時代は昭和の最後のあたり。
宮脇俊三がローカルバスを旅する。
硬質な文体に時代を感じる。
鄙びた地方の風景、
老人と子どもの描写、
ローカルバスの便数の少なさとその低速な運行の様子など、
現代では失われた旅情を感じることができる。
「バスの終点には何もない」という気配がありありと伝わってきて、
旅の本質をついているところが、
何とも言えず楽しい1冊。
今回の版では、
現在の路線の状況が記されており、
取り上げられている多くの路線が廃止されていることが分かる。
それも時代感が感じられる。

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ローカルバスの終点へ (洋泉社新書y) 新書 – 2010/12/4
宮脇 俊三
(著)
何もないところには何もないなりの良さがある!
普段、鉄道の車窓から見ていた
ローカルバスに心惹かれた著者が、
二万五〇〇〇分の一の地図を片手に、
鉄道も通わぬ「僻地」巡りの旅に出る!
中空を行くかのような尾根道や、
ミカンの段々畑に被われた岬・入江などを通って、
北海道から沖縄まで、二三の路線バスの終点を訪ねる。
そこはローカル鉄道の終点よりも鄙びた風情があった----。
現在の終点へのアクセス情報も掲載!
- 本の長さ303ページ
- 言語日本語
- 出版社洋泉社
- 発売日2010/12/4
- ISBN-104862486266
- ISBN-13978-4862486264
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商品の説明
出版社からのコメント
本書は一九八九年一月、JTB日本交通公社出版事業局より刊行され、一九九一年
八月、新潮文庫より刊行されました。今回、底本としたのは新潮文庫版です。
八月、新潮文庫より刊行されました。今回、底本としたのは新潮文庫版です。
登録情報
- 出版社 : 洋泉社 (2010/12/4)
- 発売日 : 2010/12/4
- 言語 : 日本語
- 新書 : 303ページ
- ISBN-10 : 4862486266
- ISBN-13 : 978-4862486264
- Amazon 売れ筋ランキング: - 733,526位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 50,907位新書
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年3月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ローカルバスの旅というのは、地元の人々の会話や観光地ではない生活の場を巡る旅である
鉄道でもそうだがローカル線の特徴は、その運転時間間隔や駅におりても何もないということだけでない
日中の病院通いの高齢者と朝夕の高校生の通学風景に出くわすことである
高速道路や新幹線などは物理的直進性と時間短縮のみをその建設の意図とするために
高架やトンネルが多い、そのために歴史や生活密接にかかわる生活道路とは違い
土地の文化には全くかかわっていないので、よほどの絶景でもない限り
窓外はつまらなくなりがちだ
官僚が机上で作ったもので道にせよ橋にせよ、法律にせよ経済政策にせよ、一切合財全てのものは
エゴの塊であり下らないものである
何もない旅、時間を短縮しなくてよい旅がローカル線の旅。ローカルバスの旅であり
その終点には、何もない 不便かもしれないが、ここは生活の場であり、は生活する人の文化もあるのだ
鉄道でもそうだがローカル線の特徴は、その運転時間間隔や駅におりても何もないということだけでない
日中の病院通いの高齢者と朝夕の高校生の通学風景に出くわすことである
高速道路や新幹線などは物理的直進性と時間短縮のみをその建設の意図とするために
高架やトンネルが多い、そのために歴史や生活密接にかかわる生活道路とは違い
土地の文化には全くかかわっていないので、よほどの絶景でもない限り
窓外はつまらなくなりがちだ
官僚が机上で作ったもので道にせよ橋にせよ、法律にせよ経済政策にせよ、一切合財全てのものは
エゴの塊であり下らないものである
何もない旅、時間を短縮しなくてよい旅がローカル線の旅。ローカルバスの旅であり
その終点には、何もない 不便かもしれないが、ここは生活の場であり、は生活する人の文化もあるのだ
2004年12月4日に日本でレビュー済み
鉄道紀行作家の宮脇さんが、僻地のバスに乗ってユニークな紀行文を世に送り出した。目的地選定の条件としてローカルバスに一時間以上乗り、世俗的な観光や行楽が目的でなく、自身が初めて訪れる終点、という項目を挙げている。その条件を満たす二十三の鄙びた土地を全国から選んでいるが、さすがに眼が利いており、よくこんな路線を見つけたな、とまず感服した。出発前にも地図を見ながらあれこれ想像をめぐらし、期待感を高めてくれる。
内容は、地形と歴史と地元の人々との会話を軸としたいつもながらの楽しくためになる紀行文であるが、見た物、聞いた物の描写が格別にすばらしい。得意の列車よりもバスの車窓の方が美しかったのではないかと思わせるほどだ。樹々の緑や動物の鳴き声、波や風の音、空の色や谷の深さなどがあざやかに表現されている。読んでいると、いつの間にかバスに揺られている心地になってくる。地味な路線バスも見方によっては何とおもしろいものかと感心した。
この話は昭和末期のことなので、すでに十五年以上が過ぎている。ローカルバスも風景もずいぶんと様変わりしたことだろう。当時を知る恰好の読み物でもある。
鉄道紀行作家の宮脇さんが、僻地のバスに乗ってユニークな紀行文を世に送り出した。目的地選定の条件としてローカルバスに一時間以上乗り、世俗的な観光や行楽が目的でなく、自身が初めて訪れる終点、という項目を挙げている。その条件を満たす二十三の鄙びた土地を全国から選んでいるが、さすがに眼が利いており、よくこんな路線を見つけたな、とまず感服した。出発前にも地図を見ながらあれこれ想像をめぐらし、期待感を高めてくれる。
内容は、地形と歴史と地元の人々との会話を軸としたいつもながらの楽しくためになる紀行文であるが、見た物、聞いた物の描写が格別にすばらしい。得意の列車よりもバスの車窓の方が美しかったのではないかと思わせるほどだ。樹々の緑や動物の鳴き声、波や風の音、空の色や谷の深さなどがあざやかに表現されている。読んでいると、いつの間にかバスに揺られている心地になってくる。地味な路線バスも見方によっては何とおもしろいものかと感心した。
この話は昭和末期のことなので、すでに十五年以上が過ぎている。ローカルバスも風景もずいぶんと様変わりしたことだろう。当時を知る恰好の読み物でもある。
2006年2月5日に日本でレビュー済み
著名な鉄道紀行作家である宮脇氏が、その鉄道も通わないような日本全国の鄙びた辺地へ、ローカルバスに乗って旅する。
鉄道紀行文で見られる著者の細やかな観察眼が、寂れた土地にある歴史的魅力を発掘し、その土地の風景、空気感を描き、暖かい目で地元の人たちの生活ぶりを綴る。
遠く外国などに旅せず、日本の中であっても、日ごろの暮らしとずいぶん異なる世界を味わえる場所があるのだと感じさせる。派手やかな観光名所や娯楽とは無縁の場所ばかりだが、滋味に満ちた土地へ、自分だけの気ままな旅に出てみたくなる良書である。
鉄道紀行文で見られる著者の細やかな観察眼が、寂れた土地にある歴史的魅力を発掘し、その土地の風景、空気感を描き、暖かい目で地元の人たちの生活ぶりを綴る。
遠く外国などに旅せず、日本の中であっても、日ごろの暮らしとずいぶん異なる世界を味わえる場所があるのだと感じさせる。派手やかな観光名所や娯楽とは無縁の場所ばかりだが、滋味に満ちた土地へ、自分だけの気ままな旅に出てみたくなる良書である。
2005年10月26日に日本でレビュー済み
1989年にJTBから出た単行本の文庫化。
全国各地、23のローカルバスに乗車して「終着駅」を目指した紀行文。普段は鉄道を専門とする著者だが、ちょっと目先が変わっていて面白かった。
しかし、バスの旅では宮脇氏独特の視点が失われてしまっているようにも感じられた。宮脇氏の持ち味は、部外者の視点である。田舎の鉄道では、乗車しているのは地元の人々ばかりである。沿線の風景や駅の雰囲気にしても同様である。鉄道に乗るということは、そこに素知らぬ顔で入り込んでいくことになる。同じ空間にいながらも距離感が存在するのである。ところが、ローカルバスでは、この距離が取れない。同乗者、運転手、滞在先の人々との親密な接触が生まれてしまうのである。そうすると、宮脇氏の調子が狂ってくる。冷めた視点が失われてしまうのである。
失敗した企画だったと思う。
全国各地、23のローカルバスに乗車して「終着駅」を目指した紀行文。普段は鉄道を専門とする著者だが、ちょっと目先が変わっていて面白かった。
しかし、バスの旅では宮脇氏独特の視点が失われてしまっているようにも感じられた。宮脇氏の持ち味は、部外者の視点である。田舎の鉄道では、乗車しているのは地元の人々ばかりである。沿線の風景や駅の雰囲気にしても同様である。鉄道に乗るということは、そこに素知らぬ顔で入り込んでいくことになる。同じ空間にいながらも距離感が存在するのである。ところが、ローカルバスでは、この距離が取れない。同乗者、運転手、滞在先の人々との親密な接触が生まれてしまうのである。そうすると、宮脇氏の調子が狂ってくる。冷めた視点が失われてしまうのである。
失敗した企画だったと思う。
2020年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者はこの頃から目に見えて筆力が低下し、また性格が偏屈になって読者にケンカを売るような記述が増えてくるのですが、この本も例外ではありません。
特に、別海町の職員に「子を産まなくても乳を出すのが乳牛だと思ってる奴もいるぐらいですよ」というのは、明らかに読者を愚弄する言い草で、許すことができません。
残念ながら、駄作との評価を与えざるを得ません。
特に、別海町の職員に「子を産まなくても乳を出すのが乳牛だと思ってる奴もいるぐらいですよ」というのは、明らかに読者を愚弄する言い草で、許すことができません。
残念ながら、駄作との評価を与えざるを得ません。
2020年4月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
通勤電車の中で読んでます。行ったことのない目的地をバスに揺られながらの旅路、情景が眼に浮かびやすく描写してくれます。いいですなぁ。