戦争って、環境問題と関係ないと思ってた (岩波ブックレット NO. 675)

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  • Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000093750

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  • (「MARC」データベースより)
    ぼくらは「敵」なるものから自分を守ろうとして、自分の住む地球という惑星そのものを破壊しようとしているのだ。戦争、そしてその準備のための軍事開発による環境問題、戦争をカネに変える方法などを取り上げ解説。

  • 『環境教育 善意の落とし穴』に続いて借りてみた。

    ▼ぼくらがコンビニでレジ袋を断っている頃、どこかの戦闘で、町そのものが破壊されている。/ぼくらが省エネのために電気を消している頃、どこかの実験で地球そのものが破壊されている。/ぼくらがリサイクルのために分別している頃、戦闘機は膨大な石油を消費し、二酸化炭素を排出している。/戦争、その準備のための軍事開発を止めずに、何が環境保護だろう。(p.51)

    軍事のために、戦争資金のために、お金が流れている。たとえばアメリカの軍事費捻出のための国債を大きく買い支えているのは日本政府、アメリカの軍需産業にも日本政策投資銀行から多額の投資がなされている。

    ▼口で戦争反対と言ってみても、貯金が戦費に流れるなら戦争が進む。環境破壊も同じだ。(p.54)

    戦争反対、環境が大切といっても、「ちょっとでも利子の高いところが、ちょっとでも配当のいいところが」というお金の増殖を求める行動は、環境を破壊してでも収益を実現し、戦争でぼろい儲けをするプロジェクトが優先させることになったりする。お金の流れを変え、カネではない世界にするためにと1994年に設立されたのがNPOバンク。

    「あとがき」に、ブーゲンビル島で元ゲリラ兵士だったタニスの話が書かれている。この話が心を打つ。ゲリラ組織の部隊長だったタニスは、戦いのなかで「本当の敵は他にいるのではないか」と疑問をもちはじめる。

    まず兵士たちには、相手の軍の「頭の上」を狙えと命じ、敗走するときには「WE LOVE YOU」と書いた。
    次に、敵の兵士を見つけると、笑顔で手を振って、走って逃げるという行動をとった。
    さらに、チラシを降らせて、敵軍に不戦の意志を伝えていく。
    そうして、しだいに殺し合わない状況がうまれ、互いに話ができる状況がうまれた。

    タニスは武器を上官に差し出し「オレはもう女・子どもを殺さない、殺すなら自分でやってくれ」と言い、相手の兵士にも武器を差し出し「オレをその銃で撃ち殺してもかまわない」と言ったという。「なぜ、そこまで」と問う田中さんに、タニスは「オレは平和のためなら死ぬのはかまわないが、戦争で死にたくなかったんだ。臆病だからね。だから一生懸命考えたんだよ」と答えたという。

    このタニスの話を読みながら、『はらっぱ』で読んだ、篠原さんの話を思い出す。自分はヘタレだからと語った篠原さんが、タニスに重なると思った。

  • 戦争にたいしての見方が変わった。
    「べつの次元で起こっているもの」と考えていたし、「悪いのはその国だ」と正当化させようとしていたような気がする。

    けれど、戦争と環境問題のつながりの説明が不十分だと感じた。
    お金の流れの説明は詳しかったが、イメージがしづらかった・・

    軍事費をすべて、途上国のための費用にあてることができれば、世界は平和になるという考えも、根拠が薄くて短絡的に感じてしまう。

    ただ、「戦争をしないために、戦争をする」という矛盾の批判には納得がいった。


    ・「どちらでもいい」という態度で見るのが一番公平な態度だと思っている。原因を負わないから、対策が考えられない。

    ・「リバーベントの日記」
    ・ファルージャの虐殺
    ・BRICs
    ・カーライル・グループ
    ・BBS放送「テロとの戦いの真相」(04)

    ・金儲けの1要因

    ・クラスター爆弾
    ・劣化ウラン弾
    ・バンカーバスター
    ・電磁波爆弾

    ・戦闘機ー人を殺すために開発されたもの。 約8時間で日本人一人が生涯に排出する二酸化炭素を使い終える。

    ・NPOバンク
    ・キャパシタ
    ・ブーゲンビル島

  • 田中優さんの本は難しくなくて、とにかくわかりやすい

    ちゃんと学問と実存が備わってる
    現実対処型

    これだけ人心が荒廃して、地球環境が回復不可能になっているのに
    実存に対処できない学問なんて、一体どのくらいの意味があるんだろう
    と思っていたけど、田中優さんはその隙間を埋めてくれる人だ

    エコとピースを求める人なら、知らない人はいないと思う

    500円の小冊子でとても読みやすいので、おススメ☆

  • 私もなんとなくそんなに関係ないと思ってた。バカでした。ざっくりと現実がどんなもんか(といっても2年前に書かれたもので最新のデータは別なのでしょう)を把握するのに役立ちます。しかし、兵器が環境を破壊しないわけはないし、戦闘機が環境負荷を考えて作られているはずなどない。スペースシャトルを500回打ち上げたらオゾン層が崩壊するとか、ジェット機が飛ぶのに何百リットルものガソリンが数時間で消費され、廃棄ガスに対する処置もないなど、戦争は環境を破壊する。ちまちまと善意でトレイを洗ったり、牛乳パックを干したり、といった努力も少数の兵器や軍事訓練の悪影響で台無しになる。戦争は実際に関係者を殺すだけでなく、汚染物質を空中や地中にばら撒き間接的にも人類を殺すのだなあと思った。もう少し、この件について詳しく勉強(読書)しようと思う。

  • オレは平和のためなら死ぬのはかまわないが、戦争で死にたくなかったんだ。
    http://www.touchingword.net/detail.php?id=947

  • インパクトがあった。
    ブッシュ大統領及びパパブッシュの軍事による金儲けの話が
    分かりやすく書かれてある。

  •  ブックレットなので、すぐ読める内容と
    思っていたのですが、内容が深いので行って戻ってを繰り返して、
    今読み中です。

  • 読んでいて、大国のエゴに腹が立ってしかたがなかった。私も含め、先進国に住んでいる人は、自分のことだけでなく、地球全体のことを考えることが責務だと思う。2008.2-5

  • 【金を見る地図】善悪はひとまず置いておいて世界を見る方法。そこではイラク戦争は石油価格を吊り上げる出来事としてしか認識されない。開戦すれば先物買いで相場を上げ儲ける。戦闘が激化すれば軍事会社の株も上下、そこで使われる武器により軍需産業の株も上下し政治家とコネのある企業の武器が選択される。

    日本でも海外でも環境問題に意識のある人は戦争に比較的無関心であることが多い。
    しかし戦争により発生する環境問題は非常に大きく、
    戦争問題を考えずに環境問題を考えることは自己満足である。
    僕らがコンビニでレジ袋を断っているとき、
    どこかの戦闘で街が破壊されている。
    僕らが省エネのために電気を消しているとき、
    どこかの実験で地球そのものが破壊されている。
    僕らがリサイクルのために分別しているとき、
    戦闘機は莫大な石油を消費し二酸化炭素を排出している。
    戦争、その準備のための軍事開発を止めずに何が環境保護だろう。

    問えば人々は平和が大事だと言う。
    しかし残念ながら、口で言っただけでは絶対に現実にはならない。
    現実になるのは常におカネで表現したことなのだ。
    口で戦争反対と言ってみても貯金が戦費に流れるなら戦争が進む。

    現在の車はリッター20で走るが戦車は200メートル。
    戦闘機は一分飛ぶために900リットル以上の燃料を消費する。
    8時間飛行すると日本人1人が生涯に排出する二酸化炭素を使い終えてしまう。

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著者プロフィール

1957東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和のさまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「apbank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の非常勤講師。著書(共著を含む)に『環境破壊のメカニズム』『日本の電気料金はなぜ高い』『どうして貯蓄が行けないの』(以上 北斗出版)、『非戦』(幻冬舎)、『Eco・エコ省エネゲーム』『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方』『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』『世界から貧しさをなくす30の方法』(以上 合同出版)、『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』(岩波書店)、『地球温暖化/人類滅亡のシナリオ』(扶桑社)、『おカネで世界を変える30の方法』『天然住宅から社会を変える30の方法』(合同出版)、『いますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー 1~3 』『いますぐ考えよう地球温暖化 1~3 』(岩波書店)、『おカネが変われば世界が変わる』(コモンズ)、『環境教育の落とし穴』(大月書店)、『原発に頼らない社会へ こうすれば電力問題も温暖化も解決できる』(武田ランダムハウスジャパン)、『地方論』(子どもの未来社)など。著者ホームページ「田中 優の“持続する志”」 http://www.tanakayu.com

「2013年 『子どもたちの未来を創るエネルギー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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