著者の前作が面白かったので本書を見つけると直ぐに購入した。
前作の際には著者の「遊び心」を強く感じ、それをレビューにも書いた。著者もまだ若く、
狩猟を「遊ぶ」気持ちが溢れている一冊であったことを覚えている。
前作はその後文庫化され、多くの方が読んだ様子だ。では今回も同様の内容なのだろうか。
結論的に言うと、かなり違った一冊となっている。内容の違いから著者の成熟が見えてくる。
その後も狩猟を続ける中で家族も成し、子供に自然の見方を教える著者の背中は、7年前の
遊び好きの若者のそれとはかなり違ってきている。
一番の変化は、猟師というものへの著者の見方なのだと思う。本作を読むと、著者は
猟師というものを、大きな自然のサイクルの中にきちんと入れこんでいることが分かる。
猟を行うという「人為」も、一歩引いて眺めていると「自然の営みの一つ」であることを
著者は繰り返し語っている。例えば205頁にて著者は以下を言う。
「僕が狩猟を続ける理由はいろいろあるが、そのうちの一つに自然界の生態系の中に
入っていきたい、野生動物の仲間に交ぜてもらいたいという気持ちがある」
ここで著者は猟師という存在も、自然界の一部の「自然な存在」として捉えている。この
ような人間を相対視する見方は、森の中で動物として歩いてきた猟師の経験から産まれて
きている。それを僕はある種の成熟と感じた。
著者は安っぽい自然保護に対して警鐘を鳴らしている。自然を知らない人が無責任に
「自然を守れ」という事に強く反発している。それはとりもなおさず、「本当の自然とは
何か」を突き詰める機会があった著者ならではの意見だ。僕自身は基本的には都市部に
住み、「無責任な」立場にある。であるがゆえに、本書は実に面白い。自分を相対化
することが出来るからである。
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けもの道の歩き方 猟師が見つめる日本の自然 単行本(ソフトカバー) – 2015/9/3
千松 信也
(著)
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『ぼくは猟師になった』で狩猟ブームの先駆けを担った著者、
待ちに待たれた7年ぶりの新刊!
現代社会の隙間を縫うように暮らす。
獲って、さばいて、食べる。
シンプルな暮らしは喜ばしい。
「生活者としての猟師」が今、求められている。
- - -
・昭和の里山は理想郷だったのか?
・人里に動物が出没するのは森の荒廃が原因か?
・自然は「手つかず」が理想か?
・自然はカラダにいいのか?
・猟師は森の番人か?
・猟ができるのは山間部の人間だけか?
- - -
狩猟採集生活の中で練り上げた、現代猟師考。
野生動物たちと日々行き交い、これからの自然を思う、20のエッセイ。
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社リトル・モア
- 発売日2015/9/3
- ISBN-104898154174
- ISBN-13978-4898154175
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商品の説明
著者について
1974年兵庫生まれ、京都在住、猟師。京都大学文学部在学中の2001年に甲種狩猟免許(現わな・網免許)を取得した。
伝統のくくりわな、無双網の技術を先輩猟師から引き継ぎ、運送業のかたわら猟を行っている。
鉄砲は持っていない。08年に『ぼくは猟師になった』(リトルモア)を出版(現在・新潮文庫)。
twitterアカウント = @ssenmatsu
登録情報
- 出版社 : リトル・モア (2015/9/3)
- 発売日 : 2015/9/3
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 272ページ
- ISBN-10 : 4898154174
- ISBN-13 : 978-4898154175
- Amazon 売れ筋ランキング: - 164,797位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 29,280位ノンフィクション (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2015年12月30日に日本でレビュー済み
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2020年8月16日に日本でレビュー済み
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狩猟の事、動物と共存する難しさなど、読まなかったら知らないままだったかもしれない事が沢山あり勉強になりました。
初めから終わりまで飽きる事なく読めました。
買ってよかったです。
初めから終わりまで飽きる事なく読めました。
買ってよかったです。
2016年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
猟友会主催の講習会で頂いた教科書と重なる部分が多かったので☆4としました。前書「ぼくは猟師になった」と比べ、狩猟の意義に気をつかわれた内容でした。狩猟免許とる前に読むと良いかも?
2018年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前著「ぼくは猟師になった」を読み、生身の猟師の普段の生活を知ってほしいという著者の目的が結果、現代に生きる人への問いかけとなっていると感じた。 猟師としての眼から見た現代社会。前著よりメッセージ色が強く出ていて考えさせられます。理想のように語られる昭和の里山は本当に「自然」だったのか?肉を食べていながら殺すことを人に押し付ける気楽さ。その上で「命に感謝」「命は平等」なんて言葉は胡散臭くないか?自然界の生き物はみんな人間が汚した環境でそれを引き受けながら生きているというのに。
言葉だけを抜き出せば痛烈なメッセージが含まれていますが、千松氏の語り口は飄々として肩の力が抜けているため批判めいた感覚は無い。しかし、偽善という薄皮をめくって真剣に耳を傾ける必要があります。
「僕は本当に自然を破壊するのは、森とかかわりもないままに自然保護だ管理だと言っている人たちだと思っている」
世にあふれる似非エコロジスト、似非ナチュラリストたちに捧ぐ。
言葉だけを抜き出せば痛烈なメッセージが含まれていますが、千松氏の語り口は飄々として肩の力が抜けているため批判めいた感覚は無い。しかし、偽善という薄皮をめくって真剣に耳を傾ける必要があります。
「僕は本当に自然を破壊するのは、森とかかわりもないままに自然保護だ管理だと言っている人たちだと思っている」
世にあふれる似非エコロジスト、似非ナチュラリストたちに捧ぐ。
2015年10月10日に日本でレビュー済み
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猟をすることやそれを取り巻く環境について自然体で書かれています。それは猟を生活の営みの一部としている筆者の姿勢の表れでしょう。
2017年12月30日に日本でレビュー済み
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千松さんの文章は、素晴らしい描写で状況がありありと目に浮かぶようです。
狩猟における現状についてや狩猟者の視点で綴られるエッセイは、狩猟に興味を持ったばかりのビギナーにも読みやすくお勧めです。
狩猟における現状についてや狩猟者の視点で綴られるエッセイは、狩猟に興味を持ったばかりのビギナーにも読みやすくお勧めです。
2020年9月17日に日本でレビュー済み
獣というものは時代とともに近くなったり、遠くなったりしながら人間の近くにずっといた
(今もいる)ということがよくわかりました。山林や田園を見て「自然がいっぱい」などと
言う人が多いですが、それは極めて「人工的な営み」を背景にした風景に過ぎず、人と獣は
そういう中に共存していることもよくわかりました。
今年の夏も「獣害」のニュースに事欠きませんでしたが、いろいろな背景やバランスを理解
していないと単純な「駆除」の話にしかなりません。そういう意味で千松さんは正しく伝えて
いくことができる貴重な作家の一人だと思います。
読んでいてあれ?と思ったのが、明らかに獣害は増えているのに、環境省と農林省(確か年々
減少傾向にあるというレポートを出している)で見解を異にしている点。政権も新しくなった
ので、まずはこういう割拠制の弊害から正していって欲しいですねww
(今もいる)ということがよくわかりました。山林や田園を見て「自然がいっぱい」などと
言う人が多いですが、それは極めて「人工的な営み」を背景にした風景に過ぎず、人と獣は
そういう中に共存していることもよくわかりました。
今年の夏も「獣害」のニュースに事欠きませんでしたが、いろいろな背景やバランスを理解
していないと単純な「駆除」の話にしかなりません。そういう意味で千松さんは正しく伝えて
いくことができる貴重な作家の一人だと思います。
読んでいてあれ?と思ったのが、明らかに獣害は増えているのに、環境省と農林省(確か年々
減少傾向にあるというレポートを出している)で見解を異にしている点。政権も新しくなった
ので、まずはこういう割拠制の弊害から正していって欲しいですねww