ゲド戦記外伝 (物語コレクション)

  • 岩波書店
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本棚登録 : 37
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000264686

作品紹介・あらすじ

アースシー世界をあざやかに映す5つの物語-カワウソ/ダークローズとダイヤモンド/地の骨/湿原で/トンボ。巻末に、ル=グウィン自身による詳しい解説。ゲド戦記、別巻。

感想・レビュー・書評

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  • <三部作>時代から考えると、随分遠くに来てしまった観のある『ゲド戦記』。かつてのシリーズ作に思い入れがある人ほど、手に取る前にためらいを覚えるのではないでしょうか?
     でも、もし5巻『アースシーの風』まで読んだなら、そのまま『外伝』に進んだほうがすっきりするかと思います★

    『アースシーの風』はもはやゲドの戦記とは呼べず、ゲド自身は力をなくした老人でしたからね。世界は次世代にゆだねられたけど、その彼らにさえ、あっさり別れを告げる結末。風があまりに爽やかに吹き抜けすぎたか、読後に感じていた一抹の寂しさを、『外伝』は癒してくれます★(そういう意味では「トンボ」は必読)

     時間をかけてル=グウィンの中で発酵してきた、アースシー世界の断片が収められた作品集。DNA鑑定の話ではないけど、断片情報は全体像をも浮き上がらせるもの★ あらためて、自分はなぜアースシーの物語に魅了されてきたのか、再確認できる読書体験でした。

     今や商業化されてしまった安全なファンタジーシリーズとは、一線を画した世界観。魔法使いは呪文一つで何でも解決する便利屋でもなければ、人を驚かせて楽しむ手品師とも違っています。言葉の響き、意味の重さ、知の蓄えが、魔法になる……。派手派手しいところのない、じっくりこっくりな読み物です。

     わりと動きのある作品と言えば、大地の震動を止めるため、自ら支えとなる『地の骨』あたりですね。それすら、土や泥や家畜の匂い、生活感あふれる作品です。
     横暴な者が安易にこじ開けた世界の傷口をつくろう技とは、丹念な手作業に連なるものなのだ、というところに、アースシーを読み解く鍵があるのでしょう★ 読み終えたとき、自分が手軽で便利な世界に逃げて、生活の基盤をおろそかにしてきたような気がして、ふと考えごとにふけってしまいます……。

     アースシーの種族や言語、歴史等をまとめた巻末解説も嬉しい☆

  • とても楽しんで読めました。
    ダークローズとダイヤモンドは本編にどう関わっているのかちょっとわかりませんでしたが、それ以外はサイドストーリーのような感じでした。

    「トンボ」はアースシーの風でそれからのことが語られますが、女性が竜になること、アイリアンの最後の言葉の意味を深く考えさせられました。

  • 未読

  • ゲドが生きた時代のはるか昔の物語や、ゲドが活躍した時代と重なる別の人達の物語が、ゲドの存在をチョットだけ閃かせながら5つの短編として収められている。「影との戦い」に始まる4作とは少し赴きが異なり、主人公達のほのかな恋愛感情が盛り込まれていて、魔法使いや魔女がより人間味を帯びた存在として描かれている。これで最後かと思ったら、更に「アースシーの風(ゲド戦記?)」があるんだねぇ。

  • ソフトカバー版

  • 短編集のような形態で、一つ一つは、雑誌などで掲載していたのもを集約したみたいです。詳しいことは、作者さんの前書きや、翻訳家さんのあとがきにあります。ので、そちらを参照してください。(放棄)
     
     一つ一つが、時代前後したり、ちょっとややっこしかったですが(汗。
     内容は
     「カワウソ」→ローク学院の創世記の話です。
     「ダークローズとダイヤモンド」→前巻のアースシーのテーマのように、純愛物です。
     「地の骨」→オジオンの若かりし頃と、その師匠の話です。いままでもちらっとこの話はでてきたよう       な・・・
     「湿原で」→この巻の中で、一番地味〜な話ですが、アースシーの理の感じが一番出ているのではない       でしょういか??ゲドの勲の一つでしょうか??
     「トンボ」→これが、アースシーで初めて出てくるキャラクターのバックグラウンド。なので、アース       シーへの架け橋になる話です。でも、別に、そんなこたぁ無いって感じですけど・・

     そして最後に、作者さんによる、アースシー解説があります。

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著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル・グィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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