青春の言葉たち (沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉)

著者 :
制作 : 沢木 耕太郎 
  • 岩波書店
3.86
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本棚登録 : 95
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000280785

作品紹介・あらすじ

十人の青春の記憶、そして軌跡を進行形で語る。書き下ろしエッセイ「「きく」ということ」も収録。【長谷川和彦、武田鉄矢、立松和平、吉永小百合、尾崎豊 、周防正行、先崎学、福本伸行、大沢たかお、上村良介】

感想・レビュー・書評

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  • 2020年の3月に発行された、沢木耕太郎による4冊の対談集の2冊目。4冊のいずれもがそうだが、対談相手に興味深い人たちが並んでいる。
    この2冊目の対談集で言えば、吉永小百合や武田鉄矢や周防正行や大沢たかお、尾崎豊や先崎学など。特に尾崎豊の対談に興味を惹かれた。
    ご存知の通り、尾崎豊は若くして変死を遂げたロックスターだ。沢木耕太郎との対談の中の尾崎豊は、自分の話を聞いて欲しい、やや弱々しい若者のように思えた。私は今でも、 I love you という曲をよく聴く。この曲にも、尾崎豊の傷つきやすさが出ているように思える。
    その他の対談も興味深いものが多い。

  • 対談集の2巻目。「訊いて、聴く」というタイトルながら、沢木さんがかなり自身のことを語っているのが興味深い。ただ年下の対談相手には、諭すような、答えを誘導するような話し方になるのは気になった。本質的に沢木さんはナルシストだと思う。
    尾崎豊との対談の中で沢木さんは、自分も、そして井上陽水も作品は一対一のものしか作れない、複数のためにというのはあきらめたと述べる。私も仕事で、著名なあるミュージシャンと話した時、彼は自分の作品はすべて特定の誰かに向けて作っていると述べた。お客さんみんなのために、というのは商業的な幻想でしかない、どんな作家もアーティストも同じだろうと断言していた。一方で沢木さんは、尾崎は初めから複数に向けて歌いかけていると指摘し、尾崎自身それを肯定する。この創作へのスタンスに、後の尾崎豊を決定づける何かがあるように感じてしまった。

  • 誰と対峙しても沢木耕太郎は沢木耕太郎として、節度を保ち羽目を外さず接する。いや当たり前のことじゃないかと言われるかもしれないが、ならその「当たり前」を凡事徹底でこなすところが沢木のストイックなプロ意識の表れであると受け取れるのではないか。どんな相手に対しても誠実に、格好を崩さず。そんなプロ意識が清潔に匂ってくるこのインタビュー集は端的に読んでいて清々しく、こちらも意外な相手が論理的・理知的に己を拓くのを感じ取ることができ面白く読める。その分優等生的に過ぎるとも解釈できるが、私はこのプロ意識に素直に脱帽する

  • 沢木 映画について考えると、一番最初に周防さんがおっしゃった、きちんと作られているというのが僕にとっては、今、決定的なんです。こいつがこんなことを言うはずないじゃないかという台詞や、この設定でこいつがこんなことをするわけない、というような映画がゴロゴロしているじゃないですか。僕の場合、映画を観ていて、こいつはこんなこと言わないよなという台詞を一言ぐらい言われると、もう嫌になっちゃのね。
    周防 うわあ、怖いね(笑)、怖い映画ファンだな。
    沢木 だけど、みんなそうだと思うよ。
    周防 まあね。そうでしょう。お客さんは残酷で、僕だって、そういう瞬間はありますけどね。
    沢木 ただ、周防さんの映画では、頓狂なやつは出てくるけど、こいつがこんなことするわけないよな、ということは出てこないと思う。
    周防 そうですか、それはすごいほめ言葉でうれしいですよ。
    沢木 ほんとにそう思う。
    周防 すごい気が楽(笑)。
    沢木 どの映画もそういうふうには思わなかった。言い方を換えると、一カ所もざらっとしたところがなかった。
    周防 最初から何か嘘っぽい話だから。
    沢木 だけど、例えば竹中さんの役では常に、これは言えないよなということがないんですよ。ああいう与えられた役の中では、ああいうふうに振る舞うことに全然異論、違和感がないわけですよ。
    周防 それは、すごくうれしいですよ。僕は映画ファンとしてずっと映画を観ていて思ったのは、その映画の中ではやっぱりリアリティは持ってほしいし、それしか求めないわけですよ。だから、何の映画でもオーケーというのは、その映画の中でその人がほんとうに生きていれば、別に現実にいようと、いまいと関係ないということ。映画の世界に住む人がきちんとそこに生きていてくれれば、面白いと思う。

  • 大沢たかお氏との対談において、あの旅をどのように振り返っているのか知りたく手に取った。

  • 2022年11月24日読了

  • 有り F/サ/20 棚:26〜27

  • 面白かったのは長谷川和彦、武田鉄矢、吉永小百合、大沢たかお。
    つまらなかったのが尾崎豊。

  • 尾崎豊は丁寧で誠実に受け答えをする好青年である…とっても礼儀正しい!
    大沢さん、『深夜特急』を選んでくれてよかった。
    【セッションのお相手】
    長谷川和彦
    武田鉄矢
    立松和平
    吉永小百合
    尾崎豊
    周防正行
    先崎学
    福本伸行
    大沢たかお
    上村良介

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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