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ビッグ・ファーマ 製薬会社の真実 単行本 – 2005/11/30
科学妄信とトップ・ジャーナル信仰は歪んだ宗教か?
京都大学医学部付属病院探索医療センター検証部教授
京都大学医学部附属病院外来化学療法部部長
先端医療振興財団臨床研究情報センター研究事業統括
福島 雅典
医学は依然として確率の科学である。ほぼ過去半世紀の間、
人類は科学的-統計学的な方法論を用いて、医学の確実性を
高めるための努力を続けてきた。そしてただ科学的に誠実に
研究を行うことだけが、医学の学問としての地位を高めてき
た。しかしながら、本書に描かれている米国の医学研究の実
態は、公正な学問であるべき医学への社会からの信頼を失わ
せるに十分であり、戦後米国医学が世界をリードし続けてい
ることを考えると、医学がその存立基盤が根底から脅かされ
つつあることを憂慮せざるをえない。
病気についても、人間の成り立ちについても、我々の知る
ことはまだ僅かである。古来、人類は病いを通じて自然を畏
怖し、癒えるを以って自然の知恵に感謝したのではなかった
か。しかし、本書に描かれている医師や製薬産業の姿は、傲
慢にも社会を欺き、生命を冒涜しており醜悪そのものである。
医学を司る者が神を演じようとすれば、医学的災害が生じる
のは当然である。
わが国において薬害は後をたたず繰り返され、悲しむべき
ことにいずれも科学的不正という人災により被害が拡大した
ものである。科学者の不誠実な行為が果てしない退廃と荒涼
を社会にもたらすことを我々は十分に経験してきた。歴史か
ら学ぶことができない者に、未来はない。言うまでもなく、
科学的根拠に基づく医療が成り立つには、まず、公正な医学
研究が行われ、その成果が公正に社会に還元されなければな
らない。本書は、医学研究が人間の都合で歪められ、正しい
結果が得られていないという現実を暴き出す。医学研究にお
ける科学的非行が頻発し、医療への信頼が失われる。あるい
は、科学的に質の保証されない情報がマスメディアを通じて、
日夜、きわめて巧妙に人々の目に耳にすり込まれる。医薬品
の開発と販売はしっかりと市場メカニズムに組み込まれ、皮
肉なことにとうとう、新薬のコストは家計で賄える限界を越
えてしまった。あまっさえ、本来は人間が創り出すことなど
あってはならない病気という需要が人為的に創出されさえも
するのだ。そしてついには医療不信から、安心と納得を求め
て医療漂流民が続出する。これは他国の話ではない。わが国
の現状でもあるなのである。
科学はもはやかつてのそれではない。科学はビジネスと結
びつき、その水面下では熾烈な特許戦争が繰り広げられてい
る。今や販売戦争を勝ち抜くため研究結果を権威づける手段
として世界中から競って論文が投稿されるトップ・ジャーナ
ルは、ビジネスの僕と化しつつあるのではないか? モンス
ターのごとく肥大化した科学を奉じる共同体は、すでに善意
によって制御しうる域を超えている。哲学のない科学は狂気
(凶器)である。科学を妄信しトップ・ジャーナルを崇める
状況は、何か、歪んだ宗教とでもいうべき様相を呈している。
こうした医学研究を取り巻く狂気の渦から逃れ、真実に照
らされる正しい未来への道を拓く方法はあるのだろうか?答
えは単純である。我々の目指すゴールが何であり、何を信じ
るのか。すなわち、真実を知り、妄信の生成されるメカニズ
ムを知ることによって、洗脳を解くことである。本書は著者
のそのような使命感によって執筆されたものである。
本書がニューイングランド医学雑誌の前編集長の手による
ものであるということに、欧米の社会に息づくノブレス・オ
ブリージュの伝統を強く感じる。医学研究の公正さのために
真実を語り続けてきた著者の勇気と、それを支える人々に、
また、本書の重大性に気づき、完訳された栗原千絵子、斉尾
武郎両氏に、深く敬意を表したい。
- 本の長さ335ページ
- 言語日本語
- 出版社篠原出版新社
- 発売日2005/11/30
- ISBN-104884122623
- ISBN-13978-4884122621
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
製薬ビジネスにかかわるすべての人に読んでもらいたい書籍が登場した。副題が「製薬会社の真実」とあることから、本書をいわゆる暴露本ととらえる人もあるかもしれないが、その主張のほとんどはしっかりとした根拠に基づいている。著者のエンジェル氏は、医学雑誌The New England Journal of Medicineの前編集長。タイム誌が、米国で最も影響力のある25人に選んだこともある人物だ。掛け値なしに一流のジャーナリストである同氏が、「製薬企業は不誠実で狡猾だ」と全力を挙げて告発するために著したのが本書である。
「製薬業界の技術革新力が特に優れているわけではない。重要な薬の多くは、公的研究やバイオテク企業から生まれている」「製薬企業は薬が良く効くように見せかけるため、臨床試験に細工を施している」「薬の開発に多額の資金が必要だというのは嘘で、ほとんどはマーケティングにかかる費用である」などその内容は刺激的である。
ただし、著者が“悪”と断じている行為は、業界にとってはどれも当然のものばかりだ。実際、製薬企業向けのセミナーでは、法の網をかいくぐって特許期間を半年でもいいから延長する方法や、ゾロ新薬をピカ新に見せかけるマーケティング手法が人気を呼んでいる。それだけに、製薬業界がこの本にどう反論するかが興味深い。
(日経バイオビジネス 2006/01/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
出版社からのコメント
そこにもたらされる巨額の収益。
事実に基づいた明確な分析で製薬業界の隠された実態に迫る。
全米で話題騒然、待望の書、ついに邦訳なる。
抜粋
レッツ・ビギン!――改革は真実を見極める眼
と語る言葉から始まる。
本書「ビッグ・ファーマ――製薬会社の真実」の著者マー
シャ・エンジェル氏は、ネイチャー、サイエンス、ランセッ
トと並び世界の医学界でも最も権威ある雑誌のひとつ、ニュ
ーイングランド医学雑誌(NEJM)の前編集長である。そ
の人がいわば、「医学研究はどれもこれもウソっぱち。医学
者は製薬会社のいいなり」「今の新薬はどれもこれも“効か
ない”“高い”“工夫がない”」と、本書の最初から最後ま
でフルスロットルで口を極めて糾弾し続けているのだ。世界
の医学・新薬開発研究の最高峰である、アメリカを目指せ!
と日本の研究者も製薬会社も口を揃えているというのに。有
名医学雑誌の編集長という仕事は、厳選された質の高い医学
研究を世界中に向けて発信し、医学界をリードする医学の守
護神のはずだ。その医学の守護神が、こんな奴らは信用なり
ませんよと、医学界、製薬業界、臨床医たちを激しく追及す
る。これは驚くべき、危機的状況だ。
以前に監訳者らは米国内科学会 (ACP)のフラッグシ
ップ誌、アナルス・オブ・インターナル・メディスン誌の編
集長、ハロルド・C・ソックス氏にインタビューした。その
とき驚いたのは、ソックス氏がアメリカで内科医・医学者と
して功成り名遂げた後に、医師としてのキャリアの仕上げと
して医学雑誌の編集をフルタイムの仕事とし、後進の指導に
使命感を持って全力で取り組んでいるということだった。そ
れほど医学の根幹を形作る誇り高い仕事なのだ。本書でエン
ジェル氏が医学界の現状を憂い、製薬業界を諌めているのは、
実は驚くほどのことではなく、その生涯を捧げた仕事に忠実
だからである。だからこそ、タイム誌はエンジェル氏をアメ
リカの最も影響力のある25人の中の1人に選んだ。
本書に描かれた医学界や製薬業界の問題の数々は「病める
巨人・アメリカ」を象徴している。しかし、本書の内容の裏
づけとなっている数々の新聞記事や市民運動団体による重厚
なレポート(その多くは、日本からでもインターネットで閲
覧できる)を読むと、この国のダイナミズムを感じる。日本
ならばマスコミの自主規制や業界内部の締め付けにより決し
て表に出るはずのない情報が、かの国ではさまざまな立場の
書き手がさまざまな調査・取材を行い、隠し隔てなく社会に
向けて発信される。そしてそれを支持する市民がいて、真正
面から問題を受け止める責任ある立場の人々(エンジェル氏
もその一人)がいる。本書で指摘されたアメリカの医療の問
題は、社会にこのダイナミズムがある限り、必ず解決される。
翻って日本はどうか。「物言えば唇寒し」の伝統があって、
改革とは名ばかりで、社会にはどんよりとして沈うつな諦め
モードが漂う。医療政策を決定する政府の会議でも、最初か
ら最後まで沈黙している委員が席を占めている。役人の決め
た筋道に強く異を唱えれば、必ず「パージ」される。医学界
ではすさまじい言論弾圧がまかり通っていることを、医学界
の外にいる読者の方々はどれほどご存知だろうか。日本の医
学・医療の世界は、本書に描かれたアメリカとはまた違った
形で、歪んでいる。そしてそれを改革していくダイナミズム
が全くない。
そろそろ目を覚ましてはどうだろうか。世界に冠たるアメ
リカの医学が本書に書かれているような状況ならば、日本が
心機一転して改革を推し進めれば、世界をリードできる可能
性もあるのではないか。しかも、エンジェル氏が解き明かし
てくれたように、正真正銘のピカピカの新薬を開発するには、
お金をくだらない宣伝や無駄な飲み食い、時間を浪費するだ
けの馬鹿げた研究会に使わず、本当に研究に必要な金額だけ
を使えばいいのだ。「薬の開発に8億ドル(800ミリオン
USD)かかるなんて、ウソ八百。1億ドルあれば薬はつく
れる」。これは素晴らしいメッセージだ。宣伝費を開発費の
計算から排除して戦略を立て直せばよいのだから。あるいは
我々には、医学の進歩にあまり大きな期待をせず、効果の確
かな薬を着実に使いこなしていくという選択肢もある。アメ
リカも日本も、わけも分からず医学研究のバブルに踊り、少
しも人間を幸福にしないという時代は、もう終わりにしよう。
それは決して難しいことではない。「真実」を見極める眼力
と、それを語る言葉と勇気さえ養えば、「勝負あり」なのだ
から。
監訳者らがエンジェル氏の言論に最初に注目したのは、1
990年代半ばにアメリカ・フランスなど先進国が計画して、
アフリカ・アジアなどの開発途上国で行われたエイズ感染予
防の医学研究を「非倫理的な人体実験」であると糾弾した氏
の論説であった。薬を与えるグループと与えないグループに
分けて薬の効果を比較する、という試験だったからである。
現在、製薬会社の特許が世界のエイズ治療を阻んでいる状況
の改革を目指す活動家らによるメーリングリストを通して本
書の刊行を知り、瞬間的に翻訳出版を決意した。その後も本
書は世界の各所で話題に昇り、刊行から1年ですでに古典と
しての地位を獲得している。
巻頭の推薦文をご寄稿いただいた福島雅典教授は、エンジ
ェル氏にも匹敵するほどに、医師・医学者の立場から医療改
革と医学研究の公正さを求める鋭く厳しい言論と実践活動を
続ける、日本では類い稀な論客である。
篠原出版新社の井澤泰氏は、同社の「患者のための医療」
誌を創刊した名編集者である。訳者四4人は、高度情報化社
会を背景に患者中心主義の医療を実現するため前世紀の末に
産まれた「根拠に基づく医療」(EBM)の普及活動を通じ
て結ばれた盟友同士である。本書が広く読まれ、難題が山積
される日本の医療の改革に役立つことを願ってやまない。
2005年9月11日 言論による変革を祈念しつつ
栗原千絵子/斉尾 武郎
著者について
現・ハーバード医学校社会医学科上級講師。
医療政策・医療倫理の高名な権威であり、医療システムに関する歯に衣着せぬ批評でも知られる。タイム誌は氏をアメリカの最も影響力のある25名の中の1人に選んだ。
ボストン大学卒、内科と病理学を修め、認定病理医。2000年までニューイングランド医学雑誌編集長。肩書きは、医師(MD)、米国内科専門医会フェロ(FACP)、ハーバード医学校社会医学科上級講師、米国内科医協会会員、米国科学アカデミー医学研究所(NASIOM)メンバー、アルファ・オメガ・アルファ全米名誉医師会会員、米国内科専門医会マスター(MACP)。
登録情報
- 出版社 : 篠原出版新社 (2005/11/30)
- 発売日 : 2005/11/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 335ページ
- ISBN-10 : 4884122623
- ISBN-13 : 978-4884122621
- Amazon 売れ筋ランキング: - 189,240位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,024位医学・薬学・看護学・歯科学
- カスタマーレビュー:
著者について
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
New England Journal of Medicine
の編集長である著者が書いたという事は
重く受け止めるべきだと思います。
この本はわかりやすく読みやすかったです。苦しく頭が働かないなかで、デイヴッド・ヒーリーの「抗うつ薬の功罪」や「抗うつ薬の時代」はそれぞれ読むのに3ヶ月もかかりました。でも「ビッグ・ファーマ」は1週間くらいで読めました。ベンゾジアゼピンの薬害にはあまり関係ないかもしれませんが、SSRIの薬害にとても深く関係している大きな構造が、これらの本を読み終わられましたら、かなりの部分をおわかりいただけるのではないかと思います。すごい本でした。本書の舞台はアメリカですが、巨大製薬会社はグローバル企業であり、日本で販売されている薬にとても深い関係があります。また事情の違いはあるとしても、日本にも似たような問題があると思います。私達の薬害の解決のためにも本書は是非お読みいただきたい本の一つです。
マーシャ・エンジェルさんは大きな問題に対して、以下の方法を提案されています。詳細なニュアンスは是非本書から読み取られてください。日本でも真剣に考慮され実現していくことを願っています。
1.製薬会社が作り出しているのはゾロ新薬ばかりで、画期的新薬は少ししかないこと
ゾロ新薬から画期的新薬へ
特許法を本来の目的に沿った形で活かすようにすべきだ。米国食品医薬品局(FDA)は、新薬の承認申請に新薬とプラセボとを比較したデータだけでなく、新薬と既存の薬とを比較したデータの提出を求めるべきである。新薬の承認は、申請された新薬が既存の薬と比べて、よりよく効く、より安全で副作用が少ない、相当に利便性が増す、などの場合に限って与えるべきである。
2.米国食品医薬品局(FDA)が本来は規制する対象であるはずの製薬業界に隷属してしまっていること
米国食品医薬品局の立場を強めよ
処方薬審査料法を廃止することだ。FDAに対する国の予算を増やすべきである。FDAの諮問委員会のメンバーには、製薬業界と金銭的な関係のある専門家を入れてはならないであろう。
3.製薬会社が自社の製品が関係する臨床試験に干渉しすぎること
臨床試験を監督する機関を作れ
もはや製薬会社に自社の臨床試験を任せておいてはいけない。すでに製薬会社が実施主体となって行う臨床試験では、製薬会社に有利な結果が出やすいことがはっきりと分かっている。臨床試験が真に医学的な必要性がある場合に行うようにし、臨床試験が正しくデザインされ、正しく実施され、正しく報告されているかどうか監督するために、米国国立衛生研究所(NIH)内に「医療用医薬品臨床試験研究所」なる機関を設置し、処方薬の臨床試験を管理させてはどうだろうか。製薬会社には収益の一部をこの機関に拠出することを義務付けるが、その拠出金の使い道を特定の薬のために限定しないようにするのである。データはNIHと研究者の共有財産とし、製薬会社の干渉を排除するものとする。ただし、学術機関が臨床試験を行うとしても、その機関やその機関に所属する研究者たちに金銭的な利害関係のないことが決定的に重要である。また、「医療用医薬品臨床試験研究所」の顧問となる専門家にも利益相反はあってはならない。臨床試験で新薬に不利な結果が出ても、その結果が隠されることもなくなるし、新薬に有利な点を強調するようデータを操作することもなくなるだろう。あらゆる臨床試験が公に登録され、その結果は誰でも閲覧できるようになる。
4.特許や排他的販売権の期間が不必要に長く、いかようにも延長できること
独占販売権を制限せよ
ブランド薬の排他的販売権の有効期間は長すぎるし、あまりにも簡単に延長できすぎる。製薬会社は新薬を競争相手から守るために臨床試験を開始する前に特許を取ることができるが、薬がFDAの承認を受け、市販されてから特許機関が始まるようにするということである。現在は薬の特許期間は特許が登録されてから20年間だが、これを例えば市販されてから6年間という具合に変えるのだ。小児で臨床試験を行うと、製薬会社の実質的販売権が6ヶ月間延長されるという法律は廃止すべきである。ハッチ・ワックスマン法の抜け穴をふさぎ、排他的販売権を何年間もは延長できないようにすべである。
5.製薬会社が自社の製品について、医師の教育に干渉しすぎること
ビッグ・ファーマを医師の教育から叩き出せ
ビッグ・ファーマが医師を教育しているなどという絵空事はそろそろやめてもらいたい。医師会は医師の教育に全面的に責任を持たなければならない。製薬会社の講演する教育プログラムや製薬会社の作った教材任せにせず、医学部できちんと薬についての教育を行うこと。製薬会社の医薬品情報担当者が我がもの顔で院内をうろついて、商品を売り込んだり、医学生や研修生にプレゼントや食事を提供するのを許してはならない。製薬会社お抱えの医学教育業者は存在すべきではない。医師会が生涯教育に責任を持つべきだ。各医学会は自活すべきである。消費者向け直接広告はアメリカ以外の先進国で禁止されているように、アメリカでも禁止すべきだ。
6.研究開発、広告宣伝、薬価算定に関する情報が公開されていないこと
ブラック・ボックスを開けよ
ビッグ・ファーマがこれまで大衆をうまく騙しおおせてきたのは、その著しい秘密主義のおかげである。製薬会社は他の仕事とは違い、その仕事の多くを国家の優遇政策に頼っている。NIHの資金で行われた研究を利用したり、長期にわたって薬の販売を独占したり、さまざまな税制上の優遇措置が得られたりするのは国の制度のおかげであり、利益をほぼ保証されているのだ。公益事業とみなすべきであり、帳簿は公開すべきだ。製薬会社が実際に研究開発に費やしている金額がどのくらいなのか明らかにして欲しい。「マーケティング・運営管理費」と呼ばれている巨大なブラック・ボックスも中身を明らかにしなければならない。
7.薬価が高すぎること、不安定なこと
薬価は適正かつ全国共通にせよ
処方薬の最大の買手は政府なのだから、他の先進諸国の政府がやっているように、アメリカ政府も皆のために薬価の交渉をしたり、規制したりすればいい。2003年の時点で、アメリカの製薬大手10社の利益の合計は、フォーチュン500に入っている他の企業の利益の合計よりも高かったのだが。メディケア処方薬給付法でははっきりと、各メディケアがその購買力を背景に薬価の値下げ交渉をするのを禁じている。メディケア改革法は廃止し、政府が製薬業界と薬価交渉したり、適切な償還医薬品リストを使うなどといった単純な方法を用いて、メディケアの受給者全員に薬の費用を償還するようにすべきである。
ちょっと、右左寄りな主張ありますが、
かなり、深く学べました。
私も最近かかりつけの医師にコレステロール値が高いということで、スタチン剤を勧められて飲んでいましたが、医師にこの薬を飲むことが本当に必要なのか、また、一生飲まなければいけないのか、飲まなかった場合に考えられる結果、また飲んだ場合の副作用について尋ねることはしませんでした。お医者さんに怒られそうで、怖かったからです。
ネットを通じていままでなかった情報に触れるようになり、どんな分野でも「お上の言うとおり」していればいいという気持ちは捨てなければと思いました。自分で考えて行動しなければ、つけは自分に回ってきます。
一個人がビッグ・ファーマに立ち向かうことは困難ですが、自分のもらっている薬が本当に必要なのか、調べたり、尋ねたりすることから行動を起こそうとこの本に勇気づけられました。
マーシャさんのビデオ(1時間くらいあるけれどずっと見入ってしまいました)は、YouTubeにもあり、この本を読む前に見ました。読んだ後でも見るとより理解が深まると思います。キーワードは「Big Pharma」でした。
2006 Ridberg - Big Bucks, Big Pharma, Marketing Disease and Pushing Drugs
http://www.youtube.com/watch?v=GjgV4JECMh4
コストの面から多大な文献を基にして鋭く解説されています。
薬事法の絡みから、日米で差はあるものの、
これから業界としてどうすべきなのか、真に人々により良いQOLを提供するために
どうすべきなのか等、指針が提示されている点、素晴らしいと感じました。
ただ、製薬企業にも良い面はないのでしょうか?
批判的解釈ばかりが目立っていて、本当にその解釈で良いのか?と疑問に感じてしまいました。