- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006002701
作品紹介・あらすじ
大義のために生きること、それはしばしば反転して「死ぬための思想」として機能してきた。女性も兵士となる権利をえるのが「平等」か、自爆テロや連合赤軍事件にかかわった女たちはどんな力学の中にいたのか-。「逃げよ、生き延びよ」と、弱者が弱者のままに生きられる社会のためのメッセージをこめた論考群。東日本大震災後の東京大学最終講義等も収録した新版。
感想・レビュー・書評
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敬愛する恩師の珠玉の名著。思い入れが強すぎて客観的なレビューができない。上野千鶴子は講義と著書の落差が小さく、文章を読むだけで語り口が思い出される。「フェミニズムは弱いものが弱いままで生きるための思想」であるならば、私はその思想とともに生涯を終えよう。
上野ゼミ卒業後10年がたち、30代を迎えた今、増補版を再読して思うのは、’受け継ぐもの’としての自分の責任。さぁ、バトンをうけとった私は、これから何をしようかな?
本書の内容とは関係ないが、’問を洗練させろ、まずはそれからだ’という自分の思考習慣は、外コン出身著者のビジネス本を読むまでもなく、上野ゼミにおける袋叩きを通じて養われたのを思い出した。私のこの、猛烈に私的なレビューに興味を持たれた奇特な方は、遙洋子さんの「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」をよまれたし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに読了した著者の本。最終講義が収録されている。そしてそれが良い。正直で素直で可愛い(失礼)著者の在り方が伝わってくる。
リブがあってフェミがあると言い続ける、男並みを目指さない日本のフェミニストのパイオニアを誇りに思う。70年代生まれの私にも(にこそ)響く言葉の数々。
フェミニストとして学生時代に出会った著者が、介護や福祉・・・弱い者が弱いままで生きられる社会を・・・と、発信しているのは、必然でもあるけれど、とてもうれしい。
著者の本を読んでいて中井久夫やべてるの文字を見るとは、正直20年前には想像できなかった。
『当事者主権』から先、ブレずに進化(深化)してフェミニストとして歩んでくれたことに改めて末席から感謝。これからもがんばって欲しい。 -
2階書架 : 367.2/UEN : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410164918"
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367.2||U43
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「わたしたちは、弱者になるまい、ならない、というような努力をするぐらいならば、むしろ誰もが安心して弱者になれる社会をつくる、そのための努力をしたほうがマシなのです」(p. 359)という思想。
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冒頭の論文を2つ程読んだが、根本的な感覚が自分とはズレているように思う。今をどう変えるかではなく、この人の見方でしか社会を見ない世界が描かれている。もし、社会を左右する権力を持ったら第二の毛沢東になるのは、こういう感覚の人なのだろう。都合よく引用できそうな事がそれらしい感じで書いてあるが、すべてが自分の為の言説に終始していてとても建設的な人とは思えない。アーレントはもっと素直に耳を傾けることができた。
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弱い者が弱いまま生きられる社会...ということで。
実際わたしは、この人の本によって生き延びていると思う。(よりよく生きている。) -
戦後のフェミニズム歴史が概観できる。
上野さんもいよいよ定年で、バトンタッチする年齢なんですね。