調査観察デ-タの統計科学: 因果推論・選択バイアス・デ-タ融合 (シリーズ確率と情報の科学)
- 岩波書店 (2009年7月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000069724
作品紹介・あらすじ
情報化社会の進展とともに大量のデータが得られるようになり、また社会科学でも実証志向の高まりから調査研究が盛んに行われている。しかし、「因果推論」を行なう際のデータの偏りや「選択バイアス」を無視してしまうと、いくら大量のデータがあっても真実とは逆の結論が導かれることすらある。本書では豊富な具体例とともに、「共変量情報の積極的な利用」「欠測データモデル」「セミパラメトリック推定」という3つの武器を用いて、偏りのあるデータから正しい推論を行なう方法論を示す。関連して、インターネット調査の偏りの補正や「データ融合」についても詳しく説明する。
感想・レビュー・書評
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そもそもRCTをやれば済む話は多いが,大抵は現実的に困難である。よく行われる「観察研究」は比較的手軽であるものの,その時に生じるバイアスをどうするかが問題となる。本書では,調査観察研究における基本事項についてよくまとまっている。数式はあくまで最小限にとどまっており,事例を交えた記述が多めで読みやすい。ところどころ出てくる前提条件に注意しながら読み進めていくことが重要である。
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定番
初心者のデータ分析本にも「傾向スコア」が出てきて
時代かな時代だね -
3990円購入2010-09-27
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工学などの自然科学では、ある変数に影響を及ぼす因子を操作できることが多いため、実験結果には妥当性が得られる。一方、教育学や社会学などでは研究者が因子を操作することが非常に難しく、また処置群と対照群の間でその群に選ばれた背景が異なるために、単純な比較では妥当な結果が得られない。本書ではそのような状況において、背景情報をうまく利用することにより、あたかも処置群と対照群の選びかたが無作為であるかのようにする手法について詳細に解説している。(知能機械情報学専攻)
配架場所:工2号館図書室,工6号館図書室
請求記号:417:H92 ,61:H:36
◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2002767213&opkey=B153983109614515&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0 -
本書は、統計的因果推論と欠損データを扱った統計解析について主に論じられている。自分自身、統計的因果推論に関する本は何冊か目を通したことがあるが、これほどまでに明快に、しかも網羅的に解説されている本は見たことがない。欠損データの統計解析についても、明快かつ網羅的に書かれており、理解が深まった。また、本書は様々な概念に対し、なるべく多くの実証事例を提供しており、イメージがよりつきやすく、そういった点もとても評価できる。本書で使用されている数学はそれなりに高度なので覚悟が必要だが、総じてとても素晴らしい内容となっており、血肉にするために何度も読む価値がある本だと言える
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ひたすら、統計解析における欠測の話。例えば、処置群と対照群のデータにはない欠測データ(因果推論)や、アンケートにおけるそもそも回答していない群のデータ(選択バイアス)、複数の変数群を組み合わせるときに発生する母数群の違い(データ融合)を、欠測の観測という同じ枠組みを使って考えていく、という流れ。
傾向スコアや共変量調整といった手法を用いながら、理論→具体例という流れがとても分かり易い。理論の細かい証明や式展開は省略されている。具体例は社会科学ネタが多め。
第6章のインターネットアンケート分析では、共変量調整を具体的にどう行ったのかが書かれていてよかった。