帰去来

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022515872

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】警視庁捜査一課のお荷物志麻由子は、捜査中に首を絞められ気を失う。目覚めるとそこは、異次元「光和26年のアジア連邦・日本共和国・東京市」で、もう一人の自分は〈東京市警のエリート警視〉だと知る。彼女は元の世界へ戻ることができるのか? パラレルワールド刑事小説。

感想・レビュー・書評

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  • おなじ警察官になった娘が、未解決だった父親の殉職事件の真相に迫る。
    というオーソドックスな警察小説かと思いきや、いきなりパラレルワールドに飛ぶ展開に、びっくり。

    こういう作品も書くのだな、と新鮮。

    元の世界では、実力の伴わない抜擢に縮こまっていた由子が、新天地で経験を積み、少しずつ成長していく。
    たくましくなっていく姿は、さわやか。

    異世界の由子の人間関係が、由子によって解きほぐされていくのも、よかった。

  • 本庁捜査一課の新人刑事 志麻由子はおとり捜査中暴漢に襲われる。 
    目が覚めるとそこは違う時間軸を歩んだ日本。
    東京市警察本部 特別捜査課 課長 志麻由子警視の執務室だった。 
    環境が人を育てる。 ヒロインの冒険譚となっています。 
    「帰去来」というタイトルも効いてます。 
    戦後の混沌とした東京をそのまま引き延ばしたような世界観。嫌いじゃありません。 
    映像化したら面白いかも・・・。

  • 警視庁捜査一課・志麻由子は連続殺人事件での張り込み中、犯人に首を絞められ気を失ってしまう。目覚めたら、「光和26年のアジア連邦・日本共和国・東京市」という異次元で、その世界の志麻由子と入れ替わったようだ。ここでは警視であり、元の世界の元恋人・里貴が部下として仕えていた。混乱しながらも由子は、この世界での新宿、闇社会の「羽黒組」と「ツルギ会」を破滅させようとする。その一方で、こちらでの殺人事件、元の世界での実の父の死の真相、そして連続殺人事件の真相を追う。そして由子は元の世界に戻れるのか。パラレルワールド警察小説とのことです。
    二つの世界での人物のつながりを整理しながらゆっくり読みました、うまく作ってあるけれど、大沢さんがSFとはね、というのが先ずの感想。自分自身SFというと冷めてしまうのが原因? いや、読み応えあったけれどね。男と女のやりとりとか正と悪のやりとり大沢さんならではで。由子の強くなっていく過程よかったね。

  • 大沢在昌 著『帰去来』読了。

    執筆に10年を費やした大沢在昌作家生活40周年記念作品。
    本作は過去の大沢作品の内『撃つ薔薇』や『B・D・T 掟の街』に近い近未来SFテイスト、舞台設定は村上龍の『5分後の世界』を髣髴させる◯行◯界もの。

    警視庁捜査一課志麻由子は連続殺人犯の張込み中に何者かに首を絞められ意識を失う。
    その彼女が目覚めた世界とは…‼️ 特別斬新な物語構造では無いが、作家生活40年に裏打ちされた見事な筆力で500ページ近い作品を一気読み。
    弱点を長所に転換する方式も手垢の付いたものだけど、丁寧に描かれるヒロインの内面描写との相乗効果で説得力を持たせる辺りはお流石!

    映画好きの視点からは舞台背景として『野良犬』『仁義なき戦い』『実録・私設銀座警察』などを、物語展開では『ヒドゥン』『アンタッチャブル』を想起しながらニヤニヤしていた(笑)

    勿論 在昌らしいケレンもたっぷりあるし、後半では『新宿鮫2 毒猿』に勝るとも劣らない怒涛の畳み掛けで大満足。
    問答無用でおススメでございます‼️

  • 12月-14。3.5点。
    ナイトハンターという殺人鬼、囮捜査をする女刑事。
    被害に遭い気を失うが、気づくと別の世界に。

    よくあるパラレルワールドものだが、スピード感あり。
    さすがに読ませる。

  • 面白かった。はじめは、ファンタジー⁈と思ったけれど、主人公の活躍に目が離せなくなり、ストーリーの先が知りたくて500ページ超えの長編でしたが、飽きることなく読めました。大沢在昌ハズレなし、です。

  • かなり面白い。没入した。
    太平洋戦争の結果で大きく違ってしまった二つの世界をまたいでの犯罪。
    警察官として強くなって行く女性主人公。
    大沢在昌氏の新しい世界が楽しめました。

  • 21世紀の新しい平行世界trip警察小説。主人公は勿論女、主人公の相棒は勿論なよなよした年下の美青年。警視庁捜一巡査部長志麻由子の魂は、東京市警特捜警視志麻由子の体に時空trip!時空を越えた痛快な犯罪捜査の物語。警視志麻の世界の独創性が素晴らしい。元号が光和で照和の『紺碧の艦隊』型かと思ったら、米主導の連合国も独主導の枢軸国も存在しない世界。中主導の亜連邦と豪主導の太平洋連合が争っていた世界である。米は大戦前に墨に吸収され存在しない。世界のリーダー中国は日本人の憧憬という設定である。都市や自然の描写も光る大沢の新たな到達点。

  • 殺されかけた女刑事が、パラレルワールドで警視に出世している。会社員だった元彼が部下だったり、父親が別人だったり、今までの世界とは違う。戦後なのだ。闇市だってある。前の世界と、飛んできた世界に共通する犯人。後半は、出生の秘密。複雑な人間関係が、怒濤のような凄まじい展開で明らかになっていく。アクションあり、謎解きあり、描かれている人物は濃厚。読みごたえのあるsfだった。


    http://muto.doorblog.jp/

  • パラレルワードを行き来する女性警察官が主人公のSFミステリー。元の世界ではお荷物刑事,飛ばされた世界では悪に対して辣腕をふるうエリート警視,生き残った方のへなちょこ刑事が異世界でもまれ成長していく…。大沢節は健在だが奇想天外,変化球が過ぎるかな

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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