聖書の日本語: 翻訳の歴史

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000236645

作品紹介・あらすじ

神、聖霊、天国、洗礼(浸礼)、愛…。日本語という池に落とされた聖書の言葉。そこに広がった波紋を、試行と迷走の翻訳過程に読む。中国語訳から明治元訳へ、そして大正改訳から新共同訳まで、聖書の翻訳が、そのつどどのような意味で文化的な事件であったのかを、具体的に描き出す。中国経由のキリスト教という、軽視しえない一面をはじめ、数々の発見を含む、聖書翻訳物語。

感想・レビュー・書評

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  • 聖書の翻訳の変遷をたどって、日本語と日本文化への影響を説き明かす。とってもオモシロイ。
    聖書の翻訳が進むことで、日本の辞書も変わってきた事実にはちょっと驚いた。
    「愛」って言葉は、昔は賤しい意味で使われる方が多かったのだそうだ。愛欲とかね。尊い意味でも、愛は上級のものが下級のものを憐れむという義であったという。親は子を愛すけど、子は親に孝をつくすのが日本だったわけだ。明治の初期に「人を愛せよ」と説いても、皆んなが面喰らったというから、確かに「はじめに言葉ありき」ではあるよね。

  •  
    ── 鈴木 範久《聖書の日本語 翻訳の歴史 20060223 岩波書店》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4000236644
     
    …… 現代日本語のもう1つの源──人と出来事でたどる聖書翻訳通史.
    日本近代の埋もれた系譜を発掘する.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b261293.html
     
    ♀鈴木 範久 宗教史 19350107 ‥‥ /-2002 立教大学名誉教授
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19350417
     紀田文庫【1】英雄たちの森と人間の海 [紀元前~十五世紀頃]
     
    …… 野の百合は、働かず紡がず。されど神は養い給ふ。/ソロモンの
    栄華、いかに装えど、野の百合の一つだに然かざりき(マタイ伝 6-29)
     文語調ならではの名文に由来して、若き日の有賀博士は長女“のゆり”
    と名づけた。たぐいまれなる命名の傑作である。
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19560101
     然かざりき ↓地デジ ~ さらば、アナログ ~
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20110724
     
    (20170113)
     

  • 私は普段新共同訳の聖書を使っています。時々、その日本語になじまない時もあります。今回、この本を読んで、なぜなじまなかったのか、わかった気がします。特に漢語経由のことばは、「愛」を含めて、語義との乖離がとても気になっていました。聖書の翻訳の歴史を読むことによって、いかに多くの人たちがこの問題と意識的に取り組んできたか、それがおもしろかったです。
    その漢語なのですが、ベースに中国語訳聖書があり、それを意識して使ったのでした。その辺の過程がとてもおもしろかったです。

  • 烏兎の庭 第二部 書評 4.22.06
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/bunsho/sis.html

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著者プロフィール

1935年生まれ。立教大学名誉教授。専攻は、宗教学・宗教史学。著書に、『明治宗教思潮の研究』(東京大学出版会)、『内村鑑三』(岩波新書)、『内村鑑三日録』(全12巻)『日本キリスト教史物語』『近代日本のバイブル』『日本キリスト教史』(いずれも教文館)、『日本宗教史物語』(聖公会出版)、『聖書を読んだ30人』(日本聖書協会)、『中勘助せんせ』『聖書の日本語』『内村鑑三の人と思想』(いずれも岩波書店)など。訳書に、内村鑑三『代表的日本人』『余はいかにしてキリスト信徒となりしか』など。

「2019年 『文語訳聖書を読む 名句と用例』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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