〔アベル、お前はサタナスを死に導く死神だ。そしてサタナスはお前を呪う悪霊。
悪いことは言わない。別々の人生を歩みなさい。
……そばにいる限り、ふたりの未来は暗黒に包まれる。
寄りあうたび、血と屍臭に満ちた不幸の連鎖は止まらないから〕
書き出しから、ヒターノ(ジプシー)の占い師の予言が不吉に伸しかかり……
物語の通奏低音となって、重々しく禍々しく響き続ける。
十歳の出会い当初、二人を目のあたりにした占い師は慧眼で、アベルに向けて
「そうか、お前は運命の相手に気づいた訳か」とはっきりと。
アベルを護って片目を喪い、生死の境を彷徨ったサタナスを救うべく、全霊をかけてアベルは神に祈る、
〔…家もお金も食べ物も爵位もこの躯も…命もいらない。……だから、どうか彼を助けて。彼の命を奪わないで〕
その願いは聞き届けられ・・
身分差ゆえの隔たりを歯痒く思いながらも、闘牛士という「夢」をともに育んでゆく二人。
↑ きらきらとしたかけがえのない時間で……この序盤部分だけでも泣かせる。。
一途にひたむきにサタナスを想い続け、彼を闘牛士にするために心を配り、ただそのためだけに行動してゆくアベル。
けれど、ヒターノの占いのとおり・「祈りの対価」のように、生まれながらに手にしていたものを失い続けてゆく。
“どんなことをしてでも、サタナスを一流の闘牛士に…”
あまりにも一途で、ひたむきさが切なすぎるアベル。
サタナスが彼を愛すれば愛するほど、守ろうとすればするほど、堕ちてゆき・傷ついてゆく…。
血と惨劇にまみれた不幸の連鎖を断ち切り、禍々しい予言を止めるには、いったいどうすればいいのか?
アンダルシアの濃い光と影……酷暑の昼間にゆらぐ陽炎を瞼の裏に垣間見、
乾いた砂の上を吹き渡る熱風と、枯れた草の匂いを嗅ぎ、
天蓋に振りまかれた豪奢な星空に眺め入る。
(丹念な現地取材の効果で、描写が実にリアルだから、そこから喚起されるイメージも圧倒的☆)
物語世界に没入し、泣きながら、苦悶・煩悶しながら頁をめくり……
二人がついに到達した「答え」に、“これしかなかった” “これで良かったのだ” と納得・共感する。
物語が骨太で重厚。
心理描写が緻密で、臨場感がある。
初読時、ただただ滂沱&感動で、呆然となったものでしたが、
読み返してみるとまた、細かな伏線や「綾」が明瞭に見えてきて、
再び泣かされつつ、納得度を深める。
挿絵がまた素晴らしく……口絵カラーは「神」☆。
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神に弄ばれた恋 ~Andalucia~ (ルナノベルズ) 新書 – 2012/1/7
この命を懸け、愛の証をあなたに捧げる──
互いに惹かれあう闘牛士・サタナスと貴族の御曹司・アベル。だがその身分は口を利く事も許されないほど隔たりがあった。あなたと話がしたい…、切なく無垢なる願いを胸に、光と闇の狭間でふたりの命を懸けた恋が始まる!!
互いに惹かれあう闘牛士・サタナスと貴族の御曹司・アベル。だがその身分は口を利く事も許されないほど隔たりがあった。あなたと話がしたい…、切なく無垢なる願いを胸に、光と闇の狭間でふたりの命を懸けた恋が始まる!!
- 本の長さ275ページ
- 言語日本語
- 出版社ムービック
- 発売日2012/1/7
- ISBN-104896018206
- ISBN-13978-4896018202
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登録情報
- 出版社 : ムービック (2012/1/7)
- 発売日 : 2012/1/7
- 言語 : 日本語
- 新書 : 275ページ
- ISBN-10 : 4896018206
- ISBN-13 : 978-4896018202
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,001,266位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 9,461位ボーイズラブノベルス (本)
- - 65,234位新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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ELENA KATOH
作家
1997年デビュー。
京都市出身・在住。
年に数週間海外を放浪。
代表作
BL
「絵画の王子と真夜中のメルヘン」「人魚姫の真珠」(キャラ文庫 徳間書店)
「皇子と仔猫の愛されっこ」「裸のマタドール」「愛のマタドール」(ディアプラス文庫 新書館)
「蒼の王と真珠姫」「余命半年の僕と千年の恋人」「あなたは僕を愛していない」「地下室のワルツ」「神に弄びれた恋」(クロスノベルス 笠倉出版社)
「シナプスの柩」「サウダージ」「アマンテ」「エルミタージュ」(リンクスロマンス 幻冬舎コミックス)
「白夜に青い花」「クリスマスワルツ」(WH文庫 講談社)
「禁じられたアルファの子」「身代わりアルファと奇跡の子」(シャレード文庫 二見書房)
一般
「寺嫁さんのおもてなし」シリーズ(富士見L文庫 KADOKAWA)
「京都はんなり、かりそめ婚」シリーズ(ポプラ文庫ピュアフル ポプラ社)
「京都祇園キモノ恋物語」(富士見L文庫 KADOKAWA)
コミカライズ及びコミック原作
「身代わりアルファと奇跡の子」(シャレードコミックス 二見書房)
「人魚姫の真珠」「密命」(キャラ文庫 徳間書店)
「ミッシングコード」(リンクスコミックス 幻冬舎コミックス)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全体としてはとてもきれいな状態の本でした。
が、表紙に管理シールが貼られていて、はがれるタイプでしたが、はがしにくいものがありましたので、-1です。
裏表紙にしてくださったらよかったのに。
が、表紙に管理シールが貼られていて、はがれるタイプでしたが、はがしにくいものがありましたので、-1です。
裏表紙にしてくださったらよかったのに。
2012年1月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2人の愛情が深すぎた為と占い師の言葉のせいで、アベルとサタナスは次々に不幸に巻き込まれるのですが、本人達は相手が幸せになる為に、本当に必死で自分を犠牲にしています。
傍目(読者を含む)には、それはもう、お昼のドラマばりの不幸の連続に見えるのですが、当事者たちは自分が不幸だとはちっとも思っていません。
特にアベルは、抜け出せない世界へ平気で入っていき、堕ちる所まで落ちても、サタナスの為にお金や地位を手に入れています。そして、サタナスの幸せの為に自分の思いを殺し、嫉妬を抑え込み尽くす姿は健気です。
幼馴染みのエリィという神父も出てきますが、アベルはある意味、エリィ以上に(精神的に)穢れのない神に近い天使のように見えました。
また、闘牛士は、常に「死」と背中合わせにいる為に、見ている者をハラハラさせ、上手い闘牛をすればするほど人を興奮させるのですが、作者はさすが「闘牛好き」を自称するだけあって、まさに闘牛場にいるような臨場感がありました。踊るように闘牛をするサタナスがカッコイイ!!
凄い世界です。できることなら、一度サタナスの闘牛を見てみたいと思いました。
この話は、いろいろ複雑な伏線も絡み、せつなさ、苦しさ、痛ましさ(これらは、あくまで読者の思いです)も一杯詰まっていますが、2人ともたとえ環境や状況が変わっても、基本の愛情は揺るがず変わっていませんので、読んでいる間中ずっと強張らせていた頬が、読後はホッと緩みます。
暑い国での2人の熱い思い、熱い闘牛・・・
この寒い冬に是非、一読をお勧めします。
きっと温まりますよ。
(追記:朝南先生のこのイラストを「遺作」と呼ばねばならなくなった事がとてもショックで残念です。個人的にもイラスト買いしてしまうほど、先生の絵が大好きでしたので・・・。)
傍目(読者を含む)には、それはもう、お昼のドラマばりの不幸の連続に見えるのですが、当事者たちは自分が不幸だとはちっとも思っていません。
特にアベルは、抜け出せない世界へ平気で入っていき、堕ちる所まで落ちても、サタナスの為にお金や地位を手に入れています。そして、サタナスの幸せの為に自分の思いを殺し、嫉妬を抑え込み尽くす姿は健気です。
幼馴染みのエリィという神父も出てきますが、アベルはある意味、エリィ以上に(精神的に)穢れのない神に近い天使のように見えました。
また、闘牛士は、常に「死」と背中合わせにいる為に、見ている者をハラハラさせ、上手い闘牛をすればするほど人を興奮させるのですが、作者はさすが「闘牛好き」を自称するだけあって、まさに闘牛場にいるような臨場感がありました。踊るように闘牛をするサタナスがカッコイイ!!
凄い世界です。できることなら、一度サタナスの闘牛を見てみたいと思いました。
この話は、いろいろ複雑な伏線も絡み、せつなさ、苦しさ、痛ましさ(これらは、あくまで読者の思いです)も一杯詰まっていますが、2人ともたとえ環境や状況が変わっても、基本の愛情は揺るがず変わっていませんので、読んでいる間中ずっと強張らせていた頬が、読後はホッと緩みます。
暑い国での2人の熱い思い、熱い闘牛・・・
この寒い冬に是非、一読をお勧めします。
きっと温まりますよ。
(追記:朝南先生のこのイラストを「遺作」と呼ばねばならなくなった事がとてもショックで残念です。個人的にもイラスト買いしてしまうほど、先生の絵が大好きでしたので・・・。)
2012年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
俗に運命の女という言葉がありますがアベルは正に、その言葉通りの存在だったのではないかと思います。カルメンのように男を弄び虜にし破滅させるのではなく、ただ純粋に相手を幸せにしたいと願っているだけなのに気がつけば自分も愛する男も取り返しがつかない場所に追い込んでしまっているという。私はスレイヴァーズの柊一もある意味そのタイプだと思っていますが(もっとも、あちらは傾国の美姫と言った方が良いかもしれませんが)スレイヴァーズの二人が、すれ違い傷つけあいながらも手を取り合って明るい方へ光の中へと進んでいくのに対してアベルとサタナスは二度とは抜け出せない闇へと堕ちていくんです。それでも二人一緒なら幸せだと。情熱的だけれど切ない、アベルの想いが愚かしい程に綺麗です。私はこういう物語は好きです。難を言えば後半展開が詰め込み過ぎなので、せめて上下巻にすれば良かったのではないでしょうか。
2013年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いいタイミングで買ったみたい(^-^;中古しかないのに2000円が最安値になってる! 感想としては、ディアプラスのマタドールのシリーズを読んでから手にとってホント正解…。内容というか主人公達の境遇がノベルズだけにヘビーで…胸が痛かったです…。思い合う程に不幸な状況に追い込まれてしまうカップルでした。最近は現実逃避に読書を使ってるのでファンタジーな明るいキャラ達を好んで選んでたのでこんなに辛い状況の主人公達の本は久しぶり…。その分お互いの愛情は濃ゆいけど。特に受キャラの愛情が深くて、自分を大事にしない子なので体のはりかたに苦手なシーンてんこ盛りではありましたが、好きなタイプ。マタドールのシリーズの中では断トツ、ダークな内容なのは間違いなく…。読んで欲しいお話ですが、読まないでおくのもありです。
2013年8月10日に日本でレビュー済み
ええ本当に濃いです、気力体力ともに充実した時にお読みいただけると。
スペインの日差しによる光と影の残酷なまでのコントラスト、闘牛場から主人公たちの人生へと飛散したような、噎せ返る血の匂い。その血の匂いに法悦するスペイン観衆や(報道も含めた)関係者たちの、グロテスクなバイタリティ。
日本ではと言うよりも、地球上でスペイン以外ではけして味わえないだろうこの世界この空気の中で生き、打ち勝ち、幼い日の最も美しい想いを諦めず成就させるには、やはりこの二人でなければ不可能だったのではと思います。
作中では穢れだなんだと謗られているアベルですが、彼の稚さには震えます。自分を丸ごと汚泥のなかに投じる猛々しさは、生まれ育ちが高貴であるだけに、サタナス以上の迫力を感じました。
サタナスも華藤先生の他の一部の攻めさんのように、離れて苦労してる間に身を持ち崩した恋人に幻滅・軽蔑して道具扱いする中にも未練や気遣いを滲ませ、親切ヅラでちょっかいかけてくる邪魔キャラ共との会話の中で真実を嗅ぎ取り、最後にはあり得ないだろな行動力・統率力を発揮して独りぼっちで闘ってきた恋人を救い出し、結ばれます。
自分には何の罪もなかったのに悪意に満ちた企みに目茶目茶にされても、そこにさえ、愛する人のための活路を見出す。それも、自分が穢れたと哀しむ、穢れのなさを持ち続けたまま。先生の他の作品のように、この二人にも当たり前の安らぎはもう二度と掴めません。けどそれで充分なんでしょう。
ひとつ釈然としない点が。作中では神聖とされるもう一人の幼馴染。
間違いなくコイツが一番汚いです。直接手を汚さずいる分だけ余計に生臭いです。
アベルをおとしめながらサタナスに自分を売り込む厭らしさ、厚顔無恥ぶりには恥知らずな悪役の存在感たっぷり。ただ本人だけが自分自身のおキレイさを信じ切って、そんな自分を選ばなかったサタナスを理解できないまま、敗北感を抱えていくのでしょう。あ、そう思えばお似合いの結末か。
他社さんからのマタドールシリーズ、そしてタンゴシリーズに最強無非のシシリアマフィア。スペイン・アルゼンチン・イタリアでそれぞれ地位を確立した彼らが一堂に会する作品を、待ち焦がれています。
スペインの日差しによる光と影の残酷なまでのコントラスト、闘牛場から主人公たちの人生へと飛散したような、噎せ返る血の匂い。その血の匂いに法悦するスペイン観衆や(報道も含めた)関係者たちの、グロテスクなバイタリティ。
日本ではと言うよりも、地球上でスペイン以外ではけして味わえないだろうこの世界この空気の中で生き、打ち勝ち、幼い日の最も美しい想いを諦めず成就させるには、やはりこの二人でなければ不可能だったのではと思います。
作中では穢れだなんだと謗られているアベルですが、彼の稚さには震えます。自分を丸ごと汚泥のなかに投じる猛々しさは、生まれ育ちが高貴であるだけに、サタナス以上の迫力を感じました。
サタナスも華藤先生の他の一部の攻めさんのように、離れて苦労してる間に身を持ち崩した恋人に幻滅・軽蔑して道具扱いする中にも未練や気遣いを滲ませ、親切ヅラでちょっかいかけてくる邪魔キャラ共との会話の中で真実を嗅ぎ取り、最後にはあり得ないだろな行動力・統率力を発揮して独りぼっちで闘ってきた恋人を救い出し、結ばれます。
自分には何の罪もなかったのに悪意に満ちた企みに目茶目茶にされても、そこにさえ、愛する人のための活路を見出す。それも、自分が穢れたと哀しむ、穢れのなさを持ち続けたまま。先生の他の作品のように、この二人にも当たり前の安らぎはもう二度と掴めません。けどそれで充分なんでしょう。
ひとつ釈然としない点が。作中では神聖とされるもう一人の幼馴染。
間違いなくコイツが一番汚いです。直接手を汚さずいる分だけ余計に生臭いです。
アベルをおとしめながらサタナスに自分を売り込む厭らしさ、厚顔無恥ぶりには恥知らずな悪役の存在感たっぷり。ただ本人だけが自分自身のおキレイさを信じ切って、そんな自分を選ばなかったサタナスを理解できないまま、敗北感を抱えていくのでしょう。あ、そう思えばお似合いの結末か。
他社さんからのマタドールシリーズ、そしてタンゴシリーズに最強無非のシシリアマフィア。スペイン・アルゼンチン・イタリアでそれぞれ地位を確立した彼らが一堂に会する作品を、待ち焦がれています。