核を追う: テロと闇市場に揺れる世界

制作 : 吉田 文彦  朝日新聞特別取材班 
  • 朝日新聞出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022500588

感想・レビュー・書評

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  • 友人がこの本のアメリカ取材に関わっていたことを知ったのが購入のきっかけ。実際に中身を読んでみて、現在の核をめぐる国際的状況がいかに危険度の高いレベルにあるかを各大陸・関係各国政府・有識者へのインタビューを織り交ぜながら深く入り込んだ取材で一気に読ませてくれる本。

    特に、冷戦後の世界において各技術の流出・移動・売買が闇市場でいかに活発に行われていたかが丁寧に語られている部分では、核技術を取り扱うことできる主体がグローバル化の流れにあわせて政府レベルからグループもしくは個人レベルになった点は特に今度の世界的な安全保障環境の構築において大きな妨げになると感じずにはいられない。

    核兵器の被害国でありながら、エネルギー資源に乏しい日本が原子力に頼らなくてはいけない状況は『核の平和利用』という観点から優等生ではあるけれども、一方で旗振り役となって核軍縮を進めるための説得力を殺いでしまっているとの見解や、アメリカによる『核の傘』との相関関係が詳細に論じられている点は今まで実を結ぶ議論をできなかったこの国の実態を明示している。それが対外的にどのような目で見られているかを理解する客観性に富んでいる筆致は個人的には新しい発見。

    核兵器や核技術が今現在、政治的に技術的に社会的にみてどのように取り扱われているのかを知るのにも、そして学生の方にはこれから核問題にかかわる研究を始める上でも、情報収集や自己見解を深めるうえでも出発点となる内容を含んだ良書。

  • 分類=核問題。05年12月。

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