- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003104620
作品紹介・あらすじ
志賀直哉は、他人の文章を褒める時「目に見えるようだ」と評したという。作者が見た、屋台のすし屋に小僧が入って来て一度持ったすしを価を言われて置いて出て行った、という情景から生まれた表題作のほか、「城の崎にて」「赤西蛎太」など我孫子時代の作品を中心に11篇を収めた、作者自選の短篇集。
感想・レビュー・書評
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小僧の神様
はかり屋の話
仙吉は自分も店を出したい
修行の身
あの美味しそうな寿司を食べたい
4銭あれば寿司を食えると思っていた
しかし1つ6銭だった
すぐ出て行った
マグロ、魚を下に食べる
もし悪いときにすぐわかる
Aは可哀想だと思ったが奢る勇気がなかった
Aは後日偶然仙吉のいるはかり屋に行った
そして寿司をたらふく奢らせた
かみさんの強調
しかし満足できない。なぜだ
寂しい気持ち
仙吉は疑問に思う
なぜ奢ってくれたのだろうか?
あの恥ずかしい寿司屋との関連性
Aはその日のことを次第に忘れて行った
仙吉は忘れられなかった
あの客を励みにこれから頑張ろう
仙吉が住所に行くと稲荷の祠しかなかったと書きたかったが残酷なのでやめた
神様は幻でなく誰にもついている
正義派
電車と女児が衝突し、母親は呆然としていた
証人として三人が呼び出された
運転士がブレーキを引いてなかったと証言したがなかなか警察では受け入れられなかった
その後飲みに行く
自分が幸せであれば他人の不幸など興味ないのだ
以下略
読めない、文の意味がわからない詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先日、城崎温泉へふらりと行って来ました。
せっかくなので旅のお供に選んだのは、
志賀直哉の「城の崎にて」
久々に作品も読めたし、
城崎の雰囲気も楽しめました(*´-`)
さらに「温泉と本」というNPO法人が出している限定本も買えて良かったです!
こういった取り組みは面白いですね(*´ー`*) -
分厚さも薄いし短編集なので肩ひじ張らずに読める。
表題作でもある「小僧の神様」は文学史でも、志賀直哉=小僧の神様 的に学んだのでワクワクして読んだが、オチ…。最初にこの話が来たので始終こんな話かと思ったらそうではなかった。多分この著者は大恋愛を創作するタイプではなく、身近なこととか日常はそのままにその捉え方を工夫して話にするタイプなのかと感じた。多くの話は一見地味なようだが心のどこかがじんわり(話によってはひんやり)するような、そんな感じである。瓢箪はまた違うテイストだが。変なお涙頂戴だとか娼婦との一時の恋だとか、そんなのが出てこないので個人的には安心して読むことができた。 -
ああ『小僧の神様』の、この感覚。
本名を明かさない。店から足が遠のく。気が小さいという。
自分にもあるちょっと後ろめたいような、モヤリとした部分。
「寂しい」と表現に、そういう面もあるのかもと思いが巡る。
最後のわざわざ書き残された作者としての迷いには、文豪とも言われる方ながら近しいものを感じてしまった。
祠で終わらなくてよかった。
そして『真鶴』
幼いと若々しいとの間くらいの心持ち、かな。
町で見かけた大人の女性に、弟の手を引きつつも気持ちをすっと持っていかれる様子が、なんとも甘酸っぱい。
弟君の我慢強さもほほえましかった。
その他、どの作品も情緒があった。時が過ぎたらまた読み返したくなりそうである。 -
ある晩の出来事。帰宅早々息子が得意気に言ってきた
「お母さん、志賀直哉を読んだよ。」
「へえ〜面白かった?(おん?!さってネタバレしにきたか、小僧!)」
「うん、面白かった。」
「何が面白かった?」
「うん〜赤西蠣太というのがあって、〇〇××△△(半分聞いていない)、それと、その中に出てきた人たちの名前は海の幸で面白かった。」
「(海の幸wwww)あとは?」
「あと小僧の神様も面白かった。小僧が00 ××△△(ここも聞いていない)、それで最後は筆者はここで筆を置きますのが面白かった。」
「お〜なんか落語っぽいだね。それで全部読み終わったの?」
「いや、まだ。」
「まだかい!」
年始のブックオフのセールで大人買いして、その時買った一冊がこの会話の始まりだった。志賀直哉は名前くらいしか知らないが、100円だしと思い購入。
いざ息子の番から回ってきて読み出すと、確かに面白い。少し昔の言葉もあるから調べながら読みました。そんな中に一枚の温泉入浴票が挟んであった。表紙の裏に「城崎温泉」の記念判子が押しており、旅先で読んでいらなくなったから売ったのか。とあまり気にしなかったが、途中に「城の崎にで」の短編でハッとする。
元の持ち主は、温泉に行ってそこで本を買ったのか、そもそも本を読んでから温泉に行ったのか。もう検証する術がないけど、こういう粋なことをするのは日本人だな、いいな、素敵だな。
さて志賀直哉についてwikiで調べしたところ、「城の崎にで」は山ノ手線に跳ね飛ばされたあと、しばらく休養していた場所だった。その短編は正しくその当時の心境が描かれていた。生と死、命について大いに考えていたのだろう。また小僧の神様、赤西蠣太などの短編は、人物の心境描写が繊細かつ鮮明に描かれており、物語の運びも絶妙で、まるで落語のような話でした。これだったら高座に上がってひと噺をしてもおかしくない。純文学と大衆文学の境界線はあるか。饅頭が怖いも立派な文学と思うのは私だけでしょうか。こんな名作は多く語られているが、私はここで指をキーボードから離すことにします。 -
惚れ惚れする文字に身を浮かべていると、精神が引き締まるような幸福感を覚える。それは衣食住への新しい興味を掴む出発点になる博物館に手招きされる幸福感。時代の流れと没交渉に暮らした潔癖な心を持つ作家のリズム強い、整理された言葉は、特別上品だ。
この短篇集では、屋台のすし屋に小僧が入って、一度手に持ったすしを値段を言われて台の上へ置き、暖簾の外へ出ていく描写に心が震い動く『小僧の神様』に愛着を持っている。蜂の死、鼠の死、いもりの死、事実がありのまま描かれた『城の崎にて』では、死に対する親しみを著者と一緒に感じた。 -
「流行感冒」が「感染症文学」として挙げられているたので、気になって読んだ。
いやもうめちゃくちゃ上手いな…。
私が今更言うようなことじゃないんだけど、めちゃくちゃに上手い…。
「城の崎にて」は中学の時に読んで衝撃だったのを今も覚えているのだけど、おそらくそれ以来の志賀直哉。
どの作品も、文章と、細かいところの心理の拾い方が見事。
目当ての「流行感冒」も良かったが、一番印象が強いのは表題作。
読んで少し経つのだけど、頭の隅でずっと引きずっている。 -
「小僧の神様」だけ読みました。
話の起承転結が短いのに上手だなと感じた。童話みたいでした。 -
心に生まれる、言葉で割り切れぬ感情が、言葉で表現されている。
すごい。
特に印象に残ったのは
『正義派』『清兵衛と瓢箪』『范の犯罪』
『正義派』では、正しいことをしたいけれど、組織の中で生きるしかない男たちの哀しさを。
『清兵衛と瓢箪』では、子供ながら瓢箪にハマり、その趣味が周りの大人に全く理解されない辛さを。
『范の犯罪』では、自分の犯した罪が、故意なのか過失なのか、自分自身でもわからない。そういうもんじゃないかという人間のわからなさを。 -
評判通り、簡潔で読みやすく、無駄を排したさらりとした読み心地。
作品によって印象が変わるので、一概に評価しづらいところがあるが、「城の埼にて」はたいへん良かった。
これほど短く、なんの誇張も装飾もなく淡々としていながら、深さのある名文があったとは。
ただ他の作品については、好みから少しずれていたせいか、それほど感銘は受けなかった。
「范の犯罪」の切迫感などは面白かったが……
〆の文章に物足りなさを感じることもあった。
個人的にはもうすこし情緒的な文章が好きかな。