偽りの経済政策――格差と停滞のアベノミクス (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316619

作品紹介・あらすじ

なぜ今も経済の停滞が続くのか、本当に雇用は回復したのか、金融緩和でデフレからの脱却は成功したのか、格差は広がっているのか…安倍政権と黒田日銀による経済政策を徹底検証。まやかしの「成果」のからくりを暴き、アベノミクスを鋭く批判する。その先に、経済学が果たすべき役割が見えてくる。

感想・レビュー・書評

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  • 黒田-岩田日銀をコテンパンに叩いている本である。しかし現実の経済データがその通りであるからどうしようもないなと笑みを浮かべてしまった。まさにここ4年間の経緯は黒田日銀の敗北としか言いようがない。
    安倍総理は政治家だから、よい数字だけを取り上げて「成果」と言い、多くの悪いデータは全て「道半ば」と言い続けていればよいが、日銀リフレ派はそうもいかない。
    以前よりリフレ派の論理は相当危ういとは思っていたが、やはり失敗だったかと嘆息した。
    本書を読みつつ、これは「資本主義の終焉」を唱える水野和夫や「ここ100年の経済成長が異例で2000年間をみると平均経済成長は1%以下」と語るピケティが正しいと思えてきた。日本の今後を思うとどんよりした不安が胸を覆う。
    読後の感想としては、アベノミクスでもダメなら困難も多いが現状の1%程度の成長を前提とした政策を進めるしかないのではないのかと思えてきた。
    しかし、こんな事ならなにも安倍総理でなくとも民主党政権でも良かった。民主党政権の3年間はリーマン危機や東日本大震災がありつつも平均1.6%成長を遂げていたのだから。

    2017年6月読了。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/687167

  • 170815 偽りの経済政策 服部茂幸 17年3月岩波新書 
    日本はバブル崩壊で目の前の短期的合理性に終始する政治と経営に堕してしまい、中長期の取組=愚直さを喪失した。
    そのツケが「30年不況」 長期的・戦略的取組を回復しなければ、この国は滅びの道
    安倍政権の短期決戦・スローガン政治は逆効果と思う

    アベノミクスの評価を問う 真っ当な本 4年を経て誰も評価を行わない 日本のダメなところ 「戦略トップ」が鍛えられない
    著者は前著作「アベノミクスの終焉」(2014)で厳しい見立て 予想通り 国民には不幸
    経済成長は政府支出・耐久財消費・住宅投資 消費増税後、経済成長は頓挫する

    17年現在の評価
    消費者物価の上昇 (1)賃金上昇によるものか○ (2)円安によるものか✕
    雇用の回復     (1)短時間就業者の増加 長時間就業者は減少 (2)労働生産性の上昇はゼロ
    企業利益の急回復 全体のパイが拡大しなくても、分配が企業にシフト

    1-1
    物価目標の先送り すべては「デフレ体質」の責任
    完全雇用の実現  経済成長の余力がなくなり、現在の低成長が生じている 潜在成長率は高まらない
    雇用者報酬は実質低下 税と社会保障費の負担増=家計の実質可処分所得の低下 →これが大きな要因
    住宅投資は負の遺産(46) 景気対策として推進 相続対策も加わった しかし「空き家大国」
    ⇒アベノミクス 本格的な日本経済の衰退が始まった時期として歴史に刻まれる
     [同感]甘い政策だけで20年の不況から転換できるというのは大間違い
          痛みと意識改革が不可欠 現状からの構造転換が必要 既得権の打破・解消 

    2-1 雇用は増加せず
    延べ就業時間 雇用増加を検証
    労働生産性 実質GDP/延べ就業時間
    経済成長がゼロの時、労働生産性上昇率は1%

    医療介護の真の生産性 価格統制より高い生産性の可能性(87)
    雇用の質的低下 非正規労働者の育成投資が不足 長期的人材育成に無責任な体制

    「労働生産性の上昇」が鍵 賃金の上昇→消費の増加→景気の好転 と好循環の鍵(94)

    3-1 デフレ脱却という神話

  • 過激なタイトルであるが、実証実験に各種経済指標を通して、アベノミクスがいかに失敗しているかを淡々と説明しており、目から鱗。デフレの克服、2%の経済成長などの公約がいかに破られ、達成時期先送りを繰り返ししてきたか!なんとアベノミクス前よりも経済成長率は低く、物価下落も続いている。これだけの金融緩和の中で起きている現象である。企業利益の回復のみが、プラスだが、円安・原油安による名目的要因が大きく、人件費削減が利益回復を支えられているという。何のことはない、中間層の没落、富裕層の資産収益増というのが、現在の正直な状況である。それがアベノミクスという言葉に幻惑され、成功しているかどうか、検証する人もいない!米国のバーナンキによる経済政策なども引用しながら、日本においては黒田春彦・岩田規久男・原田泰らの日銀正副総裁・政策委員による政策失敗を語る。

  • 経済理論的なところは難しかったけど、著者の言わんとしたことは大体わかったように思います。学問的な正邪はともかく、アベノミクスは国民を幸せにしなかったということ。

  • 332.107||Ha

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