- Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001164237
作品紹介・あらすじ
父さんの暴力から逃れ、家を飛びだしたアリソン。古い家の納屋に身を隠すが、そこにはマーラという老女が暮らしていた。認知症のマーラは、彼女を昔の友人・タフィーと間違えているようで——。孤独を抱えたふたりが出会い、思いがけない同居生活がはじまる。カーネギー賞作家が詩でつむぐ、友情と再生の物語。
感想・レビュー・書評
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設定の妙がある。
父の暴力から逃げる娘。認知症の独居老人。
一筋縄ではない。とくに娘。何をしていても不安しかないはずなのに、心が通う瞬間がある。彼女の心の健全さゆえだ。
最後は物語を抱きしめたくなる。 -
父の暴力から逃げた少女と、認知症を患う老女。孤独なふたりの出逢い築かれる関係。
散文詩の形で紡がれる物語は、少女アリソンの心をあらわにして痛みが直接伝わってくる。ここに居ていいんだよというメッセージに、強く胸を打たれる。 -
「怖いのは、人間。/人間は傷つけることができるから/すでにぼろぼろになって/たったひとり/暗闇に/うずくまる少女のことを。」
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父親の暴力から逃げたが、行く当てが無くなりある空き家に入り込んだ女の子の話。
痛々しいお話でした。
暴力を振るわれても、それでも自分がいい子になれば父親が変わってくれると期待してしまう心情や、最後まで「こうすれば良かったのかもしれない」「母親がいたら違ったかもしれない」と考えずにはいられないところも悲しかった。
母親が生きていても父親は変わらなかったと思うけど。
詩的表現が慣れなくて、文字組みやセリフかどうかも字体の変化がすぐに分からない時もあり、何度か戻ったりして繋がりが分かったりと読みにくかったです。
でもアリソンの不安定な心情を理解するには良かったのかもしれません。
アリソンがタフィのふりをしたことで、自分を見失いそうになるところも苦しかった。
認知症でかなり記憶が曖昧なマーラも痛々しいけど。
最後にアリソンを認識出来る時に、「あなたは何も悪くない」「問題は全て彼にある」と言ってくれたことも救いになっていたと思う。
どうやって父親と離れたまま一人暮らしが出来るのか、ケリーアンが保護者になれるのか?イギリスの仕組みはよく分からないけど、学校にも入れたみたいだし、強く賢くなって欲しいと思いました。 -
ひとりぼっちのタフィーとマーラの交流が良かった。タフィーは頭が良かったのと、ケリーアンがいて、マーラと出会って、生き延びた。過酷な境遇だけれど真面目なままなんとか保てた。マーラの認知症は切ない。ふたりの日々は夢みたいだ。文章の雰囲気は前作と似ていると感じた。訳者は異なるが、作者の文体がそうさせるのか。この題材を選んだ作者についても知りたい。
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最近若者向け小説で流行っている「散文詩形式」というそうで、見開き2ページの詩の形で綴られた小説。詩なので文章が少なくサクサク読めるが、飽きることなくすっと物語に惹き込まれていく。父親の暴力から逃げ出したアリソンは、自分を友人だと思い込んだ認知症の老婆の家へ住みつくことになる。父親との恐怖と愛情ががないまぜになった苦しみの日々と、老女マーラとの不安定ながら優しく会話する生活、マーラの家族にバレないかのハラハラ加減が魅力的。ラストは意外な展開になるが、読後希望が持てるのはティーン向け小説ならではです。中学生からいけると思います。
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