綾瀬はるか 「戦争」を聞く (岩波ジュニア新書)

制作 : TBSテレビ『NEWS23』取材班 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007417

作品紹介・あらすじ

爆心地で奇跡的に一命を取り留め67年ぶりに再会を果たした幼なじみ、惨状を目の当たりにして呆然とする女性、救えなかった命の重みを思い続ける男性…。広島出身の女優・綾瀬はるかが被爆者や沖縄戦の関係者のもとを訪ねます。今まで語ることのできなかった辛い戦争の記憶。今、語り継いでいきたい大切な記録。

感想・レビュー・書評

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  • テレビで見たことがあるようなないような
    放送していた記憶はあるけど見ていたのだろうか?

    綾瀬はるかさんの人柄がすごい優しい方なんだとも感じた

    綾瀬さんだから、聞き出せたのかな?とも思えた

    戦争の話は、体験者として話すのも辛いから誰にも言わない人も多いが語ってほしいとも思う

    祖父が生きているうちに、いろいろと聞いておけばよかった

  • 綾瀬はるかさんは広島出身で祖母のお姉さんが被爆して亡くなられたそうです。
    TBS 取材班と全国の被爆体験者の方々にお話を聞いていくという取り組み。取材されるほうもするほうも、辛かったのではと思います。

    今まで話したことはなかったし、もう話すことはないという被爆者の方達にしんどくないですか?とお声がけしながら、少し散歩したりミカンを食べたりと休憩を挟み挟み気づかいながらのインタビューが、抑え込んでいた記憶や気持ちを呼び起こしたのではないでしょうか。

    印象に残っているのは婚約者をハワイで亡くし、アメリカ憎しの気持ちで凝り固まってしまった女性です。
    ハワイで婚約者に砲を向けたかもしれない米兵の方にお話を聞き気持ちをぶつけ、戦争の遺物を展示する博物館や婚約者の方が今も眠っているであろう墜落地を巡り、やがて「泣くのは味方だけじゃない。敵、味方もいまだに泣いておるんですから。こういう悲惨なことは絶対しちゃいけない。(中略)いかなる理由があろうともです」と、お話されたことです。
    大切な人を亡くし、止まった時間をなんとか動かそうと軋ませた音に聞こえました。

    当時、この番組を見ていなかったことが悔やまれます。

  • 戦争を語り継ぐ事は容易ではない。戦後間も無く80年近く経過しようとしている。当時10代だった人々もその多くは亡くなられ、それより下の世代になると幼い記憶にはそれ程多くを頼れない。私の父もその世代だから、東京大空襲の真っ赤に燃え上がる空の映像しか残ってない様だ。
    そして極限の体験をした人々が進んで多くを語らない=語りたくない現実が戦後に訪れる。言うまでもなく、広島や長崎に投下された原子爆弾の放射能の影響である。被爆をすればその後の人生においても、子供への影響や本人の原爆症、体の外面、特に顔や体に深く刻まれた傷跡はずっと残る。それらが差別の対象となり、広島や長崎の人々を戦後長く苦しめた。
    東日本震災後の福島原発事故の影響で、福島産や北関東の農作物への放射能影響が懸念されたが、風評被害でスーパーからも同産地の野菜が消えていった。農家の苦労も大きかっただろうし、その後も人々の心中にはどこか不安が残ってしまう。同じ様にもっと実態の解らなかった戦後間もない時期の迫害・差別は想像に絶する。
    本書では、広島・長崎だけでなく、沖縄や他県の出身地も訪れて、そうした体験を丁寧に聞いていく。長崎の原爆体験者の言葉「子供のために話さず、自分の死と共に記憶も一緒に死んでいく」、言葉の意味は非常に重い。爆発で直接的に亡くなられた方、怪我や火傷を負った方、そして被災後に現地に入った医療関係者など、あの日あの時広島や長崎におられたたくさんの人々が、残る深い傷を負ったのだ。
    戦争はやってはいけない、その通りだがこうした人々の声を聞いて理解した上で、叫んでいく事が大切だ。直接の声から同じ場所に自分をおき、被害に遭った人の気持ちや状況に少しでも近づけば、きっとその声は心の底から発した言葉になるのではないだろうか。
    若い人には辛い経験だし、同じ境遇にはなれない、なってはいけない事だが、誰かがそれを語り継いでいかなければ、忘れた人間はまた同じ過ちを繰り返してしまう。綾瀬はるかさんのような立場の人がそれを世に伝えていく意義は非常に大きい。ずっと続けて欲しい。

    真珠湾に戦闘機乗りとして向かう恋人からかけられた言葉「髪を切るなよ」。この言葉に涙する。

  • 戦争の記憶を語り継ぎ、風化させないために必要な本だと思う。

  • 女優・綾瀬はるかが戦争体験者に話を聞きにゆく。

    綾瀬はるかは広島出身。祖母の姉が被爆者で、原爆で亡くなったことは知っていたけれど、その話を祖母とすることはなかった・・・でも、祖母にとっては辛い、その話を聞きににゆく。

    それを皮切りに、広島、長崎、沖縄に話を聞きにゆく。真珠湾戦争で亡くなった零戦パイロットが未だ眠るハワイ、そして震災にあった東北。

    辛すぎて、語ることさえできなかった出来事は、未来には、二度と起こしてはならないだ。

    読みやすく、読書感想文などにもむいている1冊。

  • 綾瀬はるかという広島出身の女優さんが「戦争」の話を聞いて歩いた話をまとめたもの。
    と、短く表現するとなんだかあまりにも薄っぺらく、内容に申し訳ない気持ちになる。
    彼女が20歳のときに、この仕事に出会ったこと、多くの戦争体験者から話を聞きとってくれたことで、次の世代へ話が語り継がれればいいと思う。
    そしてそれを踏まえて、私たちはこの本を紹介しつづけなければ、と決意する。

    どの話も言葉は少ないのに、その壮絶な光景が浮かび(本当のところはなにもわかっていないにしろ)、涙なくしては読めなかった。しかし、涙を流しただけでなく、こうして話をしてくれた方々の気持ちを伝えていかなくていけないと強く思う。

  • 女優の綾瀬はるかさんが広島・長崎・沖縄、そしてハワイと被災者に直接話を聴きに行ったものを書籍化。
    言葉に出しきれない切々とした想いが、口数少ない文章からもひしひしと伝わります。戦争を直接知る人達の高齢化が進み、話を聴く機会が無くなる日も近い今、こうした話を聴くことはとても貴重です。
    特に貴重に思ったのは日本人だけが戦争の被害者ではなく、アメリカも被害者であると言う事を思い出させてくれたこと。
    原爆の被害ほどではないにせよ、アメリカも大きな痛みを経験してその記念館があることをこの本で初めて知りました。戦争と言うのは勝者も敗者もどちらも被害者であり、計り知れない痛みを負うもの。こうして敵国であったアメリカにも目を向けた貴重な記録です。
    更には東大震災への痛みにもつながって行く記録です。
    この本はジュニア新書とあるように、文字も大きく子供にも十分読める本です。知らない、関係ないと目を背けず、一人でも多くの人に読んで欲しい本です。

  • 綾瀬はるかが戦争を経験した人たちを訪ね歩いたテレビ番組を書籍化したもの。目の前で家族を亡くした人、自分が疎開を勧めた生徒が亡くなってしまった元教師、婚約者を亡くした人etc戦争という理不尽な事象がいかに人の人生を狂わせ、悲しみをもたらしたのかが伝わる本でした。

    あとがきも心に染みました。
    「戦争を記憶し、疑うことを学ぶ必要がある」。本当にその通りだと思います。

  • 本当に素晴らしい本でした。
    原爆記念館等にも行ったことあり、多少状況を知ってるつもりになってしまっていたことが恥ずかしくなりました。

    長崎や広島で行われている教えは、別の県でも必修にして欲しいし、この本を読んで、当時を体験した方の考え方や気持ちを知ることは平和な未来を作ることにつながります。

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