- Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004390121
作品紹介・あらすじ
一九三八年の創刊以来、三四〇〇点あまり刊行されてきた岩波新書。本書は、その八〇年の歩みのなかで初めて編まれた総目録である。一九三八〜一九四六年の赤版、一九四九〜一九七七年の青版、一九七七〜一九八七年の黄版、一九八八年から現在にいたる新赤版まで。そのラインナップを刊行順に配列し内容解説文を付す。
感想・レビュー・書評
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スリップ入りの綺麗な本は久々。
目録にお金を払うなんてと思いながら「喉から手」には勝てなかった。
今日はずっと、静かな興奮がやまない。
もう何度、めくっては眺めただろう。
1997年に、創刊70年を記念して出されたのは「岩波文庫」の総目録。
以来10年ごとに出されている。
しかし新書に関してはこれが初めて。
1938年の創刊以来、3400点あまり刊行されてきた新書のすべてがここにある。
最初から読んでいくと、それぞれの時代を生きているかのような気持ちになってくる。
ちなみに、1938年から1946年は赤版。
「支那思想と日本(津田左右吉)」「現代支那論(尾崎秀美)」「支那・支那人(烏山喜一)」などという本に交じり、中谷宇吉郎の「雪」や横光利一の「薔薇」、矢内原忠雄の「日本精神と平和国家」、アインシュタインの著書などが入っている。
続いて1949年から1977年の青版。(先日載せた湯川秀樹さんの本がそれ)
1977年から1987年の黄版。
この間、朝永振一郎氏の「物理学とはなんだろうか?」の上下巻が出ている。
(1月に載せた『ことばと国家』が黄版だった)
1988年から現在に至る新赤版まで。(こちらは本棚にチラホラ・・)
それらの目録で609ページ。
創刊時と刊行の色が変わるときの「刊行の辞」で19ページ。
末尾からノンブルが振ってある「索引」が88ページ。
とにかく厚い。
私が手にしているのは、白地の本。
右上にギリシャ神話の風神が赤色で描かれているが、同じ画像が出てこない。
テーマで選ぶ場合もあれば、著者で選ぶ場合もある。
双方が一致する場合もある。
日中事変の始まった直後から刊行され、太平洋戦争のたけなわ頃におよぶ期間、
最初の100冊が世に出た。
「島国的根性より我が同胞を解放し、優秀なる我が民族性にあらゆる発展の機会を与へ、
躍進日本の要求する新知識を提供し、岩波文庫の古典的知識と相俟って大国民としての教養に遺憾なきを期せんとするに外ならない。」
・・・岩波茂雄氏の創刊によせた言葉の一部だ。
大上段に構えたようにみえるが、当時の情勢を鑑みた自負心の高まりを感じる。
時は流れた。
創刊時にうたわれた教養と、現代の教養とは違うのだろうか。
ラインナップを見ると、それを問い続けることが重要ではないかと思えてくる。
多くの本を読み、多くの知識を蓄えても教養とは言えない。
歴史を知り、他国を知り、経済について考え、言葉と文化について考える。
どうしたらより良く生きられるのかと問い続けること。
他者を知るとはどういうことかを、問い続けること。
それには何が必要かを、考え続けること。
新書がその足がかりになればと思うばかりだ。
先ずはこれから、読みたい本リストを作っていこう。 -
出版社が自社刊行物のカタログとして発刊する「総目録」は、通常、書店等で無料配布される。
本書はその拡大版で、1938年の創刊から2019年までに刊行された岩波新書の全ラインナップ(約3400点)の総目録である。
岩波以外の新書レーベルなら、有料で刊行しようという企画そのものが成り立たないのではないか。
700ページ超のボリュームの割に安いし(1000円)、詰め込まれた情報量は膨大なので、資料として手元に置いておきたい一冊だ。
書名/著者名索引もついているから、岩波新書について確認したいことがあったらこれを引けばよい(これ以降の新しいものは岩波書店のサイトで検索できる)。
本好きなら、この手の目録を手元に置いては、ヒマがあるとパラパラめくってみた記憶があるはず。
本書も、すき間時間にパラパラめくっているだけでかなりの知識が得られると思う。
とりあえず私は、読んだことのある新書には「レ点」をつけ、読んでみたいと思う新書には「◯」をつけることにした。 -
岩波新書80年分の3400点全ての解説を載せた700頁超の目録。岩波文庫では同種の本が既に複数回出されているが、新書では初めてとのこと。書名の変遷を見るだけでも、その時代の「岩波文化」の空気が伝わってくる。たとえば、1955~56年をみると、前芝確三『ソヴエトの政治』(ソビエトではない)、風間龍『世界の労働者とともに』、福島要一『集団農場の話』、貝塚茂樹『毛沢東伝』など。それと同時に、高浜虚子『俳句への道』、杉浦明平『台風十三号始末記』、E.H.ノーマン『クリオの顔』、梅棹忠夫『モゴール族探検記』、鶴見俊輔・久野収『現代日本の思想』のように、今にも残る作品も多くあることに気づく。
果たして、今の新赤版のなかで50年後も読まれているのは、どんなラインナップだろうか。 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/B12/K
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屹立する歴史……っ!
【書誌情報】
編者:岩波新書編集部
定価:本体1,000円+税
通し番号:新赤版 別冊12
刊行日:2020/06/19
ISBN:9784004390121
仕様:新書
頁数:722ページ
一九三八年の創刊以来、三四〇〇点あまり刊行されてきた岩波新書。本書は、その八〇年の歩みのなかで初めて編まれた総目録である。一九三八~一九四六年の赤版、一九四九~一九七七年の青版、一九七七~一九八七年の黄版、一九八八年から現在にいたる新赤版まで。そのラインナップを刊行順に配列し内容解説文を付す。
〈https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b508164.html〉
【目次】
はじめに [i]
目次 [iii]
赤版(一九三八年一一月~一九四六年一〇月) 001
青版 (一九四九年四月~一九七七年四月) 023
黄版(一九七七年五月~一九八七年一二月) 225
新赤版(一九八八年一月~) 305
付録 刊行の辞 611
岩波新書を刊行するに際して 一九三八年一〇月(赤版発行時) [613-615]
岩波新書の再出発に際して 一九四九年三月(青版発刊時) [616-617]
岩波新書について 一九七〇年三月 [618-619]
岩波新書新版の発足に際して 一九七七年五月(黄版発刊時) [620-622]
岩波新書創刊五十年、新版の発足に際して 一九八八年一月(新赤版発刊時) [623-625]
岩波新書新赤版一〇〇〇点に際して 二〇〇六年四月 [626-628]
索引 1
書名索引 [2-51]
著訳編者名索引 [52-88] -
読了 20200625
死よ驕るなかれをお勧めしてくれた兄はひと周りも年齢が上なんですよ(*'▽')
教師も40歳は越えていたかなあ。
...
死よ驕るなかれをお勧めしてくれた兄はひと周りも年齢が上なんですよ(*'▽')
教師も40歳は越えていたかなあ。
当時話題だったかどうかは知る由もないのですが、勧める理由はあったのでしょうね。
ああ、ちゃんと聞いておくべきでした。
今はもう遠いひとになってしまってあまり話も出来ません。。