文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

  • 岩波書店
4.32
  • (16)
  • (13)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 441
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003720417

作品紹介・あらすじ

欧米の文学理論の諸潮流を初心者にも分かりやすく解説するすぐれた入門講義。上巻では文学理論が対象とする「文学」とは何かを問うことから始め、19世紀の英文学批評の誕生、現象学・解釈学・受容理論、構造主義と記号論について詳細に論じる。明確な視座に立ち、読者の思考を刺激し触発する、「20世紀の古典」。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • “Literature” の非常に政治的な生い立ちから始まって、各種の文芸理論について非常に簡潔なまとめと鋭い批判的視座を提供してくれる。文芸理論の入門だけではなく、現代哲学のへのコンサイスなまとめとしても用いることができると思う。訳出も見事で、スパイスの効いた原著の雰囲気を端々に感じ取ることができる。

  • 新批評から現象学、構造主義などを取り込んで変化していく批評理論の歴史を俯瞰しつつ、①テキストをどれだけ閉じたものとして扱うか②文学的価値の絶対性を認めるかどうかといったあたりでモメてるんだなと思った。それもこれも中層階級への文化的教育として起こったなあなあな貴族の内輪ノリで満たされた文学研究を、文字通り「研究」の領域まで高めようとしたことが原因であって、そもそもテキストの解釈なんて曖昧なことを当たり前のように一学問と捉える現代のおかしさも感じた。

  • 文学とは組織の暴力について書かれたもの。科学本はその意味で文学とは呼ばない

    本読むとは、仮説を作っては消し、信念を更新し、複雑な推理と予測を次々と行うことだ

    難しすぎる

  • ヨーロッパにおける文学批評論発展の歴史を著者の濃ゆい解説で辿る好著。
    英文学に親しみのない自分からしたら、おおいに知的好奇心を掻き立てられました。
    言語のこと考えると毎回頭パンクしそうになる。

  • むずい
    『文学部唯野教授』
    の勢いで読めるわけなく
    『文学とは何か――現代批評理論への招待』
    は読んだがそれだけでは駄目だ
    文学部の方は余裕なのかな

  • これも来年度の準備のために再読。10年ぶりくらいに。いまは文庫になっててよいですねえ。

  • 冒頭からぐいぐいと引き込まれる。古典の名にふさわし射程の深さ、鋭さをもっている。いい意味で期待(予想)を裏切られた。お手軽ではない。原語によるルビの振り方も含めて翻訳も良い。

    批評理論をカタログ的に説明したものではない。批評理論間の関係を説明し、より根源的に文学とは何か問うていくのが本書の真骨頂だ。

    冒頭の、いくつかの「はしがき」からして、言葉が生きている。上っ面でない。挑戦的だ。

    序章の「文学とは何か?」ーーそれを誰も決められない、という議論は目から鱗だ。身も蓋もないのだが、ステレオタイプから、イデオロギーから、パラダイムから逃れるためには、まず、このような前提を共有できるかが重要だからだろう。

    1章の「英文学批評の誕生」では、いまや自明の文学が歴史的危機の産物に過ぎない、イデオロギーにまみれたものと知った。

    2章の「現象学、解釈学、受容理論」はこの分野の哲学概念と歴史的位置付けのおさらい。批評理論そのものの変遷について論じた箇所でもある。

    3章は「構造主義と記号論」。恥ずかしながら、構造主義分析の実例を、初めて本書で見た。構造主義の概略と限界についてやっと分かった気がする。

    ・文学に関する定義が、現在のようなかたちをとりはじめたのは、実のところ「ロマン派の時代」以降である。「文学」という言葉のなかに現代的な意味が発生したのは十九世紀に入ってからだと言ってもよい。
    ・成功したイデオロギーが、みなそうであるように、宗教もまた、明晰な概念とか公式化された原理ではなく、イメージ・象徴・慣習・儀礼・神話といったものを通して機能した。
    ・文学は現実の矛盾から目を背けさせる側面があった。

  • 本格的な文学理論を学ぼうと通販で取り寄せてみたら、中身は本格的な哲学書だったでござる、の巻。文体も硬い上に論旨も入り組んでいるから、何が何だかわからないところが多すぎて困ってしまったでござる。世界中でこの「文学理論書」は高く評価されているが、読んで理解できた人はどれだけいるのでござろうか?
    本書で取り上げられている「文学理論」は、現象学、解釈学、受容理論、構造主義、記号論だが、本書ではこれらのきそてきなが異論が「十分理解している」という前提で論考をすすめていくので、先述の概念を全く知らない、あるいは触り程度しか理解していない人が読んだら、途中で放り出すことは必死の難解さ。私の知人は「簡単なことを、わざと難しくこねくり回すのが学者だ」と皮肉っていたことを思い出した。曲がりなりも上巻を読了したので、下巻もがんばって手を出してみようとは思っている。でもどれだけ理解できるかはわからない。

  • 本書は20世紀における文芸批評史であり、更に言えば2章以降は20世紀大陸哲学から見た文芸批評とは何か、という点に尽きるのだろう。そもそも現代思想が問いの中心を対象そのものから言葉それ自体に置いていることを考えればそれが文学理論と結びつくのは当然であり、現代思想って実際文学/文学批評そのものだよねってのが個人的立場。そんな訳で最初の英文学批評の誕生の箇所が個人的に一番興味深かったのだが、古典研究に対応する形で現代英文学研究が学問として成立するのが第一次世界大戦という時代背景に負っているとする指摘は興味深い。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

Terry Eagleton 1943 年〜。イギリスの文芸批評家・哲学者。ロングセラーの『文学とは何か』(岩波書店)はじめ、『イデオロギーとは何か』(平凡社)『宗教とは何か』(青土社)『文化とは何か』(松柏社)など、ほとんどの著書が翻訳されている。

「2013年 『人生の意味とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

テリー・イーグルトンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
ウラジーミル ナ...
三島由紀夫
谷崎潤一郎
ドストエフスキー
ドストエフスキー
J・モーティマー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×