「幸福ということを、政治家が定義して考えてくれたら、良い政治に繋がるのでは」(販促動画から)
本書は、著者の和田さんから小川淳也議員への、こんな問いかけから始まっている。
GDPは世界3位で、物質的に満たされているはずの日本人の幸福度ランキングは、62位である。
「幸福でない、幸福感を得られていない」 というのは、つまり "欲求が満たされていない" という意味だろう。
アメリカの心理学者マズローが提唱した、『欲求五段階説』という「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものがある。
(1) 生理的欲求
生きるのに必要な最低限のものを満たしたい
(酸素、飲食物 など)
(2) 安全の欲求
自分のいる枠を持っていたい
(家、法律、保険、制度など)
(3) 所属と愛の欲求
どこか(誰か)に属したい
(家族、会社、グループなど)
(4) 承認の欲求
他者から認められたい、自分を認めたい
( [他者] 評判、地位、名誉など / [自己] 習得、達成、熟練など )
(5) 自己実現の欲求
自分の理想像でありたい
(自分のための夢を叶える/ 世のため人のための志を遂げる)
(1)〜(5) の優先順に並んだ欲求は、低いものから順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れる。
そして、どの階層の欲求に取り組んでいるかと、その人の心身における健康度は比例する。
また、人間は欲望を持つことを悪いことだと捉えがちだが、マズローによると、人間が一定して持つ基本的欲求から生まれる欲望は決して悪ではない。
欲求を抑えるよりも引き出して満たした方が、より健康になり、より生産的になり、より幸福になることができると考えられている。
この理論を基にして、小川さんの考え方と生き方から学んだことを軸に、それぞれの欲求順に「どうすれば幸福になれるのか」 を私なりに考えてみた。
(1) 生理的欲求 (2) 安全の欲求
「日本は富んだ国になりました。でも本当の意味の豊かさを実感できる国なのか、夢や希望に満ちた国なのか、今考えさせられています。 いくら物が豊かになっても、他の大切な”何か”が犠牲にされ、抑圧されたままだったとしたら、私たちは幸せにはなれないんですね。もちろん物が大事じゃない訳ではありません。基本的なもの(衣食住)が満たされることは、人間の幸せにとって、とても大切な要素だと思います。
でも、やっぱりそれだけじゃない。人の幸せはたぶん100%主観的なもの。誰かがあなたの幸せをこうだと決めつけるようなものではありません。だから大切なことはあなたが幸せと思える生き方を自由に選べる広い選択の幅、そしてお互いがそれを認め、尊重し合える懐の深い価値観、この二つが満たされた社会にして行く必要があると思うのです。そしてその選択には自己責任が伴うということも、あわせてみんなが了承しなければいけないと思うのです。
いろんな要素をバランス良く整えて幸せに生きるために、いろんな選択肢から自分の好みや感じ方を大切にして、自分らしく生きていくことが実現しやすい社会。私はこれから社会のあり方を考えるとき、全ての価値判断の軸に、経済成長や豊かさではなく、抽象的ではありますが、”人の幸せ”を増やすのか、減らすのか、このことを軸に考えていきたいと思っています」 (ホームページから)
『経済成長』から『生活保障』へ。小川さんは、生理的欲求と安全の欲求をまず全国民が満たせるよう、簡潔に言うと生活保障の中核には、全国民が無償で利用できる医療・介護・教育・福祉などの "ベーシックサービス" と、最低生計保障のための直接現金給付 "ベーシックインカム" を据えることを目指している。
これから日本は何を目指していくべきなのか。
「ポスト資本主義」も「脱成長」も「SDGs」も「多様性」も、これを一言で表すとしたら"成熟"である。共産主義も資本主義も未熟なのだ。
では、人間にとって成熟とは何なのか。どういった状態を指すのか。
幸福な人を増やすために問われているのは、この一点である。
(3) 所属と愛の欲求
本書には人間愛についてや人間性、またお金に関することについての記述があったので、私が日頃考えていることを書きたい。
まず、愛とは何か。
私は今のところ「愛とは円 (まるの形) である」と抽象的に考えている。
愛という円があって、その円における縦の直径が 「情」 で、それと直角にクロスする横の直径が「優しさ」であり、円の上半分が 人を喜ばせたり楽しませて "笑顔"にしたいという気持ちを表す 「親切心」で、下半分が 何かをしてもらってありがたいと"感謝"することによって得られる「同情心」を指す。
その人に情があるかどうかは縦の厚さ(篤さ)で測られ、優しいかどうかは横の広さで測られる。
そして、情の厚さと優しさの広さを掛け合わせた面積が、心の「あたたかさ」だ。
人間の「あたたかさ」の面積は、最初は小さなひし形である。
円の中心に近い、家族や友達など自分にとって大切な人へは同情心と親切心があるので、縦軸の「情」の幅はある程度深くて厚いが、子どもは想像力がなくて冷酷なので、横軸の「優しさ」の幅は狭い。
だが大人になるにつれて、自分にとって価値がないと思っていた人や動物、地球環境などに対しても、勉強したり社会に揉まれて経験したりすることによって、寛容になれたり理解できるようになって優しさの幅が広がっていく。
性格・人柄・人間性 という言葉も曖昧に使われているので定義したい。
まず「性格」 は品性とキャラクターを指す。
「性格が良い」 と言うことがあるが、性格には良し悪しはなく、明るいとか穏やかだ とかのあまり対人に関係ない個人の性質を指すと思う。
「人柄」 は、情の幅である同情心と親切心がどのくらい厚いのか、恩・義理・人情に篤いかが問われるので、人柄には良し悪しがある。
「人間性」 は、優しさの幅がどのくらい広いのか、より多くの人に寄り添って、思いやり、寛容できるのかが問われるので、人間性には "優れているか、劣っているか" がある。
そして「愛」とは、感動でもある。
「笑顔×感謝=感動」 なので、この「感動」を指すものは、お金(経済活動)、スポーツ、芸術であると思う。
感動することは、無条件で愛そのものである。
スポーツや音楽、美術は人々を楽しませ 「私たちはもともと一つであった」ことに感謝させられ、心を動かしてくれる。
また「なぜお金を稼がなければならないのか」 と聞かれれば、法律云々を抜きにすると、お金は感動だからである。愛とは円の形であり、「円」でもあるのだ(笑)
お金は多くの人を笑顔にするし、感謝もしてもらえる。
だから、お金を稼ぐのは一面的には尊いものである。
お金で経済を回したり、スポーツや芸術によって人を感動(笑顔と感謝)させること。
それ以外にも、目の前の人に深く同情したり親切にするのに加えて、慈善・奉仕活動をしてより多くの人に広く同情したり親切にしたりすることで、情と優しさを掛け合わせた あたたかさ の面積を広げて、中心からひし形に、そして愛の形の円に向かって限りなく広げていこうとすること。
これこそが、根源にして最終的な人間の生きる目的である。
残念ながら、人はすべてのことには涙を流せないし、すべての人は救えない。
それでもなお、よりあたたかくなるために、自分自身が強くなり、勉強しなければ、より多くの人や、ひとりの人をより深く笑顔にしたり、感謝してもらったり、感動させられない。
私たち一人ひとりが「つよく・さとく・あたたかく」なるのをどこまでも目指すことが、自分を含めたすべての人の 所属と愛の欲求 を満たす一番の方法である。
「私の強みは、学生のとき、もっと言えば小さい頃から、わき目も振らずにひたすら日本のことを考えてきたので、役所時代も政治の道に入ってからも、ずーっと考えていました。
ずーっと毎日毎日朝から晩まで、寝ても覚めても、いまの日本社会の何が問題で、いったい日本社会をどうすればいいのか、この矛盾や閉塞感から多くの人々が解放され、本当の意味で自由になり、安心して暮らすことができて、そして互いに互いを支え合い、必要し合えると実感できる社会はどうすれば築けるのか。オタクです。日本を良くしたい、日本社会を信頼に足る、生きるに足る、苦労し合うに足る、そういう社会にしたい。一途にひとえにそのことだけを考えて、そのことだけに没入してここまで来ました」
(小川さんはどうして、それほど世のため人のために一生懸命になれるのですかという質問に対して)
「私は30年近く『この国をどうしたらいいのか』と常に考え続けてきました。自分でもどうしてこんなに必死なのか分からなかったのですが、『大欲は無欲に似たり』という言葉に出会ったとき、何となく腑に落ちたんです。私は一人でも多くの人が矛盾や葛藤を乗り越え、お互い一緒にいられることを喜び合えるような社会を見てみたい。政治家と国民が信頼し合いながら、力を合わせて力強く歩んでいく日本を見てみたい。それが私の "欲" なんでしょうね。もしかしたらそれは、私が誰よりも強欲な人間だということなのかもしれません」
小川さんも、自分でその事が疑問だったのだろう。「大欲」という言葉に出会って腑に落ちたという。
では、小川さんにはなぜそこまで突き動かされるような「大欲」があるのか。
それは私なりに解釈すれば、
小川さんが、普通の人の何倍も…。
いや、おそらく誰よりも弱い方、つらく苦しんでる方に深く深く深く、同情するからだ。
「コロナの90万人の感染者と、1万5000人の死者の冥福に応えるには、日本の政治を変えるしかないじゃないですか。あれで大きく有権者の当事者意識が変わって、あれをきっかけに大きく政治が変わったということをもって弔うしかないじゃないですか。ほとんどが政治責任なんですから」
「小川さんと本のことで少し話をした。そうしたら『これは最低賃金の方が買うことが出来るだろうか?』というので、『図書館でリクエストしてもらえたらいいです。私もお金のないときはそうします』と答えた。そういう風に思いやってくれるのが小川さんらしいと思った」(著者)
小川さんが涙を流すのは、決まって弱い立場の方の話になった時だ。
同情心と親切心は相関関係で、ある程度比例する。深い同情心がなければ、分厚い親切心は湧いてこない。
愛の下半分で満杯になった同情心はマグマのように親切心として溢れてくる。
では、その同情心はどうやって養ったのか。
小川さんが人としての型式、ある程度生まれ持っての素質として 「情」のあるタイプであることに加えて、両親からの教育や、兄弟で協力して家事を分担していたこと、高校野球でのチームプレイ、大学時代のバイト、官僚、政治家になっていく過程において「しこり」のように積み重ねてきたのか。それもあるだろう。
だが、小川さんの同情心は理屈で説明できないレベルだと思う。
そもそも核家族化や、近所付き合いもなくなり、デジタルネイティブが増えてきて、情が育まれなくなってきた現代において "ある程度" 情がある人でさえ、私の周りを見渡しても少ないな と感じる。
「なぜ君はそこまで人に同情できるのか」
それは…もう…
君が主人公だからであろう。
もっと言えば、君のお父さんがラジオから聴いたように日本を救う子として、神に選ばれているからだ。
国会議員で一番安いアパートに住み、清貧を貫いている理由もここにあるのだろう。
こんなにも世の中につらく苦しんでいる人がたくさんいるのに、なぜ自分が私腹を肥やすことができるのかという同情心、もっと言えば罪悪感のようなものがあるのではないか。
さまざまな形でたまたま恵まれずに苦しんでいる人に対して、常人には真似出来ないぐらい深く同情してしまうのだ。
小川さんは、たとえ民間人であっても清貧を貫いていたに違いない。
また本書を読んでいても、何を聞いても一から十まで整理整頓されたビジョンと政策の考えが返ってくる小川さんの頭の良さに改めて驚かされた。
だが私は、小川さんの一番の才能は同情心だと思う。
小川さんぐらい頭の良い人は他にもいるだろうが、小川さんぐらい頭の良さと同情心を兼ね備えた人はいない。
おそらく自分の気分を害するほどあまりに同情するので、この気持ち悪さをなんとか解消したいと思うから、ここまで つよく(強気で努力して忍耐する)なることもできたし、さとく(今の問題を解決し、未来の答えを創造する)なることもできたのだ。
では、私たちが同情の心を持つにはどうすればいいのか。
小川さんは政権が相手であっても、あくまで民主主義のルールの中で日本を良くする同志として捉えており、過酷な選挙区であることにも「選挙区が楽でないからこそ民意から離れなかった」と言い、どんな方に何を言われても「ありがとうございます」と深々と頭を下げ、すべてのことにポジティブな面を見出して感謝している。
同情心は感謝することによって得られる。
そのためにまずは生きていること、生かされていること、すべてのことに感謝することから始めたい。
(4) 承認の欲求 (5)自己実現の欲求
人間の欲する概念として多くの人がイメージする、わかりやすいキーワードとしては、外形的・物質的には「成功」、実質的・精神的には「幸せ」 を求めているのではないかと思う。
しかし、何をもって「成功した、私は成功している」 「幸せになった、私は幸せだ」と言えるのか の定義は曖昧だ。
だからこそ人々は悩み、そして冒頭の問いかけになっているのだろう。
私は『①価値 ②充実 (or 平穏) ③満足』の3つが、幸福の条件であると思う。
①の"価値"(観)を土台とする、②の"充実" した生活、それによる③の"満足" 感の三拍子が、ある程度揃っている状態を幸福と言うのではないか と考えている。
(②の充実した生活をその人が求めているかどうかは、それこそ価値観や年齢、人生の時期、性別、人の型式としてのエネルギー量 にもよる。例えば田舎でのんびりと暮らしているおばあちゃんがそこまで充実していなくても、平穏でさえあれば、幸福感を得ていると思うので、"充実 or 平穏"としている)
① 価値
「幸福は、価値ある目標に忠実であることによって得られる」(ヘレンケラー)
ー政権にいなければ権力もないのに、なんで野党なんかにいるの? (田崎史郎氏)
「自民党で出世するのは自分にとっての立身出世かもしれないが、国家の大業ではない。私は国家の大業にしか関心がない。だから自分が時代に選ばれようが選ばれまいが本望だ」
前提として自分のやっていること、目指しているところに全く価値がないと自分自身が思ってしまっていては、たとえいくら他者から褒められても幸福とは言えないだろう。
自民党で偉くなれば、小川さんの周りには「成功したね」と喜んでくれる方もいるのだろうが、「政権の受け皿をつくることで、日本の政治そのものを良くしたい」 という小川さんの初心からは逸れてしまう。
国会に参考人として招致された佐川氏が苦しい弁明を行っている様子を、テレビで見た小川さんの奥さんは「早く官僚を辞めて本当によかったね。テレビを通して全国民の前でウソをつかされる。あなたは絶対に耐えることなんて出来ないよ」と言ったという。
小川さんはスローガンとして "まっとうな政治" を掲げているように、何よりも人としての真っ当さを大切にしている。
だから小川さんは、自らの政治信条と価値基準から外れている "真っ当でない" 希望の党入りした時に最も苦悩した。
そして、その後解体された後の受け皿として結党された国民民主党には行かない決断をした。
「昨年犯した過ち…本当にそうしたいと思わずに進んだ結果、多くの有権者をがっかりさせてしまって、どう落とし前をつけるのかと。もはや仁義では政治はやれない。前原誠司への仁義、玉木雄一郎への仁義はあるけど、無所属を選びました。出直しです」と語る小川さんの顔は、晴れやかですっきりとしていた。
小川さんから学んだこととしてまず、小川さんのように 「自分は何のためにそれを志したのか、そしていま何をすべきなのか」を毎朝自問自答することは、軽視しがちだが非常に大切だ。
また小川さんも、脱官していざ政治家になるという決心をするのに2年かかったという。
このように、時間をかけて何に人生を捧げるのか、一体自分はどう生きたいのかを熟考し、それが決まれば毎日のように理念(理想と信念)、夢・目標などを想起し、それらに対して正しい時間の使い方をしているのかどうかをフィードバックし続けなければならない。
「政治家に必要なのはある種誠意というか、一本の筋道とか一貫性とか、人望とか人徳とか、教科書的な考え方がある」
その理念の中身は、目指す "理想" としては世のため人のための志、"信念" としては小学校で習うような道徳を中心にしたものが望ましい。
それこそが、遠回りに見えても幸福への近道であるように思う。
「でも政治に必要なのはただ一つ、したたかさだけなのかって。無力感に襲われる」
しかし、それを貫くのは本当に難しい。
世の中が正しい価値観で動いていないことの方が多いからだ。
これまでの小川さんのように、現世的な地位や名誉としては報われない可能性も覚悟しなければならない。
また、そこで人生に絶望して病んでしまわないために、価値を得るための手段と目的を混同しないことも大切であろう。
小川さんは、無所属で出馬するかどうかを最後まで悩んだ。
しかし、比例区当選の可能性を残すことで地元で応援してくれる方や、高き志のために代議士であり続けられる可能性の高い手段を優先した。
それはそれで正解だと思う。
人生は長くて複雑だ。順風満帆にはいかない。私たちも生きていくために、途中で自分の価値観から外れた手段をとってしまうかもしれない。
小川さんも当時の選挙ポスターに「私は変わらない」と書いていた。
その時は人としての"在り方"はブラさずに、より大きな目的を果たすための "やり方" には目を瞑ることも、人生というマラソンを走り切るには必要な考え方である。
勝ち組とは、"価値"組であると思う。
自分が何に価値を置いているか という人生における理想と信念を定め、苦しくてもその価値観に従い、言行一致させて生きることこそが、幸福の土台であり、一丁目一番地だ。
② 充実
「リア充」 という言葉がある。
リアル(現実)の生活が充実している人を指す言葉で、最初はネットスラングであったが、今では若者を中心に市民権を得ている。
私は、流行った後に定着する言葉というのは、大衆の潜在意識や言語化されていなかったニーズを捉えているな と感じることが多い。
人は潜在的に「充実」を求めているのだ。
では、生活を充実させるためにはどうすればよいのか。
ある時、疑問に思ったことがある。
なぜ人は、カラオケやボウリングなどのレジャーや、野球などのスポーツは楽しいと感じるのに、勉強はつまらないと感じる人が多いのか と。
先入観なくフラットな状態で考えれば、勉強だって知らないことを先生や書物が教えてくれるわけであり、楽しそうである。
それなのに、なぜつまらないのか。
それはずばり、勉強には「発散」 と 「コントロール」 があまりないからだ。
人間が行動して 面白い、楽しい と感じることにはこの2つの要素が両方揃っていることに気が付いた。
例えばカラオケは、ただ大声を出しているだけではつまらない。防音室内で思う存分声を出して「発散」した上で、音程やリズム、歌詞に合うように歌声を「コントロール」していくから面白いと感じる。
だから、音痴と呼ばれる人はカラオケに行くのが好きではないだろう。なぜなら音程を「コントロール」出来ないのだから。
ボウリングだって、どこでもいいから投げていいよ ではつまらない。
球を思いっきり投げて「発散」した上でピンを倒すために、レーンのどこに投げるか、どう回転させるかを「コントロール」していくから面白い。
小川さんが大好きな野球は「発散」と「コントロール」の宝庫だ。
投手は、身体に染み込ませた投球フォームを思い通りに「コントロール」し、160キロのボールを思いっきり投げ込んで「発散」して、ストライクゾーン目掛けて、まさに「コントロール」していく。
打者は、自分で決めた打撃フォームを「コントロール」し、フルスイングで「発散」して、投げ込まれたボールの軌道にバット「コントロール」することで、どこに向かって打っていいというわけでもなく、フェアゾーンやヒットゾーンに「コントロール」して打ち返す。
守備は、打球に対して走っていく「発散」、グラブで落下地点に捕りにいく「コントロール」、そして捕った後には、一塁手などのところに正確にボールの軌道を「コントロール」しながら、思いっきり「発散」して投げ返す。
これらを考えると勉強には、「発散」と「コントロール」が起きにくい。
身体を動かすわけでもなく、座って授業を受け、先生が進めるスピードに沿って受動的にダラダラとノートに板書を書く。
そして、問題集やテストではほとんどの問題が分からない。
これでは、勉強は面白くない。
子どもの頃、勉強だって面白い時はあったはずだ。
小学校低学年の時の百マス計算や、90点以上が取れるテストは面白かったと感じた人も多いだろう。
それがだんだんと学年が上がっていくにつれて目の前の問題集の正解がほとんどわからない、テストでは38点 となると勉強が嫌いになってしまうのだ。
仕事や勉強を楽しくするには、この「発散」と「コントロール」 を生活に取り入れれば良い。
朝何をやるかを決める、タイマーで計ってノルマをこなせるかタイムアタックする、黒板をただ写すだけでなく、ある程度暗記してからまとめて写す、ミニテストを自分でつくる…。
小川さんは 「自分をコントロールすることを何よりの喜びとする」と本に書いてあった。
なので、常に一生懸命で自己規律を怠らない小川さんは、なかなか思うようにいかないことが多くても、多忙なスケジュールに追われていても、充実感にみなぎっていて、どこか楽しそうに見える。
私たちは生きていく上で、価値が見出せなくてつまらないと感じる仕事や勉強、作業をしなければならない時もある。
そういった際には、「発散」と「コントロール」の考え方を取り入れることでなんとか少しでも楽しいものにしていただき、苦境を乗り切って欲しい。
② 平穏
(誹謗中傷を苦にされて亡くなった方への質問に対して)
「皆さんネットってどうなんですか。
やっぱり匿名ですし誰だかわからないわけで、自由に書けますか。
でも人間意外と、なかなか自分の心から離れたことも書けないですよね。
完全に他人、別人にはなれない。
それがやっぱり人間の素直なところであり、限界だとも思います。
実は私はSNSはここ何年も、苦手だしよくわからないのもあるんですけど、あんまり使ってなかったんです。
自分と立場が反対の方からすごく叩かれたり、誹謗中傷を受けてへこむし、見ていいものではないなと思ったので、ある頃からあまり見なくなったんですよね。
正直いって、2年も3年もあまりアカウントを開くことがなかったぐらいの時もあるんですよ。
ところが、2019年の統計質疑から本当に多くの方が励ましを寄せてくださって、ああこんなにネットの世界はそれぞれの方の思いとか志とか共感する力が集い合える場なんだと思って、私は感心したんです。
それで2019年の1か月、予算委員会に集中して、本当に渾身の力を込めて質疑に当たったのですが、本会議の2時間の演説もあって、終わったらくたくたでもう動けなかったんですよ。
土日はけっこう寝込んだんですね。
それまではもう忙しくて質疑中は読めなかったので、寝込みながら皆さんが書いてくださったツイートを初めてゆっくり読んだら、もう感動して涙が止まらなくて、それでテーブルにあったティッシュで目を拭いていたらティッシュが山になったんですよ。
何か挫けそうになったらこのティッシュを思い出そうと思って写真に撮って、いまスマートフォンに保存しているんですけれども、それぐらいネットの言論に対して当時からリスペクトの気持ちが蘇ったんです。
ただ今でも、クソだとか 死ねだとか クズだとかは、時々言われます。
それはやはり一人の人間として嫌です、傷つきます。
やはりどうあれ著名人の方も政治家も含めて一人の生身の人間なので、やっぱり嫌は嫌ですよね、へこみます。
それで、とはいえ私は自分のツイートに返信くださった方に、できるだけ自分で「いいね」を押させていただいているんです。
だけど大事なことは批判、お叱り、苦言、これに対しても必ず「いいね」を押させていただくようにしています。
もちろんへこむんですが、そこからやっぱり汲むべきことがあるんですよね。一つ二つ、必ず批判の中から汲むべきことがあるんです。
だからそれを自分の肥やしだと思って吸収して、一生懸命そのご批判やお叱りに対しても必ず「いいね」をさせていただくようにしています。
ただそのとき私も、あるいは事務所の者にも申し上げているんですが、クズ、死ね、クソ、この3つはどんなに聞くべきことであっても、やっぱり言葉遣いとして面と向かって言いにくいこと、言えないことならネットでも言うべきではないので、それは控えていただくためにも「いいね」は避けようということにしています。
だから、この亡くなられた方がどのような誹謗中傷を受けていたのか、私もつぶさには存じ上げないのですが、いわゆる罵詈雑言ですよね、そういうネット上の言論空間が思った以上に人を傷つけていると、自分が言われたらどうだろうという共感力、それはやっぱりぜひ、お願いできるものであればお願いしたいなと思っています。
ただ一方で、他者を傷つける人は、やっぱり自分が傷ついていることも多いですよね。
自分が傷ついていない人が果たして他者のことを傷つけるだろうかと、思うときもあります。
だからそういう意味で、まあ鶏と卵のような話になるのですが、人が人を傷つけるということの責任の一端が、この荒んだ社会、擦り切れそうな社会にあるのであれば、それをやっぱり政治の側からアプローチしてなんとかその傷を癒したい、憂いを少なくしたい。
攻撃性を必要としない満たされた社会、それは物的にも物理的にもそうだし、精神的にも潤いとか満たし、互いの尊重がある社会を政治の側からアプローチして、そういうことを少しでも少なくできたらと願っています」
私は、なぜ人は不祥事が起こる前には、1分たりともその人に関心を持っていなかったのに、会ったこともないその人に対して、こんなにありとあらゆる誹謗中傷を書けるのか と疑問に思ったことがある。
それこそ、よく著名人がアンチと呼ばれる人に対して言う 「あいつらは暇だから(生活が充実していないから)」というのも多いにあるだろう。
締切10分前や、1日20時間仕事や勉強に没頭していたら、そんなことをしている余裕はないからだ。
また、たとえ不祥事でなくても小川さんを始めとする、私から見て素晴らしい方であっても誹謗中傷されている。
人間は全く意味のない言動はしない。
これらの言動にはちゃんと意味があるのだ。
例えば、著名人がよく言う「嫉妬に足を引っ張られた。人間の嫉妬は怖い」 「結局、勝ってない奴らの嫉妬だろ」 というのは、一部しか当たっていない。
では、なぜ人は誹謗中傷をするのか、したくなるのか。
それは、人間の脳が太古の昔から進化してきており、現在あまりにも優秀だからだ。
生物の脳は、潜在的には生存することを第一に考えている。
太古の昔を考えると、自分の生存を脅かす敵や危険を素早く察知出来ないものは即死だった。
それに対処して生き残ってきた脳は、究極的には 自分は死ぬのではないか という不安や恐怖を何よりも敏感に感じられるよう出来ている。
だから、自分に全く無関係と思える遠くの他人でさえ価値を脅かしてきたと感じた時には、自らの価値を誇示することで生存の確率を上げようと無意識にしてしまうのだ。
そして、あらゆる角度から責められていると感じるであろう批判や誹謗中傷も、いくつかのパターンだけですべて網羅出来てしまうことにも気がついた。
「すべての悩みは人間関係である」とアドラー心理学は喝破している。
また、最近は "マウンティング" なる下品な言葉も流行っている。
ネット上で誹謗中傷される著名人の方だけでなく、現実においても、他人からマウンティングされたり、逆にマウンティングしてしまいそうになる時にもこのパターン分析は対応しており、役に立つ。
心の平穏を保つために、人間関係でつらい思いをされている方の少しでも救いになれば幸いだ。
<他人の動静によって心をかき乱される9パターン>
【前提】
「世界一大切な自分の価値が下がる時」に他人に対してやいやい言いたくなってしまう
価値を上げたい 保ちたい 下げたくない
→なぜなら、脳は生存を最優先にしているから
赤の他人のことであっても、それを放置していては いずれ自分の生存価値が脅かされるかもしれない という不安や恐怖を潜在意識で感じるので、それを解消するために怒りの感情を呼び起こしたり、「私の方が価値がある」とマウントをとらずにはいられない
①【他人に価値がある時】(そして、自分がその価値を持っていない)
→その人が感じているであろう感情(充実感・満足感)が羨ましい
やっぱりこれに価値があるのか…自分は持っていないと再認識する
(自分が痛いほど価値として評価してることほど)
②【他人の価値が下がらず、自分の価値が相対的に上がらない時】
→他人が苦しまず楽をしているのが許せない (自分は我慢してるのに/ あいつは悪いことをしたのに罰を受けていない)
③【他人が自分の価値を抜かす時】
→下に見てた人が価値を得て、上がってくる
④【他人から見て自分に価値があると思ってもらってない】
→重要感を与えられてない
自分が無価値、見下されている、間違ってると言われた 言われたと感じる
また、自分が価値と思ってるものを他人が価値あると思ってくれていない
⑤【自分の価値基準にない】
→自分としては意味がわからなくて理解できない
(人間は不自然・異質なものを排除したい)
⑥【自分の価値を再認識させて価値を上げたい時】
→あなたの価値観違いますよ
自分の評価・基準(法律なども)が正しい
(あなたのためを思ってのアドバイスも含める)
⑦【価値ある自分が損をする時】
→感情・期待・希望などを満たしてくれない
自分のお手数が増える
身体的に不快、不利益
⑧【価値ある自分との自己同一化をしてしまう時】
→自分がされたら嫌 (自分の嫌なところを他人に重ね合わせてる時も)
⑨【この世は無価値なのか と突きつけられた時】
→ 人間・人生の嫌なところ(感情や欲望など)、
世の中の生々しい不幸・理不尽さ、信じたい価値を否定するような現実、価値のないものを見せられた (過去の経験から重ね合わせることも)
これらは大別すると、嫉妬心と競争心 に分けられ、ある意味どれも自分の生存しか考えていない傲慢さから言いたくなってしまうことがわかる。
誹謗中傷している文章の中身をよく見てみると、全員が同じポイントから批判している訳ではないし、これらの3つも4つも心をかき乱してしまう要素がその出来事に含まれている時に "炎上" しやすい。
また、政治に関して議論がどのジャンルよりも白熱し、過激化するのは、自らの生存権に一番根差しているため、死への恐怖に直結し、これらのパターンほぼすべてが含まれている時が多いからだ。
人間は複雑な生き物に思えるが、単純なパターンの組み合わせの生き物である。
現実で誰かと揉め事が起こってしまった際にも、自分はどの観点に腹が立つのか、もしくは相手を怒らせてしまったのか。
また、小川さんを始めとする著名人の方も誹謗中傷された際には、どの観点から批判されているのかを自己分析することで、反省するところは反省し、全く参考にならない批判に対しては「人間の脳は太古から、生き残るために進化してきて優秀ですごいなぁ」と悠久の歴史に想いを馳せることで片付けてしまえば、いくらか胸がスーッとするはずだ。
忘れてしまいがちだが、本来は日本中・世界中から様々な意見が書きこまれているというのは、言論の自由がある日本という国の仕組みと、インターネットによる情報革命がもたらした夢のような魔法である。
また、脳があまりにも優秀なので全然関係ないことにまで「生存が脅かされている」という勘違いをしてしまうこと、たとえ何かを言われたり、言いたくなったとしても、現代日本では自分の価値が下がったところで、良くも悪くも即刻自分の生存には関わらない ということを再認識するのも大切だ。
「私の悪口・陰口はどんどん言ってくれ。まわり回って、自分の耳に届いたら改善して直すから」 (親鸞)
そして、そういうものは全く見ないようにしているとおっしゃる方もいるが、小川さんがTwitterで「国家は国民をリストラしたり、排除したり、ブロックする立場にない」と投稿し、横浜市長選の応援演説で「批判の中にこそ真理がある」と言っていたように、あらゆるフィードバックがもらえるというのは、何も言われない裸の王様でいるよりも有難いことである。
また、エゴサーチをする際には 「夜・室内・ひとり」 のそれぞれ3条件は避ける などすれば、著名人の方もネットの意見と上手く付き合っていけるだろう。
③ 満足
「価値」と「充実」が揃えば、最後は「満足」の項目だ。
そして、この「満足(満ち足りる)」という言葉が最も人々がイメージする「幸福」に近いだろう。
"幸福になるには" というテーマで、ここまで常軌を逸した長文レビューを書いてきた。
しかし、こんな話がある。
中沢:「幸福」というのは明治になってから使われ出しています。
河合:そうでしょう。「幸」という言葉と「福」という言葉を合成して「幸福」にしたわけですね。
日本語には英語の「ハピネス」とかフランス語の「ボヌール」に当たる言葉がなかったんで、翻訳上でこういう合成語が必要になったようです。
河合:なかったんです。
中沢:「ボヌール」がフランス語などで言う「幸福」ですけど、「ボン」と「ウール」ですから、「善き時」というわけですね。
幸運に恵まれて「素晴らしい時」を得て、「その時をつかんで幸福になる」という意味なんでしょう。英語の「ハッピー」もだいたい似たような意味です。「好機をつかむ」ことによって、幸福は獲得される。どちらも時間に関係しているようです。こういう言葉が西欧語と一緒に入ってきたとき、日本人は翻訳に困った。そこで担ぎ出されてきたのが「幸福」ですが、この漢字には、西欧語にあった時間の感覚が含まれていません。(中略)仏教があんまり「幸福」を重要視しなかったものですから。(『仏教が好き!』河合隼雄・中沢新一)
つまり、江戸時代までの日本人は「幸せになりたい、幸福でいたい」と考えたことがなかったというのだ。
人は存在しない概念では悩めない。
夏目漱石が小説に「肩凝り」という言葉を初めて書いたことによって、それ以降の日本人には肩が凝る人が多いが、欧米人はその概念がないため、日本人に比べて肩凝りに悩む人の割合が少ないと言う。
この話から考えてみて、そもそも幸福なんて概念は存在するのか。
何かを食べて美味しい、仲間と笑い合って楽しい、温かい布団で寝られて心地よいなど "幸福感を一時的に感じる" というのはあるが、永続的な幸福というのは諸行無常のこの世では存在しないのではないか。
いやそんなことはない、私や私の家族、仲間はみな幸福だ という人がいるかもしれない。
それは本当にすごいことだ。心から尊敬する。
自分と自分の周りを満たすということも、それはそれで大事だし、それだけでもう現代社会においては偉業である。
しかし「それであれば充分だ、ほかには何も要らない」 なんて考えはどうだろうか。
『IQ | インクワイアリー』というサイトにはこんな文章がある。
「とにかくね、生きているのだからインチキをやっているのに違いないのさ」 (宮沢賢治)
「汚れるのが厭ならば、生きることをやめなくてはならない。生きているのに汚れていないつもりならば、それは鈍感である」 (吉行淳之介)
『なぜあなたは生きているのだ。
いや、生きながらえているのか。
途上国の人々が飢えによって苦しみ、衛生面の悪い生活を強いられ、病原菌や栄養失調で今日も明日も息絶える。食料を奪い合い、力ある者がない者をねじ伏せ、今日と明日を生きる食事を奪い取る。戦争は、貧困は、差別は、病は、子供は、そこで生活する子供の人生は、早死にする運命を強いられる、彼らの命は、差別によって命を落とす彼らの人生は?
なぜ、何もしないで自分だけのうのうと生きているのだ。自分が率先して彼らの為に命を捧げ、身を捧げ、全財産を投げ打って彼らの為に命を尽くす。
そういう選択肢もあるはずだ。
それなのに、そういう選択肢が存在しないという様な顔をして生きている。それでよく、自分が "優しい人間" だと言いきれるものだ。自分が "出来た人間" だと、自惚れられるものだ。
生きることを選択してるんだろ。自分や、その家族だけがね』
「これはいろいろ価値判断があると思うんですが、社会で本当に活躍しておられる方々の、例えば1億円ぐらいまでの収入は仮に許されるとして、それを超える何十億とか何百億とかいう報酬は、それは立派な開発をしたんでしょうし、立派なことをされたんだと思いますが、それは多くの社員や協力者、あるいは消費者、お客さんあってのことじゃないですか。
その利益から何百億も自らの手元に残しますというのは、この際はっきり言えば不道徳だと。
経済道徳に悖るというぐらい、はっきりと言うべきじゃないか、言っていいんじゃないかと思っています」
私も、何兆という個人資産を持ち、豪邸や別荘に加えて何台もの高級車やプライベートジェットを所有している人を代表とする、仕事で勝っていて、あまりにも衣食住などに満ち足りた生活を送っている人々に対して、一体何をもってそうした自分を正当化出来るのか、どうしてそんな待遇が自分に相応しいと思えるのか と考えてしまう。
(私は血の滲むような努力をして成功された起業家の方をこれ以上ないぐらい尊敬しているが)
俺は競争を勝ち抜いたから、頭の良い選ばれた人間だから、ビジネスやお金儲けが凡人よりも上手いから、他の奴らが怠けている間も努力したから、成功していない奴は努力が足りないから…。
あるいは、偏差値の高い大学に入ったから、年収の高い会社にいるから、大きな会社をつくったから、たくさんの事業をしていて、世のため人のためになることを人よりもしているから…。
はたまた、子供の頃に貧乏していたのだから、誰かにバカにされたから…。
だから、これは正当な対価である とでも言うのか。
「世界全体が幸福にならない限りは、個人の幸福はあり得ない」(宮沢賢治)
世界全体が幸福でないのにも関わらず、個人や小さな集団の幸福だけで満足しているのはおこがましいのではないだろうか。
「人間のやることは不思議で、不条理なのだ。俺だって、アフリカで何万人もの人が飢え死にしているっていうのに、映画なんか撮っている」 (北野武)
しかし、偉そうな綺麗事だけ言っていてはならない。人間は生きている以上、等しく愚かな存在であり、絶えず矛盾や葛藤を抱えながら闘っている。
結局、私たちはどう生きるべきなのか。
その答えは 「南無地獄大菩薩」 という江戸時代の禅僧である白隠禅師の言葉に集約されると思う。
「地獄に気付いた人は少ない、地獄を脱した人はさらに少ない。しかし、人の為に地獄におりた人は、なお一層少ない。そして、その地獄にすすんで身を投じる時、そこに大菩薩(救い)があるー。」 という意味だ。
南無地獄大菩薩 には4つの意味が含まれている。そして、小川さんはこの言葉通りの人だ。
① 地獄に気付いた人は少ない
「人生は地獄よりも地獄的である」(芥川龍之介)
まずこの世はある意味、地獄であるということだ。一見平和な日本にも、たくさんの地獄がある。
小川さんは本書にもあるように、この世界を地獄のようだと感じている人を少しでも救いたいと思って全身全霊をかけて闘っているわけだが、そもそもなぜ一度きりと言われる人生の中で、世界を見渡しても、日本の中で比較してみても、ありとあらゆるところで条件的に差があるのか。
ネット上では、恵まれた人とそうでない人をゲームの世界に例えて「人生というロールゲームをイージーモード or ハードモードのどちらでプレイしているか」と揶揄する言葉があるが、条件的には当たり外れがあることも、資本主義社会において人間を苦しめる。
みな等しく地獄なわけではなく、ふと現実でもネット上でも隣を見渡せば、天国のような人生を謳歌している姿が目に入る。
「あの恵まれた人にもそれなりの苦労があるのよ」という励ましの言葉にも一理あるが、やはり良い流れに乗れず、歯車が狂ってしまった "ハードモード" の人が直面する現実には、計り知れないつらさや苦しみがある。
② 地獄を脱した人はさらに少ない
しかし、前述したように人間の生きる意味・目的は「つよく・さとく・あたたかく」なるために人生を通して自分を高めていこうとすること、これのみだ。
宗教を学んでいない若輩者の私には確信出来ないが、「人生何度目か、人間何回目か」という輪廻転生的な考え方があるように、死んだら自動的に "無" なのではなく、最終的に「つよくなれたか、さとくなれたか、あたたかくなれたのか」 という神からの試験を終えられるまで、人間なのか、はたまたそれ以外の存在なのか を繰り返すのではないかと思う。
「勝つことはすべてではない。しかし何が何でも勝つために、努力することはすべてだ」 (アメリカンフットボールのコーチ)
この言葉には戦いに勝ったり、成功と呼ばれる何かを成し遂げんと努力するという "高み" に向かう姿勢だけを指すのではなく、どんなに恵まれていなくても、思うようにいかなくても、勝負を最後まで投げ出さずに全うせんとして "低き" を耐え忍ぶ姿勢のことも含まれている。
「あきらめない奴にはかなわないものだし、あきらめないことが唯一できることだし、あきらめない限り、勝負は続いているよね。どんなにうちのめされても、どんなに失意の底にあっても、あきらめない奴は強い、そういう奴には敵わない。あきらめないことだけが唯一絶対とは言わないけれど、唯一できることだと思っている」
誤解を恐れずに言えば、"イージーモード" の人生なんて誰だって要領よく、機嫌よくやれる。
しかし、どれだけ失敗しても、罪を犯しても、道を間違えても、道を正して、残りの人生を精一杯生きること。
そして、自分が使える命のエネルギーを、与えられた命の日数で使い切ること。
地獄を脱しようと必死にもがくことー。
そこにこそ、生きる価値、尊さ、素晴らしさがあると確信している。
③ 地獄におりた人はなお一層少ない
「永田町に染まるのか、それとも染め返すのか」
「政治家のイメージを塗り替える仕事を誰かがやらなきゃいかん」
「挑戦すらしなかったら死んでも死にきれんや」
僭越ながら、小川さんは果たして "幸福" であると言えるのだろうか。
「知的な人々が人生の中に幸福を見いだすことは滅多にない」 (ヘミングウェイ) という。
「人生の8割は我慢、残りの1割は辛抱、最後の1割は忍耐」「一番苦しいのは、ほんとの修羅場はシリア難民だと」「これ以上悩めるかっていうぐらい悩んでる」「命尽きれば尽きたで楽は楽ですよね」「絶望と闘っている」
小川さんのような志が高くて賢い人々は、世界平和などの「真善美」が実現できていない現実を常に直視している。
だから、彼らが真の意味で幸福になることはないのではないか。
(政治家になりたての時に飲み会で「あんた、何のために政治家やってんだ」と聞かれて)
「自分の自尊心が傷付けられていて、満たされていない。俺は日本人としてこの日本国に生きるにあたって、今の日本政治や日本社会に満たされていない」
小川さんは、エリートな自分だけが満たされていることに満足しなかった。
いや、満たされてもいなかった。
(なぜこんなことが許されているんだ。これはどう考えてもおかしいだろう。誰かなんとかする気はないのか。それならば、俺がなんとかするしかないー。)
だから、ご家族が 「汚くておどろおどろしい」と形容する、政界という地獄に裸一貫でおりていった。
④ 地獄の中にこそ救いがある
「他のところから出馬するのでは意味がない。旧来の価値観に支えられたこの相手を打ち破ってこそ、次の時代を担うリーダーになる資格がある」
小川さんは出馬した時に 地盤・看板・カバン のどれも無く、ましてや相手候補が一族で香川を支配するメディア王だった。
まず選挙区当選するのさえ、地獄のように大変であるのは目に見えていた。
「小川さんは、政治家以外の仕事なら何やっても大成してたよね」 と言われるそうだ。
だが、どれほど困難であろうが、命を懸ける価値があると思っている"国の伝統的な仕組みを抜本的に変えることで心から社会を良くしたい" という志に挑戦するところにしか自尊心の救済や魂の燃焼はなく、もっと言えば生きる意味も見出せなかったかもしれない。
「これだけ時代が変わっているのに政治が変わっていない。それによってどれほど多くの人がもがき苦しんでるか。そこに本当の意味で貢献できたら、どれだけ幸せな人生だろうか。人間の最大にして最上の喜びはやっぱり人と社会の役に立つこと、利他心の中にある」
どれだけ地獄のようにつらく苦しくても、そこに入っていった先には、きっと大菩薩がいる。
その地獄にすすんで入っていった人だけが「いろいろあったけど、やれるだけのことはやり切ったな。なんだかんだまんざらでもない、痛快な人生だった」 と最後に満足出来るのだろう。
幸福になる方法は、小川さんに教えてもらった。
この長文の締めに、私たちが惨めな思いをしている現在のいくつかの価値観は、確実に前時代的で間違ったものになる ということを書いて終わりたい。
著者の和田さんも、小川さんと話す前は死んじゃうんじゃないかと言う程、精神的に追い詰められていたという。
「僕たちは過去の人たち――天動説を信じていたり、奴隷制を認めていたり、大きな戦争を起こしてきた人たち――に対して、『どうしてそんなに愚かなことをするんだろう』と思っているが、50年後の人類は、確実に、僕たちに対して同じことを思うでしょう」(水野敬也・作家)
人は世間の価値観で自らの境涯を判断し、卑下してしまいがちだ。
それでも前時代的で間違った "冷酷で優しくない" 価値観に殺されないで欲しい。
現在は資本主義経済や、男女平等など様々な価値観が過渡期にある。
古い価値観を組み替え、新しい時代を創るのは、今を生きる私たちの一人ひとりだ。
そう考えると迷いや苦悩もあるが、ワクワクもする。
本書を読み終えた時、そんな希望の光が感じられた。
「一人もとりこぼされることなく、全員があたりまえに安心できる暮らしが保証されること。誰かが助かるために、誰かが蹴落とされないこと。今日の誰かの営みが、誰かの明日を創ること。分かち合い、共にあること」
そんな未来が訪れる時まで、いま幸福でなくても決して諦めずに生き続けたい。
そして、その日を第101代内閣総理大臣小川淳也と共に見よう。
あと少しだ。
日本の夜明けは近いー。
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時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。 単行本 – 2021/9/7
和田靜香
(著),
小川淳也(取材協力)
(その他)
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発売1ヶ月で1万8000部突破! 前代未聞の政治問答!
50代、単身、フリーランス、お金なし。さらにコロナ禍でバイトをクビにーー。
一ライターと国会議員・小川淳也さんが繰り広げた“政治問答365日"
息が詰まるほど不安で苦しい生活が続くのは、「私のせい」?
まったく分からない“不安"の正体を知るべく降り立ったのは、永田町・衆議院第二議員会館。
この「分からない」を解決するために、国会議員の小川さんに直接聞いてみることにしたーー。
映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で話題の国会議員・小川淳也に、相撲・音楽ライターとして活動する和田靜香が、生きづらさの原因を直接ぶつけた汗と涙の激論の数々!
お金、住まい、税金、働き方、ジェンダーなど、人それぞれが抱える悩みを政治の力を使って解決へ導く一冊。
❖目次
はじめに コロナ禍の前から私はずっと不安だった
▼第1章 生きづらいのは自分のせい?
応援する候補者が当選したためしがない
政治が分からないまま大人になった
コラム 赤えんぴつで殴り書きした不安
▼第2章 耳タコの人口問題が生活苦の根源
ポストコロナの最重要課題は「人口問題」
「コロナから国民を守ります」ぐらい言えないのか
賃金が上がった、景気が良くなった、と言ってたけれど
コラム 分断はそれぞれの心の中にある
コラム 税金が高くて払いたくありません
▼第3章 「なんか高い」では済まされない税金の話
仕方なく払っている税金の行方
ゆくゆくは消費税100%! ?
ベーシックインカムで安心できるか?
住む場所さえも確保できない
コラム 分からないことは恥ずかしいことじゃない
コラム 「国民」は使ってはいけない言葉
▼第4章 歳をとると就職できない理由
働く人の年齢差別
この賃金でこの社会保険料はおかしい
女性たちは競争させられている
待ったナシの移民問題
コラム 小川さんが100%正解ではない
▼第5章 見て見ぬふりをしてきた
環境、エネルギー、原発問題
「私たちの家は火事になっている」
エネルギーは私たちの力で作れる
分かり合えない原発の話
コラム 私が政治を語っていいのか
コラム 小川さん号泣
▼第6章 自分を考える=政治を考える
私も沖縄に基地を押し付けている
「安心・安全なオリンピックを目指します」?
間違えてもいい民主主義
不安をそのままにしないための政治
おわりに 私の不安は日本の不安だった
政治問答ブックリスト
50代、単身、フリーランス、お金なし。さらにコロナ禍でバイトをクビにーー。
一ライターと国会議員・小川淳也さんが繰り広げた“政治問答365日"
息が詰まるほど不安で苦しい生活が続くのは、「私のせい」?
まったく分からない“不安"の正体を知るべく降り立ったのは、永田町・衆議院第二議員会館。
この「分からない」を解決するために、国会議員の小川さんに直接聞いてみることにしたーー。
映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で話題の国会議員・小川淳也に、相撲・音楽ライターとして活動する和田靜香が、生きづらさの原因を直接ぶつけた汗と涙の激論の数々!
お金、住まい、税金、働き方、ジェンダーなど、人それぞれが抱える悩みを政治の力を使って解決へ導く一冊。
❖目次
はじめに コロナ禍の前から私はずっと不安だった
▼第1章 生きづらいのは自分のせい?
応援する候補者が当選したためしがない
政治が分からないまま大人になった
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▼第2章 耳タコの人口問題が生活苦の根源
ポストコロナの最重要課題は「人口問題」
「コロナから国民を守ります」ぐらい言えないのか
賃金が上がった、景気が良くなった、と言ってたけれど
コラム 分断はそれぞれの心の中にある
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仕方なく払っている税金の行方
ゆくゆくは消費税100%! ?
ベーシックインカムで安心できるか?
住む場所さえも確保できない
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女性たちは競争させられている
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エネルギーは私たちの力で作れる
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私も沖縄に基地を押し付けている
「安心・安全なオリンピックを目指します」?
間違えてもいい民主主義
不安をそのままにしないための政治
おわりに 私の不安は日本の不安だった
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- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社左右社
- 発売日2021/9/7
- 寸法12.9 x 2.1 x 18.8 cm
- ISBN-104865280456
- ISBN-13978-4865280456
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商品の説明
著者について
著者:和田靜香(わだ・しずか)
相撲・音楽ライター。千葉県生まれ。著書に『世界のおすもうさん』、『コロナ禍の東京を駆ける――緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共に共著、岩波書店)、『東京ロック・バー物語』(シンコーミュージック)などがある。猫とカステラときつねうどんが好き。
取材協力:小川淳也(おがわ・じゅんや)
国会議員。1971年・香川県生まれ。東京大学法学部卒。1994年自治省に入省し、2003年に民主党より衆議院議員選挙に初挑戦するも惜敗。2005年に初当選。現・立憲民主党所属の衆議院議員(5期/2021年7月現在)。レンチンした「おあげさん」が好き。
相撲・音楽ライター。千葉県生まれ。著書に『世界のおすもうさん』、『コロナ禍の東京を駆ける――緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共に共著、岩波書店)、『東京ロック・バー物語』(シンコーミュージック)などがある。猫とカステラときつねうどんが好き。
取材協力:小川淳也(おがわ・じゅんや)
国会議員。1971年・香川県生まれ。東京大学法学部卒。1994年自治省に入省し、2003年に民主党より衆議院議員選挙に初挑戦するも惜敗。2005年に初当選。現・立憲民主党所属の衆議院議員(5期/2021年7月現在)。レンチンした「おあげさん」が好き。
登録情報
- 出版社 : 左右社 (2021/9/7)
- 発売日 : 2021/9/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 280ページ
- ISBN-10 : 4865280456
- ISBN-13 : 978-4865280456
- 寸法 : 12.9 x 2.1 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 98,384位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 12位選挙
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年9月25日に日本でレビュー済み
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政治、、というか社会システムについて汁には良い本かと思います。
2021年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
音楽・相撲ライターの和田さんと政治家の小川さんの時事評論或いは対談。
第1章では小川さんと和田さんのの対話で和田さんが何が判っていないかが判るという事が書かれております。
第2章では現在の政治の最重要課題が人口問題だという事が書いてあります。
第3章では税金がどういう所で使われているか、ベーシック・インカム(直接現金給付)は正しいのか、家賃は何故こんなに高いのかが書かれております。
第4章では定年制、派遣労働、移民問題等の事が書かれております。
第5章では脱炭素の代替エネルギー、特に原子力発電は正しいかが書かれております。
第6章では沖縄の基地問題、オリンピックの問題が書かれております。
あとは各章の間にコラムで、分断の問題、税金の問題、「国民」という言葉の問題、個人が政治を考えていいかの問題が書かれております。
第1章では和田さんが困窮しながら何が問題なのかが判っていく過程が私自身の問題と通底している様で興味深かったです。
第2章の人口問題ですが、他の所でも書きましたが、私の世代が第2次ベビーブームで、結婚して子供を産む人が多かったら問題にならなかったらしいので、責任を感じたりもしますが、時給で働く事が多く、年収も150~200万円くらいなので、とても結婚は無理だったりもします。
第3章の税金の問題ですが、増税なくして社会保障の充実なし、というのは理解できますが、消費税がゆくゆくは100%というのは高すぎではとも思いました。ベーシック・インカムについても色々考えてしまったのも真実です。
第4章の派遣問題ですが、私も若い頃派遣のバイトを少ししておりましたが、その頃は若いのでそんなに悪い物ではないという感慨を抱きましたが、一緒の働いた年配の方が年を取ると干される、と聞いてダークサイドもあるみたい、と思いました。移民に関しては住んでいる所の近くが、日本で外国から来る人が一番多いという地域なもので、私の所にも色々な肌の色の人が住んでおりますが、文房具屋のバイトで扱っている物を見たら、まだ「肌色」があり、精神的には鎖国しているのでは、と思いました。
第5章の代替エネルギーの討論で、和田さんと小川さんで原発に関して対立されておりますが、ビル・ゲイツ氏の「地球の未来のため僕が決断したこと」で、代替エネルギーで原発も積極的に考えるべき、とあり、危険でリスクが高いという批判には、車の事故が危ないから車を廃止しよう、という風にはならないという見識で対抗されております。日本ではこの後、巨大な地震が想定されておるので、原発は私も疑問というのが真実です。
第6章の基地問題ですが、白状すると今現在こうして安全に暮らしているのも米軍に守ってもらっている、という現実もあるので、難問で答えがでませんでした(幻想という見識もありますが)。オリンピックについては安全に出来た、という方もいらっしゃいますが、関係者や観戦者で感染する人もいたので、感染拡大したと思うので、担当の人の処分をしろよ、とか思いました。
コラムの「国民」という言葉ですが、昔美少女コンテストで「国民」だとまずいので、「国民的」にしていたのを思い出しました。何か笑えたので。
総括して、和田さんが底辺労働者の視点でプロの政治家に下からの視線で疑問をぶつけて、今現在何が日本の問題なのかが浮き彫りになるという判り安い対談集で、勉強になりました。参考文献に入っている「そろそろ左派は経済を語ろう」(和田さんは気に入らかったそうですが)みたいにこれで経済の問題等が活発になればなぁと思います。日本国民必読だと思います。
蛇足ですが、昔買った洋楽のCDで和田さんがライナーを書いた物を持っていた記憶があるので、CDが売れなくなり、ダウンロードやストリーミングが主流になりつつある中で、音楽評論家の方がどういう風に生計を立ててらっしゃるのか気になっておりましたが、普通にバイトなどをしていたそうで、親近感が湧きました。本人は嫌でしょうが。
あと、ポスティングをされているそうですが、私の住んでいる所ではポスティングが凄く迷惑がられるので、却って嫌われるかもしれないので、政治家の宣伝等は止めた方がいいのでは、とも思った事を書いておきます。すいません。
第1章では小川さんと和田さんのの対話で和田さんが何が判っていないかが判るという事が書かれております。
第2章では現在の政治の最重要課題が人口問題だという事が書いてあります。
第3章では税金がどういう所で使われているか、ベーシック・インカム(直接現金給付)は正しいのか、家賃は何故こんなに高いのかが書かれております。
第4章では定年制、派遣労働、移民問題等の事が書かれております。
第5章では脱炭素の代替エネルギー、特に原子力発電は正しいかが書かれております。
第6章では沖縄の基地問題、オリンピックの問題が書かれております。
あとは各章の間にコラムで、分断の問題、税金の問題、「国民」という言葉の問題、個人が政治を考えていいかの問題が書かれております。
第1章では和田さんが困窮しながら何が問題なのかが判っていく過程が私自身の問題と通底している様で興味深かったです。
第2章の人口問題ですが、他の所でも書きましたが、私の世代が第2次ベビーブームで、結婚して子供を産む人が多かったら問題にならなかったらしいので、責任を感じたりもしますが、時給で働く事が多く、年収も150~200万円くらいなので、とても結婚は無理だったりもします。
第3章の税金の問題ですが、増税なくして社会保障の充実なし、というのは理解できますが、消費税がゆくゆくは100%というのは高すぎではとも思いました。ベーシック・インカムについても色々考えてしまったのも真実です。
第4章の派遣問題ですが、私も若い頃派遣のバイトを少ししておりましたが、その頃は若いのでそんなに悪い物ではないという感慨を抱きましたが、一緒の働いた年配の方が年を取ると干される、と聞いてダークサイドもあるみたい、と思いました。移民に関しては住んでいる所の近くが、日本で外国から来る人が一番多いという地域なもので、私の所にも色々な肌の色の人が住んでおりますが、文房具屋のバイトで扱っている物を見たら、まだ「肌色」があり、精神的には鎖国しているのでは、と思いました。
第5章の代替エネルギーの討論で、和田さんと小川さんで原発に関して対立されておりますが、ビル・ゲイツ氏の「地球の未来のため僕が決断したこと」で、代替エネルギーで原発も積極的に考えるべき、とあり、危険でリスクが高いという批判には、車の事故が危ないから車を廃止しよう、という風にはならないという見識で対抗されております。日本ではこの後、巨大な地震が想定されておるので、原発は私も疑問というのが真実です。
第6章の基地問題ですが、白状すると今現在こうして安全に暮らしているのも米軍に守ってもらっている、という現実もあるので、難問で答えがでませんでした(幻想という見識もありますが)。オリンピックについては安全に出来た、という方もいらっしゃいますが、関係者や観戦者で感染する人もいたので、感染拡大したと思うので、担当の人の処分をしろよ、とか思いました。
コラムの「国民」という言葉ですが、昔美少女コンテストで「国民」だとまずいので、「国民的」にしていたのを思い出しました。何か笑えたので。
総括して、和田さんが底辺労働者の視点でプロの政治家に下からの視線で疑問をぶつけて、今現在何が日本の問題なのかが浮き彫りになるという判り安い対談集で、勉強になりました。参考文献に入っている「そろそろ左派は経済を語ろう」(和田さんは気に入らかったそうですが)みたいにこれで経済の問題等が活発になればなぁと思います。日本国民必読だと思います。
蛇足ですが、昔買った洋楽のCDで和田さんがライナーを書いた物を持っていた記憶があるので、CDが売れなくなり、ダウンロードやストリーミングが主流になりつつある中で、音楽評論家の方がどういう風に生計を立ててらっしゃるのか気になっておりましたが、普通にバイトなどをしていたそうで、親近感が湧きました。本人は嫌でしょうが。
あと、ポスティングをされているそうですが、私の住んでいる所ではポスティングが凄く迷惑がられるので、却って嫌われるかもしれないので、政治家の宣伝等は止めた方がいいのでは、とも思った事を書いておきます。すいません。
2023年2月24日に日本でレビュー済み
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ひとのせいにするのか、自分の努力が足りないのかの、答えがここに。
2021年11月12日に日本でレビュー済み
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著者は、主に音楽や相撲を中心に執筆されているフリーライターの和田靜香さん。
ライターだけでは食えず、コンビニやパン屋、スーパーなどでアルバイトをするも、時給はいつも最低賃金。そこにコロナ禍がやってきて、感染が怖いとバイト先を長めに休んだら、解雇された。
そんな時、小川氏のドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観て、誠実さに感動。小川氏へのインタビューで、「あきらめそうになるけど、あきらめません」って何度も言う姿に惹かれ、本を書きたいと思ったらしい。
とても、いい本!
和田さんと一緒に "小川氏の授業" を受けているような感覚で、政治や経済のことが面白く学べる。人口問題や税金、中高年の就職事情、環境問題などをテーマに、日本の現状を説明しながら、二人の対話が展開されていく。
中高生にもぜひ読んでほしい一冊だ。
世の中のさまざまな出来事を、他人事ではなく自分事に引き寄せていく流れが自然で、「主権者は自分」だということを強く自覚させられる。
最初はノープランで小川氏にぶつかっていった和田さんが、対話と猛勉強を重ねながら知見を深め、受け止めていくようすは、何事も人任せにしていては変わらないことを実感させてくれる。
和田さんの諦めない姿勢が小川氏の思いと共鳴し、見事に昇華した良書。読後、自分にどう活かすかが問われそうだ。
ライターだけでは食えず、コンビニやパン屋、スーパーなどでアルバイトをするも、時給はいつも最低賃金。そこにコロナ禍がやってきて、感染が怖いとバイト先を長めに休んだら、解雇された。
そんな時、小川氏のドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観て、誠実さに感動。小川氏へのインタビューで、「あきらめそうになるけど、あきらめません」って何度も言う姿に惹かれ、本を書きたいと思ったらしい。
とても、いい本!
和田さんと一緒に "小川氏の授業" を受けているような感覚で、政治や経済のことが面白く学べる。人口問題や税金、中高年の就職事情、環境問題などをテーマに、日本の現状を説明しながら、二人の対話が展開されていく。
中高生にもぜひ読んでほしい一冊だ。
世の中のさまざまな出来事を、他人事ではなく自分事に引き寄せていく流れが自然で、「主権者は自分」だということを強く自覚させられる。
最初はノープランで小川氏にぶつかっていった和田さんが、対話と猛勉強を重ねながら知見を深め、受け止めていくようすは、何事も人任せにしていては変わらないことを実感させてくれる。
和田さんの諦めない姿勢が小川氏の思いと共鳴し、見事に昇華した良書。読後、自分にどう活かすかが問われそうだ。
2021年11月25日に日本でレビュー済み
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笑って、そして泣ける本
政治家が私たちに向かって演説とか、話すことはあっても、
私たちが政治家に話を聞いてもらうことは
一部の人を除いてあまりなかった。
でもこの本では和田さんが小川さんに
話しかけて、問いかけて
小川さんが真剣に聞いていた。真剣に答えてもいた。
そのやり取りに驚いた。
政治家が私たちに向かって演説とか、話すことはあっても、
私たちが政治家に話を聞いてもらうことは
一部の人を除いてあまりなかった。
でもこの本では和田さんが小川さんに
話しかけて、問いかけて
小川さんが真剣に聞いていた。真剣に答えてもいた。
そのやり取りに驚いた。