中東から世界が見える――イラク戦争から「アラブの春」へ (岩波ジュニア新書 〈知の航海〉シリーズ)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007677

作品紹介・あらすじ

デモによって独裁政権を倒した「アラブの春」から数年。中東地域は、ますます混乱し、テロや内戦が続いている。なぜそんなことになったのだろう。国際社会や宗教は、どう関係したのか。また、中東政治のカギを握る若者たちは、デモや戦場で、何を求めて動いているのか。中東問題を「ちゃんと」知りたい人のためのはじめの一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生対象なので平易に書かれていてわかりやすい。
    テロの構造や、アラブの世代に触れれまで書かれているので、911やアラブの春かなぜ起きたか、アメリカの攻撃がいかに成果がないものだったかがよくわかる。

    「ジュニア文庫」ゆえ、大人が手に取るチャンスが減りそうなのか残念。

  • ふむ

  • 高校生向けの文庫から出ているので文章が読みやすかった。なにより内容がしっかりしていた。
    中東で何があって、どうなったのかをしっかり書かれてあって、これはこういうことなのか、と大まかにわかったと思う。
    欲を言えば、本の中に出ている政権の解説もしてもらったらもっと分かりやすかった気がする。

  • 東2法経図・6F開架 312.27A/Sa29c//K

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 著者は中東研究の第一人者で、とても分かりやすく中東について書いています。
    中東は紛争が絶えません。また日本で聞く情報はアメリカよりからのものが多く、情報が偏っていると思う。「情報の非対称がある」とは筑紫哲哉さんの言葉ですが、こういう本を読んで、中東情勢が正しく認識されたらと思う。

  • 「岩波ジュニア新書」という青少年向け(?)のシリーズの中のタイトルながら、私のような中東をよく知らない大人にとっても充分に読み応えがあります。
    中東…アラブ、パレスチナ世界での出来事についてニュースでは耳にするものの、それぞれが「点」としてしか認識できていなかったものが「線」で繋がりました。
    読後感は一言で言うと「なるほど、そういうことだったのか。そういう流れだったのか。」
    最終章では、不幸にも戦乱に明け暮れることになってしまった地域の中東の人たちから見た「日本への期待」もその一端ながら提示されていて、考えさせられます。
    新書というカテゴリーにおける制約と役割をともに踏まえた名著と思います。

  • (2017.02.28読了)(2017.02.20借入)
    副題「イラク戦争から「アラブの春」へ」
    図書館で見かけたときから気になっていた本です。いつの間にか3年が過ぎてしまったようです。「ルポ難民追跡」坂口裕彦著、を読んだついでに読んでみることにしました。
    アメリカが介入したアフガニスタンもイラクもなかなか平安が訪れません。さらにシリアは最悪の状態でいつ治まるかの見通しが立ちません。
    著者は、アラブ世界における三つの問題について論じています。
    1.民主化と外国からの圧力の問題
    2.宗教と政治の関係をめぐる問題
    3.若者、そして彼らの社会に対する異議申し立てという問題
    それぞれの問題に1章ずつあてて述べています。
    アラブ世界の人たちが暴力を用いずに解決できるようになる日がいつか来るでしょう。

    【目次】
    序章 イラク戦争から「アラブの春」へ
    第1章 アラブに民主主義はやってくる?
    1 「アラブの春」が始まった
    2 アラブでは民主化は起きないと思われていた
    3 イラク戦争と「民主化」
    4 「アラブの春」の混沌と外圧
    5 軍への依存
    第2章 イスラームと政治
    1 宗教が国を割る?
    2 イスラーム主義はなぜ生まれたか
    3 イスラーム政党の台頭
    第3章 中東の若者が目指すもの
    1 若者たちのフラストレーション
    2 なぜ若者が「テロ」に走ったのか
    3 新たな運動の形成
    終章 日本とアラブ
    あとがき
    参考文献
    関連年表
    アラブ・中東諸国 国別紹介
    地図

    ●アラブの春(22頁)
    チュニジアやエジプトで起きたデモが目的としたのは、自分たちの国を牛耳る長期政権に反旗を翻し、人としての誇り、権利を取り戻すことだったのです。
    ●イラク戦争(56頁)
    イラク戦争の経験は、「外国軍に依存して民主化してもうまくいかない」という失敗例として残ってしまいました。
    ●シーア派(88頁)
    「シーア派だから」というよりは、「これまで疎外されてきたから」ということが原因なのです。
    ●法体系(91頁)
    イスラームという宗教は、宗教であるとともに、法体系でもあります。コーランとハディース(預言者の言行録)を社会規範の根幹に置き、そこからさまざまな解釈を繰り広げて判例を重ねていく。それが、イスラーム法なのです。
    ●宗派対立(92頁)
    スンナ派対シーア派、と見えるイラクでの対立も、その実は、シーア派対イスラーム主義の政治家たちがイランと密接なつながりを持っていること、そしてイランがイラクに影響力を強めていることに対する反発が、宗派対立のような様相となって浮かび上がってきたというわけです。
    ●イスラーム主義(100頁)
    「イスラームという宗教を国家の統治の軸に置くべし、という考え方がイスラーム主義であり、それを実現した政権がイスラーム政権だ」
    ●規律を守るか(101頁)
    イスラーム教徒として生まれたということと、イスラーム教で定められているさまざまな規律(断食や礼拝や巡礼など)を守って暮らすかどうかということは、別のことです。
    ●改革運動(107頁)
    スンナ派の間では、初期イスラーム時代の社会を理想化して、その純粋さを取り戻そうと厳格な方針を取る路線(サウディアラビアのワッハーブ派など)もあれば、イスラームに基づいた社会をいかに近代文明と調和させるか模索する、イスラーム改革運動もあります。改革運動の流れを汲むのが、ムスリム同胞団や、パレスチナのハマースなどです。
    ●昔のイラク(141頁)
    1970年代のイラクは、日本以上に裕福な生活を送れるほど、豊かだったのです。

    ☆関連図書(既読)
    「原理主義の潮流」横田貴之著、山川出版社、2009.09.30
    「現地発エジプト革命」川上泰徳著、岩波ブックレット、2011.05.10
    「革命と独裁のアラブ」佐々木良昭著、ダイヤモンド社、2011.07.14
    「中東民衆革命の真実-エジプト現地レポート-」田原牧著、集英社新書、2011.07.20
    「レバノン混迷のモザイク国家」安武塔馬著、長崎出版、2011.07.20
    「アラブ革命の衝撃」臼杵陽著、青土社、2011.09.09
    「グローバル化とイスラム」八木久美子著、世界思想社、2011.09.30
    「アラブの春は終わらない」タハール・ベン=ジェルーン著・齋藤可津子訳、河出書房新社、2011.12.30
    ☆酒井啓子さんの本(既読)
    「イラクとアメリカ」酒井啓子著、岩波新書、2002.08.20
    「イラク 戦争と占領」酒井啓子著、岩波新書、2004.01.20
    「イラクは食べる」酒井啓子著、岩波新書、2008.04.22
    「〈中東〉の考え方」酒井啓子著、講談社現代新書、2010.05.20
    「〈アラブ大変動〉を読む」酒井啓子編、東京外国語大学出版会、2011.08.10
    (2017年3月6日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    デモによって独裁政権を倒した「アラブの春」から数年。中東地域は、ますます混乱し、テロや内戦が続いている。なぜそんなことになったのだろう。国際社会や宗教は、どう関係したのか。また、中東政治のカギを握る若者たちは、デモや戦場で、何を求めて動いているのか。中東問題を「ちゃんと」知りたい人のためのはじめの一冊です。

  • 最新の中東情報(2014.3)、なおかつわかりやすい。
    ジュニア新書だが、大人にとって必要な情報。
    2010の「アラブの春」以前に、レバノンで2005「杉の木革命」があり、ベイルートからシリア軍を撤退させたという。こちらもメディアの力。スンナ派とシーア派の関係、なぜイスラム国家樹立を望むのかなど、よくわかる。

  • うーむ、イスラム関係についてはもっと勉強が必要だなぁ…

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著者プロフィール

千葉大学教授

「2016年 『食料消滅!?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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