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- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000611190
感想・レビュー・書評
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著名な詩人が大岡信の姿を浮き彫りにする。特に、長谷川櫂による〔「折々のうた」の思想(P123~)〕は興味深い。茨木のり子、谷川俊太郎、吉野弘の3者の詩と大岡信の詩を比較している。▼前3者が言葉を論理的につなげているのに対して、大岡信の詩は、”論理的な言葉のつながりを切り離したり、関係のない言葉を結び合わせたり、いろんなことを直感的に、一瞬のうちにやりとげている”。そのため、とても分かりにくい感じを抱かせてしまう。▼現代は前3者の分かり易い詩が好まれる。しかし数十年前の人たちは大岡信こそ本当の詩人であると思った。当時の日本人は、詩的な感性がとても優れていた。▼大岡信の詩には、言葉への不信がある。言葉を信用しながら、実はそれに限界があると思っている。「マリリン」「雪童子」によく現れている。▼その不信はシュルレアリスムからきており、言葉の改革の必要性から、常識的に論理でつながる言葉の文脈を断ち切るようにした。そこからこの世界とは違う世界が現れる。▼またその不信は禅にもつながる。禅の真理は言葉では到達できないが、一方、言葉に頼らないと真理に到達できない。禅問答の「ちぐはぐ」な問と答の「間」に、真理は隠されている。と、長谷川櫂は述べている。
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