『コーラン』を読む (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006002831

作品紹介・あらすじ

イスラームの聖典『コーラン』は、その成立の複雑な歴史的・社会的経緯、独特の世界観、言語上の問題などを理解した上でないと、十分な理解は到底難しい。イスラーム哲学研究の第一人者が、『コーラン』をテキストにそって、多角的な観点を用いながら解読する。イスラームの根本概念である「終末論」「預言・預言者」「啓示」等を通して、『コーラン』の深い精神性が明確にされる。本書は、優れたコーラン入門としてはもとより、井筒哲学の基礎的構造を論じた最良の「井筒俊彦入門」の書でもある。

感想・レビュー・書評

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  • たった数行に含まれる、表面的に訳せる意味からは到底見えないあらゆる背景を延々と具体的な例示やニュアンスとともに読み解いていく内容で、詩文やそれに類する、特に古い文に書かれてる内容なんて、意味解ったって解りきらんな、をすごい痛感。

    そして、それだけ延々と文そのものだけからは見えないものを「読む」講話の書き下ろしだったにもかかわらず、後記で書かれてる「読む」に関する話がまさに皮肉を効かせてるかのようにも読めて、笑ってしまった。

    井筒さん面白い人だなあ。

  • kindle。
    82年に開かれた市民講座の記録がもとになっている。当時の現代思想の流れも絡んで、コーランの一節が重層的に読まれる。
    イスラムによってアラブの部族社会になかった「個人」という考えが誕生するのは、キリスト教がヨーロッパで個人を生み出した経緯と似ている。

  • ITb

  • いくつかの宗教について学んだが、ついぞ、イスラム教について学ぶ機会がなかった。9・11以後、日本に住む私にとっても、折に触れひっかかるテーマではあったが、やはり、距離を感じていたのだろう。

    ようやく手に取った一冊であったが、ここから学び始めることができ、とてもよかったと思う。

    おすすめ
    東京ジャーミィ 見学会
    TEDTalks LesleyHazleton "On reading the Koran"

  • 167.3
    「イスラームの聖典『コーラン』は、その成立の複雑な歴史的・社会的経緯、独特の世界観、言語上の問題などを理解した上でないと、十分な理解は到底難しい。イスラーム哲学研究の第一人者が、『コーラン』をテキストにそって、多角的な観点を用いながら解読する。イスラームの根本概念である「終末論」「預言・預言者」「啓示」等を通して、『コーラン』の深い精神性が明確にされる。本書は、優れたコーラン入門としてはもとより、井筒哲学の基礎的構造を論じた最良の「井筒俊彦入門」の書でもある。」
    目次
    『コーラン』を「読む」方法
    神の顕現
    神の讃美
    神の創造と審き
    『コーラン』のレトリック的構成
    終末の形象と表現
    実存的宗教から歴史的宗教へ
    「存在の夜」の感触
    啓示と預言

    著者等紹介
    井筒俊彦[イズツトシヒコ]
    1914‐1993年。イスラーム学者、東洋思想研究者。言語哲学者。慶應義塾大学名誉教授。日本で最初の『コーラン』の原典訳を刊行し、ギリシャ哲学、ギリシャ神秘主義と言語哲学の研究に取り組んだ。後期には仏教思想・老荘思想・朱子学などを視野に収め、東西の哲学・宗教を横断した独自の「井筒哲学」を構築した

  • 井筒先生の本の中でも、おそらくかなり読みやすい。いつかの講演内容を書面化したもの。
    コーラン初心者の人に向けて、イスラム教とはどのような背景で生まれたのかという視点を与えてくれる。

  • クルアーン「開扉」の7行をてがかりに、イスラームの根本理念を解説する、濃密な講義録。読んだとき、圧倒された記憶があったので、いま、本棚から取り出して、ページを繰って赤線を引いている箇所なんかを拾い読みしてみました。すっかり忘れてました。なさけないですねえ。ただその一方で、関心の芽がぴょこんと顔を出しました。いずれまた、この本は再読したいと思います。(2015年2月28日読了)

  • <目次>
    第一講 『コーラン』を「読む」方法
     1 『コーラン』の形成
     2 「読む」こと
    第二講 神の顕現
     3 『コーラン』の解釈学
     4 「開扉」の章
     5 神の顔
    第三講 神の讃美
     6 存在、すなわち讃美
     7 神の生ける徴
    第四講 神の創造と審き
     8 イスラームの人間観
     9 『コーラン』の存在感覚
     10 信仰の概念
     11 イスラームの終末観
    第五講 『コーラン』のレトリック的構成
     12 レアリスティックな表現レベル
     13 イマジナルな表現レベル
     14 ナラティヴな表現レベル
    第六講 終末の形象と表現(その一)
     15 レトリックの言語学
     16 『コーラン』の発展と表現意識
     17 終末の描写
    第七講 終末の形象と表現(その二)
     18 レトリックの重層性
     19 終末の概念とイマージュ
    第八講 実存的宗教から歴史的宗教へ
     20 神の奴隷
     21 アブラハムの宗教
    第九講 「存在の夜」の感触
     22 存在の夜
     23 預言者と予言現象
    第十講 啓示と予言
     24 啓示の構造
     25 神の導きの二面性
     26 質問にこたえて
    後記
    解説「読む」という秘儀―内的テクストの表現(若松英輔)

  • 世界宗教としては一番新しいものであるがゆえに、その時その頃の一神教としては最適化していたがゆえに、思った以上にその在り方が難しく見える。あらためて難しい宗教だなと思った。一神教としてはとても合理的な宗教なのだけど。

  • 井筒俊彦「意識と本質」の輪読会を始めて、やっと二年で読了。でも、この本とはまだまだ離れることができない。
    何回繰り返し読んだかわからない。
    が、例えばブルックナーの交響曲のように、終わったらまた初めから愉しみたい。
    今は、何が書かれているかということよりも、どうして井筒先生はこれを書いたのか、ということに興味を持っている。

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著者プロフィール

1914年、東京都生まれ。1949年、慶應義塾大学文学部で講義「言語学概論」を開始、他にもギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学などの授業を担当した。『アラビア思想史』『神秘哲学』や『コーラン』の翻訳、英文処女著作Language and Magic などを発表。
 1959年から海外に拠点を移しマギル大学やイラン王立哲学アカデミーで研究に従事、エラノス会議などで精力的に講演活動も行った。この時期は英文で研究書の執筆に専念し、God and Man in the Koran, The Concept of Belief in Islamic Theology, Sufism and Taoism などを刊行。
 1979年、日本に帰国してからは、日本語による著作や論文の執筆に勤しみ、『イスラーム文化』『意識と本質』などの代表作を発表した。93年、死去。『井筒俊彦全集』(全12巻、別巻1、2013年-2016年)。

「2019年 『スーフィズムと老荘思想 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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