崩壊する55年体制 (ドキュメント 平成政治史 第1巻)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 95
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000281676

作品紹介・あらすじ

相次ぐ政党の離合集散、熾烈な権力闘争の果てに25年間に延べ18人もの首相が目まぐるしく交代した平成期の日本政治。どこでどう間違えたのか。政治記者歴32年の著者が、政治家たちの肉声を記録した膨大なメモや取材記録を駆使して、徹底検証するシリーズ。本巻では竹下登内閣から橋本龍太郎内閣までを扱う。平成元(1989)年、日本は消費税の導入とリクルート事件に揺れた。高まる政治不信は、やがて政治改革の波となって、長く続いた自民党一党支配を終焉させるに至るが…。

感想・レビュー・書評

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  • 高かったので躊躇してたがついつい買ってしまった。やはり圧倒的に面白い。55年体制期への哀愁からか、年齢から来るのか、昔は良かったバイアスは感じられるものの、どっぷり深く浸かった上で強く肩入れせず同時代史を深く読み解き語るという素晴らしい三冊。私の物心がつく前の期間なので、元々有名だったのか著者ならではの視点なのかはわからないが、意外性と納得感のある事実がちょくちょくあった。

  • 感想という感想もないので、とりあえず、歴代の内閣について、開始終了月、期間、本書での記載ボリューム、在任月当たり記載ボリューム、を並べてみた。

    竹下 登内閣 1987/11~1989/06 1年 7か月 37頁 1.9頁/月
    宇野宗佑内閣 1989/06~1989/08 0年 2か月 13頁 6.5頁/月
    海部俊樹内閣 1989/08~1991/11 2年 3か月 53頁 2.0頁/月
    宮澤喜一内閣 1991/11~1993/08 1年 9か月 85頁 4.0頁/月
    細川護熙内閣 1993/08~1994/04 0年 8か月 57頁 7.1頁/月
    羽田 孜内閣 1994/04~1994/06 0年 2か月 39頁 19.5頁/月
    村山富市内閣 1994/06~1996/01 1年 7か月 69頁 3.6頁/月
    橋本龍太郎内閣1996/01~1998/07 2年 6か月 73頁 2.4頁/月

    3年続いた内閣はこの期間にはないんだな、とかいう、事実の確認もできた。それから、竹下登内閣、宮澤喜一内閣は、ほぼ同じ期間だけど、記載量は、竹下登内閣が断然少ないのは、著者のキャリアが影響しているのか、それとも、竹下登内閣が比較的安定していたのか(=つまらなかったのか)、とか。消費税導入したんだから安定どころではなかったと思うけど。

  • 平成に入って18人もの首相が変わっているという異常な状況。
    なぜズバ抜けたリーダーが現れないのか。政治記者歴32年の著者が自らの取材メモ、原稿等を基に政治の裏側を描き出す。
    シリーズもので、第一巻は竹下から橋下まで。
    改めて小沢一郎の曲者ぶりがわかります。

  • 平成政治史1

    後藤謙次著
    岩波書店
    2014年4月17日発行

    著者は、長年、共同通信記者として活躍、テレビでもお馴染みの顔で、筑紫哲也ニュース23でも筑紫哲也の病欠中と降番後にメインキャスターをしていたジャーナリスト。
    長年の政治記者としての経験と記録、そして多くの資料を基に書いた平成政治史、全三巻の第一巻。政治史っていうより、政権クロニクルという感じ。昭和と平成にまたがって総理大臣をした竹下登から順に、総理大臣ごとに章立てて出来事をまとめているが、第一巻は1998年、平成平成10年に辞任した橋本龍太郎までの話。「ああ、そんなこともあったな」と思い出すこと多し。また、報道はされていたがあまり知られていないことも書かれているので、なかなか興味深い。あんまり裏話はない。
    マスコミで活躍してきたジャーナリストだけにバランス感覚があり、極論やかんぐり、自身による評論はなく、淡々と詳しく綴っている。資料として、置いておくと役に立つ本でもあると思います。

    当然、総理在任期間に応じてページ数が違ってきますが、一番短いのは宇野宗佑で、本文419ページ中、わずか12ページしかない。在任期間2ヶ月。この名前すら忘れていたという人も多いのでは。私は、個人的にはこの人、嫌いではありませんし、総理大臣にまたなってくれてもかまわない(もう死んでますけど)。

    この第一巻を読んで浮かび上がってくるのは、権力の二重構造という側面。その主役が小沢一郎という人。ほとんどの章においてその名が頻繁に出てくる。宇野内閣は暫定的な傀儡政権で、「竹下院政」と言われていた。リクルート事件で辞めざるを得なかった竹下登が陰の総理でした。そして、そこで活躍したのが小沢一郎。
    海部内閣は、小沢の完全な傀儡だったということがこの本でもわかる。その後、新進党の党首に海部を担ぎ出し、政権を狙ったのも小沢。「一龍」対決に負けたけど。また、有名な「小沢面接」によって選んだ宮澤内閣においても、裏で大きな力を持っていた。

    そして、もちろん、細川内閣、羽田内閣。

    それにしても、阪神・淡路大震災、オウム事件、ペルー日本大使公邸人質事件、湾岸戦争、そして金融危機などなど、大変なことが次から次への起きた激動の時代でしたね。今とは比較にならないのでは。

    第二巻はまだ手許にありません。早く読みたい。第三巻は12月25日に発売だとか。

    ▼ちょっとしたこぼれ話で、面白いこともありました。

    ・細川総理退陣後、小沢一郎は渡辺美智雄(みんなの党の渡辺前代表の父親)に対し、何人か引き連れて自民党を飛び出してくれ、総理にするからと誘った。これに対し、若手、中堅5人がまず飛び出し、渡辺ミッチーの離党を促した。渡辺ミッチーも後日、決断して、返事するといっていた約束の時間には間に合わなかったようだが、小沢一郎に電話をした。しかし、数十分違いで小沢は外出。ミュージカル「ピーターパン」を観劇していた。その数十分のズレがなければ、細川の次は渡辺ミッチーが総理大臣だった。(248)

    ・社会党、村山富市総理がナポリサミットへ行った時、張り出されていた歓迎ポスターは、日本の総理の顔が羽田孜のままだった。差し替えが間に合わなかったとのこと。苦笑したらしい。(287)

    ・YKK(山崎拓、加藤紘一、小泉純一郎)のことを、小泉は「打算と友情の二重構造」と自ら語っていた。(378)

    ・ペルーの日本大使公邸人質事件で、青木大使は、人質の健康維持などのためにラジオ体操をしたり、日本語教室などを開いたりして、ゲリラ側から「セニョール・エンバハドール(大使さん)」と呼ばれていた。(380)

    ・オウム事件の時、羽田発函館行きの全日空機が銀行員(確か東洋信託銀行だったはず)によりハイジャックされ、犯人が麻原の釈放を要求する事件があった。乗客・乗員365人の中には加藤登紀子がいた。(320)

    ・橋本改造内閣の時、中曽根元総理からの強い要望でロッキード事件の佐藤孝行を入閣させた。強い批判にさらされて11日ほどで更迭、後任に小里貞利が起用されたが、小里は日本ハーレーダビッドソン協会名誉顧問をする程のツーリング好きで、歴は40年を超えていた。佐藤の後任として総務庁長官に決まった時も妻をサイドカーに乗せて阿蘇山麓をツーリング中だった。所在不明となり、警視庁の手配で非常線が張られ、警察の車で大分空港から東京に戻るというハプニングがあった。(395)

  • ふむ

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】
    ・第4章まで読了。これ、インテリジェンスな観点からだと、また違う見え方をするんだろうか。

    【目次】

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