市民の生活にスポットライトが
当てられているという点で貴重。
出典もしっかり記載されていて
詳細な研究の結果に書かれた本だというのが感じられる。 -
ふむ
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戦場で圧倒的多数を占める雑兵たちの、略奪を行う圧倒的なエネルギーを感じた。これが戦場の真実である。
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面白かったし、新しい知見を得ることができた。詳細はまたあとで書く。
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戦国時代、武将のもとで「戦った」兵士( 雑兵)について、なぜ戦うのか、戦いの場がなくなったら何をもって生業を立てるのか、考えたこともなかったことが浮き彫りになった。
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
この本では戦国時代では余り注目されることがない雑兵に関してが書かれている。
戦国時代の軍隊は兵農分離が進んでいないため、生きるために戦場で略奪や奴隷狩りが横行し、略奪される村もそのような略奪から身を守るために大名に保護を願ったり、寺に保護を求めたりと様々だ。
しかし、豊臣秀吉による天下統一が進むと雑兵の存在が平和を脅かす存在となり、文禄・慶長の役がそのような存在を減らすための口減らしの意味合いが合ったことには驚きだ。
一方で村々には非常時に避難するための城があり、領主も領民を城に保護していたという事が書かれていたが、この点に関しては疑問が少し残った。
城に領民を保護すれば兵糧の消費は激しくなってしまうため、籠城には不利になってしまう。全てが保護しないわけではないだろうが本当に地元に密着した領主ぐらいではないかと思う。領民が避難した城も放棄された城に勝手に避難しただけではないだろうか。