言葉で治療する

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022506641

作品紹介・あらすじ

医療者の言葉しだいで、治療の日々が天国にも地獄にもなる。衝撃の現場を紹介しながら、鎌田医師が心と体が立ち直っていく言葉を具体的に提案する。医師・看護師も患者さん・家族もお互いに救われる、新しいコミュニケーション術。

感想・レビュー・書評

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  • 医療職の人間です。この本は一般の人向けの本ですが、医療に携わる人間がどのように患者さんやご家族と向き合うかをわかりやすく解説されていると思います。
    新入職員にオススメの本として紹介しています。
    高齢化が進み、複数の病気を抱えて生きてい方が大勢いらっしゃいます。その方達の人生の一部の伴走者になれれば良いのかなと思います。
    優しい気持ちになる本です。オススメ!

  • 言葉が足りないと検査が「暴力」になる

    医者と患者の間だけでなく 人と人の間には「共感」と相手に対して想像力が必要でそれによって相手に寄り添える

    病気をみるのではなく、病人を見てくれる医者でないといけない

    医者に診てもらって「診てもらわなければ良かった」なんて思いたくないが、悲しい想いをしてきた人達も沢山いるのだということがわかる

    文章が丁寧で人柄があられている 先生にお会いしたい

  • 「すべての病気がないことが健康なのでは決してなく、病気を一つや二つかかえても健康ってあり得る」という考え方がいいなと思った。
    ちょっと良い人過ぎて息が詰まるけど、確かに著者の功績は大きいのだろう。

  • 「死の質」。人間にはいつか必ず死がやってくる。安心のなかでの、人生のしめくくりを望んでいるのだろう どんなに医学や化学が進歩しようとも、いずれ人間は年を取り、いつか大きな病気をし、助かるつもりが助からないときを迎えることもある。そにときに、死を納得できるかが問題である あたたかなシステムとあたたかな言葉が必要だ 言葉で治療する 一緒にあなたの体に合う薬を探しましょう 人間と人間の関係を大事にしていると何かいい答えが見えてくるような気がする 時に癒し、しばしば慰め、そして常に励ます

  • 医療関係者がホスピタリティを持つには、人材育成と気持ちの余裕が必要。結局おもんぱかるということです

  • 魂に触れること。

  • 病気を治すはずの病院で心が傷つく、そんな傷ついた心を治すお医者さまの話、かな。医療業界で働いているからこそ大切なものに気づけた気がします

  • 諏訪中央病院で地域医療にあたる医師が、医療者と患者との様々な関係を紹介しながら、その背景にある医療の問題について語った本。お医者さん向けの本かと最初思ったけど、コミュニケーション全般に言える話も多かった。特に医療の知識が無くても全然読めるし、堅苦しくないエッセイの様に読めた。医療って、難しいような、シンプルなような、面白い領域だ。


    [読書録]====================================================

    クオリティーオブライフという言葉があります。命の質とか、人生の質とか生活の質とかという意味です。死と向き合う患者に対してはQOLだけではなく、クオリティーオブデスということも考えて欲しいのです。

    患者が、家族が助からなくても感謝されることもあるのが医療の凄いところである。良い医療が行われていると、救命できなかった時も「こんなにまで見てもらえてありがたかった」ト感謝される所が医療の医療たる所以なのである。

    暖かな医療をやりたい医師や看護師がいて、暖かな医療を受けたいという国民がいる。なのに、暖かな医療がなかなか広がらない。

    愛する人を病や事故で失ったとき、大切な事は逃げないこと。心の手当は、悩んで、泣いて、向きあうことだ。

    コミュニケーションは言葉だけで成り立っているのではなく、言葉を発している時の顔つきも関係している。厳しいことを言っても、目が笑っていると、単に批判しているのではないと分かってもらえる。電話でも、ニコニコ話そう。見えなくても、声の色に必ず影響するのだ。

    対話しながら笑いが出てきたら占めたもの。どんなにつらい話をしていても、わずかにニコッとでもできると、心のなかでは仕方が無いか、とか、なるようにしかならないなんて思いながら、自分の心が自分の心を支えだすのだ。一人で悶々と考えていても、この心の位置にはなかなか建てない。誰かいい聞き役が必要なのだ。

    上から医師が患者さんを指導するという関係ではなく、医師と患者さんが水平な関係にいて、平たい場で同じ人間として病気と戦っていくことが、実は難しいが、望ましいのである。医師側も肩肘をはらないので、心が疲れなくなる。対等な関係というのは、医師の心も救うのである。

    医学の進歩は目覚しい。なのに、国民の医療に対する不信や不満や不安はかえって募っているように感じられた。ピンチを脱出するための魔法の言葉を見つけた。「ありがとう」。医療者側も患者側も、もっともっと「ありがとう」を言い合ったらどうだろう。

    雑誌や病院紹介ぼんで、腕のよい医師や有名な病院を取り上げているが、ほんとうに必要とされているのは、よく病室を訪ねてくれて、よく説明をしてくれて、よく話を聞いてくれて、よく質問に答えてくれる医師。

    「神の手」などとズームアップして、技術だけを取り上げる今の空気は好ましくない。優れた技術を持ち、話を聞いてくれ、親身になってくれる、心ある医師を取り上げればいいのだ。そうすると、自然に国民が望むような医師が育ってくるのではないだろうか。

  • ・医療者の言葉しだいで、治療の日々が天国にも地獄にもなる。衝撃の現場を紹介しながら、著者が心と体が立ち直っていく言葉を具体的に提案。医師・看護師、患者・家族がお互いに救われる新コミュニケーション術。
    ・16世紀のフランスを代表する外科医のバレは「時に癒し、しばしば慰め、そして常に励ます」と。
    ・「平静の心 オスラー講演集」(医学書院)によると、ウイリアム・オスラー(内科医)は看護学校の卒業式で「入院すると、病人を見守る優しい母親、愛する妻、献身的な姉や妹、忠実な友人、みんな病人の周りから姿を消した。今やあなた方ナースが君臨している。そのため、家族から離されたために起こる余病が併発している。あなた方看護師がいい看護をしないと、あなた方は単なる侵入者で、強奪者になってしまう」と講演した。

  • 様々なコミュニケーションについて具体的な例を挙げながら、患者さんと医療者の間で交わされる言葉が持つ大きなパワーを感じることができる本。

    治るときも、治らないときも患者さんの「納得」が大事であり、聞くこと、丁寧な説明、相互理解、信頼、納得というプロセスが大事。
    そして、患者さんの不安を減らして安心できる状況を作り出すだめには「支える」ことが必要で、支えるためには他者への「想像力」が必要。

    悲しいコミュニケーションの例もたくさんあったけど、
    その場面を想像しただけで涙が流れるほどあたたかいコミュニケーションも確かに存在していた。

    気持ちだけじゃ人は救えない。
    でも、知識や技術が本当に相手のために使われるためには、あたたかい気持ちが大事、そう思った。

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著者プロフィール

諏訪中央病院(長野県)名誉院長。「住民とともにつくる医療」を一貫して提案、実践。チェルノブイリの救護活動、イラクの小児病院への医療支援なども行う。

「2006年 『どうして勉強するの?お母さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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