三銃士 上 (岩波文庫 赤 533-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253380

感想・レビュー・書評

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  • ミレディー物語…じゃないって。

    ルイ13世治世下のフランス。銃士になることを夢みて単身ふるさとガスコーニュを後にしたダルタニャンは、パリで同郷の名士・トレヴィルの指揮下にあったアトス・ポルトス・アラミスの三銃士と出会う。王の腹心・リシュリュー枢機卿の陰謀に巻き込まれながらも、三銃士との友情を育み困難を解決してゆく。

     恥ずかしながら初読でした。主役と思しきはダルタニャン一人なのに何故に『三銃士』?これはどう見ても『ダルタニャンと三人の銃士たち』だろ―と思っていました。瀬尾まいこさんの『図書館の神様』という作品の中で「山本周五郎の『さぶ』は栄冶の成長物語なのに何故タイトルが『さぶ』なのか?」と話題にする印象的な件があり、さてはここにも何か深い含蓄が?!と思ったのですが、さにあらず。『三銃士』は本来三部作からなる『ダルタニャン物語』の第一部に当り、日本ではこの『三銃士』が古くから単独の小説として知られてきたとのこと。友情あり、恋あり、冒険あり、娯楽小説の王道と言ってよく、読んでみて今なお単品で愛読される理由がわかる気が致します。

     若く覇気があり、大将としての器も認められ、そこそこ良い男(らしい)のダルタニャンは主役の貫禄十分です。謎めいた過去を持つ寡黙なアトス、単細胞だがムードメーカーのポルトス、学者肌のアラミスのいわゆるキャラの立つ三人組も良い。どんな時も彼らは至って真面目なのですが、そのやりとりは時にはお笑いユニットとまごうばかり。三蔵法師を彷彿させる懐の広いトレヴィル、悪代官そのもののリシュリュー枢機卿、そしてなんと言っても忘れてちゃならない妖婦・ミレディー。

     我が強く野心家の彼女はリシュリュー枢機卿の女間諜として働き、重婚、毒殺、色仕掛けなんでもござれで物語を振り回していくのですが、その妖婦っぷりはここまでくればもうあっぱれ。物語のラスト4分の1くらいからこのミレディーの存在感に圧倒されまくり、気がつけば彼女の最期とともに物語は終わった…のでした。

  • ・よく知られた小説だが未読。そこで改めて読み始めた。

    ・時代は17世紀。フランス中西部ガスコーニュの地方貴族の青年ダルタニャンは立身出世を胸に秘め、パリに「上京」。三銃士ことアラミス、ポルトス、アトスら近衛銃士と出会う。ダルタニャンも護衛士に任官され。その後、近衛銃士に登用される。

    ・ところで、戦い場面では主に剣を使う彼らだがなぜに「銃士」なんだろう…とふしぎに思っていた。原題は、「LES TROIS MOUSQUETAIRES 」(レ・トロワ・ムスケテール) 。MOUSQUETはマスケット銃のことらしい。なのでマスケット銃兵のニュアンスのようだ。一義的に(そして用兵上は)マスケット銃兵で、併せて剣や短銃も装備していたらしい。だが、平時にパリの市中で常にマスケット銃を携行しているわけにゆかないようだ。そのため、小説中の彼らの小競り合いの場面では、いきなり銃を発砲するのでなく、まずは剣を突き合せている様子。小説としても、その方が麗しく華やかなのかもしれない。だがやはり用兵・身分上は「銃士」なので作品邦題は「銃士」として流布してきた模様だ。

    ・一方で、読み始める前の私の本作のイメージは、剣の使い手たちの剣闘、チャンバラの場面が多いのでは…、というものであった。
    だが、上巻を読了して「モンテクリスト伯」に近い感じを受けた。剣闘はあまりなく、多くは謀略や奸計を描いているのだ。ちなみに「鼠落とし」という謀略も解説される。(ある男を逮捕しても、そのことを秘したままその住居に官憲を張り込ませ、気になった悪い仲間が次々に来訪するのを芋づる式に捕縛する手法だという)
    「曰く「《鼠落し》(スリシエール)の発案されたのは、現代ではないのである。社会ができておよそ警察というものがつくられたと同時に、この張り込み所もすぐ生まれたのであった。」(第10章192頁)

    その他、こんな場面が印象的だった。
    ・神職に「復帰」したいと願うアラミスが、司祭らと神学の論文指導をうける場面。ラテン語を交えた神学論争。その場に居合わせたダルタニャンはつぶやく。
    気違い病院に来ているような気がした…。
    作者大デュマの、そうした「神学論争」的なものに対する揶揄、批判精神を垣間見た気がした。少し意外の感もあった。
    ・アトスが、敵対勢力との小競り合いの際、宿屋の地下の酒倉に退避。そのまま10日近く籠城。そしてアトスはその酒倉の中で、150本近い葡萄酒を飲みまくっていた。腸詰50本も肴に平らげて。宿屋の主は涙目。痛快、且つ、あきれた場面で面白い。

    ※「三銃士」は1844年刊で、「モンテ・クリスト伯」は翌1845年の刊。

  • 好きなんです。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/
    図書館・請求記号 953/D96/(1)/B1

  • 「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。主人公たちの友情を痛快に描く物語で、わくわくしながら読める傑作です。

  • 訳:生島遼一

  • 元祖キャラクター小説!今や登場人物達が魅力的なのは当然のことだが、150年前の小説でこんなにも個性豊かなキャラクターで溢れているのはデュマならではといったところか。現代のマンガやラノベを呼んでいるかの如く、活き活きとした情景が浮かび、ページをめくる手が止まらなかった。下巻も楽しみ。

  • (上下巻通しての感想です)

    「三銃士」と聞いて真っ先に浮かぶのは、小学生の頃にNHKで放送されていた『アニメ三銃士』。オープニングでかかっていた酒井法子の「夢冒険」は鮮明に覚えているものの、本編の内容はすっかり忘れてしまっていたので、本書読了後にWikipediaを見てみたところ仰天しました。ダルタニャンの不倫が改変されていたのは予想通りでしたが、アラミスが実は女性だったなんて!

    さて小説版ですが、後半ミレディ―の妖しさばかりが目立って三銃士とダルタニャンの影が薄くなっている点が気にはなったものの、まずまず面白く読めました。解説にもありますが、デュマの代表作2作の中で物語の壮大さや破天荒さをとるのであれば『モンテ・クリスト伯』、シンプルな娯楽ヒーロー物を読みたいのであれば本作になるかと思います。訳については同じ岩波文庫版『モンテ・クリスト伯』よりは個人的には読み易かったです。
    本作の続編にあたる『二十年後』および『ブラジュロンヌ子爵』が現在では手軽に読めないのは残念なところです。アニメ版のラスボスである鉄仮面は本作には登場せず、『ブラジュロンヌ子爵』に登場しているとのことでした。

  • 昔の物語なのに、ワクワク・ハラハラ・ドキドキがすごい。デュマってエンターティナーだなと思った。

  • んー、なんか、すげえイライラする。。。ダルタニャン嫌いやわ。んー…もういいや。

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著者プロフィール

1802-70。フランスを代表する小説家・劇作家。生涯に長短合わせて250篇あまりの作品を書いたとされる。主な作品に『コルシカの兄弟』『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』『三銃士』『ブラジュロンヌ子爵(鉄仮面)』『ダルタニャン物語』『王妃マルゴ』『王妃の首飾り』など。

「2016年 『ボルジア家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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