記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実

著者 :
  • 岩波書店
3.79
  • (7)
  • (18)
  • (12)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 164
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000612487

作品紹介・あらすじ

一九八七年五月三日憲法記念日の夜、朝日新聞の記者二人が突如、目出し帽をかぶった何者かに散弾銃で殺傷された阪神支局襲撃事件。この事件を含め、約三年四か月の間に計八件起きた「赤報隊」による襲撃・脅迫事件は、未解決のまま、二〇〇三年三月にすべて公訴時効となっている。事件の三年前まで同支局に勤務し、発生当初から記者として特命取材班に加わり、時効後も一貫して事件を追い続けてきた著者による渾身の書き下ろし。日本の言論史上、類例のない事件を追跡した果てに見えてきたものとは?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • かつて「朝日ジャーナル」という雑誌があって、霊感商法や原理研問題などを強く批判する記事を書き続けて統一協会と厳しい緊張関係にあった。所属記者やその家族までもが、何者かによって様々な脅迫や嫌がらせを受けるという状況の中、筑紫哲也に代わって編集長になった伊藤正孝が就任直後に書いた名檄文「野戦服宣言」を思い出した。
    野戦服宣言が書かれたのが1987年4月。阪神支局襲撃事件が1987年5月。
    事件当時は右翼による襲撃としか言われていなかったので気づかなかったが、朝日新聞と統一協会が極めて激しい緊張関係にあった時期の事件だったんだな

    =====(野戦服宣言)=====
    砂漠の薄い皮膚に現れる風紋は、砂嵐の前兆である。風のメッセージを敏感に読みとらなければ、人も車ものまれてしまう。そんな危うい時代に「朝日ジャーナル」はどうあるべきか。かつて本誌は「背広を着た知性」として端麗に登場した。背広がくたびれたころ、筑紫哲也前編集長がカジュアルなジャケットを着せた。そしていま「野戦服を着た知性」が必要なときかもしれない。「戦う雑誌」として、さあ、前へ。
    =====

  • 面白いのに文字が滑りなかなか頭に入らない
    時期的に忙しかったからなのだろうか?
    読むタイミングだけが上手くハマらなかった

  • 赤報隊による襲撃・脅迫事件は、報道機関の根底を揺さぶるテロ行為である。その事件にまつわる疑惑や賛否の声に思想の違いを認めても、これほどの暴挙は理解できないし人道上許すべきではない。真相は藪の中だが、この未解決事件を追及する筆者と仲間や協力者が抱く覚悟と矜持に賛辞を送りたい。

  • 富山市立図書館070.1||ヒツ||2018
    167p 末尾から2行目
    誤)1966年7月7日付
    正)1967年7月7日付

  • この古い未解決事件にも今話題の教団が影を落としているとは驚く。だが実際に誰がどんな背景で起こした事件なのかは本書でも明らかにはならないし、これからもなることはないだろう。
    しかし本書を読むと何故かもう一歩のところで捜査の手が緩められている気がしてならない。公安警察と右翼や宗教関係とのつながりの深さを感じてしまう。(特に世界日報関係の殺人未遂事件は明らかには捜査の手抜きとしか思えない)
    今回の件で、闇に埋もれた過去の事件にも再び光が当たることを望む。

  • 朝日新聞の元記者が赤報隊と称する者に、襲われ、殺された事件を追ったものをまとめた本。
    取材は関係すると思われる右翼及び某宗教関係者にあうことによって行われており、相当の労力がかかっているであろう。
    が、本書を読むと朝日新聞が退潮気味になったのはなぜなのかもわかる。
    犯人と疑わしい人物に対して「総合的に見てシロ」とかという記述が頻出する。すくなくとも、この点とこの点からシロと判定したという論拠を書くべきだろう。
    また、P.146で民族派の某氏が、α連合(本書内では、現在元首相暗殺で夕目になった 某宗教をα教、その政治団体をα連合と書いているが、このようにして名前をぼかす意図もよくわからない)に出した原稿を「いやな予感」がしたので取り戻したという文書がある。この文書何を言いたいのかわからない。一個人の主観的な感覚をわざわざ書くことに何の意味があるのだろうか。α連合に対するイメージを悪化するためだけに、一個人の主観を記述しているのだろうか?
    以上のように朝日(の記者)は、曖昧かつ主観的な記述を書き連ねるから(朝日新聞は)退潮気味になったと自分は考える。

  • うかつにも旬な本であることに気づかずに読み始めた。
    赤報隊として、韓国発祥で霊感商法などにより「朝日ジャーナル」誌から批判されていたα教団、その政治団体であるα連合など(αは本書の中の表記)が疑われていたことは私の頭の中からは消え去っていた。
    いや、当時おこちゃまだった私には最初からインプットされなかったのかもしれない。その犯行声明もあって、一般的には右翼団体が疑われていたわけだし。
    事件当初から朝日新聞社の取材班はα教団に注目していたというし、右翼の有力者もα教団を疑っていたというが、おこちゃまレベルにまで広まってはいなかった気がする。

    本書は、朝日新聞社の取材班時代から30年にわたって事件を追い続け定年退職を迎えた元記者によるもの。
    結局、真犯人を名指しするところには至っていないのだが、なぜこの事件が未解決に終わったかの理由については、その「真実」が垣間見えるようになっている(私が読み取った行間が正しいのであれば)。

  • どうも首相狙撃事件との関連性があるかもしれない…ということを知って読んでみた。

    それにしても約35年前は、直接的な行動が多かったんだなということを実感。当時に比べてこういう事件が少なくなったのは、ある意味ネットができて、思いを吐き出せる場所が行動の抑制になってるんじゃないか?などと妙に感心してしまった。(勿論その分匿名となって攻撃してくる陰湿な事案も増えたので感心してる場合ではないのだが…)

    そしてこの記者さんたちによる徹底した取材ぶりに陳腐な言葉だが本当に頭が下がる。野次馬的で恐縮だが、いつの日か真相が明るみになることを祈る…

    色んな報道で見聞きする「政治の力」という言葉が実感できる章があるので、そこだけでも読むべきでは?なんて…

  • 赤報隊事件ってなんだっけと思いながら手に取った。
    朝日新聞阪神支局の記者が散弾銃で襲われた事件。
    1987年の憲法記念日のことだった。

    報道に関わる人たちやその仕事のことを知ることができた。
    右翼や宗教団体のことも。

  • 右翼について知識がなかったが、読みやすくまた理解しやすかった。過去の事件だったが、またこのような事件が起こらないとも限らない。過去を知ることは、未来に対する備えともいえる。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ジャーナリスト。1952年、愛知県出身。県立旭丘高校卒、早稲田大学第一文学部社会学科卒。’78年、朝日新聞社に入社。高知支局、阪神支局を経て大阪社会部へ。大阪府警担当、朝日新聞襲撃事件取材班キャップを務めたのち、京都支局次長、地域報道部・社会部次長、和歌山総局長。朝日カルチャーセンター大阪本部長等を経て、’12年から’17年まで大阪秘書役を務め、同年12月退社。
著書に『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』(岩波書店)がある。



「2020年 『最後の社主 朝日新聞が秘封した「御影の令嬢」へのレクイエム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樋田毅の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
劉 慈欣
伊藤 詩織
塩田 武士
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×