- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000613484
作品紹介・あらすじ
東日本大震災の津波により、児童70人が死亡、4人が行方不明、教職員10人が犠牲となった石巻市大川小学校。我が子を失った親たちの時計の針は止まったままだ。その時、実際に何が、どのように? 安全なはずの学校で、なぜ? 悲劇を悲劇で終わらせず、未来の命を救うには? 新聞協会賞受賞の連載が書籍になった。
感想・レビュー・書評
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死亡児童70名、行方不明4名。
死亡教職員10名。
読んでいると、誰に感情を寄せれば良いのか分からなくなってきて、苦しかった。
やるべきことをやっていれば救えた命。
遺族の言葉を聞いても、苦しくなる。
教師には、学校には、子ども達の安全を「確保」する使命がある。
裁判官の言葉を聞いても、また苦しくなる。
生き残った人たちも。
生きているのだから、と説明責任を求められる。
刻は止まったのだろうか。
止まらないから、苦しいのではないのか。
校長先生の肩を持つつもりではない。けれど、赴任して、幾つかの行事への教員の関わりがなくなったことには、別の背景があるかもしれない。
先生の熱さ、冷たさだけを浮き彫りにするのではなく、その裏側にあったはずの組織としての課題、体制のあり方、教育委員会との関係……そこに大きなものが隠れているのだと思う。
学ぶ。学んで刻を進める。
先生にとっても、親にとっても、大切な本なのだけど。それらを束ねているような、大きなところにいる人にも、大切な本だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
将来教員になりたいと思っていて、読んだ。教師には命を守る義務がある。非常に重い責任だと思う。
上に頼りっぱなしではダメということに気がついた。ひとりひとりが子どもを守るために何をしなくてはいけなくて、どうすることが1番良い結果を生み出せるのかを考えて、迅速に共有することが大切だ。 -
学校の管理下にある子どもが犠牲になった事故としては戦後最悪の惨事が東日本大震災時に起きた。学校管理下で、いかにこどもの命を守るかを考えさせられた。裁判では、川近くの三角地帯でなくなぜ、山に登らなかったかという当時の行動ではなく、災害前からマニュアルにきちんと高いところに逃げるという策が考えられていないことが焦点になった。読んでいて大変つらかった。
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教職員として読んだ。大川小と同じ規模の学校で働いている。子どもたちの命は必ず守る。その為に常に学び続けようと誓う。管理職に任せずに判断することも大事だ。
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〇痛ましいあの「事故」の詳報とその後を、圧倒的な取材力で見せつけられる
大川小学校、と聞くと、全国ありふれた名前に聞こえた。宮城県にある学校で、旧桃生郡河北町にあり現在は石巻市に編入されている廃校だ。
廃校になってしまったのは、他でもない、東日本大震災がきっかけと言っても過言ではない。
震災で、多数の死者と行方不明者を出してしまったことが理由だ。
本書は、その震災で亡くなった児童の遺族が起こした訴訟を中心に据えつつ、「大川小学校事故」とは何だったのか、何が起こり何を我々は教訓にせねばならないのかを問う書である。
より被害が広く報道された岩手県釜石市はなぜ児童の被害はなかったのか。発災から一時間程度経った中でなぜ多数の犠牲を大川小学校は出してしまったのか。
学校での取り組みはどうだったのか、危険を知らせるアラートはなかったのかーーー
たくさんの「なぜ」「もし」がこの本を読むと、よぎる。
自分が児童だったら?
自分が保護者だったら?
そして自分が現地の教諭だったら?
現地に赴いて実際にその学校の姿を見たとき、説明を受けながら絶句した。
2019年11月に行ったが、8年経っても、変わらない、波が襲ったであろうその姿は、ただただつばをのむばかりだった。
いかに人間が、普段自身やまわりの安全に気を配っていないか。
正義感しかそれを担保できないということを知らされるような。
この場で学校行政への文句を申し述べることではない。しかし、自分の子供が安全ではない学校ではなかったとき。そしてこんな事故が起こってしまったとき。
考えられるだろうか?
いろいろな方面に思いを馳せながら、そして現地に赴いてほしい。遺族の声を、そして亡くなった児童の声を聞いてほしい。
聞こうと思わないと、きっと次の災害、人災は防げない。
あのとき何が起こったのか、子供に関係のある多くの人に読んでもらいたい。 -
東日本大震災を、また、まざまざと思い出しました。
教師の責任は重い。その一言に尽きます。 -
東2法経図・6F開架:369.3A/Ka19t//K