かざる日本

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 197
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000615105

作品紹介・あらすじ

「この世ならざるもの」を招き寄せ、日常を異化し、聖化し、荘厳する。〈かざる〉という営みには、私たちの心をざわめかせる不穏な力がそなわっている。霊威を放つ帯、無限の創造性を湛えた一条の紐、あるいは色や、香りや、音や、味──美術・工芸はもちろん、ありとある領域に分け入り、〈かざり〉の術式を闡明する。

感想・レビュー・書評

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  • 組紐道明さんの体験教室に行きたくなった

  • 質素な機能美、引き算の美学。そんなふうに語られがちな日本の美術を、「かざる」という視点から見つめ直す。


    茶室に対する「誇張された純粋さ。機能への陶酔。贅沢な簡素」という一文が納得度高かった。確かに侘び寂びって「誇張された純粋さ」だわ。秀吉の黄金の茶室を再現して明らかになった茶会の「茶道ショー」的な一面も面白かった。
    元が雑誌連載なので、軽視されてきた日本の「かざる」文化に深く切り込むというよりも、現代で工芸に関わっている人たちに取材して矜持に触れる一冊という感じ。

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  • ふむ

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  • 工芸のそれぞれの表現の奥にある働きを言語化している。特に帯、黄金の茶室、春日おん祭の音、表装の話が印象的だった。備忘録。飾りとはこの世ならざる聖なるモノを招き寄せること。日常の道理ではなく、この世界の枠組みにつかの間の亀裂を生じさせ聖なるものをのぞかせる。簡素が人為的ならば飾りは迎えようとする働き、だという。ハレとケ、縄文と弥生業務的なものとの両方がある日本美術の基層低音、などと感じた。

  • 日本の美の原点は、この世ならざるものを招き寄せ、日常を聖化するところにあった。
    ありとあらゆる領域に切り込んだ、日本の美への秀逸な論評。

  • 螺鈿に度肝抜かれる。なにこの手のひらサイズのサイバー。読み方すら知らなかった。らでん。

  • 水引
     遣隋使小野妹子が献上品に紅白で染め分けた麻紐を結んで日本に持ち帰った
     室町時代から進物に白紙をかけ紙縒りの水引で結ぶ習慣に
     江戸時代に数本まとめて紐として使うように


     紅花 3世紀半ばに日本へ伝わる
     「艶紅」 伊勢半本店(東京1825~)
      紅花の花弁を臼でつぶし天日干し、藁灰のアルカリ水溶液に色素が溶け、
      酸性の米酢で中和、麻の束に吸着、再びアルカリ水、
      梅酢の酸液で拡散すると色素が沈殿  布帛の紅染から化粧品へ

    香木
     香織を表した語彙は少ない 他の感化器で確立された言葉で代替え  
     大脳で情報を解析せず、大脳周縁系にダイレクトに情報を伝える
     におい:ぼかし
     にほふ=赤系統を主体とする明るく華やかな色彩光沢が発散し生えること
     山田松香木店(京都) 輸入に頼るため沈香樹を植林する 
     100年単位でたまり熟成する樹脂、根茎、蕾、鹿の分泌物

    鼈甲(べっこう)
     鼈=すっぽん 玳瑁(タイマイ)が禁止された江戸時代の言い逃れ
     タイマイ 1993年輸入禁止 養殖に
     薄くて透明の黄色味の腹甲を甲を何枚も熱を加えて重ねる

    朝顔
     青のみの「牽牛」から平安時代に「朝顔」
     江戸時代 突然変異を種と子葉で選抜


     帯びる ひも状のものは 着る物より先に身に付けられた?
     平安時代 女性は重ね着 袴の紐をわきで結ぶだけ
     大袖から小袖へ 袴を着用しなくなり 帯でおさえる
     江戸時代に帯幅が広がる
     誉田屋源兵衛 松井冬子 コラボ帯「世界中のこと友達になれる」 

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著者プロフィール

ライター・エディター。日本美術を主な領域とし、幅広い知見をもとに雑誌、新聞、書籍にて執筆・編集。公益財団法人永青文庫副館長。ゲーム作家、文筆家の山本貴光さんとの2人暮らし。著書に『橋本麻里の美術でたどる日本の歴史』(汐文社)など。

「2021年 『こんな一冊に出会いたい 本の道しるべ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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