- Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002709147
作品紹介・あらすじ
枯渇する資源、激変し悪化する環境、格差や貧困の拡大…。「成長」崇拝は私たちに持続不可能な社会をもたらした。いま人類は、「経済のあるべき姿」の再考を迫られている。なぜ現在の「成長経済」ではダメなのか、「定常経済」とは何か、どのように移行していけばよいのか。2014年の「ブループラネット賞」受賞者でもある環境経済学の大家が、日本の環境ジャーナリストの問いに平易に答える、第一級の「定常経済」入門。
感想・レビュー・書評
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付箋をペタペタ貼りながら、そうだよねーそうだよそうだよ、と共感を持って読み進めていたが、Ⅲ章になって少々違和感が発生。広告を「『必要ないものを、持ってもいないお金で、知りもしない人に対する見栄のために買う』のがよいと人々を説得するための」支出とするのは、どうなのか。その定義がまず違うのでは?人口数を安定させるのに「出生数+移入者数=死亡者数+移出者数」とするって、そりゃそうかもしれないけど、出生数や死亡数を管理するの?どうやって?結局移民を制限するってこと?…などなど、どうもね、最終的には腑に落ちずに終わった。
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https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1117123 -
地球が太陽からもらうエネルギーを植物が蓄え人が使い微生物で循環、この生態系の処理を越えると熱力学的に持続不可能。その通り。ジェレミーレフキンな経済版みたい。
経済成長しなければならない、GDPは伸びなければならないというのは持続不可能、スループット(インとアウト)が限界になる点で成長を止める「定常経済」。
どうやってスループットを計測するのか分からん。
漁業のキャップ&トレードの例。
資源(コモンズ)を消費する技術でなく、効率をよくする技術開発が発展を生む。
本当に? スピードは落ちるなぁ。
貧困対策(分配)が嫌なので、成長すれぱ貧困層も底上げされると言うだけ。
生産にco2出す製品には税金掛ける、コスト上がり競争力失くすので関税掛ける。
銀行の準備金は100%にする、中央銀行以外がシニョリティもつような状況を無くす。
強権的は政府が必要やね~、社会主義みたい。
昭和日本は上手くやってたんだけど、アメリカに寄生してただけやしなぁ。
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2021.73
非常にわかりやすかった。。。
・今は成長経済が逆機能となった。(空いてる社会からいっぱいの社会となったため)
・成長ではなく、発展へ
・持続可能性を担保するためキャップを設定する -
インタビューをまとめたもので60ページ程度ととても読みやすいが、内容は濃密。
「現在の人間活動を支えるのに地球はいくつ必要か」を計算するエコロジカル・フットプリントの最新値は1.5、つまり今の私たちの活動を支えるのに地球は1.5個必要ということ。
これを1以下に下げる前提で、「定常経済」とは、一定の人口と一定の人工物のストックを、可能な限り低いレベルでのスループットで維持するというもの。
それでも経済成長神話から抜け出せないのは…
経済成長がなければ、貧困問題の解決策は再分配しかないが、経済成長を先導している人たちにはデメリットなので忌み嫌われる(しかし、成長しても、豊かな人が豊かになるだけで、貧しい人は豊かにならない!)。
経済成長がなければ、成長によって子供の数が減ることによる人口減が期待できず、人口抑制するしかない(この抑制の意味するところがよく分からんが)。
経済成長がなければ、環境の修復への投資には現在の消費を減らすしかない。
そんなわけで、「それでも成長!」となってしまう。
発想を変えていく政策提言にも踏み込まれている。一市民としてできることは何だろうか。。
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定常経済提唱者へんのインタビューと回答。
成長型の経済は人類を幸せにしてきたのか?という視点と、エントロピーの法則に従えば地球そのものは成長中でなく、今ある資源を循環していると考えるの二点とみる。
そうなると自然と循環型の経済感を持つ必要があると言うシンプルな話。
昨今の環境問題にも関わるので地球規模で考えるとベストな選択肢が見つかるという提案だろう。 -
ウルトラセブンの言葉を借りれば、血を吐きながら続ける悲しいマラソンに終止符を打とう、ということか。
無闇な成長で自らの首を絞めるよりは、発展や成熟に変えて行くべき。 -
ジョン・スチュアート・ミル
「資本や人口が定常状態にあってもそれが人間の進歩
向上をも停止状態におくことを意味しないのは言う
までもない。あらゆる種類の精神的教養や道徳的
社会的進歩の余地は従来と変わらず大いにあり
「生活の技術」を改善する余地は大きい。
したがって人類の心が経済的成功の術策の熱中する
ことがなくなればいっそう向上するだろう」 -
我々の世界が「空いている世界」から「いっぱいの世界」にシフトした今、経済拡大に頼った問題解決は不可能。
「効率を上げて総量を減らす」ではなく、「総量を減らし、効率改善する」というのがエネルギーや温暖化に関する政策の設計原則。
限界費用と限界便益が等しくなる時点でGDPの成長を止めるべき。
幸福度の自己評価は、一人あたりのGDPが年二万ドルまでは一人あたりGDPと共に上昇し、そこで止まる。幸福度にとって、実質所得の絶対額は充足ラインまでは重要だが、それを超えると自分自身のアイデンティティを構成する人間関係の質の影響が大きくなる。
量的な増加ではなく、質的な向上へ。成長(Growth)から発展(development)。
今の我々のエコロジカルフットプリントは 1.5。つまり地球が1.5個必要。これを1以下に下げる事。
持続可能性の3条件
1. 「再生可能な資源」の持続可能な利用速度は、その資源の再生速度を超えてはならない。
2. 「再生不可能な資源」の持続可能な利用速度は、再生可能な資源を持続可能なペースで利用する事で代用できる速度を超えてはならない。
3. 「汚染物質」の持続可能な排出速度は、環境がその汚染物質を循環し、吸収し、無害化できる速度を上回ってはならない。
未来世代にとっての「必要なもの」は、現世代の「ぜいたくなもの」よりも上位に来るべき。
「社会が手段(経済成長と個々の利益の追求)ではなく、目的(幸福)に注力できる日はそれほど遠くない。」John Maynard Keynes
効率改善の限界に達した後も経済を成長させようとするならば、エネルギーを含む自然資本の使用量を増やすしかない。そして、自然資本には限りがある。
働く人が自ら出資し、運営し、働くワーカーズコレクティブが増えている。
これからは、人手をかけても資源の消費量を減らす事、つまり、労働生産性よりも資源生産性を重視する時代になる。
経済は、「独立して交換可能な業界がゆるやかに集合しているもの」としてではなく、「統合された全体」として成長する。
経済成長が失敗する2つの理由。
1.「いっぱいの世界」でプラスの成長が不経済になる。
2. 物理的な限界を超えて膨らんだ金融バブルの崩壊によるマイナス成長がじきに自己破壊的になる。
定常経済にシフトする為の10政策
基本的な資源に対して「キャップアンドトレード」の仕組みを設ける。
環境税の課税基盤を「労働と資本」から「廃棄物」へとシフトする。
最低所得と最高所得の格差を制限する。(米国の行政、軍、大学での格差は、20:1。企業では500:1。日本は15:1。他先進国は25:1。豊かな人々と貧しい人々は殆ど別の生物種であるかのように、共通の経験や関心がなくなる。)
就業日、週、年の長さを縛らず、パートや個人の仕事の選択肢を増やす。
国際貿易を規制し、自由貿易、自由な資本の移動性、グローバル化を制限する。
WTO、世銀、IMFを降格させる
民間銀行が中央銀行に預け入れる準備預金の準備率を100%に引き上げる。
希少なものを希少でないかのように、希少ではないものを希少であるかのように扱うのをやめる。
人口を安定させ、「出生数+移入者数」=「死亡者数+移出者数」にする。
GDPを「費用勘定」と「便益勘定」に分ける。
我々一人一人が「成長しない地球に暮らしている」事を再認識し、未来世代も含めて、持続可能で本当に幸せな暮らしとは?経済とは?社会とは?をじっくり考える事。