鴻上尚史のますますほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋

著者 :
  • 朝日新聞出版
4.01
  • (23)
  • (36)
  • (11)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 344
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022517555

作品紹介・あらすじ

ニュースサイト「AERA dot.」人気連載の第3弾! 「夫婦のセックスレス」「どうしても娘を愛せない」「断ち切れない毒親との関係」……。常に相談者に寄り添い、実行可能な鴻上節の神回答がますますパワーアップした25編+書き下ろし2編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • そもそもわたしは何故、ほがらか人生相談シリーズを読み続けているのだろう??
    3冊目にしてふと湧いた疑問を考えていくと、3点に集約されることに気がつきました。

    1、おなじような相談内容で過去に悩んでいた自分、そしてそのとき取った行動は「あながち間違いじゃなかったぜ」と肯定してあげられるから

    2、未来の自分におなじような悩みが沸き起こったときに、それを解決するヒントを置いていってくれるから

    3、自分の近くにいる人は、もしかしたらこんな悩みを抱えているかもしれない…そんなときは「ほがらか人生相談、読んでみるといいかもよ!」って伝えられるから


    〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~〜~~~

    あとがきで「(略)なるべく違う種類の相談に答えようとしています。」(230ページ)とありましたが、3冊目となるとどうしても「似たような相談が以前の本にもあったような、、」という錯覚を起こしました。
    3冊を同時に手元に置いて読み比べたわけではないので、細かく見れば違う相談内容なのだとはおもいますが「印象」はそんな感じでした。
    これは良くも悪くもほがらか人生相談に慣れてきた、ということかもしれませんね。

    しかしながら、3冊目も読みやすさはバツグン!
    書いている言葉はちがえども、どの回答にも鴻上さんの一貫した「芯」が感じられるところも、とても安心感がありました。

    特に「相談13・職場で自分にだけ冷たい態度をとる先輩との共同作業に、毎日しんどいです」「相談25・生きていくうえで、なにか夢中になれるものと出会う」は、わたしもおなじような事柄で悩んだことがありました。
    当時はまだ書籍「ほがらか人生相談」はありませんでしたが、今回の本で鴻上さんの回答を読んで、あの状況にいたわたしがあの時選んだ方向はあながち間違いではなかったんだなと思いました。

    過去の自分の行動が良かったのか悪かったのか…
    時間が経ってなお、自分でもよくわからないことってありますよね。
    質問13、25の内容は、わたしにとっては過去に起こったことになるのですが、この本を読んだことでその当時の行動を認めてもらったような気持ちが沸き起こり、気持ちがラクになりました。
    こんな風に「ほがらか人生相談」の相談と回答たちは、過去にくるしんでいた自分を自分で抱きしめてあげるきっかけをくれる1冊でした。


    本書の目次を読んで「今の自分にはない悩みばかりたなあ〜」と思われたとしても、今の自分にはない悩みばかりだったとしても、未来はわかりません。
    相談者さんとおなじような境遇に陥りる可能性は、誰にでもあります。
    そして、今の自分にはない悩みだとしても、自分の隣にいる人が、この本の相談内容に似た悩みを抱えて、くるしんでいるかもしれません。
    「自分はこんなことで悩まないから、本書は必要ない」と捉えるのではなく、「もしかしたら、自分のまわりにいる人のなかで、こんな悩みを抱えている人がいるかもしれないんだな」という見方で読んでいくと、より自分の人生が広がっていくんじゃないかな、とおもいます。

    それに、もし本書にあるよう相談を抱えている人に会ったとき、その人の悩みに直接答えることはできなかったとしても、「そういえばこの本に、似たような相談が乗ってたよ!参考になるかもよ」と、この本を紹介することはできます。
    読むか読まないかは相手が決めることではありますが、いつかくるかもしれない色んな可能性のために、今から「ほがらか人生相談」シリーズを読んでおくのも、ありかもしれません。

  • 鴻上さん「ほがらか人生相談」の第三弾。あとがきで、鴻上さん自身も触れているように、『似ている内容だと、僕のアドバイスも間違いなくにてくる』ので、
    失礼ながら、私自身も、最初の「ほがらか人生相談」を読んだ時と比べると、目から鱗!みたいな驚きや新鮮さは減り。なので、評価★も4つにしてしまった。それでも、第一弾からの【観念的ではなく、理想論でもなく、精神論だけでもなく、具体的で、実行可能な、だけど小さなアドバイスをずっと探してきた】これは、変わっていないと思う。
    そして、何より自分でも苦笑いしかないのだが、悩みって1つじゃないよなあと。あまりにも大きく苦しい悩みがある時には、それに心身のほとんどを持っていかれるので、自分はこの大きな問題が解決したら、明るい悩みの無い将来が待っているのではないか、とすら思ってしまうのに、こうして皆さんの悩み相談を読んでいると、毎回必ず、共感してしまう悩みに出会うのだ。

    今回、悩みに共感し、鴻上さんの回答を見て、自分のモヤモヤにも答えてもらえた気持ちになった相談が1つ。
    悩み自体は自分には当てはまらないものの、鴻上さんの答えにとても納得感と共感があった相談が1つ。
    それを残しておこうと思う。

    Q.息子は愛せるのに、娘のことをどうしても愛せない
    A.じつは、『ほがらか人生相談』では、母親からの「娘を愛せない」という相談はわりとあります。珍しくないのです。「息子を愛せない」という母親の相談はまだ来ていません/自分を嫌いになる代わりに娘さんを嫌いになることで、「自分が嫌いという感情」を処理しているのではないか/息子さんに対して問題ないのは、異性なので、自分と同一視できないからじゃないか
    ・・・これは、自分が娘の立場として、どうして母親は兄弟のことは愛しているようなのに私のことは愛してくれないのだろうとずっと思ってきた人生だから、自分が鴻上さんに回答をもらった気持ち。そういわれて、母親の言動を振り返ると、なるほどなととても腹落ちするのだ。でもこれを、思い切って友人などに話しても理解されることはなかった。大抵はありきたりに「母親が子供を愛していないはずはない」とか「もちろん、男の子が可愛いという母親の感情は分かるけど、それは娘との接し方が違うだけで嫌いということではないと思うよ」と言う返しばかりだった。でも、自分の中では、勘違いではないと確信を持っている体験をいくつもしているからなのに理解されない、とモヤモヤし、だとしたら、やっぱり母親にそうさせている自分が悪いんだ、と言う苦しみを抱えてきた。でも、鴻上さんの言葉を読んで、もう乗り越えたつもりの悩みだったはずなのに、不覚にもボロボロ泣いてしまった。それは、ああ私だけが悪かったんじゃないんだ、と言う言葉をもらえた気持ちと、母親も多分この相談者さんのように悩んでいたかもしれないな、と思えたからだ。だって、大人になって思い返せば、母親との楽しい思い出も、逆に女の子だから共有できた出来事も、いくつもあるのだから。

    Q.娘に何かを伝えるときに、自分の考えがないことに気づいた。大人になって空っぽだと気付いた。
    A.空っぽの中に入れるものに、たったひとつの「正解」はないと思ってください。逆に、「これが正解だ。これだけを入れておけばいい」という、あまりにも分かりやすいものには気をつけた方がいいと思います。この複雑化した世の中で、「簡単に答えを教えてくれるもの」「ものすごく分かりやすく世界を説明してくれるもの」「世界を単純に敵と味方に分けてくれるもの」は、信用しない方がいいだろう
    ・・・これは、ここ数年、自分が感じていたことを非常にすっきりと言語化してもらった気がする。特に、この2年コロナ禍になって、世の中の考え方が、ともすれば二者択一のようになり分断されかけている時に、極端な意見を断言する人や、考えの異なる人をひたすら攻撃する人、攻撃的なことやセンセーショナルことを言う人は、信用してはいけないな、と思ってきたので。これは、何も今のような社会状況の時でなくても、人やコトを見極める時には心に留めておくべき言葉だな、と。

  • 当然よかったのですが、
    シリーズ3冊目なので新鮮味は
    なかったため⭐︎3にします。
    相談者さんに対する
    鴻上さんのお答えを読んでいると
    心が落ち着きます。


    「自分が不安な時、自分より弱い立場の人を
    責めて安心したり、誰かのミスを激しく
    責めたててネガティブな感情を発散させる
    心の動きです。」
    というところが印象に残りました。

  • 鴻上さんの基本スタンスは、勇気を出して会話、対話すること。
    でもらそれがなかなか出来ないからモヤモヤして相談するんだけどね…

  • 鴻上さんの回答はいつも自分とは違った視点なので勉強になります

  • 様々な問題に悩んでおられる相談者さんのお悩みを読んでいると、そんなことが自分の身におこっていたら…と考えてしまい、相談者さんの悲しみや怒りが直接心に届きます。
    鴻上さんは、そんな相談者さんからのお悩みの解決策を丁寧にお答えされています。鴻上さんからの「心より応援します。」という言葉は、本当に良い言葉だなと思いました。
    私自身も、先日、ちょっとした誤解から意地悪なことを言われて嫌な気持ちでしたが、この本を読んだら、悩みが消えてしまいました。そして、もしも誰かにお悩みを相談されたら、鴻上さんのようには解決策は浮かばないかもしれないけど、真剣にお話を受け止めて、「心より応援」できたらと思いました。

  • 一冊目読んだらこの2冊目も読みたくなりました。やはり回答内容に学ばされます。

  • 世の中にはコミュニケーションで悩んでいる人は多いし、その悩みを鴻上さんは誠実に解きほぐしてくれる。

  • 鴻上尚史さんの人生相談第三弾!!
    毎回読んで感じる事は一つ、
    老若男女の相談者の悩みに真摯に向き合い
    優しい言葉で語りかける。
    優しい語り口調で分かりやすいんだよね、
    丁寧に相手の悩みに寄り添って語りかけてるので
    言ってることが私にも理解できる。
    (←毎回同じような事を書いてる)


    本当に大切なことを伝えようとする時に、
    感情的になったら負けなのです。
    日本人はつい、
    「気持ちがあれば必ず伝わる」と思い込もうとしますが、残念ながら希望であり、ただの誤解です。/「

    たったひとつの正解」というものは、人生にはない。…など。

  • 大人とは、自分を殺して相手を丸ごと受け入れたり、完全に拒否したりしないで、中途半端な関係のままで、相手とつながることができる能力を身につけた人のこと。
    内村鑑三の名言「最悪の平和も最善の戦争にまさる」。
    この二つを吸収できたので、この本を読めてよかった。ほがらか人生相談、4冊目も多分読みます!

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鴻上尚史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×