- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000918312
感想・レビュー・書評
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『ユング心理学入門』(培風館)と『ユングの生涯』(レグルス文庫)を再編集して収録しています。
『ユング心理学入門』は、わが国を代表するユング派の心理学者である著者の処女作です。ユング心理学を安易な人間類型論として捉えるような見方をはっきりしりぞけ、全人的な成長へ向けて人びとをうながすところにその意義を見いだすという解釈が明快に示されています。
『ユングの生涯』も、ていねいでわかりやすいユングの評伝です。ユングの生涯に関しては何よりもまず、ヤッフェによって編集された『ユング自伝』にあたるべきでしょうが、『自伝』がユング自身の内的な出来事に焦点を当てているのに対し、著者の解説はユングの外的な事実にも触れつつその生涯の全体を読者に示すことをねらっています。こうした著者の解説によって、ユングがその生涯を通じてどのような仕方で「個性化」を実現していったのかが明らかにされており、興味深く読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<閲覧スタッフより>
一度は耳にしている物語を心理学的に読んでみると、今まで知ることのなかった発見があるかもしれません。
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所在記号:140.8||NIK||1
資料番号:20068435
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河合隼雄著作集第一巻「ユング心理学入門」
個人的無意識と普遍的無意識の箇所を中心に、ざっくり読みました。飛ばしたところも多いのでメモ程度に。
ユングの生涯に関する記述や具体的症例も多く、平易な文章なので入門に最適。影の統合に関するお話はだれもが実感を持って理解できるものでしょう。普遍的無意識について、ユングの無意識に対する関心のあり方について理解出来たのは良かったのですが、そのような無意識を持つ人間にとっての神話(物語)の意義を、わたしはもっと知りたい。勉強を続けます。 -
三葛館一般 140.8||KA
教養・医学教育大講座 小山一先生 『図書館報みかづら』14号(2011)より
『三葛館は、看護という領域が病者の生活支援を基本にするためか、人間や人生についてのあらゆる領域が(文学作品に至るまで)含めてあるのがよい。私のお勧めは司馬遼太郎と河合隼雄。目下の興味としてはフィクションよりはノンフィクションが好きだ。本当の話しは作り話よりずっと面白い。歴史や先人の伝記などはみんな面白く、かつ、人生の思わぬところで役立った。今も、よく読む。』
河合隼雄はユング心理学を日本に紹介した臨床心理学者で、元文化庁長官です。三葛館では著作集第Ⅱ期も所蔵しています。
和医大OPAC → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=28541 -
前半はユングの分析心理学の説明。
後半はユングの生涯を紹介しつつ、その人の概念の説明やその背景を説明する。
著者の臨床の経験を具体例として紹介しているので
抽象的な概念でも比較的分かりやすく書いてある。
しかしところどころで難しいと感じることも多かった。 -
20/6/26
真の神話は事物を説明するのではなく、事物を基礎づけることのためにあると考える>神話学者ケレーニィ
生きた形態は、塑像として見えるためには深い影を必要とする。影がなくては、それは平板な幻影にすぎない
心理療法とは、患者の欠点を指摘することや、忠告を与えることではない。心理療法家が目指すところは、そのような欠点を知的に理解することではなく、心にとどくものとして体験し、把握してゆくことである。
マルセル・マルソー>人間の一生を演じる>記号ではなく、象徴的表現
頭で知的に理解することは案外簡単であるが、それは多くの場合、行動の変革をうながすものとはならないのである。>具体的なイメージを通して語られるほうが理解が深まる
実際の出来事>夢に見る>それでも、少しは実際起こったことと異なる点がありませんか>と必ず尋ねるべきである
分析家は何をしてもいいが、夢を理解しようとだけはしてはならない。
ときとして、たらないものは過ぎたるものにまさるという真実によるものであろう
個人に内在する可能性を実現し、その自我を高次の全体性へと志向せしめる努力の過程を、ユングは個性化の過程、あるいは自己実現の過程と呼び、人生の究極の目的と考えた。
自我<意識<自己
自己を具体的に>ここにおられるすべてのひと、皆さんが、私の自己です
人間のおかしやすい誤り>30歳のまでの生涯を、そのまま70歳まで続けようと願うこと。
60歳には60歳の味がある
人間というものは生きてゆくために、神話を必要とする。
人間は生きてゆくためには、外界に対する知識を必要とするが、それと同時に、いったい、自分はどこから来てどこへ行くのか、という根源的な問いに対して答えうる知恵を持たねばならな。>その知恵を供給し、人間存在を、世界の中にしっかりと定位することのために、神話は存在する