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目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画 単行本 – 2020/5/29
購入オプションとあわせ買い
おそるべき影響力工作の全貌が白日の下にさらされる、禁断の書。
◎原著は大手出版社Aleen&Unwinと出版契約を結んでいたが刊行中止、その後も2社から断られた。
「(本書の)販売中止を決めた自粛は自己検閲だ」(フィナンシャル・タイムズ)と物議をかもし、
中国共産党の海外工作ネットワークをすべて実名入りで解明した、執念の本格研究、ついに全訳完成!
◎オーストラリア政財界・メディアに介入した手法は、日本にも使われている!
「中国が他国をどのように影響下におこうとしているのかを知りたければ、まず本書を読むべきである。」
(ジョン・フィッツジェラルド教授の推薦の言葉)
◎「世界各国のモデルになるのでは」とされる、ターンブル政権の外国人・企業からの献金禁止の法制化や
「スパイ活動」の定義拡大の動きに本書が先鞭をつけた。
「中国による浸透工作が半ば完了しつつあった時、強烈なウェイクアップコールとなったのが、
ハミルトン教授による本書「サイレント・インベージョン」である。
本書はオーストラリアを変え、アメリカにも大きな影響を与えた。」(監訳者解説より)
- 本の長さ428ページ
- 言語日本語
- 出版社飛鳥新社
- 発売日2020/5/29
- 寸法13 x 2.5 x 18.9 cm
- ISBN-104864107475
- ISBN-13978-4864107471
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コロナ後の世界制覇、その手口がわかる禁断の書!
中国共産党の組織的な内政干渉政策と、海外プロパガンダ活動を原著者ハミルトン教授が完全解説!
大手版元アレン&アンウィン社(Allen & Unwin)をはじめ3社が刊行を自粛した、原著356ページ、邦訳428ページの全篇が実名批判の、ガチすぎる研究書。
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原著表紙 |
繁体字(台湾)版表紙 |
邦訳版 |

図版も使用して具体的に説明、これが中国共産党のやり方だ!
豪首相が新型ウイルスの感染経緯に「独立した調査」を求めると、環球時報の編集長は「豪州は靴の裏にこびりついたチューインガムのようなもの」と書き込み、中国政府は豪州産の食肉に輸入停止措置を発動。大麦に80・5%の高関税を上乗せする措置を矢継ぎ早に開始した。こうした圧力は本書で警告されていた通りである。
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見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか | |
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.5
199
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価格 | ¥1,480¥1,480 |
商品の説明
著者について
オーストラリアの作家・批評家。著作には『成長への固執』(Growth Fetish)、
『反論への抑圧』(Silencing Dissent:サラ・マディソンとの共著)、
そして『我々は何を求めているのか:オーストラリアにおけるデモの歴史』
(What Do We Want: The Story of Protest in Australia)などがある。
14年間にわたって自身の創設したオーストラリア研究所の所長を務め、
過去数年にわたってキャンベラのチャールズ・スタート大学で公共倫理学部の教授を務めている。
登録情報
- 出版社 : 飛鳥新社 (2020/5/29)
- 発売日 : 2020/5/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 428ページ
- ISBN-10 : 4864107475
- ISBN-13 : 978-4864107471
- 寸法 : 13 x 2.5 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 56,179位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 340位外交・国際関係 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について

オーストラリアの作家・批評家。著作に『目に見えぬ侵略:中国のオーストラリア支配計画』(Silent Invasion: China's Influence in Australia)『成長への固執』(Growth Fetish)、『反論への抑圧』(Silencing Dissent:サラ・マディソンとの共著)、そして『我々は何を求めているのか:オーストラリアにおけるデモの歴史』(What Do We Want: The Story of Protest in Australia)などがある。14年間にわたって自身の創設したオーストラリア研究所の所長を務め、キャンベラのチャールズ・スタート大学で公共倫理学部の教授を務めている。
イメージ付きのレビュー

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
中国をロシアにオーストラリアを日本に置き換えても成立する話でウクライナ戦争以降、各メディアで露骨にロシアを擁護するいわゆるロシアンフレンズを見かけ、やはり権威主義国家が自由主義国家に仕掛ける影響力工作は実在するのだと思った。
この本を読んで反中になった読者でもロシアの影響力工作に気付かずに親露派に転ぶことはある。それって結局影響の主体が中国からロシアに変わっただけの本末転倒だろう。
その本末転倒は所謂陰謀論を拡散する「保守派」で、これが影響力工作のなれの果てかと思い悲しくなる。また反中ならなんでもいいと明らかな「フェイクニュース」を拡散する「保守派」がいるがそれって中国からの工作にまんまと引っかかっている間抜けではないかとこれも見てて悲しくなる。
私たちは権威主義国家の影響力工作に対して冷静に対処しなければならない。
オーストラリアは良く気付いたと思う。おまけにこの本を著したのは元親中ジャーナリストだという事。
日本は国会もメディアもすでに、、、
中国共産党の狙いは、米豪同盟を壊し、オーストラリアを属国にすることにある。
在シドニー中国領事館の政務一等書記官であった「陳用林(ちんようりん)(Chen Yonglin)」は領事館を抜け出してオーストラリアに政治亡命を求めている。
陳用林は、「中国共産党とは、実質的にすでに決定された戦略計画に沿った形で、オーストラリアに浸透(しんとう)するための構造的な試みを、すでに体系的な形で開始した」「西側諸国の中の弱い鎖」と見なされ、この一党独裁国家の潜入・転覆のための手段をテストする場所になっている。と率直に語った。
『中国はオーストラリア経済の明るい未来と切り離せない関係にある理想郷!』を共有している政財界のロビー活動に直面した「パンダ・ハダー」(パンダに抱きつく人々)たちは、メディアや大学、経済ロビー団体、そして議会の中の親中国派に後押しされ、警告を発した人物たちに対してはすぐさま「外国人恐怖症(ゼノフォビア)」や「反中感情」に動かされていると非難する。
オーストラリア内で中国という一党独裁国家の影響力の高まりに最も危機感を感じているのが、自分たちのことをオーストラリア人であると認識している「中国系オーストラリア人」たちであり、反中の嵐に巻き込まれてしまうと考えている。
西側諸国に新しくやってきた中国人たちにとって最も理解の難しい概念の一つが、国民(ネーション)とその政府(ガバメント)の区別である。これは民主制度に根本的に重要なものである。
「北京に忠誠を誓う」のではなく、「カネに忠誠を誓う」共産党の目標を共有していているからこそ北京の指示に従うようなビジネスマンは存在しない、彼らが言われた通りにするのは、共産党の役員たちの後援がなければ、中国でビジネスを行えないからで、共産党に協力しないと、オーストラリアや中国国内でのビジネスの取引は、中国政府に目をつけられて、取引先にボイコットされるような事態にもなりかねない。
中国共産党はまだ民主化の途上であり、民主化の最高潮は1989年の天安門事件だった。
抑圧的な体制は文化大革命以降のどの時期よりも深まり、習近平体制になってさらに厳しいものとなっている。
第二章
1970年代後半から80年代前半にかけて最高権力を保持していたリーダー鄧 小平(とう しょうへい)は、従来の思想を多く捨てて自由市場の導入へと経済を開放したおかげで、西洋のアイディアが流れ込みはじめた。
急激に進んだ民主化運動は、1989年に北京の中心の天安門を中心に行われたデモで頂点に達した。
天安門事件の2年後、中国共産党は幼稚園から大学まで、国家の歴史とその目指す方向についての教育を通じて「愛国者の若者」をつくる「愛国教育運動」が真剣に開始した。
2008年にノーベル平和賞を獲得した
「劉暁波(りゅうぎょう)」は、現代の中国の愛国主義を「不満に満ち、かつ衝動的なタイプのナショナリズムであり、まるで恋人にふられた人間の感情に似ている」自己卑下(ひげ)と自己強大化の、二つの極端な状態を行き来する中国の国家心理を分析した。
習近平は、「中国を歴史的な栄光へと復活させ、世界のリーダーとしてのアメリカに取って代わるためにの国家戦略を定めた」「世界ナンバーワン大国」となるためにアメリカを追い越すことを狙わなければならなく、中国を圧倒的な世界大国にすることと解釈していたと言われている。
オーストラリアでは、トップの階層の人々また、労働党の元首相であるポール・コーティングが、中国のプロパガンダに完全に乗ってしまった。
2016年、李肇星(りちょうせい)はオーストラリア国立大学で行った講話の中で、「元朝時代の中国人探検家がオーストラリアを発見した」と主張した。
第三章
世界に広がる500万人以上もの膨大な華僑を動員するために、中国共産党はいくつかの資金豊富な機関によって実行され、華僑を狙った多方面にわたる極めて精緻化されたプランを作成しており、このターゲットは100万人を越えるオーストラリア在住の中国系市民も含まれている。
「僑務(きょうむ)工作」は華僑を使ってオーストラリア国民全体を親中的にし、北京がコントロールしやすいように社会を変えて行く。
北京がオーストラリアに対して、自由貿易交渉の一部として労働市場の規制緩和を積極的に推し進め、政府に対し影響力を発揮できるようになる。
1989年の天安門事件当時、オーストラリア内に滞在していた学生に対し、「母国に強制送還することはしない」と決断し、4万2000人の中国人たち(内、語学研修で数ヶ月だけ滞在した短期留学生が4分の3、ほとんどは経済難民だった)が、オーストラリアの永住権を獲得した。
「僑務」のほとんどの活動は、中国共産党中央委員会に属する統一戦工作部(中央統戦部)によって実行され、習近平は、中央統戦部を「魔法の兵器」と説明している。
中華大会堂総会の会長、「蘇俊希(スパ・ジュンシ)」(2016年にメルボルンの副市長に立候補し落選しといる)は、
2016年7月、ハーグの国際仲裁判所の南シナ海の領有権に関する判決に、「南シナ海のすべての島は中国固有の領土であり、この歴史を覆すことはできない」と述べている。
『オーストラリアの価値観同盟』の創設者である、「ジョン・フー」は、「もしオーストラリアで生きていきたいと決意したいのであればオーストラリアの価値観に同意すべき」フーは僑務工作の狙いや、それが「中国」と「共産党」を同化させようとしていることに強く反対している。
メルボルンの中国領事館の領事が、2000年に開催された会合で、中国メディアのリーダーたちに、中国共産党が抑圧する「法輪功」に同情的な記事を書くなと警告し、党の方針に従わないジャーナリズムたちはブラックリストに入れられた。
アメリカでは、中国共産党による買収や閉鎖が出来なかった唯一の新聞社「大紀元」(Epoch Times)、その記者が暴力を受けたりコンピューターを破壊される事件や、頻繁にサイバー攻撃を仕掛けられ、2010年にはオフィスが銃撃されている。
オーストラリアの公共放送であるSBSは、バランスの取れた公平なニュースを提供するはずだったが、SBSの北京語放送局のラジオアナウンサーの何人かは、自ら中国共産党員であると認めている。
領事館はあらゆる中国系団体をコントロールする気であり、古参中国人コミュニティ団体が餌食になり、独立系はわずかしか残っていない。
「彼らは民主制度を破壊するために民主制度を使っている」
中国国家安全部がオーストラリアに職員を送り込み、捜査中の容疑者を脅していて、国家安全部は外国籍の人間を誘拐して中国国内の秘密刑務所に収容している。
中国安全部は暴力団に汚れ仕事を引き受けさせるために、資金を支払ったり報酬を与えたりし、台湾の民主化運動化たちは「白狼」というギャングに襲われている。中国共産党と暴力団との関係は長年にわたっていて、オーストラリアでも秘密結社的な中国系ギャングが存在するすることは知られている。
中国との犯罪者引き渡し協定の批准は、北京の絶大な権力がオーストラリアにまで及ぶことを意味している。
中国を擁護したり譲歩したりする人々は、オーストラリア政治ではソフトな中道派に該当し、経済的な圧力に屈しやすい点はあるが、右派は中国に対して懐疑的な態度をとる点ではまだ一貫している。
オーストラリアの永住権を持ち、孫もいるゾウ・シーキンは、大連の法廷で汚職の罪に問われた。(中国ビジネス上の争いではライバルを陥(おとしい)れるために裁判所を買収して逮捕状を請求させるのは、それほど珍しいケースではない)
ゾウの姉妹の中国国内の資産凍結され、彼女の顔が中国全土のメディアに犯罪者としてさらされた。
中国で2017年6月に「国家情報法」が制定され、条文の全面は曖昧だが、これは中国のオーストラリア国内での諜報工作に権限を与えることになり、この新しい法律は企業に対してのスパイの隠れ蓑となる役職を提供する義務を与えるものである。
最近の中国で、法輪功ほど追及されて迫害されている組織は他になく、中国の伝統的な「気功」にのっとてスピリチュアルな行を提唱しているだけだ、ところが共産党のリーダーたちは党員よりも数が多く、より熱心な信者たちに脅威を感じ、1999年に違法組織と認定した。
2017年12月、シドニーのベネロング(この選挙区には中国系住民の割合が最も高く、最近になって来た移民、つまり親中派が多い)で行われた補欠選挙では、北京が現職議員ジョン・アレクサンダーを落選させるために、さまざまな手段を使った。
反北京派の作家「斉家貞(チー・ジァジェン)」は、同胞である中国系オーストラリア人に「この場所を自分の住処として選んだのはあなただ。外出してデモをして中国共産党を支持するなら、オーストラリアはあなたを中国に送り返すべきだ」と露骨なメッセージを伝えた。
また、オーストラリアトップの中国専門家と呼ばれている、ジョン・フィッツジェラルド教授は、「オーストラリアの言論・宗教・結社の自由を制限しようとしている。社会の調和を脅かし、これに成功すれば、オーストラリアの主権と国家の安全は侵害される」大きく警鐘を鳴らし始めた。
第4章
黄向墨(ホワン・シャンモ)は、オーストラリアに来てから4、5年までのうちに、オーストラリアの中国人コミュニティ内で圧倒的な存在になり、ニューサウスウェールズ州と連邦政界の有力者となった。彼の資産は2016年、125億ドルで、まだ、中国にいた頃には、様々な慈善団体に対して献金をしていた。
中国掲揚市の城門建設での、掲揚楼(けいようろう)汚職事件は、あまりにも複雑で、中国の大物また、黄向墨の近い人達が逮捕され、黄向墨は海外に高跳びをしたという話を紹介している。
中国が汚職にまみれた体制にあることを知っているオーストラリア人は少ない。
汚職の中でも頻繁に見られるのが、「買官売官」としてしられる、官界や党の序列の中での役職を買収し、職を買収によって得た人間はスポンサーに逆らうことが出来なくなる。
中国に、汚職による破壊的な影響を受けていない組織は存在しない。
オーストラリアに亡命したジョン・メイ・ウー(Jun Mei Wu)という記者は、環境汚染が深刻な武漢市で、会社の1つは、人民日報に対して毎年11万9000ドルもの口止め料を支払ったなど、幾つかの汚職拡大を指摘した。
習近平の汚職撲滅運動は、73万4000件の汚職捜査が行われ、41万人の役員たちが、処罰された。
この撲滅運動のそもそもの目的は、政敵を狙い撃ちすることであり、大義など存在しない。
政治献金を行う人々に共通する目的は、ステータスやビジネスの推進・向上だが、黄向墨の献金は中国共産党の目的や政策を助ける意味で北京にとってもありがたいものだった。
シドニー工科大学は黄向墨の献金に大きな感謝に、「教授」という地位を与え、人民日報はすぐに「オーストラリアの学者」と呼び始めた。
周澤栄 (チャウ・チャクウィン)はネットワークづくりにおいて右に出るものがいないが、シドニーで立ち上げた中国語新聞の経営で、北京はこの新聞を高く評価した。
ウィキリークスによって、周澤栄は、「広東海外」という新しい組織の代表であることを暴かれている。
彼は、オーストラリアの政党に莫大な額を賄賂として献金することによって政治家たちの意思決定に影響を与えた。
祝敏申(ジョウ・ミンシェン)も、主要政党に献金をしていて、オーストラリアの私大に支援をしていて、「トップ教育研究所」を創設した。
彼は、2008年にキャンベラで行われたオリンピックの聖火リレーの際に中国人留学生によるデモを組織し、キャンベラというオーストラリアの民主主義制度の中心部で、脅迫的で暴力的になった外国人学生を使った大規模デモを組織する役割を果たした。
ダスティヤリ事件は、結果的にオーストラリアの民主制度の中心部に巣食らっていた腐敗を暴きだすことになった。
オーストラリアの政界で、中国共産党と密接に活動している人々は、他にも多く存在し、とくに労働党の議員が多く、2017年9月のニューサウスウェールズ州の地方選挙では数十人もの中国系オーストラリア人が立候補し、そして当選した6人は、中央統戦部系の組織とつながっている。
第五章
黄向墨は、2014年5月に、「豪中関係研究所(ACRT)」設立目的で180万ドルをシドニー工学科大学に寄付した。
この新しい研究所を軌道に乗せるため、黄向墨は労働党の元外相でニューサウスウェールズ州知事を努めたことのある「ボブ・カー」を所長に任命した。
この功績で黄向墨は非常勤教授となり、大学は彼を理事会の理事長に任命した。
カーは、「北京(ペイジン)・ボブ」とあだ名された。
2016年5月、中国共産党の幹部たちが、お忍びで、オーストラリアを訪問した。
党中央喧伝部部長でもあった劉奇葆(りゅうきほう)は、メディア検閲を担当し、外国では中国の「政治戦」工作を遂行する役目を負っていて、これは外国の企業、大学、メディアのエリートたちに影響を与えた。
彼は、オーストラリア滞在中に主要メディアと6つの合意を取り交わしていて、これは中国共産党から提供される資金と引き換えに、新華社通信や人民日報、チャイナ・デイリーのようなメディアからの中国の宣伝を発行するものであった。
2016年5月の合意の1つに、ボブ・カーの豪中関係研究所と、中国共産党の公式ニュース機関である新華社通信との間の「覚書」があった。豪中関係研究所はこの直後に、オーストラリアの記者たちを中国の研修ツアー(5日間のアゴ足つき、事実発見ツアー)に参加させると約束した。
豪中関係研究所の実態は、正式な研究所の皮を飼った、北京に支援されたプロパガンダ機関で、その究極の狙いは、オーストラリアの政策や政界での中国共産党の影響力の拡大にある。
第六章
オーストラリアのGDPで、財とサービスの輸出は19%を占めていて、輸出先の三分の一は中国である。(因みに、ドイツ46%、韓国42%、フィリピン22%、アメリカ12%)
2015年の豪中自由貿易協定は、中国への輸出に影響を与えていないが、実際の問題は、この協定では中国人が投資する際に、オーストラリア人が自国内で投資する場合と同じ条件で合意されている。
表面的には相互的なものとされているが、その相互性が中国側には適用されていなく、投資の合意は裁判所によって強制執行されることになる。中国におけるオーストラリア人投資家は何も保証を得られない。
このオーストラリアへ流入する資本の洪水こそ、我々の主権にとって最大の脅威である。
2007年以降に累積で900億ドルの投資を中国から受けている。(アメリカは1000億ドル経済規模から比べると12倍の大きさを意味する)
多くの国々は(ブラジルやアルゼンチンなど)中国企業が自国の耕地を買い占めるのを阻止する対策をとったのに対し、
豪中自由貿易協定はそのようは障壁を取り除いた。
中国全体のオーストラリア資産への入札状況を見ると、投資計画は90億ドル(2015・16年度)から、250億ドル(2017年度)へと伸びた。
中国の行動が自由市場の行動基準から外れている証拠は無数にあり、それは通貨の操作から、世界市場のおける鉄鋼のように、補助金によって製品をダンピングさせて競合企業を潰すことなど、アメリカやオーストラリアでは決して直面しないようなことを行っている。
中国共産党は、会社、大企業、外国企業まで操作し、統制することが可能で、つまり現在中国の経済は、党と企業の複合企業体であり、また、中国の多くの会社の高級幹部が共産党の党員である。
強力な党委を持つことは企業経営にとっても都合がいいのも事実である。
2016年に、党委書記と取締役会の基調を同一人物にすべきと通知が出ている。
2008年のリーマン・ブラザースとウォール街による金融危機こそ、中国を「明確に野心的」な政策へと移行するきっかけとなった。
自由貿易協定法案の合意は「中国のグローバルな戦略的野望の重要な土台の一つを構成している」
中国にとって非常に有利な投資面での取り決めであり、北京への依存度を高めて、アメリカの同盟関係から離れるのを奨励し、アメリカ同盟関係の破壊こそが、北京の戦略的な面での最重要の狙いである。
2016年、ターンブル政権は、何年も機能していなかった「外国投資審査委員会」を強化し、ダーウィン港の中国企業への売却に関するアメリカからの抗議が警鐘を鳴らすことになった。
2017年1月、豪政府は「中枢インフラセンター」という組織を、財務省や保安情報機関のような複数の省庁から人材を引き抜いて新設し、発電や港湾、水道関連のような国家の安全に関わる機関を強化するが、北京に忠誠心をもった人々の浸透工作によって、かなり深刻に屈従されていた。
中国国営企業の国家電綱公司(ビクトリア州の5つの電力供給会社、南オーストラリア州の唯一の送電会社)が、オーストラリアのエネルギーネットワークのかなりの部分を保有し、エナジーオーストラリア(300万人の顧客を持つ)、アリンタ・エナジー(オーストラリア最大級のエネルギーインフラ企業)など、中国共産党関連会社に保有されだした。
奇妙なことに、2017年、海外投資観察委員会が、なんと、巨大インフラ運用会社デュエット社の74.8億ドルの買収を許可した。(これは北京に武器を渡したことになる)
今後のオーストラリアのエネルギー綱の構築はすべて北京に筒抜けになった。また、ダーウィン港の99年間の租借権、ニューキャスル港、メルボルン港も、中国共産党企業に買収されていた。
また、クイーンズランド州のタウンズビル(畜牛市場があり)や、シドニー西部にあるバジェリー・クリークに計画されている新しい国際空港も狙われていた。
この空港は主な玄関窓口になるはずで、
北京からすべての通行が監視可能となる。これらの地域には、オーストラリアの軍事施設がある場所もある。
一帯一路で、最も強調されているのが、インフラの建設や獲得である。
また、人民元を貿易取引や投資の基軸通貨とすることも含まれている。
スリランカ政府が、ハンバント港を招商局集団に売却を発表した時、現地住民は暴動を起こした。スリランカは港湾の70%の権利を中国に売却せざる得ない事態に陥ったが、これは港湾施設を建設するために中国から借りた多額の負債を返済するためだった。
中国大陸からマレーシア、インドネシアのような一帯一路に関わる地域において中国の資産や国民を保護する目的での人民解放軍の役割が、軍事戦略家たちの間で活発に議論している。
ペンタゴンの報告書によれば、人民解放軍の世界展開は中国の経済資産の拡大と合致することになると予想している。
オーストラリア北部の農業開発を中国の国家的支援の投資先として、中国の長期的な食糧確保に関する懸念で、2016年半ばまでに、オーストラリア国内で一帯一路プロジェクトに関わる可能性のあるものとして900件もの事業が挙げられている。この頃からオーストラリア政府は一帯一路参加に完全に動き始めている。
『2017年3月、キャンベラで李克強(り こっきょう)首相の訪問中に、オーストラリア政府は北部インフラ施設と一帯一路をつなげる覚書に合意しないと表明した。』
オーストラリア保安情報機構や国防省は復活しつつあった。
ところが、2017年9月、労働党「陰の財務長官」であるマーク・バトラーは、もし労働党が政権をとれば50億ドルの北部オーストラリア・インフラ施設を一帯一路につなげると宣言した。
第7章
2002年、広州省に天然ガスを供給する契約を勝ち取ったと、250億ドルのガス供給案件、これは北京に操られていたと言えるものである。
豪中間の経済関係で成長した財界エリートたちのことを、「第五列」といい、このビジネスリーダーやそのアドバイザーの集団は、豪中二国間を行き来して契約を行い、「友人」として関係を築いていた。
北京が貿易相手の国に求めているのは、実質的に自国民との取り決めと同じであり、つまり、経済的利益を与える代わりに、政治と安全保障で自分たちに黙従せよということである。
資本は・・・中国という国家が望む方向に向かっている。
中国共産党はオーストラリアを、西洋世界への影響力拡大を試す場所として三つの利点があると見ていて、①地政学的な位置関係、②大規模な中国人コミュニティを抱えている。③オーストラリアの多文化政策。
中共反対派の作家、劉暁波(りょうぎょうは)が2010年にノーベル賞を授与された時、中国共産党は面子を潰され激怒した。北京は中国のサーモン市場におけるノルウェーのシュアを大きく削減することで報復した。自由貿易交渉は中止され、外交関係は凍結状態に陥った。
その4年後にダライ・ラマがノルウェーを訪問した時には首相が面会を拒否している。
中国共産党にとって、チベットの独立は「五毒」の一つである。その他の4つは台湾の独立。ウイグル分離主義、法輪功の存在、そして民主化運動である。
ダライ・ラマに会うのを拒否せざる得なくなった首相たちの数は多く、南アフリカ、インド、デンマーク、スコットランド、フランシスコ教皇、である。また、イギリスのキャメロン首相(2012年)は会談したが、後のイギリスは、2015年の会談を断っている。
一方、2017年にボツワナのイアン・カーマ大統領は、ダライ・ラマと会談し、北京に対して「我々はあなたがたの植民地ではない」と述べた。
中国は弾道ミサイル防衛システムのTHAAD設置を決定した韓国に43件もの報復措置を行った。また、韓国財閥のロッテはそのシステムを設置する土地を供給したが、中国国内のロッテが所有するデパートに暴力的なキャンペーンを開始させ、ほとんどを閉店に追い込んだ。
日中間の緊張が高まっていた2011年には、中国から日本の国会に対してサイバー攻撃が行われ、国防装備品や原子力発電所関連の情報がネットを通じて抜き取られていた。
台湾は特に、中国のサイバー民兵たちの標的となっていて、金融、交通、運送、車、ネットワークを妨害、遮断、麻痺させるために無数のサイバー攻撃を受けている。
北京はオーストラリア国内に愛国ハッカーを派遣している。
ターンブル政権が中国共産党の影響工作を厳しく抑制する新しい国家安全保障法を提案した。
しかし、中国共産党は、この報復に、オーストラリアの輸出業者をウソの検査結果で摘発し、中国への輸入を一時停止することや、オーストラリア企業の職員を濡れ衣で逮捕、ビジネスマンへのビザ発給の拒否、民間人や政府の機密機関からサイバー攻撃仕掛ける、また、教育(70億ドル)と観光(92億ドル)を稼ぎ出していたが、北京は自分たちでコントロールできる航空会社を通じて、観光客の流れの栓をいつでも閉めることが出来る。
中国の投資家たちはオーストラリアの大きなホテルを買収し、投げ売り状態のクィーンズランド州のリゾートを買い占め、新たなものを建造し始め、その中には中国のツアー会社とつながりを持つものもある。
第八章
首都キャンベラにある安保情報機構(ASIO-エイジオ)は、2005年、エスカレートする中国スパイ活動を監視・対処することを主任務とした、新たな対諜報部門を創設した。
この諜報機関の新しいビルが、バリー・グリフィン湖のそばに、ビルが完成(2013年)すると同時に、このビルの設計図がほぼ中国からと特定されたサイバー侵入によって盗まれていた。
ASIO本部から道をはさんで反対側の開発地区が、人民解放軍とつながりのある中国人の億万長者・梁光偉(リャン・グァン・ウェイ)が支配する会社に買い上げられていた。
1000人以上の中国人秘密工作員と情報提供者のネットワークがオーストラリア国内に存在し活動している。
中国がオーストラリアの通信ネットワークに侵入するため、サイバー面でのスパイ活動をすでに何年にもわたって行っていたことを、「フォーコーナーズ」というドキュメント番組で報じられ、最初の侵入は2001年に起きたと考えられている。
2012年三月、ギラード労働党政権は、ファーウェイの、オーストラリア国家ブロードバンドネットワークに関連する機器への入札を禁止した。
アメリカの政策担当者たちは、中国のもう一つの巨大通信機器製造会社「ZTE」も、注意深く観察していた。
ファーウェイが「莫大な量の知的財産を盗んでおり、外国のネットワークに「トロイの木馬」として侵入するために同社を使おうと熱心だった中国政府から、事業拡大のために多額の補助金を受けていた」と記事を書いている。
ファーウェイの中国諜報機関とのつながりは、創業者が人民解放軍元士官だった任正非(レイ・ゼンフェイ)で、彼は、解放軍の通信信号諜報部門の研究担当だった。
奇妙なことに、豪連邦政府はファーウェイを禁止せながら、同時にNBAへのZTEの参入を許可していた。
2012年3月、ファーウェイは、プロラグビークラブ、キャンベラ・レイダーズと170万ドルのスポンサー契約を初めてしていて、中国企業は、公告用の予算を使って影響力のある人物に近づく戦術をよく使う。
権力を持った人間との慎重な個人的関係の構築は中国人の特技である。
レイダーズはすぐにファーウェイとのスポンサー契約の有益性を称賛するようになった。
これよりも懸念すべきなのは、ファーウェイがビクトリア州と南オーストラリア州の電力ネットワークの大部分を保有しているステートグリッド(国家電綱)社と、極めて密接な商取引関係を持っている点で、ファーウェイ製の機器を使用しているステートグリッド社は、電力の使用に関する膨大な量のデーターを集めることが出来る。
アメリカの連邦議会は、「エネルギー綱や金融ネットワークなどの超重要インフラにバックドアのついた機器を埋め込むことは、中国にとって計り知れない武器となる」と警告している。
政府高官が宿泊する中国のホテルの部屋では、盗聴機器や、ホテルの部屋に「女性たち」がいるのを見たという話は枚挙にいとまがない報告がある。
ハニートラップは中国のエージェントが非中国人をリクルートする際によく使われている手段である。
2014年、ハワイで27歳の中国人女子学生が、元米軍士官の国防コントラクターを誘惑し、その彼は米軍の戦争計画やミサイル防衛に関する機密情報を渡した。
他にも、中国系アメリカ人のFBI捜査官で、北京のダブルエージェントでもあったカトリーナ・ランが、自分を管理していたFBI側の上司から、気密情報を20年間にわたり供給し続けていた話もある。
ところがオーストラリアはスパイを起訴しないため、国内でどのような工作が行われているかについての情報は、ほとんど得られていない。
アメリカの報告書は、学者、専門家、そしてジャーナリストたちが頻繁にオーストラリアと中国の間を行き来していることに警鐘を鳴らし、例えば「豪中評議会」は、上海社会科学院にあるオーストラリア研究センターに資金を提供しており、シドニー大学は交換合意を締結している。これは上海社会科学院を訪れたオーストラリアの学者をリクルートしようと考えている。
2009年、当時のオーストラリア国防相ジョエル・フィッツギボンは、中国系の実業家である「劉海燕(ヘレン・リウ)」
と「非常に密接」な関係と、彼女は人民解放軍の総参謀部第二部つながりがあり、1990年代の半ばの「チャイナ・ゲート」諜報機関から支払われた巨額のカネが、ビル・クリントン財団に振り込まれた事件にも大きく関わっていた。
中国政府にコントロールされている「ハイクビジョン」は、人民解放軍の監視部門から発達した組織で、高度な顔認証テクノロジーを使って特定個人を追跡することも可能で、アメリカでは、空港、刑務所、学校、さらにはミズーリ州の軍基地で同社の機器が設置されている。
2017年3月、専門家たちはハイクビジョンが自社の監視カメラに「管理者権限レベルのフルアクセス」を許す「バックドア」を仕込んでいたことを突き止めている。
2015年、オーストラリアの気象庁のコンピューターが、中国のトップシークレットのサイバーエージェンシーである61398部隊等が、サイバー攻撃を仕掛け、何十万ドルものダメージを与えている。
中国のサイバー窃盗は、商業的な情報を盗むための体系的な計画を、長年に渡って実行し、この計画は中国政府によって計画され、実行され、支援されている。
アメリカ軍のサイバー軍はこの溢れんばかりの窃盗について「史上最大の富の移管」と表現した。
アデレードに本社をおく「コーダン社」は、通信・鉱山技術会社で、高度な金属探知機を製造して世界中で販売していて、2013年から14年にかけ、この部門の売上が爆発的に伸びたが、突然売上が止まった。後に、中国で廉価版(れんかばん)のコピーが作られ、アフリカで大量に売られていたことが判明した。
コーダン社のある幹部が2012年に中国を訪問した時、彼のラックトップがホテルのWi-Fiにログインしている際にハッキングされ、マルウェアが仕込まれたパソコンをオーストラリア本社に持ち帰り、そのウイルスが本社のシステムに感染し、金属探知機の設計図が盗まれた。
コーダン社は金属探知機だけでなく、軍の装備品も製造している。
オーストラリア軍がサイバー能力を強化するため、メルボルン近郊の公立大学、「ディーキン大学」サイバーセキュリティ専攻の学士と修士コースを提供し、その卒業生たちは政府機関やCSIROのような科学機関、軍に就職することを期待され、この大学セキュリティ研究イノベーションセンター(CSRI)は、「業界や政府との共同研究を通じて、大規模なサイバーセキュリティの脅威からの防護を提供するために活動している」ところが、このセンターは中国系の研究者で溢れかえっていて、10人の教員の内、6人は中国出身で、このセンターの代表は、頂陽(シアン・ヤン)教授である。
この教授は人民解放軍と密接なつながりを持つ、安西電子科技大学から教授職が与えられている。
サイバー戦の司令塔をつくるための訓練場として、ディーキン大学をしのぐ存在になりつつあるのが「オーストラリア軍大学」(ADFA)であり、中国は何年かにわたってこの博士課程に学生を入学させている。
この構内の廃棄された文書の処理を含む清掃業者のスタッフは、中国系によって占められていた、
第九章
中国の影響工作の司令は、国家の最上部である中国共産党政治局によって作成され、それが党中央委員会に下りてくる。
そこから責任が二つに分断され、国務院僑務弁公室と中央統一戦線工作に分けられる。
この体制を通して北京はオーストラリアの中国系の人々の隅々まで影響力やコントロール、そしてスパイ工作を及ぼす。
北京は海外のすべての中国系移民、もしくは外国生まれの中国系たちまでが祖国に忠誠を誓う義務があり、中国系であれば誰でも自分たちに従うべきだと考えている。
ナノテクノロジーは北京政府にとって「大躍進」のための唯一の道と見られ、2016年には中国国籍の5人が台湾のナノテクノロジー企業から知的財産窃盗の罪で起訴されている。
アメリカ国内で中国の科学者やテクノロジー業界に従事している人々が、深く結びついたネットワークは、そのすべてが北京と深いつながりを持ち、祖国がアメリカを凌駕する目標達成に貢献するため、高度な技術を中国に移し替えることを狙い、シリコンバレーには、ハイテク関連の労働者のうち、およそ10人に1人が中国本土から来た人々である。
国家外国専家局の狙いは、北京にとって貴重な情報を集めるスパイをリクルートすることにあり、「政府や姉妹都市との交流、国際経済、貿易交渉、国際会議のような機会をふる活用」することによって海外の専門家をリクルートする。
シリコンバレーの中国資金の急激な流入は、ワシントン界隈では警戒感が広がり、2017年8月にはトランプ大統領が、企業合併やあからさまな窃盗を通じた知的財産の中国への移管を止める方法を調査するよう大統領令を出した。
AIはオーストラリアでも関心が高く、「データ61」は、CSIROのデータ研究センターで注目を浴びていて、同所の研究センターには、「世界最先端のデータ科学の研究とエンジニアリング」を謳い、1100人という大規模なスタッフの他に400人の博士号課程の研究者がいる。データ61の多くの専門家たちは、中国の軍事機関の研究者と共同論文を執筆している。
第十章
習近平は2016年の演説で、大学教育の中心に「イデオロギー工作」と「政治工作」を組み込む必要があり、全ての教師は「社会主義の核心的価値」を信じて、「先進的なイデオロギーの普及者」となる義務がある。と強調した。学校や大学は党の「思想工作」における最大の発信場所ということになる。
思想管理の最大のカギは、「非有効的」な学者をブラックリストに載せることで、オーストラリアの中国専門家たちが、一線を越えたら北京がどのような処罰を考えて始めている点で、その「一線」がどこにあるのか中国専門家らは知っている。
シドニー大学で、ある講師が、インド・ブータン・中国の3ヶ国の地図の国境地帯が、インド版の解釈で、これを見た学生の何人かが抗議し、講師は謝罪文を発表させられた。そうなると、シドニー大学で使われる係争地に関する地図は、将来的にすべて中国の主張を反映したものでなければならなくなる。
自国の屈辱の歴史を刷り込まれた、中国人学生の中には、わずかな侮辱に対する反応を、愛国的な情熱を示す方法として使い始める者も出てきた。
オーストラリアの大学が中国の大学や国営企業とパートナーシッブを結ぶということは、中国共産党ともパートナーシッブを結ぶことを意味する。
中国は先のわからない研究や、イノベーションを起こすような実験ではなく、国家の発展や国防に対して戦略的に投資しており、自分たちで発見・投資できないものは盗むのである。この戦略は莫大な利益をもたらしている。
オーストラリア研究所会議(ARC)は「リンケージ・プログラム」を通じ、オーストラリア国民の税金を中国の最先端兵器開発の研究に投入していて、国内外の大学の研究者や民間企業、研究所に所属するパートナーの共同研究を推進することを狙ったもので、問題になっているのは中国の軍事技術者たちで、人民解放軍とつながりのある研究者たちが、オーストラリア政府から資金提供を受けていて、中国の軍用機の能力向上の手助けをしていることになる。
人民解放軍とのつながりはオーストラリア国立大学、シドニー工科大学、ニューサウスウェールズ大学が最も密接で、このつながりの最も中心的な役割を果たしているのが、楊学軍(ヤン・シェジュン)中将である。(国家の最高学術機関である人民解放軍科学研究院の院長)
国防科技大学の46歳の教授、王飛雪(ワン・フェイファ)はアメリカのGPSに対抗する北斗衛星航空システムの開発の中心的人物で、このシステムは2020年に全地球をカバーすることになると言われている。
北斗システムはアメリカと紛争が勃発した時、中国軍にとって死活的に重要になるものだ。
シドニー工科大学副総長代理グレン・ワイトウィックは、中国の軍と関係の深い企業や研究所と共同研究について、一連の共同プロジェクトに満足していて、人民解放軍との関係は、研究そのものが軍民両用(デュアルユース)のものであり、機密でもなく公開されているものなので、懸念はしていない。
とりわけ防衛貿易規制法を遵守していて、もし問題があれば、それはそもそもビザを認可した移民省や公安機関のせいだと考える人もいる。
北京は中国の科学・テクノロジー面でのインフラ構築を目指すプロジェクトに、莫大な資金を投入している。「火炬(たいまつ)計画」は、科学技術発展の中・長期計画(2006年~20年)に組み込まれ、海外のテクノロジーと研究を横取りすることに焦点を置いている。
中国のプロパガンダ部門トップである李長春(リー・チュンチュン)は、孔子学院は「中国が海外でプロパガンダを展開するための1つの重要な組織である」と述べている。
今日では世界中に500校が存在していて、行程な任務としては中国語を教えることや中国文化の理解、そして中国研究のさらなる推進が謳われている。
NASの報告書には、「表向き友好的かつ誘惑的な外交の奥には、独裁主義的な現実の顔が覗いている」と記していて、受け入れ側の大学職員たちは同学院が監視の拠点となっていると考えている。
2015年後半、オーストラリア国立大学(ANU)で、法輪功(大紀元)の発行する『大紀元』(The Epoch Times)紙の配布に、怒り満ちた中国学生協会(CssA)の会長は、キャンパスから排除するように要求された。オーストラリアで最も国際的な大学が、言論論殺行為を詳しく調査していない。
2008年4月、キャンベラで行われた、北京オリンピック聖火リレーの場で発生したデモの中心になっていたのは、オーストラリア大学人学生たちで、聖火リレー通過点におけるチベット人や法輪功が活動する危険な場所として認定していた。
中国学生教授協会は、1990年代初頭から、海外の留学生の間に、自国への批判的な意見が拡大するのを懸念した強力な国家安全部が職員を派遣して、学生や学者、そしてビジネスマンとして身を隠しながら学生たちの活動を監視・報告し始めた。
ロンドンの中国大使館はダーラム大学の学生『アナスタシン・リン』の公演を中止させる圧力がかかり、リンは、法輪功の信者で中国生まれで若い時にカナダで育っていた。彼女はカナダ代表としてミスワールドの決勝線に参加するため、中国に渡航しようとした際、ビザ発給を拒否されている。
オーストラリアの大学は、反体制派の中国人作家や知識人、また、ダライ・ラマ
をキャンパスに招くべきで、さらに大学は、中国人学生たちをイデオロギーのゲットーから救出するために人種や民主制度に関するコースを受けさせ、自分の考えを持てるようにする措置をとるべきだ。CSSAは解散させられるべきで、大学は中国人学生たちを支援する新たな組織を立ち上げるべきである。そして連邦政府は、北京を代弁して政治的な扇動を行う中国人学生はこの国で永住権を得ることができないことを明確に示す必要がある。
第十一章
中国人投資家の集まるフォーラムの席で、オーストラリアの「象徴(アイコン)」となるようなものは避けて、投資を行う際には雇用創出と市場の成長が望めることをアピールすべきだとアドバイスし、もし抵抗を避けたいのであれば、オーストラリア人のパートナーを見つけるべきだと促した。(元首相ジョン・ハワード)
匿名の中国人のインタビューで、オーストラリアの永住権に必要な500万ドルは、中国人にとっては安すぎて、100万人も受け入れている。
共産主義は人民を教育するのに失敗しました。彼らは単に「金持ちになれ」と教えているだけである。
コロンビア大学は最大の中国人団体を解散させていて、透明制、公平、そして民主的な選挙の実施などを求める大学の倫理規定に違反したからである。
もし、中国人がオーストラリア国内での選挙の際に、自分たちの人口数を活用しはじめたら、どうなるのか?
もし中国人がオーストラリアに行くのであれば、そこの法律に従うべきだが、その法律に従わないという権利を与えてくれているのは誰なのか?
メルボルン作家フェスティバルとビクトリア作家協会は、中国共産党の世界観をオーストラリア国内に広める狙いを持つ中央統線部の下部組織たちと無意識に連携していて、中国共産党の世界観は、芸術の自由や反体制的な見解に、極めて不寛容だ。と主張した。
文化大革命の頃、四川省のある刑務所で、当時20才だった斉家貞(チー・ジャジェン)は父親とともに、証拠が明示されない「反革命的な活動」の罪で13年間収監され、そこで彼女は徹底的なプロパガンダを教え込まれ、「更正が成功した模範的な存在」となった。彼女は1987年に英語を学ぶためにオーストラリアに行くことを許され、1989年の天安門虐殺事件の後に永住権、そして後には市民権も獲得した。今や、70代になった彼女は「私は恐怖のために、17年間にわたって沈黙を保ってきた」中国共産党に対する猛烈な批判者となり、中国での苦難を記した回想録を2014年に出版した。
現在の中国の歴史書は、半分フィクションと公式プロパガンダの寄せ集めだ。
中国はいまや「その過去を完全に消し去ってから創作しなおした国」なのだ。
中国には国民の思想や行動を監視する莫大なインフラがあるのだが、その偏執的な一党独裁体制はさらに精緻化(せいちか)された、非常に効果的な政治監視体制を整えようとしている。
公務員の汚職を暴くことで有名なジャーナリストで、ブロガーでもある劉虎(リュウ・フー)「新快報記者」は、「虚偽の情報を拡散した」という嫌疑で逮捕され、有罪となり罰金を支払わされ、ブラックリストに入れられたため、航空券や不動産、そして特定の列車に乗るためのチケットは購入出来なくなった。
このシステムは控訴は不可能であり、ブラックリストにはいまや700万人の名前が掲載されている。
オーストラリアの南極領土は南極全体の42%をカバーしていて、化学調査や自然保護の分野で長年にわたる誇り高い歴史を持っている。
ところが過去10~15年の間に、北京は南極に、基地を建設し、滑走路を敷き、しかもそのほとんどの活動はオーストラリアの領有区域の中で行われている。
「北斗衛星導航系統」と呼ばれる人工衛星のナビシステムの基地を建設中である。この南極基地は、中国のミサイルを使った攻撃にさらなる正確性を与えることになる。
主要各国は中国を、国際システムに迎え入れる努力をしてきたが、中国は最終的には、自国に合わない法や規範は無視することが明白になっていて、つまり「中国は欲しいものは手に入れる」、結局、北京は南極条約を戦後の列強たちによって作り出された世界秩序の一部とみなし、新たな世界秩序を作りたいと述べてきた。
南極条約の再検討の時が来たら、それを書き換えるようになり、その頃の中国は南極大陸で資源採掘を開始する準備が完全にできているはずである。
第十二章
スパイ、情報提供者、インフォーマント、シンパ、影響工作員などを、オーストラリア国内に潜伏させている。この背後に、影の勢力、「チャイナ・クラブ」があり、首都キャンベラの政官エリートたちの中で共有され、1983年から91年までのホーク・コーティング政権時代に作られた。
中国の外国人操作戦略の専門家、アン=マリー・ブレイティは、過去20年間の中国の海外におけるプロパガンダの最優先事項は、同国の驚くべき経済成長や政治の安定性を強調することなによって、拷問や抑圧についての批判を交わすことにあったと指摘した。
このプロパガンダの拡散の一つの手段が、著名人を甘言や大金で雇い、北京の意向に沿った発言をさせることだった。
この戦略に引っかかった、南半球で最も影響力を持つ人物、なんとオーストラリアの元首相だった。
覇権国が、「軍事的優位性で他国を従わせる」軍事による脅しよりも、ラテンアメリカにおいてアメリカが「仲介人層」(覇権国と自分たちの利益が合致していることを自覚しているビジネス層)を育てることや、覇権国側の望む動きをする政権政党を作り出す、この戦略の長期的な成功のために必須となるのが、一般大衆の力を削ぎ、その世界観を変えることであり、そうすることで覇権国側の支配の必然性やその魅力を受け入れさせることができる。このために覇権国側は知識人たちを含むエリートたちを取り込もうとする。
中国の諜報機関にとって、オーストラリア内の最も価値の高いアセットは外務貿易省と元外交官、情報分析官、学者、豪中関係のコンサルタントらによって構成される不明瞭なネットワークであり、彼らはおしなべて親中・反米的な感情を多かれ少なかれ持っている。
リンダ・ジェイコブソンの「チャイナ・マターズ」といったシドニーにあるシンクタンクは、「中国に関する事実」を独占していて、チャンネル7のオーナーも「親中派」として大きな発言力を持っている。
オーストラリアで主張を展開する「中国の友人」たちは、民主主義制度にほとんど価値を見出だしていなく、政界、官僚、メディア、そして学界のエリートたちの中で、影響力の大きい人々の多くが、民主制度は「ぜいたく品」であり、むしろ「やっかいなもの」と考えているように見える。
第十三章
香港大学のフランク・ディコッター教授は、第一に、中国共産党は構造的にレーニン式の一党独裁国家のままである。第二に、国内外で自分たちに反対してくる全てのものに対処するための組織と哲学(プロパガンダ)の両方を持つ。第三に、常に公約(別の言葉では「ウソ」だ)を掲げるのだが、それは都合か悪くなったら常に破棄される。とまとめている。
北京は影響力の強い親中派の声をオーストラリアのエリートやオピニオンリーダーの間に獲得することに成功した。
2018年1月に環境時報は、もしオーストラリアがアメリカの行っている航行の自由作戦を支援し続くるのであれば、「強い対抗手段」を使うと脅している。次には、経済的な圧力をオーストラリアの政治家たちが最も敏感になっている分野にかけてくると主張していた。
もし自由が重要な価値だと感じているなら、オーストラリア人は断固とした態度を貫き、痛みを受け入れるべきである。
2017年末の「日米豪印戦略対話」非公式な安全保障パートナーシップは、北京のアジアにおける戦略的優位獲得への挑戦に対する実質的なカウンターバランスになるかもしれない。
シドニーに住む多くの中国系オーストラリア人に、北京、オーストラリアのどちらに、忠誠心を持っている割合は、
親中20~30%、中立40%から50%ほどは中立らしいが、彼らの「愛国心」ゆえだが反北京ではない、そして残りの20~30%はオーストラリアに忠誠心を持っている。
中国系オーストラリア人の大部分が、南シナ海における中国の領有権利の主張を支持している。そして漢民族のほぼ全員が、チベットと台湾が中国のものであると信じている。
謝辞
オーストラリアの大学の中国人学生は、学生団体の代表が中国領事館につながり、学生たちに学生たちに託されたミッションは、中国に批判的な個人や監視、通報ほか多岐にわたり、教師が中国に批判的な発言をしたり、中国政府の公式見解に沿わない資料を使えば、吊し上げて謝罪を求める。驚くべきことに、中国人留学生が支払う多額の学費に経営依存する大学はいとも簡単に屈して謝罪してしまう。
まとめてみたが、この中共の戦略は、、トランプの演説等で出てくる、「ディープ・ステイト」が、長年、過去に企てていた戦略で、最近ではエドワード・スノーデン氏が、これらの手口の幾つかを暴露していた。中共の戦略の基本は、共産主義のマルクス・レーニン主義があり、中共とディープ・ステイトの戦略の大きな違いは、時代は進化していて、人類が知り尽くした戦略は、メインでは使わず、常に時代の先を見越した戦略を繰り返していて、中国共産党とは、ディープ・ステイト側から見れば、彼等の利益を追求するための、只の市場で、更に、世論に不安や恐怖を与え、時には大恐慌をお越し世論を誘導し、大きな富を奪う、策略が見える。本当に怖いのは中共だけだろうか? 完全な悪とされた習近平共産党は、ファイブアイズと日本、インドを中心に、終焉を迎え、その次に登場する、新しい中国は、世界にどんな謀略を仕掛けられているのか?明るい社会はまだ、先なのかも知れない。
中国共産党の人間の心理をうまく利用した浸透方法に、脅えながらも、その賢く執拗なやり口に、脱帽した。
2 ) 反対に、学生のような若者は別にしても、人生経験豊富なはずの、政治家、財界人、学者、メディア人が、いとも簡単に中国共産党に騙され、操られているのに、驚愕した。日本の著名人たちもたぶん同様で、中国のプロパガンダの仲介者となっているのでは?
3 ) ダライ・ラマが、 「 カネ、カネ、カネ。これがすべてです 」 と嘆いたという。
カネ、オンナ、チヤホヤ、誰しもこういうものに弱い。こういうのもを提供してくれる北京にホイホイ付いて行ってしまうものなのだな、とつくづく感じた。
4 ) 「 我々は、あなたがたの植民地ではない 」
北京の圧力に対して、こう述べたボツワナのイアン・カーマ大統領のような首脳陣は他国にはいないのか。
中国共産党は、フランシスコ教皇や神まで操っているというのだから、期待しないでおこう。
5 ) 「 外国人がオーストラリアの政党に献金しても法的な問題はない 」 351頁
この一文に驚いた。
本書を読んでいると、やたらオーストラリアの政党が、中国人大富豪たちから、多額の献金を受けていることが書いてあって、それって違法ではないのか?と首を傾げながら読み進めた。へえー、外国からの政治献金が規制されていないのか。中国共産党は、それをよーーくわかってるのだな。その大富豪たちは、中国共産党とつながっているのだから。
6 ) インフラや港まで北京のものになってしまったオーストラリア。アメリカとの同盟を止めて、中国と深い関係を持つべきだという意見もあるようだが、それこそ中国共産党の思う壷だ。
7 ) 本書に書かれてある内容の濃厚さと緻密さは、賞賛に値する。何しろ、登場人物のほぼすべてが実名で書かれてあるのだから。唯一人中国人の学者が匿名なだけだ。
8 ) その匿名の人物が、本書の著者のインタビューに答えている内容がとても興味深い。
• オーストラリアは、なぜ多くの中国人を受け入れているのか? 反対に中国は、極めて厳しい移民政策をとっている。
• オーストラリアが多くの学生を引き受けるのは、大きなリスクだ。中国では自由のない中国人が、オーストラリアでは自由を持ち、警察のようなふるまいをしているが、その権利を与えたのは、誰か?
• もし中国人が、オーストラリア国内で、オーストラリアの代表を選ぶ選挙で、中国人たちの人口数を活用したら、どうなるのか?
• 中国人が、他国の領土内で政治的、文化的な帝国主義を実践することは、危険だ。
9 ) レビューを書いていたら、石平氏がご自身の著書で、 「 中国に、『 やさしい 』という言葉はない 」と述べているのを思い出した。
本書が、付箋と書き込みでいっぱいになった。濃密な内容のためか、まだ自分の頭の中でうまく
整理ができていない。よって、ここら辺で止めておく。