30代の働く地図

制作 : 玄田 有史 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 111
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000612968

感想・レビュー・書評

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    ・レゴ型夫婦

    この本は、あらゆる調査のデータを根拠に、これからの世の中の働き方や夫婦のあり方、生活のかたちなどを予測していく本で、いろんな節目のイベント、変化が起こる30代こそあらためてこの先を見つめることが大切だといっている本。
    色々と細かく調査を分析して小難しく書いてあるが、データ結果から導き出される結論は、「うん、そりゃそうだよね。別に根拠を難しく示さなくてもわかってる」というようなごく当たり前の結論になっている。
    みんなが普段感じている意見や一般論を、いろんなデータから証明している本。すでに理解している結論が自分としては多かったので、そこまで新たな発見はなかったように思う。


    働き方改革の目的は、①社員ひとりひとりが時間意識の高い働き方に転換すること、②多様な人材を受け入れることができ、それぞれの人材が活躍できるようにするダイバーシティ経営の土台作りの二つにあると言える。

    多くの人にとって柔軟性はタダならばあっても邪魔にならないが給料を削られてまで欲しいものではない。まずこれが大前提。

    これから柔軟性を持ったら誰かとしてみようという人に向けて大切なこと
    他の仕事を止めないこと
    しばらく続けてみること
    良い評判を作ること
    第三者を介すこと

    教育訓練について、労働者が自分の意思で企業の外で参加をするという訓練形態に変わっただけで、結局は受講する人も学ぶ内容も変わっていない。つまり元々は企業内訓練として実施されていた内容について、それを受けるはずだった正規労働者が会社の外で参加しているという状況に変化しただけだと考えられる。

    「ちょっと足りない何かを補う」ような比較的身近な訓練こそが大きなリターンに繋がると言える。

    パネル調査のデータから、例えば正規労働者は実務的な訓練を選択する傾向にあること、さらに会社の外での自分への投資は賃金率を有意に7%ほど増加させること、またその正の効果は特に現在の仕事に関連した実務的な訓練に参加する場合により大きくなることも分かった。

    グローバルな競争の厳しさや M & A の活発化により企業の寿命は短くなっており、平均的に見て25年程度とされている。企業の寿命と人の寿命のギャップは広がり一つの企業で人の人生を支えることは難しくなっている。

    夫婦それぞれが収入を得る役割、家族をケアする役割を分担したり交換したりしながら、その時々の役割に適した働き方を選択し続けていく、夫婦役割4.0いわゆる、レゴ型夫婦を目指すことが長い目でより家計を安定させると考えられる。

    自分たちらしい家族の戦略を選ぶために大切なことは、子どもが小学校に上がる時、転職を目指すとき、介護が必要になった時など、節目節目のタイミングで夫婦で今後どのように働き、生活し、変化を乗り越えていきたいのかをすり合わせることであると考えられる。

    仕事において、心理的契約に納得できていなければ仕事に満足ややりがいは感じられない。その時大事なのは、こんな働き方をしたい、という希望をはっきりと自分の言葉にすること。

    どうすれば幸せに暮らしていけるのかを世間や一般の常識にとらわれることなく、常に家族みんなで話し合いながら共に暮らしていく、そんな夫婦や共同生活の形が今後増えていってほしいと願う。

    これからの働き方では、できればなりふり構わずやるという無制限が前提の姿勢から、やれることを最大限しっかりやるといった限界を意識した姿勢に、個人も会社も明確に転換していく必要がある。

    戦略とは、肝心なことだけを残し、そうでないことをあえてやらないという決断をし、そして実行することを意味する。時間や資源が限られている現実を強く意識するようになれば、必要でない無駄をなくし、その分を未来の投資に充てることもできる。つまりは限界に向き合うことで仕事や人生の戦略を自分なりにうちたてられるようになる。

  • 昔みたいにがむしゃらに仕事を頑張ればいい時代ではない。限られた時間と資源の中で、自分の可能性を見極めて、自分で人生の戦略を立てていかないといけない。人生は自分で拓くものだとよくいわれるが、今までいかに他人任せだったかを再認識させられた。自分で自分の事を決める。

  • まとめが全体的にわかりやすくて気軽に読むことができた。

    「夫婦の役割」や「テイラーワーカー」に関するの著者の説明・考え方(レゴブロックのように役割を夫婦で組み立てるレゴ型)は勉強になりました。

  • 働き方についての研究事例を編集した内容の本。
    最近の働き方について、いろいろな視点のデータが出てきて面白かったけど、タイトル通りの「働き方の地図」となるかは疑問であった。

    「コンパス」ではなく、「地図」としているように、
    どう考えているのかは読み手に任されてしまっている。

  • 現在の労働市場について、複数の著者がデータ分析を根拠にしながら説明してくれる。

    以下、メモしたものの、お勉強という要素が強く、すぐにマインドを変えられるような実践的な内容ではなかった。

    でも、理解した上で働き方を自分で考えていかなければいけないなと思った。

    ---
    ・働き方改革…
    時間をかけた働き方を評価する職場風土の解消と時間意識の高い仕事の仕方への転換が鍵
    ・雇用形態…
    会社と対等な契約関係を結ぶには、力の差を補うための工夫がいる(法律の基礎知識、第三者を介す、会社にとっての必要性を高める)
    ・転職市場…
    在職中に情報を収集し、ハローワーク などの職業紹介機関に相談するなどして転職の準備を始めておく
    ・副業…
    正社員で副業を持つ人は少ない
    →スガシカオの営業マンの頃のエピソードが夢があって印象的。
    ・テイラーワーカー…
    多くの労働者は平日9時から5時まで「きっちり」働きたい
    →Uberのサービスを例に短時間で高時給、不安定な労働環境を解説していた
    ・賃金と報酬の世界…
    金銭など外的な報酬と、達成感などの内的な報酬のバランスが重要
    ・職業訓練制度
    訓練の賃金率に対する効果は、現在の仕事に関連した実務的な訓練に参加する場合ほど大きい傾向がある
    ・心身の健康について
    ・共働きの流れについて
    ・相談相手について
    ・労働組合について

  • タイトルに反して、マクロな調査データを基にした概論に終始していたため、求めていたものではなかった。。

  • 働き方改革や転職、労働に関する法律や教育訓練や労働組合など、労働に関する事柄について11の切り口から解説した本。
    タイトル自体は親しみやすそうな印象だけど、中身は論文のような形式になっていて、ちょっと堅苦しい感じがしたし、タイトルの30代はあまり関係がなかった。
    働き方改革において大事なのは、社員1人1人が高い時間意識を持った働き方へ転換することというのは、なるほどと思った。全員が時間意識もたないと、なかなか変わらないだろうしね。
    ちょっと驚いたのは、副業してる人の割合は、1992年が5.3%、1997年が4.9%なのにたいし、2012年は3.6%と減っているということ。意外だなと思ったのだけど、どうやら農林漁家は兼業をしていることが多いらしいのだけど、そもそも農林漁家が減ってるから副業の割合も減ってるらしい。サラリーマンだけに限定するとまた違うということか(ただし、最新のデータでも正社員の副業率は1.1%しかないらしい)。
    第5章では、テイラーワーカーという新しい働き方について説明。ようは、自分で時間を決めて短時間かつ断続的に働く自営業主のことらしく、たとえばウーバーの運転手があてはまるらしい。自分が知らないだけで、話題になってる言葉なのかなと思ってググったら、この本に関するページか全く関係ないページしかヒットしなかった。
    給与明細の項目については、身近だけでよく分からないことも多いので勉強になった。そういえば、勤怠欄には出勤日数が書かれてあると書いてあったけど、うちの明細には出勤日数は書かれてなかった(残業時間はあるけど)。
    保育園の子どものお迎えの遅刻を減らすために罰金をとるようにしたら、逆に遅刻が増えたという話は聞いたことあるけど、これってどれぐらいの金額で行ったのだろう。金額によるだろうと思うのだけど。
    教育訓練給付制度というのは、言葉ぐらいは聞いたことあったけど、この本を読んで思ったよりメリットありそうだなと思った。特に、2018年からは支給率の引き上げや支給上限の引き上げが行われて、メリットが拡大したのだとか。ちょっと気になるのでもう少し調べてみたい。
    2016年に電通の新入社員の女性が過労で自殺した事件は知っていたけど、1991年にも電通で2年目の若い社員が過労で自殺していたということは初めて知った。ひどい体質の会社だなぁ。ちなみに、調べてみると、2020年の就活生の人気企業ランキングで電通は36位だった(https://job.career-tasu.jp/2020/guide/study/ranking/)。何でそんなに高いんだ。
    後、よく分からなかったのが、ここ20年で夫の家事・育児にかける時間は増加したのはいいものの、なぜか妻の家事・育児にかける時間まで増えているということ。共働きは増えてるのになぜそうなるのかと……。ちなみに、家事時間は減ってるけど、育児時間のほうが増えてるらしい。親の育児援助を受けることができる家庭が減ってるからだとか。

  • 本文でも出てくるが、30代は変化が多く自分を見つめ直したりするキッカケになる時期。 章毎に各専門家が述べていることは、少々難しいところもあるが、先々を考える上でも参考にしたいことが多かった。
    個人的に、9章あたりの人との繋がりに関わる部分は、特に興味深かった。

  • 一言でいうと、非常に難解な本。
    教授、准教授、研究員などさまざまな立場の人が、各章を執筆していて、難しいことを難しく説明している感じ。
    興味がないトピックは全然読み進められないので、興味がある章だけ読んだ。

  • 東2法経図・6F開架 366.21A/G34s//K

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