- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002600307
作品紹介・あらすじ
精神の病いとは何か-精神病理の問題にとって「治療と文化」の考察は不可欠である。何を病気とし、誰を治療者とし、何を以て治癒とするか。そして患者-治療者(社会)関係とはどういうものか。文化精神医学の到達点から精神医療の問題を根源的に問い直し、人間理解への新たな視角を拓く画期的論考。
感想・レビュー・書評
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岩波講座「精神の科学」〇治療と文化
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【書誌情報】
『治療文化論』
著者:中井久夫
カバー・デザイン:岩田友仁
刊行日:1990/07/13
ISBN:9784002600307
版型:規格外 並製 カバー
シリーズ名:同時代ライブラリー ; 30
頁数:236
在庫:品切れ
精神の病いとは何か――誰を病人とし何を以て治癒とするか,患者‐治療者関係(患者‐社会)とはどういうものか.精神治療の問題を,文化精神医学の到達点から根源的に問い直し,人間理解への新たな視角を拓く画期的論考.
〈https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b269951.html〉
【メモランダム】
※2001年には(江口重幸の解説を附して)岩波現代文庫として再刊。
〈https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b255683.html〉
※初出は、「概説-文化精神医学と治療文化論-」in『精神の科学 岩波講座』第8巻(岩波書店 1983.12刊)。
【目次】
献辞 [ii]
目次 [iii-vii]
題辞 [002]
一 文化精神医学をめぐる考察――文化精神医学と文化精神医学者 003
二 「文化依存症候群」の問題 022
三 ヨーロッパの「文化依存症候群」―― 一つの逆説」―― 027
四 「文化依存症候群」についての再考察 034
五 「個人症候群」という概念に向かって 038
1 西欧世界における「非」普遍症候群の欠如性 038
2 科学的「創造の病い」と宗教的「創造の病い」 040
3 宗教的「創造の病い」としての中山ミキの変貌 044
4 現代における一例 054
5 「創造の病い」の再検討 057
(1)「創造の病い」(エランベルジェ)
(2) 卑近な一例
6 「妖精の病い」と神話産生機能 063
六 「個人症候群」概念導入の試み 068
1 熟知性のなかで起る治療 068
2 「治療集団」的側面を持つ小集団 072
(1) 敗戦直後の年少者
(2) 集団の集団の永続性・営為・構造
(3) 困難への対処
(4) 歴史家の職業病としてのうつ病
(5)ヒューマン・ファクター
(6) 少し違った他の例
七 三症候群の文化精神医学に向かって 089
1 深い治療と個人症候群性 089
2 三症候群の構造的基底 093
(1) 病いの深さ・古さ・患者の発達との関連
(2) 治療者側の問題と開眼の仕方
3 医学的認識の二方法との関連 099
4 精神医学における診断についての一考察 104
八 治療文化論 111
1 定義の試み 111
2 病者と非病者 115
3 ヤップの破断回復論再考 118
九 治療文化の諸形態 125
2 非職業的治療文化 125
(1)一人治療文化
(2)家庭治療文化
(3)小コミュニティ治療文化
2 職業的治療文化 132
(1)システムとしてのシャーマニズム
(2)「内治療」集団としてのアルコーリック・アノニマス
(3) 修道院とキリスト教治療
(4)メスメリズム・催眠術・フロイト
3 力動精神医学の起源を求めて 144
一〇 精神科治療文化の複数性 154
1 エランベルジェの逆理 154
(1) SMOPと精神科医の有徴性
(2) 精神医学はSMOPに収斂しうるか
(3) 分裂病の不思議さ
2 精神科医と土着治療師 166
(1) インドネシア体験
(2)「文化依存症候群」の積極的意味
一一 患者と治療者 185
1 階級と周縁性 185
2 患者・中心指向・縁辺 186
3 民間治療とヒュプリス 187
一二 終末と新しい地平 199
参考文献 [201-210]
あとがき(一九九〇年五月一五日 神戸にて 中井久夫) [211-227]