パンダ――ネコをかぶった珍獣 (岩波科学ライブラリー〈生きもの〉)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000296304

感想・レビュー・書評

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  • 一目見ただけの愛くるしさだけに、その動物的なことを忘れてしまいがちな不思議な生き物のパンダに対して、上野動物園の飼育員さんの苦労は図り知れないことが窺えた。
    昨今は、政治的目的に利用されがちであるが、当の本人達はそんなこといざ知らずに過ごしているのだろう笑
    しかし繁殖もなかなかに上手くいかず、野生パンダは中国四川省の臥龍や雅安のパンダ基地の人ですらそう見かけないという現状では、絶滅を阻止するのに人が関わっていかざるを得ないのだろう。
    短いながらもカラーで見やすく、簡潔にまとめ上げたため、非常に読みやすい本であった。

  • 著者はパンダの飼育係。パンダとの直の付き合いはそこらの研究者の比ではあるまい。だからパンダは触るとごわごわしてるとか、やっぱり噛み付いたり引っ掻いたりするんだあいつ、といった身辺情報が豊富で楽しい。パンダだって寝てるか食っているかなんだな。でもまあ、働く必要のない生き物ってそれで当たり前か。
    見た目は変な色のクマだが、ひょっとしたら違うんじゃないかとも思っていた。やっぱりクマなんだなあれ。ダランダランだけど。

    一方、野良パンダがどう暮らしているか、といった情報は少ない。あんなふにゃふにゃの生き物が、野生でやっていける理由がわからん。小学生男子が中に入っているみたいじゃん。野生の世界は厳しいと聞いていたが、例外があるのだろうか? それとも野生ではびしっとしているの? 人知れず苦労しているの? なんでよりによって竹? 外敵っていないの?

    そういう本も読んでみたい。

  • 帯に「ついに、正体がバレる時がきた」とあるのを見てツペラツペラの絵本「パンダ銭湯」が思い浮かんでしまったがあながち間違いではなかった(笑)
    白と黒の模様を取るとそこには平べったい顔のクマが。

    動物園は教育・研究機関なのだが一般人は展示に注意が向きがちで、パンダは政治的動物でもあるのでマスコミ対応が必須。二重帳簿みたいな飼育日誌は気の毒だと思った。
    しかし不思議な動物だ。ほとんど消化しない竹であの巨体を維持するのだから。
    12月3日に和歌山の良浜が双子の赤ちゃんを産んだ。
    母子ともども元気でいてほしい。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99692647

  • パンダの飼育員さんが書いた本です。
    パンダの生態が知れて面白いです。特に交尾、妊娠、出産、子育ての過程がとても興味深い。双子が産まれると片方しか育てないパンダにどうやって両方育てるように仕向けるか、とか、笑った。
    また、あまり語られないマスコミ対応の話もあって、それもまた面白いです。

  • 上野動物園のパンダ飼育員の著書。

    形態や生態、飼育繁殖の苦労、国際関係、パンダにまつわる様々な視点からのハイライトがまとめられており、パンダを愛でるだけでなく、もう少し知りたいと思ったときに手に取る一冊目として良書。

    挙げられている参考文献は学術論文が多く、一次資料に当たりたい自分のとっては良い道標。

    文体もやわらかく、わかりやすい。

    パンダ自身やパンダの飼育そのものに政情は無関係だが、中国から借りている以上、日中関係動向を気にしないわけにはいかない。そうした目の前のパンダから背景にある国際関係まで、多重の思いが込められていた。

  • パンダ飼育係さんが書いたパンダの本。
    ネットで可愛い動画ばかり観てメロメロなパンダだけど、やっぱりパンダもクマなんだなぁと感じる部分も多し。
    今上野で飼育中の赤ちゃんも無事に大きくなるといいなぁ。

  • パンダの学術的分類の変遷,生態学的特徴,だけでなく,飼育事情,動物園導入事情にも触れられている。一時期上野動物園に通ってほぼ毎週末彼らを眺めていた(っても単なる売店バイトで行き帰りに眺めただけだけど)身としては,当時あの中でそんなことが起きていたのか,とちょっと感慨深い。

  • パンダ、そしてパンダにまつわる話に対していろんな意味で「何やねん」とつっこみたくなるような一冊。

  • 岩波科学ライブラリーの「生きもの」シリーズは面白く、中学生程度で読めるものも多い(カラー写真やイラスト、図が豊富)ので、ジュニア新書より良かったりする。
    「シロアリ」がものすごく面白く、「ハダカデバネズミ」も良かった。
    で、「パンダ」。パンダの本というと写真集や子ども向けが多く、「かわいい」を基本としているが、これはあくまで冷静に生きものの一つとしてとらえているところに好感が持てる。
    前書きの「結構怖いただのクマ」というところから、著者の姿勢がわかるというものだ。
    図22の黒い部分をとったパンダの可愛くないことといったら…。死肉を漁るパンダとか、食わず嫌いのパンダとか、繁殖の苦労とか飼育者だからこそのエピソードたっぷり。
    読み終わると、やっぱりパンダ、可愛いな、と思ってしまうのは、著者が愛情を持って書いているからだろう。
    「シロアリ」の方が面白いけど、「シロアリ」と聞いただけで拒否する人も多いので、可愛い生きものしか好きじゃない人にも薦めやすい。

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