- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004315810
作品紹介・あらすじ
足利尊氏はなぜ鎌倉幕府打倒に動いたのか。南北朝動乱が半世紀も続いた理由とは。その後、展開する公武一体の政治の流れをおさえつつ、戦に赴く在地の武士の行動様式、連歌・茶会などの「伝統」文化、現状につながる村々の形成などを見ていく。応仁の乱で再び京が灰燼に帰し戦国前夜へと至る、室町時代の全体像を描く。
感想・レビュー・書評
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室町時代に出来た風景が、現代人の思う日本の故郷に直結している。それは荘園制の完成と村の発展による次代の姿が合わさったものであり、数十年前までは日本全国に普通に見られた風景である。
しかし、その原風景は今、大きく変化している。生活スタイルと日本の風景の変化は未来の歴史の教科書にはどう記述されるのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
室町時代の通史。政治・文化を取り上げる。現代とのつながりを意識した記述になっている。南北朝時代の長期化や「徳政」の問題、荘園制についてなど、室町時代の「なぜ」がコンパクトに解説されている。入門に適した一冊。2010年代刊行のため、近年の成果を踏まえた記述を読めるのも嬉しい。
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榎原さんのは面白い。
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鎌倉幕府倒壊から明応の政変までを一気に通史としたもの。政治史より地方や村々に焦点を当て、わかりやすい記述。
室町幕府が京都で公家と武家が婚姻や文化を通じて交わつていたことや在京守護も荘園領主として公家や寺社と同じ立場だったという指摘は面白い。
その上で公武に君臨する室町殿がいたのであれば、なるほどと思う。
鎌倉幕府との -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/706028 -
本の感想(http://www.books-officehiguchi.com/?p=19188)
「足利尊氏が鎌倉幕府を倒幕し、建武の新政となった。建武の新政は後醍醐天皇と足利尊氏との対立が激化し、半世紀近く続いた「南北朝の動乱」となった。
なぜ、半世紀近く南北朝の動乱が続いたのか。この本では、南朝との戦いに加えて、足利尊氏・直義との対立、足利尊氏と高師直との対立を考察している。
これらの対立に加えて、地方社会を含めると南北朝の動乱の背景にある要因が複雑になっているという印象を受ける。文庫本とは言え、一筋縄ではいかないのかもしれない。」
内容(「BOOK」データベースより)
足利尊氏はなぜ鎌倉幕府打倒に動いたのか。南北朝動乱が半世紀も続いた理由とは。その後、展開する公武一体の政治の流れをおさえつつ、戦に赴く在地の武士の行動様式、連歌・茶会などの「伝統」文化、現状につながる村々の形成などを見ていく。応仁の乱で再び京が灰燼に帰し戦国前夜へと至る、室町時代の全体像を描く。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
榎原雅治
1957年岡山県生まれ。1982年東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、東京大学史料編纂所教授。専攻、日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
目次
第1章 建武政権と南北朝の内乱(鎌倉幕府の滅亡と建武新政
南北朝の内乱戦乱と村々
内乱の終息)
第2章 もう一つの王朝時代(義満の登場
公武一体の時代
「伝統文化」の誕生)
第3章 南北朝・室町時代の地方社会(現代に続く村
室町幕府の地方支配体制
室町時代の荘園
交易の展開)
第4章 室町公方の理想と現実(徳政と武威
公方の蹉跌
室町幕府体制の動揺)
第5章 動乱の始まり(土一揆・飢饉・戦乱
応仁・文明の乱とその後) -
日本中世史を通して勉強しようと思って読みました。本筋ではないですが、岡山県浅口市の大浦神社競馬神事の話が非常に興味深かったです。下地中分の名残を今に伝えています。
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室町時代の権力・権威の構造と、社会について教えてくれる。
この時代が、中世の終わり、近世・近代の始まりであること、納得しました。 -
室町時代の概観。室町幕府の荘園支配体制は、鎌倉幕府との連続性のもとにあること、室町将軍は公家社会と統合することで独特な公方という王権になったことが面白かった。
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鎌倉幕府の滅亡、建武政権の成立から、明応の政変(足利義材を将軍から追放)まで、政治史を中心に叙述。所領争いで滅んだ鎌倉幕府の課題を、室町幕府は引き継いで寺社領保護と裁判の実施につとめ、それが応仁の乱によって終焉したという時代の描き方はたいへんクリアでよくわかった。室町幕府(前期)の特徴がよくわかる叙述だと思う。