生きにくい子どもたち: カウンセリング日誌から (岩波現代文庫 社会 182)
- 岩波書店 (2009年3月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006031824
作品紹介・あらすじ
子どもたちは、日常をこえた世界への通路をもち、そこでの深い体験の力に支えられて生きる。アキラはその異界とのつながりがうすく、逆にアリサは日常を逃れて異界に閉ざされてしまって、ともに実生活に適応できずに苦しんでいた。二人が、筆者と心の対話を深めるにつれて、癒しのドラマが始まる。子どもたちの癒しは、若いカウンセラーが癒される道でもあった…。
感想・レビュー・書評
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子供時代の甘えについては別の本(おそらく河合隼雄さん)で読んだことがあるが、異界については初めて。
とても興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歯ごたえがすごい本……!
一つ一つの物事に心理的な意味を見出してる筆者の、思考の深さに脱帽。
そう理解することで自分の中の考えも整理している感じ。
子どもと関わる上での大切な視点も添えられていて、なかなか勉強になった。 -
図書館で借りて読んだ。スクールカウンセラーなどをしている著者が出会った患者、その患者がなぜ現実と折り合いがつけられないか考察していた。
特に印象に残っているのは偏食がかなりある男の子の話で、その子供はごはん以外のものを食べることができなかったという。偏食は親が甘やかしているせいという風潮がいまだに強くあり、その子も無理やり野菜などを食べられそうになって苦労したらしい。その子がごはん以外のものも食べられるようになったきっかけは、犬を飼って散歩しているときに出会ったおじいさんで、おじいさんはもう年齢のせいもありたくさんのものを食べることができず、今ではごはんしかおいしいと感じられないと子供に話した。子供は僕もごはんしか食べられないんだとおじいさんに説明すると、そっか、ごはんはおいしいもんなと肯定してもらえたらしい。いつもごはんしか食べられないことを引け目に感じていた少年は、その言葉で自分の食生活を前向きに捉えられるようになり、徐々に他のものも食べられるようになったそうだ。 -
面白かった。事例があって読みやすい。
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子どもの臨床だけにとどまらず、カウンセリングに携わる人にとって大切なことが沢山書かれていたように感じられた。
また、岩宮先生の臨床に向かう姿勢がよく伝わってくる一冊でもあったのかなと思います。
自分のための 過去と未来を繋ぐ物語、自分にとっての生きていくための物語を紡ぎだしていくことで(物語の中を生きられるようになることでもある?)、人は再び歩みを進められたり、壁を越えられるのだと改めて感じさせられました。