- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004312444
作品紹介・あらすじ
体温を下げて冬をやりすごす動物の奇妙な習性、冬眠。心臓の低温保存から冬眠の世界に入っていった著者は、体内時計にしたがって低温に耐える体に切り替える、驚くべき仕組みを発見する。数倍もの長寿をもたらし、人間にも備わっているという冬眠能力とは何か。相次ぐ研究の意外な展開は、生命の奥深さを物語る。
感想・レビュー・書評
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なかなか意味深な表題。謎は解けたわけではない。解く過程が面白い。(そして現在進行形)
スカと思った実験データも発想を転換させ、眺め方を変えれば おお、新しい発見が!
長年サンプルをためればそれが宝の山になる日もある。
ただ最近せちがらくなって気の長い研究ができにくくなっているそうだし、若い人に自由に研究させてくれた三菱生命研究所もなくなってしまった。(ミドリ十字め!)
リスたちの写真が可愛い。作者の「すまない」という気持ちが伝わってくる。実験に使われた動物たちの冥福を祈りたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近所の図書館で借りて読んだ。第1~4章ではシマリスなどを用いた冬眠の実験、考察について書かれていて、5章ではヒトと冬眠について書かれている。結論から言うと現段階ではヒトが冬眠をすることは不可能である。なぜなら人間はシマリスなどのように10度以下の体温で1日以上も我慢すること、下げた体温を自力で元に戻すことができないからだ。
にもかかわらず「ヒトはすでに冬眠している」と著者は言う。その理由の1つとして、鬱と冬眠の関わりを指摘していて、人間は長期間ストレスにさらされると、細胞が疲弊し、鬱状態に陥って休息の期間を取ろうとする。私たちは細胞の疲弊度を予測することはできないが、シマリスたちはそれを予測し休息を取る、それが冬眠なのではないかと考えられているからだ。つまりヒトとシマリスの差は、体内の細胞がどれだけ疲れているか知ることができるかどうかなのである。予測できない人間は社会で鬱病というカテゴリーに入れられると、無気力のなか回復を目指し、予測できるシマリスは冬になると活動が減っていき冬眠に至るのだ。 -
<閲覧スタッフより>
体温を下げて食料の少ない冬を過ごす生命現象、冬眠。そのメカニズムには驚きの秘密が隠されていた。なぜシマリスや熊は冬眠するのか。長寿をもたらし、人間にも備わっている「冬眠能力」とは?長年にわたって冬眠を研究し続けてきた著者が様々な疑問と真摯に向き合う。はたしてヒトは冬眠できるのだろうか。
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所在記号:新書||481.7||KON
資料番号:20095345
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ひとは冬眠できるか?
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資料番号:01115147
請求記号:481.7コ -
2013年10月27日に開催された第10回ビブリオバトルinいこまで発表された本です。
テーマは「図書館員おすすめの本」 -
冬眠とはなんでしょう?体温が下がって眠くなること…ではありません。通常37度くらいある体温が5、6度まで下がり、心臓の鼓動は100分の1にまで減少します。そして時期が来ると元の体温に戻り、何の障害もなく動き回ることができるのです。この本はミクロの分子レベルで冬眠について解説されています。冬眠していた動物たちが目覚める季節が近づいてきました。さて、どんな方法で目覚めてくるのでしょうか!
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面白い。実に面白い。こんな研究ができたら、面白いだろうけど、とんでもなく苦労する道ではあるな…
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冬眠の謎に迫る大発見を近藤博士自らが語った本。三十年間近くに渡る研究において博士が味わった興奮や悩みがまじまじと伝わってきます。生物学面白い!とあらためて感じさせてくれる本です。
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"矛盾との闘い これこそが研究だ!!"
【選書理由】
冬眠に関する本の中で、安くて新しかったから。
【感想】
「この本は売らないぞ!!」、と思えた1冊。
著者の長年にわたる研究から得た、
『冬眠』の仕組み、そして『人工冬眠』の
可能性などを解説している。
これだけなら、私は知識を得たらすぐに
古本屋に売っていただろう。しかし、この本は違う。
著者の長年にわたる研究の成果だけではなく、
苦悩、矛盾との闘い、思考の記録などが鮮明に
書かれていた。文章やその組み方も読みやすく、
このままテレビ番組化しても不思議ではないと思った。
特にシマリスの冬眠を最初に観察できたときの描写は、
読んでいる私まで静かな興奮を覚えるほどだった。
最近、自分の実験が煮詰まっていたので、
よい刺激を受けた。文句なしの★5。
余談。載っているシマリスの写真が可愛い。