私も同じく色字共感覚を持っているので、大いに興味を持って本書を読みました。
が、「だから何？」「それがどうした」というのが正直な気持ちです。
私は数字全部とひらがな、漢字の一部で色を感じます。物心ついた時からそうなので、なんの疑問も感じず大人になりました。ある時、たまたま新聞の書評欄で「ねこは青、子猫は黄緑」の本を見つけて読んで、初めて自分の見え方が共感覚というのだと知りました。今から18年くらい前のことです。
新鮮な感動を覚えたのはたしかですが、私にとってはあくまでも見え方感じ方のクセの問題だと思いました。色のせいでたまに混乱しますが、そういうクセなんだと今も思っています。
「共感覚者」という名前をつけると、何やらカッコいい、特別な才能のある人のように思わされてしまうけど、私には、共感覚のあるなしは、左利きか右利きかぐらいの違いにしか思えないです。
なので、著者が「私は自分が共感覚者であることを誇りに思っている。理由は単純。『人と違うから』」と書いていることに、私は強い違和感を感じました。
共感覚があるから非凡で、共感覚のない人は平凡だということをおっしゃりたいのかな？共感覚があろうがなかろうが、人はそれぞれがかけがえのない個性を持った存在のはずなんですが。
最後にまたこうも書いています。「‥‥他人になんと言われようと、これは私がなぜか手に入れることができた奇跡の感覚なんだから。」
共感覚で巨大地震の予知はできないし、コロナ感染を止めることもできません。これを奇跡の感覚とまで言い切れるかどうかは、まだまだこれから新しい知見が必要かと思います。
著者は心理学専攻の学生さんとのことなので、大いに研究に励んでいただいて今後の成果に期待したいと思うので、星２つです。
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出版社より
