タフィー (STAMP BOOKS)

  • 岩波書店
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001164237

作品紹介・あらすじ

父さんの暴力から逃れ、家を飛びだしたアリソン。古い家の納屋に身を隠すが、そこにはマーラという老女が暮らしていた。認知症のマーラは、彼女を昔の友人・タフィーと間違えているようで——。孤独を抱えたふたりが出会い、思いがけない同居生活がはじまる。カーネギー賞作家が詩でつむぐ、友情と再生の物語。

感想・レビュー・書評

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  • Sarah Crossan
    https://www.fantasticfiction.com/c/sarah-crossan/

    Sarah Crossan (OoO)(@sarahcrossanwriter) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/sarahcrossanwriter/

    タフィー - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b591621.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ベスト 『タフィー』 | 教文館ナルニア国
      https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/web...
      ベスト 『タフィー』 | 教文館ナルニア国
      https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/weblog/33504
      2023/02/25
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      子どもから大人への移行期の読者に向けた叙情的なストーリーテリング | DAY4 | ヨーロッパ文芸フェスティバル 2023
      https://...
      子どもから大人への移行期の読者に向けた叙情的なストーリーテリング | DAY4 | ヨーロッパ文芸フェスティバル 2023
      https://eulitfest.jp/year2023/day4/entry-235.html
      2023/11/22
  • 父から虐待されて育ち、生きる場所が見つけられないアリソン。友を失い、娘を亡くし、認知症が進行して不安に怯えている老女マーラ。
    詩の形式で物語を綴るのはこの頃の英米文学の流行のようだけど、(単なる流行りではなく、スマホ、ネットに時間を割き、長い文章を読まなくなっている現代人に読んでほしいと工夫した結果ではないかと思う)この形式だからこそ、胸に直接響いてくる。
    アリソンがいかに父の愛情を欲していたか。父親は支配的でありながら、精神面では大人とは言えないほど未熟。
    マーラの心は何かをきっかけに今までの人生の哀しかったこと、嬉しかったことが現れ、それを隠したり押さえたりするのが認知症のために難しくなっている。派遣されてきている介護者はマーラは頭がおかしくなったと考え、彼女の言葉を真剣に考えない。全てハイハイ、という態度。息子は母の認知症が進行してまともな会話が成り立たないことに怒りを感じている。それら全てをマーラは感じ取っている。
    なんともやるせない話ではあるが、後味はよく、何よりアリソンの成長と幸せが見えてくるのが良い。

  • 設定の妙がある。
    父の暴力から逃げる娘。認知症の独居老人。

    一筋縄ではない。とくに娘。何をしていても不安しかないはずなのに、心が通う瞬間がある。彼女の心の健全さゆえだ。

    最後は物語を抱きしめたくなる。

  • 父の暴力から逃げた少女と、認知症を患う老女。孤独なふたりの出逢い築かれる関係。
    散文詩の形で紡がれる物語は、少女アリソンの心をあらわにして痛みが直接伝わってくる。ここに居ていいんだよというメッセージに、強く胸を打たれる。

  • 「怖いのは、人間。/人間は傷つけることができるから/すでにぼろぼろになって/たったひとり/暗闇に/うずくまる少女のことを。」

  • 暴力をふるう父親から逃げ出したアリソンは、ある家の納屋に身を隠す。その家に1人で住む老女マーラは、アリソンをタフィーと呼んで……。

    ヴァースノベルという形式を確立した1人とも言える、サラ・クロッサンの作品。
    アリソンの言葉は、繊細でか弱い。短い詩の表現は、痛みを鋭く、絶望を強く、喜びをよりささやかに伝える気がした。
    正直、なんと感想を書いていいかわからない不思議な感覚。ただ、終盤強くなっていくアリソンがうれしかった。マーラとアリソンのお互いを知らないのに、支え合う不思議な関係は、しかし2人に驚くほど、生きる力を与えた。アリソンはよく、仮定法を使っていた。「~だったら、どうだったか」と。過去と父親の暴力に囚われていたアリソンが父親と向かい合い、未来に向かう歩み始め、本当に良い結末だった。

  • 父親の暴力から逃げたが、行く当てが無くなりある空き家に入り込んだ女の子の話。

    痛々しいお話でした。
    暴力を振るわれても、それでも自分がいい子になれば父親が変わってくれると期待してしまう心情や、最後まで「こうすれば良かったのかもしれない」「母親がいたら違ったかもしれない」と考えずにはいられないところも悲しかった。
    母親が生きていても父親は変わらなかったと思うけど。

    詩的表現が慣れなくて、文字組みやセリフかどうかも字体の変化がすぐに分からない時もあり、何度か戻ったりして繋がりが分かったりと読みにくかったです。
    でもアリソンの不安定な心情を理解するには良かったのかもしれません。

    アリソンがタフィのふりをしたことで、自分を見失いそうになるところも苦しかった。
    認知症でかなり記憶が曖昧なマーラも痛々しいけど。
    最後にアリソンを認識出来る時に、「あなたは何も悪くない」「問題は全て彼にある」と言ってくれたことも救いになっていたと思う。

    どうやって父親と離れたまま一人暮らしが出来るのか、ケリーアンが保護者になれるのか?イギリスの仕組みはよく分からないけど、学校にも入れたみたいだし、強く賢くなって欲しいと思いました。

  • ひとりぼっちのタフィーとマーラの交流が良かった。タフィーは頭が良かったのと、ケリーアンがいて、マーラと出会って、生き延びた。過酷な境遇だけれど真面目なままなんとか保てた。マーラの認知症は切ない。ふたりの日々は夢みたいだ。文章の雰囲気は前作と似ていると感じた。訳者は異なるが、作者の文体がそうさせるのか。この題材を選んだ作者についても知りたい。

  • 散文詩形式で綴られた物語だからこそ、主人公アリソンの気持ちが真っ直ぐに伝わってきて、何度もショックを受け、共に傷つき、安心できた。マーラとケリーアンがいてくれて本当に良かった。
    読み終わったあと、しばらく涙が止まらなかった。


  • 最近若者向け小説で流行っている「散文詩形式」というそうで、見開き2ページの詩の形で綴られた小説。詩なので文章が少なくサクサク読めるが、飽きることなくすっと物語に惹き込まれていく。父親の暴力から逃げ出したアリソンは、自分を友人だと思い込んだ認知症の老婆の家へ住みつくことになる。父親との恐怖と愛情ががないまぜになった苦しみの日々と、老女マーラとの不安定ながら優しく会話する生活、マーラの家族にバレないかのハラハラ加減が魅力的。ラストは意外な展開になるが、読後希望が持てるのはティーン向け小説ならではです。中学生からいけると思います。

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