地底旅行 (岩波少年文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001146189

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  • 1863年5月24日ハンブルグ。鉱物学の高名な教授リーデンブロックと、彼の甥で研究助手のアクセルは、教授が持ち帰った稀覯本に挟まれたボロボロの羊皮紙を見つけた。そこに書かれたルーン文字は暗号で、解読は難航したものの、アクセルが偶然解いてしまった結果、それは、地球の中心へ行く方法を示したものだった。好奇心旺盛で行動的な叔父は、その暗号のメッセージに従い、アクセルを連れて冒険旅行に出ることを宣言する。大急ぎで準備が進む中、恋人への未練と危険な旅への恐れからアクセルは躊躇するが、ついに出発の時は来た。冒険の荷を積んだふたりは、アイスランドのスネッフェルス山を目指す。

    地球の中心を目指す旅を、アクセルの言葉で、ユーモアを交えて綴った冒険物語。





    *******ここからはネタバレ*******

    この作品が発表されたのは、今から150年前。未だに読まれているわけなので、本当、古典中の古典。

    そのためか、地底の描写(地底空洞説)のみならず、現代の私たちの目から見ると、冒険の準備、装備や行程等あまりにも行き当りばったりで、無謀ではないかという点が目に付く。

    例えば、
    冒険旅行のことを、教授の養女グラウベン以外に話さずに出かけたこと。彼女も、詳細は知らされていない。これでは、何かあったときにも、対処の仕様がないではないか。
    彼らとガイド、合わせて3人の60日間分の食料を、ハンスひとりが持って地下に潜ったとあるが、その大きさはいかなるものだったのだろうか???
    地底では、危険が伴うところ以外では3人の体を結束していなかった。暗闇で迷子になったら、メンタルが保てないし、3日間も暗闇の中、6キロも離れた状態から動くなんてありえない。
    水を携行しなかったことについては、後にひどい目には遭っているが、そもそも、道中で補えると考えていることが無茶なのでは?
    地下水を得るためにハンスがつるはしで岩を掘った際、これについてはかなりのリスクを覚悟していたのに、いくら気が大きくなっていたからといって、地底で爆薬を仕掛けて岩を吹き飛ばそうと考えるなんて、無鉄砲すぎる。
    結局、地球の中心には行き着けなかった。今回の功績を基に資金を集め冒険チームを編成して再挑戦したら良さそうなものの、軽率な行動からせっかくの穴を潰してしまっている。これは功績と讃えられるべきなのか?
    今なら非難されそうだ。
    ……等々、ツッコミどころは散見される。

    だが、地底で危機に見舞われている最中でも、働き者で冷静沈着なハンスが、毎週土曜日の晩に賃金3リクスダラーを受け取るところでは、息が抜けた。
    ハンスは、なんのスキルも必要としないケワダガモ猟の”名人”ということだが、無口で、疲れを見せず、文句も言わず、超人的な働きする。この逸材がいれば、どんな冒険旅行も百人力となるだろう。

    地底の空洞世界に着いたあたりから想像力爆発なのか、フィクション感が増して、古典というより(いやいや、本当に古典なのだが)ドラえもんチックになったように感じる(いやいや、ドラえもんがここからヒントを得ているのかも???)。

    300頁「ロープの先に思いつるはしをしばりつけ」は、「重いつるはし」の間違いでしょう。



    ゆるくユーモアもありますが、今どきの本に比べるとかなり物語のスピードはゆっくりです。


    150年前の冒険譚を現代の子どもたちがどう読むのか関心はありますが、これで地学のテストで間違うかも知れないですね。
    教授とアクセルとの会話は、やけに専門なところもありますが、あくまで「フィクション」だと前置きして渡したい本です。

  • 地底から地上に飛び出すシーンなんて鳥肌ものでした。こんなにおもしろい冒険ファンタジー?がこんな昔にうまれていたなんて!どんどんスピード感があがっていくのでぜひ最後まで読んでほしい。

  • 着眼点はすごく面白い。ただ、もう一度読み返したいとは思わない

  • すごい冒険でした!ワクワクしました!苦しい場面は、こっちまで苦しくなりました。ハンスの存在がたくましくもあり、とても心強かったです。

  • 9784001146189
    C8397\840E.

    地底旅行 

    岩波少年文庫618.
    2018年11月16日 第1刷発行
    訳者 平岡敦(ひらおか あつし)
    発行所:株式会社 岩波書店

    ジュール・ヴェルヌ 1828~1905
    フランスの作家 ブルターニュ地方の港町ナントに生まれる。
    子どもの頃から大海原での公開に強いあこがれを抱いていたという。法律を学ぶが、文学の道を志す。30代半ばに出した「気球に乗って五週間」で成功をおさめ、以後次々に80作品を超える冒険小説を書いた。
    主な作品
    ・地底旅行
    ・月世界旅行
    ・海底二万里
    ・八十日間世界一周
    ・神秘の島
    ・二年間の休暇  等
    空想科学小説の父と呼ばれる。

    表紙の中扉には 「ジュール・ヴェルヌ作」と表記があり、カバーの裏袖にはジュール・ヴェルヌの紹介もあるが、奥付には翻訳者の氏名と発行所が記載されているのみだった。

    ----目次
    リーデンブロック教授
    謎の古文書
    暗号
    偶然の解読
    暗号を解く鍵
    科学論争
    出発の準備
    鐘楼にのぼる
    アイスランド到着
    フリドリクソンさんの話
    ハンス登場
    島を横切って
    荒涼とした土地
    スタピの牧師館
    スネッフェルス山
    火口をおりる
    火山の底へ
    地下のトンネル
    分かれ道
    天然の炭鉱
    最後の水
    もはやここまで
    地下の流れ
    断層を下る
    大西洋の真下
    はぐれる
    迷路
    闇から届く声
    生きている!
    リーデンブロック海

    航海の始まり
    怪物の戦い
    巨大な水柱

    漂着
    骨の大平原
    太古の人間
    地下世界のプロテウス
    さらに奥深くへ
    爆発
    上昇
    噴火
    ここはどこだ
    帰還

    訳者あとがき
    --------------------------挿絵 エドゥアール・リウー

    挿絵とお話のバランスがとてもよかった。

    1863年5月24日日曜日で始まるこの物語
    調べてみたら日本では江戸時代(文久3年)で、ホントに日曜日だった。ジュール・ヴェルヌは1828年生まれなので35歳くらい。(この作品は何歳の時に書かれたのかはまだ調べてないけど)
    ハンブルグの旧市街 ケーニッヒ通り19番の屋敷ではじまる。オットー・リーデンブロック教授と家政婦のマルテ甥っ子のアクセルとフィルラント生まれの養女グラウベン。アクセルは早くに両親を亡くしたため叔父さんであるリーデンブロック教授の助手として同居していた。
    木犀草 

    ユダヤ人のヘヴェリウスの店で見つけた本700年も前の本 「ヘイムスリングラ」 12世紀アイスランドの有名な作家スノッリ・ストゥルスソンの本で、アイスランドを収めた歴代ノルウェー王の年代記でアイスランド語で書かれた原典。手書きのルーン文字で書かれている。その本の中からボロボロの羊皮紙が一枚床に滑り落ちる。
    その羊皮紙の暗号のような文字を解読するところから冒険が始まる。



    ラストは
    ストロンボリの漁師から遭難者扱いされた
    メッシーナへ船で移動
    フランスの輸送船(郵便船)9月4日
    三日後マルセイユへ到着 9月7日
    9月9日ハンブルグ

    ハンス アイルランドへ「ファルヴァル」という言葉を残して立ち去った。

    アイルランドの言葉「ファルヴァル」の意味はわからない。翻訳ページで さようなら・ありがとう・ごめんなさい・もどります・ふるさと 等の言葉を聞いてみたけどファルヴァルには聞こえなかった・・・。彼の最後の言葉は何だったんだろう?最初の登場の時リーデンブロック教授はデンマーク語で話していたというからそちらの言葉かもしれない。
    デンマーク語でさようならはファベル(Farbel)だというので、その言葉だったのかもしれない。
    ハンスはケワタガモの漁師というがケワタガモはカモの一種で実在していた。

    物語の最後の謎 コンパスについて
    コンパスは無事に持ち帰りそのまま部屋に放置された。6か月後針が北ではなく南をさしていた。リーデンブロック海で嵐で火の玉が出たとき、いかだの鉄を磁化させたときにこのコンパスもおかしくなった。

    アイスランドについて
    アイスランドは1944年6月17日にデンマークから独立
    言語はアイスランド語が公用語で英語とデンマーク語を小学校から習うためトライリンガルが大半を占め、識字率は99%以上と高水準
    夫婦は別性、姓が無く名前はファーストネーム+父称
    作品の中でもハンスはハンスとだけ書かれており、苗字にあたるものは無かった(気が付かなかった?)


    この物語はとても著名な作家さんの作品なんだけど自分では読んだことが無く、(覚えていない?)この手の作品をよく読んでいた家人に聞くと、モグラタンクで地底に潜るんだと・・・。読み進めても、半分になっても、火口にたどり着いてもモグラタンクは現れないww
    読んでいて魅力的な登場人物、暗号、探検の準備と旅、火口から洞窟・・・。モグラタンクは?
    物語は残すところ3分の1くらい、モグラタンクどころか生還が怪しまれる冒険になってきた。
    地底の海を航海し、難破したときには 一体このお話はどうやって終わるのかと思った。
    急展開し、無事に帰ってきた3人。リーデンブロック教授は今回の冒険を疑われることなく、名声や富を(それを欲したわけではないだろうけど、ウソつき呼ばわりされずに認められることが無かったのは幸いだったね)手に入れて、最後の謎、コンパスの事も半年後にわかったし、大団円。

    のこり10%くらいになった時に、お話の最後を見てみたくなったけど、我慢w
    次々に引き込まれる出来事の連続だった。
    モグラタンクは最後まで出てこなかったけどね。笑

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジュール・ヴェルヌの作品

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