新・世界経済入門 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314820

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  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190

  • 今日の世界経済における基本的な諸問題について知れる本。

    経済学の本でありがちな貿易や投資といった話題だけでなく、食料、人口、エネルギー、資源、環境、軍事など幅広い話題を扱っていて初学者には参考になると思った。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB15325167

  • 新 書 IS||333.6||Nis

  • ☆世界経済の現状

    ・世界人口
    産業革命で人口爆発が起こった。今後も増加していき、100億人に到達する予定。

    ・食料問題
    量自体には問題がないが、それが合理的に配分されていない。先進国では余っているし、途上国には足りていない。その不均衡を正す必要がある。

    ・エネルギーと資源
    枯渇資源(鉱石、燃料)は、技術の発展と省エネルギー化、新たな資源発見によって採掘可能年数が伸びているから、そこまで大きな問題ではない。

    問題なのは、非枯渇資源(森、水)。短期的な利益ばかりを求め、過剰に取ってきたせいで、再生不可能なレベルになっている。これは、地球環境と私たちの生活に大きな影響を与えかねない。(温暖化、災害、水の枯渇など)

    ・工業化と公害
    環境を無視した異常な工業化によって資源が破壊されている。短期的に見れば経済成長できるかもしれないが、長期的には地球破壊と経済停滞につながる。

    ☆対策
    ・南北問題と経済協力。
    南北の格差を是正していく必要がある。短期的な貸付などではなくて、無利子や長期的な貸付を行い、長期的な視点を持って経済協力することが必要。あと、自国の経済成長ばかりにとらわれずに、きちんと発展途上国に還元することが経済、また平和の観点からも重要。

    ・地域秩序
    ASEAN、EU、など、地域ごとで共同体を作り、ともさえ合っていくことが大切。共同体を作れば、国同士の争いがなくなり、共同体として技術や市場を共有できるようになり、経済成長、平和の実現へと繋がる。

    ・社会主義圏の経済
    社会主義は、
    -計画経済のすべてを管理するコストが著しく大きい
    -上から降ってきた仕事をやれば死なないから、生産性や勤務態度は上がらず、また技術革新などのイノベーションも起こり辛い
    -官僚への権力集中化が起こる
    -大規模農業化は、作物病などにより廃棄の量も増え、生産性を下げることもある
    などの理由により、優れない。

    いっぽう資本主義は、
    -独占が起こらない限り、資本と資源が合理的に配分される
    という長所があるいっぽう、
    -持つものと持たざる者、資本家や地主と労働者、農家の格差が必然的に生まれてしまう
    などの短所がある。故に、完全な自由主義の実現は不可能である。

    よって、資本主義と社会主義の利点を合わせたような経済ー基本的には市場経済だが、教育、医療、福祉、住居においては、国が生産手段を有する計画経済ーの構築が必要である。

    ☆世界経済の将来と日本
    ・非軍事化
    いまは軍事化が進んでいる。短期的に見れば、経済成長につながるが、長期では無駄なものに資源を使っているので、むしろ経済にとってマイナスである。よって、非軍事化、非核化は急務である。これは平和の実現にも繋がる

    ・世界連邦
    1つ1つの国々が個別の国家として存続しようとすると、どうしても争いや格差が起き、経済の混乱、戦争に繋がる。よって、EUのような世界規模の共同体を作り、国家として生存しつつも、一番の権力を持つのは国家よりさらに上のレイヤーに位置する世界連邦、という構図を作り、人権や経済、格差をコントロールする必要がある。(エゴではない国連)

    ☆日本の役割
    ・内需の拡大
    小さい国家ながら戦うために、外にばかりお金を使って、国民に全く還元していない。また社会資本(教育、福祉、格差是正、住宅)も、経済が成長しているにもかかわらず全く良くなっていない。まずは自国を充実させることが大切。

    ・地域起こし
    東京にばかり資本が集まり、地方の人々が苦しい生活を送っている。社会資本も、地方は一向によくならない。これを是正し、日本全体で活気ある人々が溢れるようにする必要がある。そのためには、単にGDPだけを見るのではなく、過ごしやすさ、環境などを含めた、新たな経済指標のもとお金や人が回るようにしなければいけない。

    ・人権の尊重
    日本は人権に対する意識がとても低い。国のため、競争力のために、奴隷のように働いている人がたくさんいる。これは、生産性を低下させるし、余暇に使うお金→内需を低下させることにも繋がる。これを是正し、幸福度を上げることが、経済を良くする鍵である。

    ・平和主義のパイオニアになること
    軍事にお金と資源を使うのは、人類にとって本当に無駄。唯一核を経験した国家として、先頭に立って非軍事化、非核化を進めていく必要がある。

  • ・国際収支−?経常収支(貿易収支、所得収支、移転収支)?資本・金融収支(直接・間接双方で対外投資、対内投資のバランスを示すもの)
    ・72の法則―年1%複利の場合72年で倍増、年2%で36年、3%で24年で倍増
    ・安倍政権は「異次元」の金融緩和、「大盤振る舞い」の財政政策により、円安株高を導き、大企業の輸出主導型繁栄を通じて、そのおこぼれを国民にわかち与える古典的なトリクダウン政策をとっている。そのつけは、国民への増税、TPPなどの経済自由化による雇用市場の不安定、地方と一次産業のさらなる衰退、そして国債増発による将来世代へのつけまわしとなってあらわれる。また、日本国憲法の国家主導型への改悪、原発再稼働、特定秘密保護法、靖国参拝によるナショナリズムの高揚を意図している。ナショナリズムと強権的支配体制再建の動きは、国民に「成長のエサ」をちらつかせながらも、それが実現する構造的要因がもはや永遠に去っている現在、より大きな危機状態へと日本を導くものとなろう。

  • 幅広く、丁寧に世界経済について書かれている。
    ただ、その分内容としては浅いかもしれない。
    それでも大ざっぱに世界経済を見通すうえでは、参考書となる本だ。

  • 20140902-0918 旧版を学生時代に読んで以来。世界経済の現状について、各章ごとにコンパクトにまとめてある。文章は読みやすい。

  • グローバリゼーションをキーワードに、現代世界経済の変遷と概観が幅広いテーマにわたって記述されている。終章では進行する軍事化と非営利組織の活動について言及し、我々が今を考える視点を与えてくれる。

  • 8月新着

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著者プロフィール

西川 潤
1936年生まれ。
早稲田大学名誉教授。学術博士。
専攻:国際経済学、開発経済学。
主著『人間のための経済学――開発と貧困を考える』(岩波書店、2000年)、『グローバル化を超えて――脱成長期 日本の選択』(日本経済新聞出版社、2011年)、『新・世界経済入門』(岩波新書、2014年)、共編著『連帯経済――グローバリゼーションへの対案』(明石書店、22007年)、『開発を問い直す――転換する世界と日本の国際協力』(日本評論社、2011年)など。

「2017年 『共生主義宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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