ただの文士――父,堀田善衞のこと

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 37
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000612951

感想・レビュー・書評

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  • 堀田善衛の娘さんの文章で彼の作品と生活を年代を追って知ることが出来る。彼の小説やエッセイが好きだが、この本で彼の人となりがよくわかってさらに好きになった。戦時中にゴヤの「戦争の惨禍」を見て以来スペイン語を始めるなど準備を進めて30年後に書きはじめた「ゴヤ」。書き始めると家中が「ゴヤさん」と生活する。「ゴヤさんは今何才?」とかゴヤが聴力を失った時は彼自身も耳に物を詰めたりして夫人が呆れ果てる。この本を通じて彼の作品に対する真剣さ誠実さがよくわかる。そして時空を超えて物事を考える彼の力に感動する。書斎の人だけでなく行動の人でもある。

  •  堀田善衛の愛読者には堪らなく嬉しい一冊。
     ヨーロッパといえばまだイギリス、フランス、ドイツだけを指していた時代に、『ゴヤ』『スペイン断章』『情熱の行方』等々を読んで、カラカラに乾いたスペインやイタリアのどぎつい歴史にヨーロッパの源流を見て目を瞠る思いをした人も多いのではないだろうか。
     「富山弁のまじった英語」をしゃべっていたそうであるが、どんなものか聞いてみたかった。

  • 堀田善衛の著作活動の空気感がなんとなくわかる。
    娘がマネージャーとして仕事の多くを差配、打ち合わせも同席していたようなので。
    お坊ちゃんなので作家先生の風情。

  • 書き出しから文章の綺麗さにビックリした。

  •  堀田百合子さんは、「ゴヤ」の作家、いや「広場の孤独」の、というべきか、堀田善衛さんのお嬢さん。1998年、脳梗塞で亡くなったらしいのですが、それから20年。お嬢さんという年齢ではなくなった著者が、父の思い出を綴るというとありきたりですが、とても、とても。
     小学校の頃の思い出から、なくなるまで、「ただの文士」だった父の姿、家族や編集者のありさまが、ある落ち着きと慈しみに満ちたスナップ写真のおもむきで描かれていて、よみはじめるとやめられません。
     忘れられつつある堀田善衛はもちろんのこと、武田泰淳をはじめとした戦後の作家たちの作品を、もう一度、きちんと読みなおすことを促す「時代を生きた文士」の肖像でした。

  • 4.3

  •  「19階」くらいしか読んだことが無い。
     宮崎駿や鈴木敏夫らが敬愛しているというエピソードだけは耳にしていた。

     文士という生き方は、今は在るのか。

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