できることならスティードで

  • 朝日新聞出版
4.23
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本棚登録 : 833
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022516695

作品紹介・あらすじ

広義の"旅"がテーマとなる、著者初のエッセイ集。
大阪やパリ、スリランカ旅の話から、学校に行く意味を考える「小学校」、2019年7月に亡くなったジャニー喜多川氏との邂逅を綴った「浄土」など、本書の“旅”は、何気ない日常生活から深い思索の底まで多彩。
「小説トリッパー」掲載の14編をまとめ、さらに単行本のための書き下ろしとして、連載と同形式のエッセイ1編とあとがき、および[intermission(小休止)]となる掌編小説3編を収載する。

感想・レビュー・書評

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  • いいなぁ、うまいなぁ・・・そしておしゃれだなぁ

    「大阪」
    たしかに、アイドルと作家って・・・自分の内を見せまくって疲弊してしまうだろうな。
    「僕は塗っては剥がして、剥がしては塗ってを繰り返している。そんな風にミルクレープを作ったらぐちゃぐちゃになりそうだけど、今のところ何とか形になっている」

    「岡山」
    切ない。でもすごく良いな、と思った。
    「僕はひとりっ子なので、いよいよ孫の顔もわからなくなったと思った父は、「誰と間違えとるんじゃ」と言い返したところ、「歌って踊る方と、書く方がおるじゃろ」と話したらしい。ちなみに祖父は読書家だったため、書く方の孫が好きなようだった」

    「小学校」
    学び方を学ぶために学校に行く。
    強制的に集団生活を送ることで、良い経験・嫌な経験からいろいろ学ぶことができる。協調性も自主性も。受け身であることによって降りかかってくる不条理も。
    「受け身であるがゆえの、ある種不条理な経験を自分に通すことで、その後の人生がいくらかたくましくなる。生きていくということそのものが不条理の連続なのだから」


    「浄土」。
    「小説トリッパー」での連載最終回がこのエッセイ。
    タイミングもあるんだろうけど、これが最後にくるか、すごいなと思った。

    わたしも恩師とかとわりと距離ができてしまう、疎遠になってしまうタイプなので、わかるかもな。少し会いにくくなってしまうような感じ。
    「彼の最後の言葉を「最悪だよ」にさせてしまった。認めてもらえなかった。小六の自分に勝てないうちに、彼は僕の前から消えてしまった――」
    加藤さんは「間に合わなかった」をよく書く印象。それが良い。
    すごく素敵なエッセイでした。


    「彼の姿を色濃く脳裏に浮かべながら、それぞれが彼から学んだことを次の子たちに、少し笑えるようにして伝えていくのだ。はたまたこんな風に文章に残して。
    その間、彼は死なない。まだまだ長生きすることになるだろう。仲間たちはまだ彼の話をしている。そう簡単に浄土に行かせてたまるかと僕も意気込み、線香の煙が漂うリハーサルルームでこれからのことを思った」

  • 私は偏見の強いタイプです。だから、作者がジャニーズ所属のタレントであると言うだけで、小説家としての力量は低いと決め付けています。それが、先日テレビで作者の話を聞いてみて、関心を持ちました。この作品は旅についてのエッセイと短編小説で構成されています。少し言葉を飾っている感じが鼻につくようにも思うんですが、嫌いではありません。一度、小説も読んでみたく思いました。

  • 「岡山」「浄土」がいいお話で何度も読んでしまう。

  • 旅に行きたくなった!!知識も増えた笑
    あの頃か〜と共感できる内容もあって良かった

  • 一度読んでみたいと思っていたアイドル
    NEWSの加藤くんの著者。実はちょっと文章が
    独特で長編小説の「ピンクとグレー」は
    途中で挫折してしまいました(^^;)
    エッセイならいけるかな?と本書を選択。

    短編小説3作と旅のエッセイ。
    旅のエッセイは若い人の旅の雰囲気を
    感じられるし、アイドルとしての仕事のことも
    書かれていたりしてなかなか面白かったです。

    短編とエッセイは今後もちょっと読んでみようかな。
    また旅に出られるようになるといいですね。

  • 書く方の加藤さん。
    でもそれも加藤さんの一部。
    歌って踊る方の加藤さんも。
    すべてが加藤シゲアキさん。
    文字としてアウトプットした加藤シゲアキさんが、加藤シゲアキさんのどこまでを映し出しているのかはわからないけど、人間加藤シゲアキが見えてくる。
    まあ、エッセイ中心だから言うまでもないことなのかもしれないけど。
    35歳までにできるだけ旅をか。
    そんな余裕なかったよ。
    やっと少し動き始めたぐらいだったな。

  • 短編なのでとても読みやすい。
    UR not alone は個人的に好きな曲なので「時空」は何度も読んでしまった。"過去の自分"は現在の自分の味方もしてくれるし、現在の自分の敵にもなってくれる。いつも周りと比べていた。そんな自分に過去の自分の姿を意識させてくれた。
    もちろん他の作品も素晴らしかったが、「時空」は特に印象に残った。

  • 読むと、大好きな加藤シゲアキの魅力がもっと増す。
    シゲの本はすべて読んできたけれど、エッセイということもあって、彼の素直な言葉が、思考が、どの本よりも直接ぐっと伝わってくる。旅をする前に念入りに予習をし、旅先では五感と思考を使って全身でその土地を受け止める、自分も20代のうちにたくさんしておきたいと思う。
    世界の旅はもちろん、私は特に岡山編で語られる家族のエピソードと、小学校編の「学校は学び方を学ぶところ」という彼の考え方が好き。

  • 2020.3.20
    面白い。エッセイなのに最後「マジかよ。流石かよ」と呟いていた。言葉が上手。体験が豊富。思ったこと考えたことが、言葉でちゃんと表現されてる。私は、アーティストとしての彼はあまりしらないけど、小説家としての彼は、本当に好きだ。できることならスティードで。私も、しっかり、思っていこう

  • 全編通して情景が目に浮かぶようなエッセイなのですが、まるで自分もその場にいるような、頭の中でキョロキョロとしてしまうような場面もあり、楽しく読ませていただきました。

    「岡山」と「浄土」がずっと心に残っています。
    自分の中にある(あった)えも言われぬような気持ちを、この人だったら言葉にできるのかなあ、なんて。

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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