注文の多い料理店: イーハトーヴ童話集 (岩波少年文庫 10)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140101

感想・レビュー・書評

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  • 序文に感じいりました。

    「これらの
     わたくしのおはなしは、
     みんな林や野はらや
     鉄道線路やらで、
     虹や月あかりから
     もらってきたのです。」

    更に、なんのことだか
    わけのわからん箇所は、

    著者自身にもまたわけ
    がわからないのである、
    と続きます。

    わけがわからなくても、

    なにかを感じとったり
    雰囲気をあじわったり
    することが、

    読書の楽しみのひとつ
    なんですよね。

  • 「生徒諸君に寄せる」がよかった。
    茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」を思い出す。
    豆本の題材を探して。「序」もいいな。つくろう。届けよう。
    「あなたのすきとおったほんとうのたべものになること」を願って。

  • 以前読んだシートン動物記と同様に、たくさんの短い話で構成されています。一番好きだったのは、注文の多い料理店です。宮沢賢治の本には、幻想的場面が多いと思います。

  • さいごこわい

  • 自然と科学を知る賢治のファンタジー。優しく厳しく澄み渡ったおもしろさ。いつの間にかどっぶりはまり込んでいく。沼。

  • どんだけと山猫。となりのトトロに関係してた。ほほ〜。永訣の朝も、久しぶりに読んだ。

  • 私が中学1年生になってから、初めて読了した本です。
    まだ当時の私には難しかったよう。今読んだらまた違うのかなーと思います。
    色々な作品が入った短編集なのですが、「注文の多い料理店」と「どんぐりとやまねこ」が面白かったと当時の読書ノートに書いてあります。
    今でも印象に残っている話です。
    また読み返してみようかな…

  •  海外で育ってしまった中学生の娘に日本語をもう少し知ってもらうために読ませたものです。また、新型コロナウイルスの影響で外出できず、少し時間ができたことから親として自身も読んでみました。表題作の『注文の多い料理店』は小学生の時に教科書に出たものを読んで以来ですが、大人になって読み返すと受ける印象が大分異なります。今回は特に宮沢賢治が描く自然との一体感や美しさに感銘を受けました。

     以下、私がいいなあと思った順に所収されている作品について簡単に寸評させて頂きます。

    『狼森と笊森、盗森』私にとって本書では最も印象的でした。開拓民の開拓生活が、彼らを取り囲む森々との会話をベースに描かれている。言葉の温かみと自然との一体感を感じる作品。

    『山男の四月』ナイーヴで頭弱めな山男が中国人商人に騙されて六神丸という丸薬になってしまう。籠に収められた山男は他にも多くの仲間がそこにおり、元に戻る方法を聞くが。。。

    『からすの北斗七星』からすの義勇艦隊たちの敵との対峙や対戦の様子を描く。フォーカスは軍人としての行為ではなく、からす(人間)として相手を殺すことへの罪悪感や平和への願い。日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦を経ていた当時の日本の状況がしのばれます。

    『注文の多い料理店』都会の成金趣味の猟人の様子をシニカルに描く。小学生には不思議な昔話程度にしか思えないかもしれないが、大人が読めばその展開はちょっとしたホラー。またアンチ経済至上主義的な風合いも強い。

    『月夜のでんしんばしら』電信柱は行軍の途中である。設定はごくシュールであるが、戦争の続く世情を背景にすると理解しやすい。軍隊という強面の側面と電気総長の優しさが対照的に表現されている。軍人も戦う人である前に人間である。

    『鹿踊りのはじまり』嘉十が鹿のために残した団子と置き忘れた手ぬぐいを巡り、好奇心旺盛な鹿たちが東北弁でああでもないこうでもないと”不審物”(手ぬぐい)に対してちょっかいを出す。動物の様子をコミカルに描くほっこりとした作品。

    『どんぐりと山ねこ』どんぐりの裁判を僅かな時間で解決してしまった一郎青年。実際には人からの評判を追い求めることに意味はないというメッセージであると解しました。

    『かしわばやしの夜』森の木々の歌謡大会をコミカルに表現。繰り返しの多用によりリズム感のある作品となる。自然に手を入れざるを得ない人間として清作を描くが、個人的には自然からの搾取に罪の意識を宮沢賢治が感じていたように思えてしまう一作。

    『水仙月の四日』架空の月である水仙月の四日に大雪を降らせる雪童子の仕事と、人間への子どもへのちょっとした思いやり。自然の厳しさと優しさが擬人的に描かれている。

    ・・・
     
     改めて本作品は、先ずは大人に読むことをおすすめしたいと思います。童話ではありますが、100年近く前に書かれており、子供が素直に読むにはちょっと難しいと思いました。ただリズムが良いこともあり小学生の朗読や音読練習には良いかもしれません。やはり私としては、宮沢賢治の優しさや温かさ、自然への思いなどを味わうという意味で大人にこそ読んでほしいと思いました。

  • 大好きで何度も読み返します。

  • 久々に読んでみた。結末は知っているものの、意外と楽しめた。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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