在郷軍人会 良兵良民から赤紙・玉砕へ

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000230308

作品紹介・あらすじ

「国体明徴運動」を主導し、戦前のファシズム体制を代表する組織としてのイメージが強い在郷軍人会。しかし、その実態はあまり知られていない。総力戦にそなえた社会の軍事的再編をも射程に入れた陸軍による組織運営は、地域秩序の中で生きる民衆でもある在郷軍人たちを前にしてどこまで貫徹されたのだろうか。軍隊的価値観と民衆的価値観との間で揺れ動き続けた在郷軍人会の歴史を、日露戦争後の発足からアジア・太平洋戦争敗戦による解体までを通して描く。

感想・レビュー・書評

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  •  在郷軍人会の設立から終焉までの全過程を、在郷軍人と社会との関係の変容を軸に描く。注がなく、参照文献が示されていないのが惜しまれる。

  • 藤井忠俊『在郷軍人会―良兵良民から赤紙・玉砕へ』岩波書店、読了。

    「国民の後援なしには戦争はできない」。1910年に設立され、45年に解体した「矛盾に満ちた在郷軍人会の全貌を描き出す」。誕生と縮小、国体明徴運動を経た拡大を検証。動員と自らの服従の一致は「玉砕」へと至る。

    大正デモクラシーに対し、軍部は軍国主義で対応。その思想が総力戦体制へ進む中で、良民生成が良兵の基礎とされ、学校教育に軍事が入りこむ。最終的には、在郷軍人が玉砕要員となるプロセス(太平洋戦末期の在郷軍人召集兵は350万人)

    著者はこれまで『国防婦人会-日の丸とカッポウ着』(岩波書店)、『兵たちの戦争-手紙・日記・体験記を読み解く』(朝日選書)を上程。民衆の視点で戦争に加担していくプロセスを明らかにしてきた。合わせて読みたい。

    戦前日本の「暴走」は一部の軍国主義者の暴走と「想定」しがちで、総「被害者」の意識が強い。しかしそれはイエスでありノーでもある。強制だけでなく、民衆が自ら追随していくプロセスの検証は必要であり、本書はその一つの見本となる。

    「私が本書で強調したことは,在郷軍人とは民衆そのものであるという一つの原理です」(あとがき).了

     http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0230300/top.html

  • 社会と戦争の関わり方について。
    軍部と民衆を繋いだ組織について。

  • 0131 朝日新聞に掲載されました。

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