植民地から建国へ 19世紀初頭まで (岩波新書 新赤版 1770 シリーズアメリカ合衆国史 1)
- 岩波書店 (2019年4月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004317708
作品紹介・あらすじ
近代世界においてつねに強い光を放ち、深い影を落としてもきたアメリカという国。最新の研究成果にもとづき、一国史を超える豊かな視座からその歩みを叙述する。第一巻は、先住民の世界から植民地期、独立革命と憲法制定、そして新共和国としての試練まで、初期アメリカの歴史像を、大西洋史や記憶史の知見もふまえ提示。(全4冊)
感想・レビュー・書評
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アメリカ合衆国憲法制定から230年。短いとみるか長いと見るか。
予想通り1492年コロンブスの頃からが本題。それ以前の先住民などについてはさらっと書かれているのみ。紙面を割くほどの情報はないということか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカ合衆国史、シリーズ第一巻。
シリーズ全体を通して、一国史の視点ではなく、全体的に合衆国史を捉えようとして書かれる通史。
冒頭、独立宣言50周年の1826年7月4日、第二代大統領ジョン・アダムズと第三代大統領ジェファソンが、ともに亡くなったとのエピソードが紹介される。偶然とは言え、建国の日が神聖視される出来事であった。
36ページ 13植民地の成立と展開。ニューイングランド植民地、中部植民地、南部植民地。(南北戦争につながる差異)
54ページ 南北アメリカ大陸、ヨーロッパ大陸、アフリカ大陸という大西洋を囲む四大陸の相互連関を考究対象とする大西洋史のアプローチ。
64ページ 白人、先住民、黒人、三人種の遭遇。白人の入植者には、「自由」(フリー)かつ「ただの」(フリー)広大な土地が開放された。(無主物先占の法理)
90ページ〜独立革命の展開
175ページ 首都ワシントン。妥協により、メリーランド州とヴァージニア州の境に置かれることとなったが、つまり奴隷制黙認を意味した。
記念碑、星条旗等に関する記憶史の記述も、アメリカ人はこのように独立に関する記憶を大事にしていることが窺えて、大変興味深かった。 -
13の植民地から始まったアメリカ合衆国の建国物語だが、タバコと砂糖が重要だったことを知った.イギリスと戦争で独立を果たすが、当時のヨーロッパ諸国特にフランス、スペインとの葛藤もあったようだ.初代大統領ワシントンの元で活躍したハミルトンの話は面白かった.別の教材で彼のことを学んでいたので特に楽しめた.大西洋史の視座での著述は非常に新鮮で、米国史の見方を変えるものになると感じた.
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h10-図書館2019.6.29 期限延長7/20 未読 返却7/17
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近代ヨーロッパとの関係を踏まえながらアメリカの植民地時代から独立後のあたりまでを書いた本です。やはり近代ヨーロッパについての前提知識があった方がより深く理解できると感じました。自分の力量不足のために完全消化できない印象でした。
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アメリカという国の成り立ちに興味があった。
彼の国は、どうして世界一の国になったのだろう。
宗教的迫害、貧困、冒険心、
いろいろな理由であるが、
イギリス本国から
自由を求めてやって来た人たち。
植民地支配から
自由を戦って勝ち取る。
そこから始まる国づくり。
本書では、入植者目線で書かれているが
奴隷として連れて来られた人たち
先住民の人たちにとっての
歴史的見方も知りたいです。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/729454 -
・本シリーズはアメリカ合衆国の通史。シリーズ一巻目の本書は、先住民の暮らしから19世紀初頭の米英戦争までを扱う。
・(特に植民地時代)アトランティック・ヒストリーの考え方が新鮮だった。アメリカ史に限らず、国家の歴史を考える上では一国史観にとらわれず、グローバル・ヒストリーの視座が重要だと思った
・著者が指摘するように、歴史というものは静態的なものではなく、常に再解釈・再構成を迫られる動態的なものだと捉える必要がある。そのように考えるならば、本書で言えば独立宣言や、あるいはいわゆる「建国神話」に関しても、同時代からそうであったというよりも、寧ろ後世の国民国家形成の中で発掘されてきたものと捉えるべき。歴史は開かれたものであり、だからこそ最新の書物に当たる意義、延いては歴史学の意義があるのだろう。
・建国時(合衆国憲法制定時)には、政党政治が想定されていなかったことは発見だった。このあたりの、第一次政党制から始まる政党政治については、本シリーズ(4冊)読了後に、復習として『アメリカの政党政治』(中公新書)にて整理したい。
・何度か、アンダーソン『想像の共同体』への言及が見られた。『想像の共同体』は、専らインドネシアのナショナリズム研究の書物だと思い込んでいた。政治学を学ぶ人間として、近いうちに一度は通読しておきたい。 -
アメリカ史第1巻。最新の知見と共に、大西洋史や記憶史(当時の史実だけではなくその後の時代での扱いの盛衰)も取り入れて書かれているそうで、面白かった。
特に所々ちりばめているエピソード的な出来事が興味深い。
・ボストン茶会事件は別にパーティがあった訳じゃ無い
・黒人奴隷制度のおぞましさ
・イギリスとは何度も戦って独立を勝ち取り、その後も戦っている
・マラトンの戦いの故事を彷彿とさせる出来事が今のボストンマラソンに繋がっている
・独立後政府の中心人物だったハミルトンが決闘で死んでいる
・今の米大統領が2期までなのは、初代ワシントンが2期で辞めちゃったから
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分かりやすく書かれているので、一気に読めるのが嬉しい。 -
米国という国をもっと知りたいと思い手に取った一冊。