あなたはどこで死にたいですか? 認知症でも自分らしく生きられる社会へ

著者 :
  • 岩波書店
3.64
  • (2)
  • (7)
  • (4)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 114
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000615501

作品紹介・あらすじ

85歳を過ぎると4割、90歳を過ぎると6割の人が認知症になると言われます。住みなれた我が家で死にたいと願う人が多いけれど、超高齢社会を生きる私たちは、認知症になることを前提にどこで最期を迎えるかを見定めなくてはなりません。そのために必要なサービス、かかるお金、そして介護保険制度の限界と今後を考えます。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 家で穏やかに死を迎える、ことが難しいとされる現状を、成功例を挙げながらもどんなに難しいことかを書いています。

    介護保険制度がいかに使いにくいか、確かに、と頷けることが多く「介護サービスを使いながら在宅で生活しましょう」ということのハードルの高さ、心理的抵抗感などがわかります。

    子育ても老後も本当にお金がかかるなぁと思います。

  • あなたはどこで死にたいですか?のタイトルに惹かれて、図書館で借りました。
    実際希望はなく、何かヒントになるのではないかと思ったのですが、難しく、飛ばし読みをしていたら結局結論は出ないまま終わりました。
    ただ、今はひとりで良くても最後は誰かと一緒にいた方がいい。ただ、身内でも虐待の出る可能性もある為色々なサービスを利用するのはありだなと思った。
    とりあえず父母の介護について考えたいが、したとしても自分が同じようにしてもらえる訳ではない。
    自分らしく生きられなくなった時点で、エイっと自殺してしまいたいなと思った。

  • 在宅で穏やかに亡くなるというのが今や幻想になりつつあるーー現場の人間が語る介護現場の実情は、赤本や青本からは見えてこない刺激的な情報でした。
    あと、介護保険制度をハチャメチャにややこしくした総合事業について、創設から現状まで(恨み節で)解説している箇所がありがたかったです。

  • 認知症の家族が夜中ふらりと外へ出ていくようになり、警察に保護されることもあった。近所の家に迷惑をかけることもあって、自宅での介護には限界を感じているのに、本人の体はまだまだ元気であるために要介護1で、利用したいサービスを十分に利用できない……そういうジレンマを今まさに抱えている。

    高齢者や介護をめぐる現状は20年前と大きく変化しているが、要介護認定の基準は変わっておらず、なのにサービスだけはどんどん締め付けられていくというおかしさ。さらに、ヘルパーが足りず、訪問介護のシステムが崩壊の危機に瀕し、昔ながらの三世代世帯の数も減りつつある現状、自宅で身内に看取られながら死んでいくことは困難だろう。
    本書にて示されているのは暗い現実だ。ある意味、理想の老後という幻想を打ち砕くものであるかもしれない。家族の介護をする立場としてはもちろんのこと、いずれ自分が介護される立場になることも見据えていかなければならないと感じた。

  • 90歳を過ぎると6割の人が認知症になると言う。それにも関わらず、介護保険は制度が出来て以来、改悪を重ね、自宅で最期を迎えることが難しくなってきている。豊富な実例をもとに現状報告があるとともに、諦めるのではなく、政治に働きかけてより使いやすい制度にしていかなければならないと締めくくっている。著者の30年以上にわたる取り組みに敬意を表したい。

  • 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上で一人暮らしをしている人はいない。
    着替え、食事、排便、排尿がうまく出来ない、時間がかかる、やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声を上げる、奇声を上げる、火の不始末、不潔行為、性的な事情行為
    ADL:日常生活動作→起き上がる、移動する、着替える、食事をする、排泄する、入浴するなど、日常生活を送るために最低限必要な動作
    亡くなる前の10年間は誰でもヨロヨロになる、医療や介護を使いながら、人生の終末期を生きるのが当たり前。

  • 369.26

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00630241

    85歳を過ぎると4割、90歳を過ぎると6割の人が認知症になると言われます。住みなれた我が家で死にたいと願う人が多いけれど、超高齢社会を生きる私たちは、認知症になることを前提にどこで最期を迎えるかを見定めなくてはなりません。そのために必要なサービス、かかるお金、そして介護保険制度の限界と今後を考えます。
    (出版社HPより)

  • 「介護サービスは介護保険が施行されたことで、行政によって配分される「措置」から、利用者が自分で選ぶ「契約」へと、大きく変わりました。(72頁)」医療制度のように受診を思い立ったときに利用できない以上、しくみを知っておく必要を感じました。また、身体介護、生活支援が時間、回数にしばられ、提供する側の苦労がよく分かり、生活支援が必要な方がリハビリに通い自力で生活することを前提にしたプランが組まれる矛盾もあるようでした。行政上の制度であるゆえに政治をあきらめない、ますます利用対象者が増えるこの制度の適正化の声を政策に反映しなければという思いに共鳴しました。

  • 私より優しい妹が実家に行くと、両親は妹に弱音を吐く。それを聞いた妹が私に連絡してきて、介護保険を使ってお父さんにリハビリさせたらどうだろう?って聞く。
    今の状況じゃ取れて要支援2、要支援で出来るのは体操教室ぐらいで、あのプライドの高いお父さんがそんな年寄りの集まりに出かけて行ってお遊戯なんかするわけないから無駄、と返してしょんぼりされる。
    妥協案で、家に理学療法士が来てくれる民間サービスを勧めたら、そんなに弱ってるわけじゃないって父本人にきっぱり断られた。現況の介護保険は確かに使いづらい。
    ちょっと手伝って欲しいだけ、が利用できない。
    お手本としたはずの北欧では、上手く機能してるんだろうか?国民性の違い?医療も無料のシステムの違い?人口規模の違い?

    現場を知らない人達が、理論と理想と机上の空論だけで制度をこね回してるだけって感じがする。終章に希望は持てました。もう少し勉強しようと思います。

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1952年、長野県生まれ。1990年ごろ全身性障がい者の介助ボランティアグループを結成したのをきかっけに、介護事業に関わるようになる。2003年、NPO法人「暮らしネット・えん」設立。代表理事を務める。訪問介護、居宅介護支援、小規模多機能型介護、グループホームなどの介護保険事業や障害者支援事業を中心に、高齢者グループリビング、認知症カフェなど様々な事業を運営。著書は『あなたはどこで死にたいですか?』(岩波書店)など。

「2023年 『おひとりさまの逆襲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小島美里の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×