ファンタジーが生まれるとき: 『魔女の宅急便』とわたし (岩波ジュニア新書 492)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005004928

感想・レビュー・書評

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  • 魔女の宅急便やちいさなおばけシリーズの角野さんの物語が生まれるまでのストーリー。
    優しく読者に寄り添う暖かい語り口。彼女の中の小さな少女がずっとそのままに物語を紡いでいることがわかる。

  • 角野栄子さんのエッセイ。
    お父さんに今年はいくつアイスクリン食べる?って聞かれてトンネルの数だけ!って素敵な答え方だなあ。
    ずっと閉め切っていた窓をあけて風が入ってきたとき、あ。大丈夫だ。の感覚。泣いた子供を黙ってぎゅーっと抱きしめるだけで泣き止む光景のこと、すてきだった。

  • ☆3.5 こどもごころをすなほに表した回想録
     冒頭は名文だが、長くてだんだんかったるくなってくる。

  • 「トムは真夜中の庭で」のフィリパピアスさんのお庭でのエピソードが秀逸。蜂の羽音が聞こえてくる春のイングリッシュガーデン。物語がどこからうまれてくるのか、の話。角野栄子さんの頭の中をちょっと覗けて嬉しかった。

  • 「魔女の宅急便」の著者・角野栄子氏の子ども向け自叙伝。「おばけのアッチ」シリーズで育ち、映画「魔女の宅急便」公開当時は主人公のキキと同じような年齢だった私も母となり、親子二代に渡る著者のファンである。

    キキの成長物語は、作者が60年代にブラジル移住した時の心境が反映されているという。未知の世界に踏み込んで行く好奇心と勇気。どうにもならない孤独と閉塞感。キキは大人になるに連れて失われていった多くのものを私たちに思い出させてくれる。

    角野氏が魔女のことをもっとよく知りたくて、本物の魔女に会いにルーマニアまで探求の旅に行くエピソードが面白かった!

  • 2021/12/13

  • テレビで放映された角野栄子さん。
    「魔女の宅急便」の原作者といえばわかりやすいだろうか?

    現在80代の角野さんはまるで魔女のようにお若い。
    お若いというより少女のようだ。

    ご自分が好きな「苺色」を中心とした装いは明るく、見た人をハッピーな気分に変えてしまうほど。

    鎌倉の家の中も紹介された。
    童話作家である角野さんの部屋はかわいい色の小物やご自分で描いた壁や、楽しい気分に満ちている魔法があちこちに。

    そんな角野さんが描いたエッセー。
    「ファンタジーが生まれる時」
    生い立ちから家族のこと、夢想癖、影響を受けたブラジル移民(二年間の)時代に出会った人、好きな本、etc
    今も精力的に著作を執筆し続けるパワーを見たような気がする1冊。

  • 「くるんじゃなかった。こんなとこ。日本に帰りたい」(156ページ)ブラジルに渡った時の寂しさを間近に感じて、読んでいるうちにわたしも泣いてしまった。こういう経験を経て「魔女の宅急便」が生まれたんだな…と感無量。

  • 魔女の宅急便が大好きなので、その原作者の方に興味があって読んでみました。ご自身の経験から生まれた物語なんですね。キキのように明るくて、運命を切り拓いてきた方なんだなあ。

  • 興味深かった。ファンタジーが、ファンタジーの世界からやってくるとき、その訪れ方やもてなし方を学んだ気がする。

    ただ、最後の方の想像力押しのところは、理論だって、誰かの役に立ちたくて生みだされたものだから、悪用されることもあるけども、想像力が必要な物語に比べて、必ずしも重要ではない、と言い切れるものではないと思った。

    どんなストーリーでも、それは語り手の、その人の姿勢が反映されているものだから、押しつけがましいと感じる話というのは、たぶんその人のその時の姿勢に、想像力が足りていなんだろうなと思う。でも、戦争を経験した著者だからこそ、その人の想像力のなさを警告することの使命を帯びているのかもしれないから、それは時代性というか、彼女のオリジナリティの部分なんだろうなと思う。

    とても興味深かったのは、話を作る時に、どんどん作りなおして、書き直してもいいということ、それから片意地をはらずに気持ちのいいラインで、作っている自分が楽しめるラインをキープしながら、書くのがいいということ。

    さっそく真似してみようと、著者が使っていた書くときに使うボードに似たものを買いに走ってしまった。

    あとは、壁と柱の話。私も、柱の家の方が好きだなと思った。壁は苦手で、息苦しい感じがする。また、本作では壁は縦方向に(部屋として)使われていたけれど、それを横方向に(階層として)考えてみると、それはヒエラルキーというか、優劣の考え方になると思った。

    自分は人と人の間に、階層(優劣)なんかない、という思想の持ち主なので、その考えをより具体的なイメージに落とし込めたのがよかった。人は越えられない壁によってわけられているのではなく、柱だけがあって、だだっぴろい家の中にいるみたいに、それぞれいる場所がちがうだけ、というイメージを作ることができた。

    なんかそういうところとか、この著者と話してみたいなあと思わせる作品でもあった。たくさんの本が紹介されていて、それもよかった。ネッシーの話、あらすじだけで涙ぐんだ。主人公の名前を付けるというエピソードもよかった。参考になるというか、自分とは違うところもあれば、自分がうまくいかない理由を見つけることもあって、だけど自分なりに悩んだり、寄り道したり、それでもいいのだな、と思いたい。

    いつかお茶したいな、と思った。また、誰かから、お茶したいと思ってもらえるような人になりたい。たくさん、ファンタジーに会いに行きたくなる本でした。

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著者プロフィール

1935(昭和10)年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、出版社に勤務する。25歳の時からブラジルに2年間滞在し、その体験をもとにしたノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で作家デビュー。著書に『ズボン船長さんの話』『小さなおばけ』シリーズ、『魔女の宅急便』『ぼくびょうきじゃないよ』『おだんごスープ』『ラストラン』など数多くの絵本・児童文学作品がある。産経児童出版文化賞大賞、路傍の石文学賞、旺文社児童文学賞、野間児童文学賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など受賞作品多数。

「2017年 『いろはにほほほ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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